ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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【誤字報告?】
前回、パンドラがエンリに対してFräulein(お嬢さん)という表情をしましたが この単語、現在のドイツでは既に死語な様ですね。
まあ、パンドラは第2次大戦時のドイツ軍をモデルにした設定らしいですから、それで勘弁して下さいと言う事で…
ついでに言えば、『Fräulein』とは未婚女性の事でしたから、そちらの意味でも誤りでした(笑)。
…尚、敢えて これは、直さない方向とします。
 
 
「もしかして【異世かる】にて私が、ラム様レム様に『Maemoiseeeeelle!?』(仏語)と叫んでいたのも、それが理由なのでっしょうか?」
「マドモアゼルも、今は もうフランスでは死語じゃなかったか?」
  
 
▼▼▼
 
スレイン法国編、〆の回です!
 


最後の抵抗

◆デミウルゴスside◆

「…ふむ。どうなのですか? 魔導王様? マカロン殿?」

世界掌握…早い話、征服ですよね?

その自分達の野望が叶わぬからと、その世界を道連れな凶行に及ぼうとした大神官。

その件に関しては、自分は無関係と主張する他の神官達。

私もヤルダバオトとして、その場には途中退場の体を取っていましたが、実は姿を消しただけで その場面、一部始終を見ていました。

…が、それをこの場で言う訳には往かないので一応、その真偽をアインズ様と まろん殿に尋ねてみます。

 

「確かにアレは、この大神官だけの暴走に見えなかった事も無いな。」

「そっちのレイモン?…は、それを責めていたしな。」

成る程、成る程…。

するとアインズ様と まろん殿的には、この件についてだけは、彼等は無罪。

全ては大神官だけの責任…と、その様な見解を示します。

 

「宜しい。それでは連帯責任で、全員死刑という事で。…憤怒の魔将(イビル・ロード・ラース)。」

「承知!」

「「「ぅおぇいぃっ!?」」」

この発言に、大神官を除く神官達から突っ込み気味な悲鳴が。

私は今回、アインズ様より裁判官として、全ての裁量を任されているのですよ? 何か不満でも?

 

「「うゎぁ…」」

そしてアインズ様まろん殿からは…

私、何か引く様な事を言いましたか?

 

「「「「「「「鬼か?!」」」」」」」

更には全方位からの問い質し。

鬼とは失礼な。私は悪魔です。

 

「ふ、巫山戯るな!」

そうした中、本日5度目の死の騎士(デス・ナイト)の首輪を嵌められた大神官の怒声が響く。

いえ、怒っているのは声だけに非ず。

赤くなった顔中に、太い血管を浮かべています。

そんなに大声で喚き散らすなんて、御高齢なのですから…今から殺す者に対して言うのも変な話ですが…体に悪いですよ?

 

「クソがっ! こうなれば…!」

そして この男、右の人差し指に嵌めていた指輪に秘められた魔力(チカラ)を解放させようとする。

それは、ユグドラシルのアイテム。

六大神の時代から伝承されていたのでしょう、予め魔法を1つだけ封入(チャージ)しておき、好きな時に発動させる物。

大神官の持っていたアレの中には、自爆系魔法…《超極大自爆(メガメガンテ)》が封じられてありました。

正に最期とばかりな自暴自棄。

 

「おいおい、マジかよ?」

「…陛下!」

「後ろに!」

「御退がり下さい!」

「…………………っ!!」

それを見て危険と思ったか、バハルス皇帝やリ・エスティーゼ国王…各国トップの護衛として同行していた者達が、各々の主を守るべく、その前に立つ。 

確かに アレには我々は兎も角、人間なら簡単に殺せる程の威力な魔法が封じられて()()()()

…が、私達が それに気付いてないとでも思っていたのですか?

最初に捕虜として魔導国に連れてきた際、同じアイテム…但し、中身は空っぽの指輪と摩り替えていたのですよ?

 

「ふははははっ! 死ね! 汚らわしいアンデッドも、それに与する愚か者共も、そして裏切り者の神官共も皆、死んでしまえ!……え?へ?あるぇ?」

「「「「「「………。」」」」」」

その自爆魔法を発動させた心算が、何も起きない事に、間抜けな声を出す大神官。

そして私達の仕込みを察し、そんな大神官に何とも言えない顔を向ける、帝国皇帝達。

 

「巫山戯るのは お前だろうが!

そして、お前だけが死ね!」

 

ダッ…

 

此処で飛び出してきたのは…そう、まろん殿です。

 

 

◆デミウルゴスside・了◆

 

≫≫≫

 

◆ルプスレギナside◆

 

バスッ!

