ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました 作:挫梛道
すいません…
どうしても あの台詞、言わせたかったんです…
▼▼▼
「美味い!!」
ナザリック地下大墳墓の第9階層。
その食堂に、響き渡る声。
「美味い!!」
やや長身で細身の黒髪…前髪は目元を覆う程に長いが、基本的には短髪の、人間種と思われる若い男が、その声の主である。
「美味い!!」
白米に味噌汁。それに玉子焼きと焼き鮭。そして豚しょうが焼きに筑前煮。
それ等を一口 口にする度に「美味い」を連呼して、笑みを溢す男。
「「「…………ニコニコ(^ω^)」」」
同じテーブル席に着いているアルベド、まろん、ユリは それを、只 微笑ましく見ていた。
≫≫≫
「料理長! 卵と牛乳、置いておきます!」
「御苦労!」
その食堂の舞台裏、厨房では普段以上に慌ただしく…仕事量は普段と そう変わらないが、この場を職場とする者達は、普段以上…過去最高の緊張と高揚を昂らせていた。
ナザリック食堂の領域守護者にして食堂料理長、シホウツ・トキツも それは同様だか決して それを表に出さず、普段通りに鍋を震う。
「……………フッ!」
只 時折、小さく笑みを浮かべながら。
≫≫≫
◆シホウツ・トキツside◆
何故、このナザリックに人間が?
…とは思わない。
何者で在ろうが、この場に来て食を注文するならば、それに応じる迄の話。
それが我等の存在意義なのだからな。
何よりも、我等の作った料理に一口毎に「美味い」と言っているのだ。
食を職とする者として、これを不快に思う筈も無い。
それに…同席されているのがアルベド様と まろん氏。ついでに今は まろん氏の奥方であるユリ・アルファ。
…と、なると、あの人間…いや、あの御方が誰なのかは、必然に答えが導き出される。
副料理長や他の
それが この厨房を良い意味で、緊張感が支配している。
本当に あの人間が あの御方という想定で、承けた
だからこそ、平常に料理を振るう迄の事。
しかし…
「美味い!!」
ふっ…ふふふふぶひっ!
あの御方が我等の料理に、あの言葉を発してくださる。
しかもアレは紛れも無く、飾り気の無い、純粋な心根からの声。
これ以上の誉れが在るか? 否、無い!
只…不敬を承知で、敢えて言わせて貰えるならば…
◆シホウツside・了◆
≫≫≫
◆まろんside◆
「美味い!!」
「美味い」を連呼するモモンガさん。
アルベドから聞いたのだが、モモンガさんがアイテムを使って人化するのは、"夜の営み"の時だけだとか。
生物3大欲求の、睡眠欲食欲性欲。
この内、睡眠欲と性欲は、アルベドと一緒に夜を過ごす事で消化していたが、それでも人化は "その時だけ"として、朝になれば、直ぐに
いや、食欲は? ついでだから食事もしようぜ?
俺だって
…だから、食堂に行きましょうね?…って事で、アルベド共々に昼食に誘ったのだ。
勿の論、ユリたん♡も一緒だ。
メニューを見て、「これなら米肉魚野菜、まとめて食べられますね」と朝定食と豚しょうが焼き(単品)と野菜サラダ(単品)を注文。
〇〇味の合成チューブとかしか食べた事が無いモモンガさんにとって、
「美味い!!」
初めて食べる本物の料理、本物の味に、本当に感動しながら箸を進めていた。
アルベドやユリたん♡も それは察したのか、暖かく見守っている。
ついでに言えば、この場で食事をしていた一般メイド達も。
えーと、確か…リュミエールさんだっけ?
泣かない泣かない。
それからルプスギナ、お前は涎と鼻血を拭け。
それと…モモンガさん、今は もう、お昼過ぎっすよ?
この時間に朝定を頼むって…
いや、実質、生まれて初めての食事…外食だから、そういう『暗黙』に疎いのは解るが…
それに、注文されたからって、本当に この時間帯に それ出す食堂側も…いや、このヒトに突っ込めないのは解る!
