ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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レイドボス(仮)

▼▼▼

「な…何なのだ…アレは…?」

「ば…化け物…!」 

月明かりに照らされる巨大な姿。

それを遠くから見て、"新生"漆黒聖典・関節恐慌と鹿屍討伐が口を漏らす。

 

「まさか、あの魔導王(アンデッド)が喚び寄せたのですか?」

それに同じく、"新生"漆黒聖典の一員の刃投冥土が言葉を続けた。

…彼等は各々がモモンガ達に敗れた後、その実力差を理解。

先に進む魔導王一行を背後から追撃急襲…な発想には至らなかった。

しかし法国の…人類の守護者を名乗る者の矜持からか、只 逃げ出す事は無く。

水晶の繭(クリスタル・コクーン)最奥にて、魔導王と対峙しているであろう大神官達は助けられないとしても、居住区に居る その身内達を引き連れ、このギルド拠点の外に出ていたのだ。

そして、その行動は結果的に正解。

離れた場所から聖地の様子を窺っていると、突如、その外観が崩壊。

その内から巨大な異形が姿を見せたのだった。

 

「な…何て恐ろしい、姿なの…」

「聖地を破壊するとは…魔導王…!!」

上半身は蒼銀の鎧武者…しかし、4本の腕に2つの頭。

その4本の腕に其々、剣、斧、槍、棍を携え。

そして下半身は狼の如くな銀毛の獣の四肢という異形。

それと、モモンガ達が対峙している。

 

「…それは、違いますよ?」

「「「!!?」」」

その光景を見据えている時に、彼等の背後から声が。

振り替えってみると、其処には

「ヤルダバオト…」

仮面の悪魔、デミウルゴス(ヤルダバオト)が立っていた。

 

「貴様! 貴様が何故、此処に居るのだ!?

貴様は あの、アンデッd…?!」

「魔導王様…ですよ。」

鹿屍討伐が『あのアンデッドと戦っていたのでは?』…と問い詰めようとした その台詞の途中、彼女の眼前に鋭利な爪が突き付けられた。

その凄まじい速度と殺気に、鹿屍討伐は声を詰まらせてしまう。

 

「…魔導王は、アナタの敵なのでは?」

「敵か否かと、尊敬しているか否かは、別でしょう。

余り私の前で、あの御方を軽く見る様な発言は控えた方が良い。

さもなくば次は…殺しますよ?

「「「……!!?」」」

刃投冥土の質問の応えは、嗤う仮面の内側から溢れる怒気と殺気。

 

「さて…あの後、何が有ったかを説明しましょうか…」

 

≫≫≫

 

◆デミウルゴスside◆

「ば…バカな!?」

「それを俺達に信じろと…言うのか?」

…要約すれば、アインズ様達に勝てないと、自棄(ヤケ)になった大神官が、制御も利かないモンスターの封印を解いた。

アインズ様からすれば、取るに足らないレベルの相手でしょうが、それでもスレイン法国…いえ、人間共からすれば、世界を滅ぼしかねない脅威なのでしょう。

…その辺りを彼等に話してみましたが、やはり受け入れる事は難しかった様で。

 

「そんな…私達は…スレイン法国は、人類の守護者だったのでは、なかったのですか?」

胸元が不自然なメイド服の女が、絶望したかの表情で呟いています。

 

「はっは! 何を今更。

所詮は、その人類の救済を建て前に、世界を征服したかった狂人の集団でしょうに。

確かに、六大神の時代は どうだったかは知りませんが、その1柱、アンデッドだったスルシャーナを人間と…そして人間に亜人…様々な種の集まりだった13英雄も、その全員を人間と捏造して広めた辺りでも、片鱗は見えているでしょう?

本当に世界を救った存在ですら、人に非ずならば その真実を己に都合好く 捻じ曲げる。

そして自分達による世界掌握が叶わぬならば、全てを巻き添えにしての破滅を目論む。

それが、今のスレイン法国です。」

「「「………………!」」」

それを後押しするかの様に、無意識に逃避していたであろう真実を突き付ける。

すると漆黒の3人、完全に言葉を失ってしまった様ですね。

 

()()は、魔導王様達が何とかするでしょう。

貴方達は邪魔にならぬ様、後ろで困り顔をしている その他大勢と一緒に、この場から立ち去った方が良い。」

尤も、今のスレインの領地に逃げる場所等、殆んど無いでしょうが。

仮に一時的に逃げ遂せても、最後は魔導国軍の侵攻により、滅びるだけですからね。

 

「アレを…あれだけの巨大な化け物を、たった あの人数だけで どうにかすると言うのか?!」

…ふむ。アインズ様と まろん殿。

それと、セバスにコキュートス、シャルティアとユリ…と、現在、ユリの支配下となっている大天使(ルーファウス)

それから吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)が3人ですか。

まあ、問題は無いでしょう。

 

「さて…それでは私は、失礼させて貰いますよ。」

「何…だと…?」

「ま、待て! ヤルダバオト!