 

おおっ! お義兄たまがジジイの足を両足タックルみたいに捕らえると その儘 倒すで無く、法廷の天井ギリギリ迄に飛翔。

そして空中でフロント式のインディアン・デスロックで両足を極めると同時、

 

ガシィッ!

 

「うげぇっ?!」

ジジイのド頭をアイアン・クローで鷲掴み!

お義兄たまのアイアン・クローはマジに痛いっス!

頭カチ割れるっス!

毎晩ユリ姉のスイカップ揉み揉みで鍛えている 握力パねぇっス!

…で、その体勢で急降下!

 

有罪(ギルティ)ーーーーーッ!!!」

 

グヮガァン!…ボロ…

 

「 」

異議無し!

ジジイは さっきのパイルドライバー以上に脳天を床に豪快に叩き付けられ、余りのダメージに、また白眼を剥いて気絶っス。

勿論、首輪は壊れたっスよ。

 

「「「「「うゎぁああ…」」」」」

その容赦無き裁きに、またまたアインズ様その他がドン引き。

 

「~♪♪♪」

しかしエンちゃんだけは、凄く嬉しそうな顔をしてるっス。

  

「ルプスレギナ!」

了っス。回復っスね。

 

 

◆ルプスレギナside・了◆

 

≫≫≫

 

◆モモンガside◆

「はぁ~…注意すべきは、ぷれいやーよりも法国だったのか…」

ツアーが深い溜め息を吐きながら呟く。

 

「…大体さ、その世界級(ワールド)アイテム2つで漸く動きを止められるモンスターって何なの?」

ついでに、聖地で大神官が封印を解いたレイドボスについても教えると、更にボヤくボヤく。

法国が人類救済を掲げるなら、ツアー達評議国は、世界の守護者を名乗っている。

その守護者からすれば、この大神官の暴走は、完全にアウトだった様だ。

 

「もうさ…マジに殺らね?」

そして拘束されている大神官を見て、怒りより、呆れが強そうな まろんサンが、面倒臭そうに吐き捨てる。

 

「待て、マカロン。」

「そうじゃ、マカロン。少し落ち着け。」

それを窘めるのは、ジルとドラウ。

 

「我々は兎も角、今 此の場にはエンリ嬢が居るのだぞ?」

「本当の人死に…処刑を見せるのは、どうかと思うがのう?

確かに この娘、村の襲撃とやらで多少は見慣れておるかも知れんが…

え? 止める理由、そっち?

いや、それは それで、立派な理由だけど!

 

「個人的には『アロガント⇒神威』とやらを、見てみたいぞ?」

あー、はいはい。

 

≫≫≫

「待て! 1つ、宜しいか?!」

結局は此の場で殺す様な事は無く、一通りの聴取尋問を終え、鎖で縛られてシモベに引っ張られ、退廷させられる神官達。

その1人が、最後に何か言いたい様だった。

 

「…発言を許そう。何だ?」

どうせ最期だから…と、それを許可。

恐らくは また、俺達に対する筋違いな恨み節、呪詛の1つでも出てくるのだろうが。

 

「女王ドラウディロン!」

「む?」

しかし意外?…言葉を向けられたのはドラウ。

 

「貴女に問いたい! 我々は貴方の国…竜王国をビーストマンの侵攻から守る為、精鋭を派遣してきた!

其れを踏まえての恩赦の1つでも、此の場で呼び掛けても良かったのでは?」

「「「「…は?」」」」

その台詞に反応したのは、俺、ドラウ、ジル、そして まろんサン。

何を言っているのだ この男は…

と言うか、法国は そんなのを期待していたのか?

 

「…確かに、貴国が寄越してくれた部隊で、ビーストマンの侵攻を食い止めてくれた事には、感謝しておるがな。

しかし私は此の度、魔導国と法国との戦争。

その歴史の末の見届け人…証人として、魔導国から招かれたに過ぎぬ。

故に此の場で余計な口出しをする権利は、持っておらぬのじゃよ。」

そして それに応えるドラウ。

 

「それに それには その都度、決して安くない対価を支払ってきたじゃろう?

更に言うなら、最終的にビーストマン共を滅してくれたのは、此処に居るアインズ…魔導王の友じゃしな。」

「…友?…め、滅したあ?!」

ああ、法国はマサトさん達ヴァーリ・トゥードによって、既にビーストマンは国毎に完全に滅びた事を知らなかったか。

 

「し、しかし!」

「失礼。少し宜しいか? スレインの神官よ。」

此処でジルが、会話に参加。

 

「スレイン法国は、人類救済を掲げていたのだろう?

