ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました 作:挫梛道
裁きの時間の前に…
◆モモンガside◆
法国の神官達の所業を公に裁く、裁判が いよいよ2日後と迫った。
ジルにドラウ、エンリ等は、当日に転移魔法で迎えに行く手筈。
そして裁判と言っても…当時は まだ王国領だったが…カルネ村他開拓村の襲撃や、ローブル聖王国での俺やカルカ女王の暗殺(未遂)を裏で企てていた件、モモンとマカロンに魔導王暗殺を持ち掛けた件、ナザリック並びにエ・ランテルへのカチコミ、
「いや、流石に弁護士は付けないとダメでしょう。
仕方無い、俺が やってやるよ。」
…と、まろんサン。
「はいはいは~い! 私が弁護士やるでありんす♪」
「私も やってみたいかな~?」
「あの…僕も、やりたいかも…」
「私もヤリたいっス!」
…と、他数名。
「お前等 単に、『異議あり!』』って言いたいだけだろ!?」
…アナタは違うのですか?
てゆーか まろんサン。アナタはマカロンとして、証人の側で出廷でしょうが。
≫≫≫
魔導国として、今回の裁判の出席を呼び掛けたのは、バハルス帝国、竜王国、アーグランド評議国(と言うか、ツアー個人)、ローブル聖王国、リ・エスティーゼ王国。
…そして、今回が初めての絡みとなるが、エルフ王国の計6ヶ国。
その何れもが、此方に赴く意を示してきた。
但し、転移での送り迎えに応じたのは、ジルとドラウだけ。
これは、信用の差か?
移動に費やす時間や経費を考えれば、此方のが効率的なのだが。
尤もツアーに至っては、例の鎧での参加だから、自ら それを飛ばした方が楽なのだろう。
その中、聖王国と王国から、各々のトップが魔導国入りしてきた。
「…あの時以来となりますね、アインズ・ウール・ゴウン魔導王殿。」
ローブルの聖王女、カルカ・べサーレス。
法国との件では、聖王国も あの襲撃事件の所為で、当事者と言っても良い。
あの頑固な宗教国家が、自身が禁忌する魔導国の呼び掛けに応じたのは、それ故にだろう。
「今回の呼び掛け、誠に感謝します、魔導王陛下。」
そして、リ・エスティーゼの若き新王、ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフ。
彼も また、スレイン法国がカルネ村他の開拓村を襲撃していた当事、其処は まだ王国領だったので、被害者と言って良い。
スレイン法国には思う処が多々有るだろう。
「「……………。」」
彼・彼女達の後ろには御付きと護衛が控えている。
リ・エスティーゼ騎士団長、ガゼフ・ストロノーフとローブル聖騎士団長、レメディオス・カストディオの両名。
共に無言で各々の主の後ろに立っているが、この2人、決して同じ
ガゼフ・ストロノーフは元より、寡黙厳格な性格で、不必要な事は喋らないと聞いているが、まろんサンの言う処の のーきん隊長。
「……………………!」
実は彼女、既にアイテムで発言…と言うか、
これは、今 聖王女の傍らに居る側近でレメディオスの妹でもある、ケラルト・カストディオの考えだそうだ。
ん! 良いアイデアだ!
この女、前回の対談でも存分にやらかしてくれたからな!
「…………………!!」
実際に今も、何かを凄く言いたそうな顔をしている。
てゆーか、そのアイテムの抑止が無ければ、絶対に今頃、何か爆弾を落としている!
あの時は頭に血が上っても それを瞬時に理性で抑える事が出来るデミウルゴスを同行させていたから、事無きを得ただけ。
しかし今は、それが出来そうにないアルベドやシャルティアも傍らに居る。
しかも、今回は
不用意な発言1つで「「はぁあっ?!」」ってなって、場が血の海に成りかねん。
ケラルト女史、本当にナイス判断!
≫≫≫
「魔導王殿…1つ、尋ねて宜しいか?」
この夜、ザナック王がガゼフを連れて、俺の私室に訪ねてきた。
何かを聞きたい様だが…その表情は何やら決意、或いは覚悟を秘めた、そんな慎重な面持ちだ。
「質問にもよるが…答えられる問い掛けならば、何でも話そう。」
流石にナザリックの内部情報等は話す訳にも行かないし、ジルやラナーが『意外とキレ者』『豚の皮を被った狸』と評する人間だ。
…ってラナー! 兄だろ? その喩え、酷くない?