後で俺が そーゆーの、ソフトに教えておくから、そっちもメニュー表に【AM5:00~AM10:30迄】とか書き加えとけよ。
「美味い!!」
◆まろんside・了◆
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◆ジルクニフside◆
スレイン法国から書状が届いた。
何だ? 漸く、帝国騎士に擬装しての虐殺行為についての
それとも、先日に不法入国してきた
いや…これについては捕らえたとか、ついでに既に処した等は、公にしていないが。
そう思い、封を開けてみると…
「………………………………………。」
「…陛下?」
「ボツ!」
♪♪♪~♪~♪~♪♪~♪
ロウネに その手紙を渡し、少し前にアインズから貰ったマジックアイテム、『しゅれっだー』なる箱に投入させる。
すると、明るく愉快な…の表現が相応しい音楽が流れ、手紙は細々塵々に裁断された。
「巫山戯ているのか? 恥を知らないのか? それとも…私を舐めているのか?」
「へ…陛下?」
手紙の内容。
それは要約すると、法国は魔導国との戦争により、各地が戦火に包まれるからと、一般民の保護・受け入れをして欲しいという内容だった。
以前から
せめて、『それ等の件とは関係無く、一考願いたい』とか、一筆添えるべきではないのか?
どちらにしても断るがな。
此方が送ってきた書状を散々と無視してくれたのだ、同じ対応をしても、文句を言われる筋合いは無かろう。
更に言えば、我が帝国は魔導国と同盟を結んでいるのだぞ。
そちらの面からしても、魔導国の戦敵国からの避難民受け入れ等、認める筈も無いだろう?
それに、その避難民とやらの中に また、間者等を紛れ込まされでもしたら堪った物じゃない。
恐らくは竜王国や聖王国にも、同じ様な手紙を出していると思われるが、竜王国も魔導国同盟国だ。
若作りバ〇アが それを認めたりは、しないだろう。
そして聖王国。
此方も聖王女暗殺(未遂)の黒幕疑惑(黒)の国の、要請に応じるとは…あの お花畑が『一般の民は別問題ですぅ』とか言いかねんが、脇を固める腹黒と脳筋が全力で断固阻止するだろう。
ククク…さて、どう出るのだ? スレイン法国よ。
純・人間種至上主義国家が、ドラゴンや亜人が中心で統治する国に助けを求めるとは、思えないが?
◆ジルクニフside・了◆
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◆ドラウディロンside◆
…む? 何だか、誰かが私をディスっておる気がするぞ?
「心配なさらず。
恐らくはジルクニフ皇帝殿か まろん殿が また、陛下を若作りバ〇アとか合法幼女とか呼んでおられるのでしょう。」
「なさるわっ!
てゆーか、心の呟きを読むな!
てゆーか宰相! コレは貴様が そっちの方が、兵や冒険者からの受けが良い、喜ぶからと言って!
…この国には、幼女嗜好家しか居らぬのか?!」
「少なくとも、その幼い容姿に『無いわぁ』と思う者は居ないかと。
良いから黙って縮んでいて下さい。」
「ぐぬぬ…本来は もっと背も高いし、ぼんきゅっぼん!じゃぞ!
それは貴様も、知っているだろうが!」
「しかし どちらにしても、見た目詐欺の〇バアは事実でs
「だから、詐欺とかババ〇言うな!
ドラゴンの血を継いでおるから寿命が長く、その分 多少 成長が遅いだけじゃ!
普通の人間に換算すると、四捨五入で まだ二十歳じゃし、リアル年齢も2桁じゃ!」
「…来年も、言えますか?」
「…はぁ?!」
「来年…いえ、半年後も、同じ言葉を一言一句、違わずに言えますか?
特にリアル年齢の辺り。」
「あべしっ!」
「はいはい、爆散死は何時でも出来ますから。
それよりも、これ…法国からの手紙は、如何なさいますか?」
「ボツ!…じゃ!」
♪♪♪~♪~♪~♪♪~♪
◆ドラちゃんside・了◆
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◆モモンガside◆
「成る程…な。」
ナザリック地下大墳墓とエ・ランテルに精鋭(笑)と言って良い戦力を注ぎ込んだが、悉く撃破されてしまったスレイン法国。
その首都は中心の大神殿を残し、瓦礫の死都となっている。
そして その大神殿…その最奥の間にて、国の指令部と云える人物達が、何やら話しているな。
ふふふ…シャドウ・デーモンを通じて、全て聞かせて貰っているぞ?
…曰く、帝国・竜王国・聖王国に避難民の受け入れを求める書状を出したが、一向に返答が来ないだとか。
…曰く、自分達や その身内は、"聖地"に避難させるとか。
…曰く、今後暫くは魔導国の侵攻に備え、都市防衛面を強固にするとか。
成る程、成る程。
ジルとドラウからは、避難民受け入れ要請は無視すると言われているが、聖王国も同じ対応か。
都市防衛を強固に。ふん、どんなに守りを強めようが、無駄な事だ。
墜とそうと思えば何時でも墜とせるが、攻めて来ないなら、此方も暫くは、国の運営に力を入れさせて貰うとしよう。
改めて、王様って大変だよな~? ジルやドラウをマジに尊敬するよ。
そして、"聖地"…だと?