それならば、異形や亜人を討伐する際に対価を要求する事自体が、異な事だと私は思うが?

対価を払えぬならば、滅びてしまえなスタンスか?

それでは傭兵と何ら変わらぬのでは無いか?

それとも何か? スレインは宗教国家の皮を被った傭兵…軍事国家か?

ああ、世界制服を目論む悪の殺戮国家だったよな。

えーと、タッチ・サン…だったか?…が、黙っていないぞ?

そうだろう? アインズよ。」

「「「ぐぐ…!」」」

先程のブチギレ早口で無く、皮肉を利かせた冷淡なジルの台詞に神官達は何も言い返せず、その儘 退場して行った。

そして、確かに!コレを たっちさんが聞いたなら、セバスと一緒に凸してるだろうな!

 

「魔導王! ヤルダバオトだ!

私達は…スレイン法国は、確かに終わりかも知れない!

しかし あの悪魔…ヤルダバオトが何れ貴様に、厄災を齎すだろう!」

「…………………………。」

その代わり俺に対して、全く無意味な捨て台詞を残して。

 

カーンッ!

  

「其では此れにて、閉廷!」

そして最後は、裁判官(デミウルゴス)の言葉で締められr 

「いや、ちょっと待て、アインズ。」

「あの神官が言っていたヤルダバオトとは一体、何なのじゃ?」

「KWSK!」

「え?」

ああ、全くな無意味でも無かったか。

 

 

◆モモンガside・了◆

 

≫≫≫

 

▼▼▼

法廷の隣の控え室。

 

「………………。」

()()は其処で、自分の出番を待っていた。

 

カチャ…

 

「……!」

そして、扉が開かれる。

いよいよ、裁きの間にて自分の登場で、その呼び出しの遣いが来たかと思われたが、

「…すまない、占星千里。」

「全部、終わってしまったよ。」

「アインズ様? まろん様?」

入ってきたモモンガと まろんの台詞に、彼女…占星千里は多少、戸惑ってしまう。

 

≫≫≫

「そうだった…のですね。」

元・漆黒聖典、占星千里。

彼女は今回の裁判にて、法国の神官達が己等の所業の否認・否定を続けた時に、証人として登場して貰う予定の、謂わば此の裁判に於ける隠し玉的存在だった。

しかし、

「一番最初の()()が効いたのか、」

「連中、結構あっさりと話してくれてな。」

「そ、そうでしたか…」

「すまなかったな。折角、時間を作って此処に来て貰ったのだが…」

「い、いえ! そんな事は!」

…という事らしい。

 

「俺的には占星千里の登場で、連中が間抜け面を晒すのを見れなくて残念だったな。」

 

 

▼▼▼

それから…

 

「「「「…………………。」」」」

裁判が終わった後、スレイン法国の神官達は直ぐに処させる事は無く、転移魔法により法国の中心…今は もう、法国の象徴である大神殿以外は瓦礫だけが一面に広がる、法都シクルサンテスに連れられていた。

魔導国が最終的に下した判決は、死刑で無く放逐。

この法都に捨てる事に決まったのだ。

既に この4人…正確に言えば、大神官と3人の神官長の間の信頼は、聖地での大神官の暴走から それに関する裁判での やり取りにより、無きに等しく。

故に この4人が今後、行動を共にする事も無いだろう。

この廃都の唯一の?安心材料は、この場にはアンデッドが居ない事。

何しろ一番最初、モモンガの宣戦布告と同時に広範囲の即死魔法を受けて命を亡くした この地の民(並びに家畜等の生き物)の魂は、その儘 凶悪モンスター召喚の為の触媒(エサ)にされたのだから。

 

≫≫≫

「き、貴様…!?」

「む? どうかしたのか?

お前達からすれば、私は邪悪なアンデッドなのだろう?

そんな私に、人間(ひと)良心(こころ)を求める心算か?

寧ろ、期待に応えた行動の心算なのだが?」

「「「「……………!」」」」

神官達が、モモンガを睨む。

大神殿内にアンデッドのシモベを多数 入り込ませ、有用なアイテムの搾取物色に出たからだ。

 

「ふむ、こんな物か。」

「ナカナカノ…収穫、ナノデスカ?」

「「「「…………。」」」」

約1時間後。

押収したアイテムが山の様に積まれる。

魔導王護衛として同行しているコキュートスは、それを見て微妙な反応を見せた。

モモンガからすれば、それは其れ程のレア度も有用性も無い外れアイテムばかりだったが、それでも現地基準からすれば高価値なのは理解していたので、敢えて満足そうな反応を示す。

 

「私は少しだけ…満足したよ。」

 