関係無い話だが、まろんサンがエ・ランテルの市長の事を、全く同じ表現で誉めて(?)いた。
…兎に角、そんな人物だ。
即座、自身の首を絞める様な質問をしてくる筈も無い。
逆に、どんな質問をしてくるかには興味が有る。
「…気分を害するやも知れないので、先に謝罪しておきましょう。
単刀直入に聞きますが…今は もう『元』が付くが、リ・エスティーゼ第1王子、バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフを、貴方は殺したのか?」
…え? 誰、それ?
≫≫≫
「成る程…
ザナックが言うには、そのバルブロとやらは帝国と王国の合戦前に、徴兵の追加召集の為にカルネ村に進行している最中に、行方知れずとなったとか。
あぁ、カルネ村から徴兵しようとしていた連中なら、確かに俺が殺る様に命じたんだよな。ルプスレギナに。
そして この王子様、あの戦争の後の諸々の調査で、王国の裏を支配していた犯罪組織・八本指とも繋がりが有った事が発覚。
現在は王族としてで無く、犯罪者…反逆者として捜索しているのだとか。
「…そ、そうか…そうでしたか…」
それを聞き、複雑な感情を込めた表情を浮かべるザナック王。
そりゃそうだ。犯罪者だろうが、自分の身内を殺したと、目の前の人物が話しているのだ。
「…礼を、言わねばなるまい…!」
え? 礼? 俺的には、文句の1つ、恨み節でも言われる…それを受け入れる心算で話したのだけど?
「やり方は兎も角、あの時に魔導王殿がアレを止めていなかったら、王国は拭い様の無い愚行をしてしまう処だった…。
それを阻止してくれたのだ。
そして、家族である私の代わりに、アレを処してくれたのだ。感謝しかない…!」
ペコリ…
「お、王?!」
綺麗に御辞儀をするザナックを見て、ガゼフが驚くが、俺も驚きだ。
確かに結果的に、身内の恥を止めた事になったのかも知れない。
身内の首を、自身の手で落とさずに済んだのかも知れない。
しかし、それでも身内の仇に頭を…しかも王族…王たる者が それをするとは…
これが、国を統べる
少し前まで、小市民サラリーマンだった俺とは えらい違いだ。
「ザナック殿。頼むから、頭を上げてくれ。
確かに結果的に そうなっただけで、私は そんな心算で、配下に指示した訳では無い。
感謝される謂れは、何も無い。」
王族として生まれ、20年弱の そちら側の教育を受けてきた者に対して、王様歴1年未満の俺は、そう言うしかなかった。
「それでも…なのだよ。」
≫≫≫
「王とは…やはり難しいですね…」
「そりゃ、王様だから。」
…あの後、まろんサンを呼んで、その遣り取りの事を話してみた。
「彼からも、学べば良いじゃないですか。
手本は多いに越した事は無いでしょう?」
それを聞いた まろんサンは、笑いながら そう言う。
「暇さえ有れば
あのザナックも、多少は参考に出来るでしょ。
聞いた話だと、ジルクニフ君に影響されたか、王位に就いたと同時、使えないクソな貴族をガンガン粛清したとか。」
うーむ…
取り敢えず、ジルには黙って勝手に見ているので、そちらは黙っていて下さいよ?
「確かに あの者、人間としては見処が有りますわ。」
「そうでありんすか?」
そして、アルベドとシャルティア。
この2人も、ザナックと話していた時は口も手も出さなかったが(俺の指示)、一緒に居た。
何しろザナックが訪れた時は公務執務では無い、所謂
2人からすれば俺と一緒に居られる、謂わば至福な時間に不粋に乱入してきたも同然なのだろう。
最初にメイドが「面会を求めてきた」と部屋に入ってきた時は、「「はぁあ゙ぁぁっ?!!」」って2人揃って夜叉みたいな顔になってたからな。
因みにメイドは それを見て泣き、俺も その余りの迫力に、ドン引き→精神鎮静。
「一応は、ラナーの兄…ですわね。
あのラナーの
しかし、アルベドの方は、切り替えは出来る様で、感情的にで無く中立・冷静に、あの会話からザナックという人物を分析する。
魔導国宰相として、単に人間を下等生物と見る事無く、だ。
「ラナーの言った通りですね。
『豚の皮を被った狸』は、伊達では無いという事ですか。」
ラ、ラナーーーーーーっ?!!!