お前は魔導王達に、協力する気は無いのか?」

「私達ではチカラが違い過ぎるが、お前なら…」

「協力? これは馬鹿な事を。

私、『ヤルダバオト』は至高の御方に、()()()()()()()()()()として設定された(つくられた)存在。

協力、共闘等…有り得ませんね。

そもそも私がスレイン法国を訪れたのも、全ては その為。

しかし貴方達は予想以上に、駒として機能しなかった。

最早 この場に居る意味も無い。」

「「「………………………。」」」

多少、煽りも含めた言葉使いですが、『貴様ッ!』とか言って襲い掛ったりしない辺りは、それなりの判断力を持っている様ですね。

 

「納得して頂きましたか?

それでは皆様、御機嫌よう。」

 

 

◆デミウルゴスside・了◆

 

▼▼▼

 

◆モモンガside◆

「モモンガさん…アレ、知ってます?」

「…知らん!」

 

ドガァッ!

 

4本腕から繰り出される、連撃を躱しながらの会話。

あの巨大モンスター、まろんサンも知らない様だ。

ユグドラシルのモンスターなのは間違い無いと思うのだが、かなりの やり込み派の俺でも、全くの知識の外だ。

 

「あれだけのデカブツ。多分、イベント系だと思うが…」

それには同意。

恐らくは、ユグドラシルで一時期、レイドボス系イベントを同じ日に多くの地域で開催した事が有ったが、その時の、俺達が参加しなかったイベントのボスなのだろう。

同日多地域でのイベント開催…特に戦闘系はユーザーから不評だった為、直ぐに廃れたが。

 

「何時ぞやの滅びの魔樹(ザイトルクワエ)より、少し小さい程度か。」

「強サハ、アレト同等ト思ッテヨイデショウ。」

そして それを見て、まろんサンとコキュートスが戦闘の構えを取る。

ザイトルクワエ…前にトブの大森林の奥でまろんサン達が戦ったってヤツだな。

俺は それを直接見た訳じゃないから…だが、少なくともHPはバカ高い。

例え大技を連発しても、削りきるのは容易じゃないだろう。

 

「ソレデハ 一番槍、参r

「待て、コキュートス!」

「まろん殿?!」

コキュートスが先陣切って飛び出そうとした処を、まろんサンが制止。

 

「とりあえずはアレが、どんな能力持ちなのか、様子見だ。」

「様子見…デスカ?」

「ああ。今 此方には、丁度良い鉄炮玉が有るじゃないか。…な? ユリたん♡?」

「了解です。まろん様。」

ああ、そういう事ね。

しかし鉄炮玉って、他の表現出来ないですか。

 

「行け、ルーファウス!

あの巨大モンスターを倒しなさい!」

 

ビュンッ…!

 

ユリの言葉に、ルーファウス(洗脳)がレイドボス(仮)に向かって飛ぶ。

 

轟ッ!!

 

そして放たれたのは、超特大の雷撃。

 

『『…………ッ!?』』

喋れない仕様な様だが、その直撃の反応からして、雷撃系は特効迄は往かないが、普通に有効な様だ。

 

『…!!』

 

ぶんっ!

 

反撃とばかりに剣を薙ぎ払うが、これは大振り過ぎたか、天使は楽々と回避…

 

どごぉっ!

 

「…………?!」

しかし、その回避先を狙っていたのか、其処に棍棒の振り下ろしの一撃!

縦から横のコンボ。

超重量の一撃を背中に喰らい、地面に激突するルーファウス。

成る程。4本腕は、伊達じゃないって事か。

 

「………………………。」

よろよろと起き上がるルーファウス。

多分だが、棍の一撃よりも、その後の落下→激突のダメージの方が大きい気がする。

  

「………っ!?」

今度は其処を狙っての、斧の打ち降ろし!

アルベドの斧技・まき割りダイナミックに似た、一刀両断の一撃だ。

 

バギゥッ!

 

これもルーファウスはギリギリで躱し…地面に巨大なクレーターが出来上がった。

此処でレイドボスは装備を変更。

鋭いトゲが何本も付いた大盾を2つ、4本の腕で確と持ち、

 

グシャアッ!…ボトッ…

 

「 」

それで挟み込む様に…例えるなら、飛んでいる蚊を両手で叩き潰した…と云った感じか?

兎に角その超重圧プレスをまともに浴び、ルーファウスは血塗れの肉塊と化してしまった。

 

「やはり…か。自我の無い洗脳状態だと、動きが鈍るのか。スルちゃん…ゴメンね。

…しかし!」

『冷静かっ?!』…と突っ込みたくなる程な、まろんサンの分析。

大したダメージを与える事無く、ルーファウスは死亡(リタイア)してしまったが…それを友人(スルシャーナ)に小さく謝り…それも まろんサンの計算の内だった様で。

 

「ユリたん♡!」

「はい、まろん様!」

洗脳対象が死亡した事で、再び傾城傾国(ワールド・アイテム)の行使が可能となったユリに指示。

 

カッ…!