ヴォ…

 

そう言って、転移門(ゲート)を開くモモンガ。

先ずはアイテムをシモベに持たせ、転移門(ゲート)を潜らせる。

そして全てのアイテムをナザリックへと運ばれたのを確認すると、

「それでは私も、失礼するとしよう。

スレイン法国の諸君、もう会う事も無いだろうが、まあ、死ぬまで この地で暮らすが良いだろう。」

…そう言って、自身も転移門(ゲート)に歩みを進めていく。

 

「「「「……………。」」」」

それを無言で見据える神官達。

内心では「早く去れ!」だろうが、当然 誰も、それを口にする事は無い。

先は不安しか無いが、とりあえずは大神殿が残っただけでも安泰。

少なくとも、寝床の確保だけは出来たのだ。

神殿内から食糧を持ち去られた様子も無かったので、当面だが餓えも凌げるだろう。

…実際は その場凌ぎだが、誰もが それを考えようとはしなかった。

 

「ああ。1つ、大事な事を忘れていた。」

「「「「…???!」」」」

そうした中、モモンガは転移門(ゲート)を潜る直前に、その歩を止める。

 

「「「「…………?」」」」

「何事だ?」と、不安視する神官達を尻目にモモンガは大神殿に眼を向けると、

「《超隕石落下(メガ・メテオ・フォール)》!」

 

ゴォオッッ!!

 

「「「「…!!!!?」」」」

魔法による、巨大な隕石を召喚。

 

ドッドッドッ…ドーンッ!!

 

「「な…?」」

「「はぁあっ!?」」

そして それは、大神殿の真上に落ちる。

この超質量の直撃を受けて、神殿は完全崩壊。

周囲に違和無く馴染む、瓦礫の山の一部と化した。

 

「ぁ…」

「あああ…」

その光景に、唖然とする神官達。

それは今、自分達が身に着けている以外の『衣』、そして『食』と『住』を奪われ、残された道は野垂れ死にの他に無しも同然故に当然か。

 

 

 

「だ・か・ら、DQN骸骨って言われるんだよ!(誉めてるw)」

 

 

 

その様を離れた地から、黒髪紅眼の男が遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で見ながら笑う中、

「成る程…ユグドラシルでは戦闘終了と同時、隕石は消えるのだが、リアルとなれば残る儘か。

まあ、それが普通だろうがな。」

モモンガは自らが呼び寄せた隕石を眺め、納得するかの様に呟く。

 

「それでは改めて、これで失礼する。…さらばだ。」

 

スゥ…

 

「「「「………。」」」」

そして そう言い残すとモモンガはコキュートスと共に、転移門(ゲート)の彼方へと姿を消して行った。

 

「「「「………………。」」」」

それから暫く…残された者達は、誰も口を開く事無く、只、崩れ落ちた大神殿の跡を見ていた。

 

 

≫≫≫

 

「あ゙ぁぁあああぁあ゙あぁあーーーっ!!?」

 

そして、陽が西に沈み、真円の月が雲1つ無い夜空に浮かんだ頃。

それは大神官か、それとも他の神官長の誰かか…

何者かの慟哭の叫びが、瓦礫と化した神の地に響き渡るのだった。

そして…スレイン法国は法も秩序も…果ては信仰も救済も無い、僅かな食料を暴力という手段で奪い合う、暗黒の時代が始まった。

完全なる滅亡の始まりである。

 

 




【次回予告】
 
◆まろんside◆
先に読者諸氏に、誤解されない為に言っておく。
ユリたん♡の おっぱいは断じて、握力が鍛えられる程に硬く等は無い!
寧ろ、『柔らかい物→おっぱい』と連想出来る程に柔らかいからな!
低反発や羽毛の枕みたいに、顔が埋まるんだぞ!沈むんだぞ! どーだ、羨ましいか!
…それから おい、駄犬(ルプスレギナ)
お前は後で、OSHIOKIだ。
 
「ひぇ?! かかか、勘弁っス、お義兄たm(ガシィッ!)あ痛たたただ!?
 
≫≫≫
「さて、アインズよ。」
「説明して貰おうかの?」
「ハッキリさせるべきは、ハッキリさせないとね!」
「………………………。」
スレイン神官の去り際の言葉、『ヤルダバオト』についてジルクニフ君、ドラちゃん、ツアー達から説明を求められるモモンガさん。
もう、「実は それ、デミえもんです。」って、正直に言っちゃえば?
 
次回より新展開!『とばっちりや冤罪で組織壊滅させられたら堪ったもんじゃないよね!(予定)』
乞う御期待! 感想よろしく!
 
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