おま、それ一体 何人に言ってるの?!
だから その表現は止めてやれ!
◆モモンガside・一時中断◆
≫≫≫
◆その頃のラナーside◆
「…あら? 私からすれば、純粋な誉め言葉の心算でしたのに。」
「ラナー…様?」
「いえ…何でも無いのですよ、クライム。
ただ、何だか そう言わないと、いけない気がしただけですから。」
「???」
「さぁ、そんな事より…クライム♡ クライム♡ クライムー♡!」
「あっーーーーーーーっ?!!」
◆その頃のラナーside・了◆
≫≫≫
◆モモンガside・再開◆
…兎に角、アルベドのザナック評は決して低くは無い。凄く高い訳でも無いが。
「…へぇ?」
それを見て、まろんサンも少し驚き…且つ、何だか納得、感心と満足そうな表情を浮かばせる。
アルベドの この意識の変え様、まろんサンが何か関係してる?
≫≫≫
「此の度は宜しく お願いしますぞ、魔導王陛下。」
「うむ。」
翌日。エルフ王国の代表が魔導国入り。
しかし、プレイヤーの息子と云われる、エルフ王は やって来ず。
此方に出向いたのは、向こうの国の政を担う文官と その一応の護衛の一団だ。
「全く…何様の心算だろうね。
あんな下っ端を遣いに寄越すなんて。
王様自らが、アインズ様に会いにくるべきじゃないの?」
「そ、そうだよね、お姉ちゃん。」
その姿勢に、アウラとマーレは少し不満そうだが、これは逆に都合が良かったかも知れないな。
何しろ あのエルフ王は見境が無いらしいからな。
この2人を見たら
…尚、マーレは男の娘である。
仮に そうなったら、今度はエルフ王国と戦争だ。
最低でも、エルフ王は即座に殺すだろう。
「それでは、魔導王殿…」
「ああ、そうだな。」
明日の裁判の前に、エルフ王国とは少し話し合う事にしていた。
魔導国と争う以前から、法国とエルフの国は戦争状態だった。
それに伴ってか、法国はエルフの民を多数 捕らえ、奴隷としていたのだ。
その全ての者とは言わないが、かなりな人数のエルフ奴隷を保護。
これは、エルフ達は法国民とは違うという裁量から。
その彼・彼女達を、エルフ国に引き渡す件についての お話だ。
「魔導王殿。同胞を救って頂き、我等が王、デケム・ホウガンに代わり、御礼申し上げます。
ありがとうございます。」
エルフの文官が頭を下げる。
「…しかも、奴隷の証として切り落とされた耳まで、治して戴けるとは…」
話し合いの結果、保護したエルフは、エルフ国が全て身請けする事に決まった。
その移送の負担は全て、エルフ国側が請け負う事に。
その代わり、魔導国側も、この奴隷を救った事での、過度な見返りを求めない事に。
俺としては、この件で魔導国の懐を暖めようとかは別に考えてなかったから、特に問題は無し。
アルベドやデミウルゴスも、最初からエルフ王国との接点を作るのが目的の奴隷保護だったので、今回は特に何かを言う心算は無い様だ。
それから…エルフ奴隷と言えば、まろんサンが以前 帝国にて、ナントカっていうワーカーから所有権を奪ったキャロル、アアシアン、グレシアスの3人娘。
彼女達は変わらず、ナザリックにてアウラとマーレに仕える事を希望したので、現状の儘にした。
≫≫≫
そして、更に その翌日。
即ち、裁判の当日…
①ガゼフはザナックの権限で騎士爵位を与えられました。
②ザナックは公式でも年齢不明でしたので、今作では20歳前と設定しました。
③エルフ3人娘のキャロル、アアシアン、グレシアス。
小説オリジナルの名前です。
元々のエルヤーの奴隷時代は名無しでしたが、それでは駄目だと まろんが彼女達の
≫≫≫
次回予告『この不当な裁判に異議申し立てを!(予定)』
乞う御期待! 感想よろしくです。