コレは興味深い。
恐らくは六大神の誰かの、ギルド拠点の事だと思うが…
まろんサンが言うには、スルシャーナは
そしてスルシャーナ以外の六大神は皆、人間種。
つまり六大神は、少なくとも2つ以上のギルドのプレイヤーの集まり。
この前のパワード・スーツ登場で もう1人、六大神メンバーの心当たりが付いたが、もしかしたら
…次に法国責めする時は、先ずは その聖地とやらだな。
敵国の中枢を担う者の身内だ。
避難とやらを終了させた後、最優先に始末させて貰うさ。
≫≫≫
「場所は、このナザリックの地上部分。
胸元にスレイン法国の紋章が刻まれた、黒い戦闘衣を着た黒髪の男。
手には南方刀を握っていました。」
…アルベドから、占星千里が予見したと報告が入った。
直ぐに彼女を呼び出し、守護者達…そして まろんサンも会議室に呼ぶ。
占星千里…彼女がした予見。
それは法国の者と思われる、ナザリックへの侵入者だった。
それを聞き、対策を練る事に。
「それで、その男は?」
「は、はい、エントマ様が それと対峙していて、瞬時に殺されました…
私が視たのは、此処迄です。」
成る程。
「そうか。報告、御苦労だった。
退がって良いぞ。」
「はい。失礼します。」
≫≫≫
「…さて、お前達は、どう思う?」
占星千里を退室させた後、守護者達に感想を聞いてみる。
「確かスレイン法国って、当分は自国の守りに専念するって話でありんしたよね?」
「ソレナリニ先ノ話。
再ビ、魔導国ヘノ攻撃指示ヲ出シタ時ノ光景ダッタノデハ?」
「だね~? 具体的に何時頃かとかは、分からなかった訳ですし?」
「あの…勝手に動いたりしていた…とかは?」
「そうだね。占星千里の予見曰く、他には誰も居ないそうみたいだし、独断…単独行動の可能性も、高いかも知れないね。」
「ナザリックの敷地に侵入を許し、それをエントマ殿1人が待ち構えるかの形で対応…
これはッもう! この予見を知っていた上での対処と思って良いでしょうね。」
「何だか卵が先か…みたいになっているわね。
でも ならば此処で、エントマ以外の者を向かわせるとか、下手に予見を外した行動は、避けた方が良いのでしょうね。」
「それが良ろしいかと。
どうやらエントマの勝利は、絶対の様ですからね。」
≫≫≫
「…という訳で、スレイン法国で、そーゆー格好のヤツ、心当たり、無いか?」
「は、はい! それは恐らく…漆黒聖典第3席次、賽肉細斬…デs(バキッ!)ぷぎょえっ!?」
「ま、まろんサン、流石に それは、理不尽ですよ?!」
「いや…この声を聞くと、どうも反射的に…
(≧▽≦)ゝ ゴメンね?」
確認の意味で、過去に魔導国に入り込んで来た者の中で、情報元として生かしている者の1人、死凶怠惰(投獄中)に話を聞いてみると、占星千里の予見に出た出で立ちの者は、やはり法国に…"新生"漆黒聖典に居るとの事だった。
その際に「声がムカつく」という理由だけで まろんサンに殴られたのは、流石に少しだけ同情してしまう。
同時に俺にも まだ、人としての情けを僅かでも持っていたのが確認出来て、少し安心。
「ぐぷぬ…そ、それで、神官達が命令していないのに、勝手に行動するというのも、ヤツならば有り得る話なのデス。
アイツは昔から、出世欲が激しい人物でしたから、それも独断先行なのでしょう。」
思いきり腫れた右頬を押さえながら、涙目で話す死凶怠惰。
まあ、怨むなら とある王国貴族を怨んでくれ。
尤もソイツも もう、死んでるけどな!
①改めて…あの台詞を言わせたかったのです。
次は〇ル〇〇に「〇でよー?!」と言わせてみたいが、それ迄の経緯が思い付かない…
②「ボツ!」の時の音楽は、〇レクトリカル・〇レード(〇ィズ〇ー)を連想してみて下さい。
③ペテr…ごほん、死凶怠惰は殺さずに、生きている事にしました。
今後、他にも生きていたり蘇生してたりなキャラが出たり?
④賽肉細斬…この名前でモデルを察せた貴方は、上級読者(笑)
≫≫≫
次回『エントマ、頑張るぅ(予定)』
乞う御期待! 感想よろしくです。