 

チャイナドレスに刻まれた金龍が眩い光を放ち、実体化。

 

『グェエ~ィ!』

そのドラゴンは奇妙な雄叫びと共に、レイドボスに一直線に突撃して、

 

シュゥ…

 

その体内に潜るかの様に、入り込む。

 

ガタンッ…

 

すると、4本腕の内の2本が力無くだらりと足れ下がり、大盾2つを地面に落とす。

どうやら洗脳は成功した様d…

 

斬ッ!

 

えぇええぇーーーーーーっ?!

…と思ったら、残りの2本腕が再び剣を2本装備し直して、此方に斬り掛かってきた?!

 

 

斬ッ!…どどんっ!

 

「ム!? 失敗シタノカ?」

「そんな?! 確かに、洗脳成功の手応えは、有りました!」

「ならば、どーゆー事で、ありんすか?」

「恐らくだが…!」

巨体からは想像出来ない程な、素早い斬撃と践み付けを躱しながら、まろんサンが仮説を話す。

 

「アレは頭が…つまりは脳味噌(せいしん)も2つ。

そして傾城傾国で支配出来る精神は、1つだけ。

後は…解るな?」

成る程。つまり、精神を1つだけ支配しても、もう1つの精神が無事なら、そっちが体を動かすから大して意味は無いって事か!

 

「その通り。つまりは どの道、世界級(ワールド)アイテムの使い手が1人しか居なかった法国には、アレを操るのは無理な話だったんだ。

……! 更に…だ!」

 

ぐぐぐ…

 

「え?」

しかも、精神支配が効いており、だらりと足れていた2本の腕も、再び力強く武器を構える。

 

「まさか…その残った もう1つの精神とやらが、2分されていた体、全ての支配権を得た…でありんすと?」

シャルティアでさえ至れる答え。

他に考え付かないよな!

 

「しかも…不味いな。」

アレは、時間経過に応じて、HPが回復するタイプの敵な様だ。

今のメンバーの最大火力総動員でも、全てのHPを瞬時に削れるかは怪しい。

六大神の誰かは知らないが、このレイドボスを撃破で無くて()()という形で討ったのも…それでイベントクリア扱いになったかは分からないが…それが理由なのだろう。

ボス相手に『捕獲』や『封印』が通じたのも、珍しいパターンだが。

 

「それなら、考えられる手段は限られるだろう!

…幻魔拳!」

 

シュッ…!

 

そう言って まろんサンが精神破壊の攻撃を放つが、

 

どどんっ!

 

「うおっ?! やっぱり効かないか!」

黒い仔山羊に匹敵な践み付けを必死で避ける まろんサン。

そりゃ一応は、ボス設定(多分)のキャラですから。

 

「…ならば、本当に最後の手段だな!

モモンガさん、ユリたん♡、皆!

少しの間だけ、時間を稼いでいてくれ!」

「はい?」

「へ?」

「え?」

「ム?」

 

シュゥ…

 

そう言うと まろんサンは転移門(ゲート)を開き、何処かへと行ってしまった。

 

≫≫≫

「待たせたな!」

そして数分後、まろんサンが戻ってきた。

しかも、

  

「ぁわわわゎ…」

「ム?」

「ま゙っ♡?(//∀//)」

「はい?」

「きゃ!?」

カルネ村に居る筈の、ンフィーレアも一緒に連れて来た。

そうか、まろんサンは さっき押収した傾城傾国(蒼)を、ンフィーレアに使わせて、もう1つの精神も洗脳して、完全支配する考えだったか!

まあ、何となくだけど、予想していた!

 

「いや…最初は、マーレを連れて来ようと思ってたんだが、日中の都市責めで疲れていて、ぐっすり眠っているらしく、起こすのは悪いと思ってな…」

成る程。…それで『どんなマジック・アイテムも使いこなす異能(タレント)』持ちのンフィーレアですか。

それで まろんサン…その右頬の真っ赤な手形(もみじ)は?

 

「………………………。

実はンフィーとエンリ、 合体中 お取り込み中の所を転移で凸してしまい、それで顔真っ赤にした族長様に…」

成る程!『きゃーっ!? マカロン様の えっちーーーーーーー!!!!(バチーン!)』…ですか!

ンフィーレアが素っパなのは、それが理由ですか!

まろんサン…それはアナタが100パー悪い!

如何に急いでいたとは云え、せめて下に何か1枚だけでも穿かせてあげなさい!

  




レイドボスの上半身は、ザ・ワン(キン肉マン)を2つ首4本腕にしたイメージ。
下半身は、普通に巨大な狼な感じで。
 
≫≫≫
 
【次回予告】
 
◆ンフィーレアside◆
うぅ…エンリ以外の女の人に、僕の裸…ちΧΧΧを見られてしまった…orz
…って、マカロン様?
はい?『これを着ろ』って…この服、女性用なんじゃ…(汗)
 
次回『スレイン崩国(予定)』
乞う御期待…あんまり しないで下さい! 感想よろしくです。
 
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