ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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たっちさんコイツです

◆まろんside◆

モモンガさんが、エルフの国に向かったらしい。

お供はシャルティア、コキュートス、ナーベラル、エントマ。そして、ハムスケ。

 

「絶対に会談目的なメンバーじゃないよな。

何が有ったんだ?」

「そ、それが…」

アルベドが言うには、エルフ王国からの手紙を読んでブチギレ。

直ぐにシャルティア達を呼び出して、出発したそうだ。

 

「何が書かれてたんだよ、その手紙?」

「それが私にも…

モモンガ様は その手紙、眼を通されたかと思えば、ビリビリに引き裂き、直ぐに魔法で灰すら残さずに…」

「…余程な事が書かれてたのは、理解出来た。」

とりあえずはケンカだよな? 戦だよな?

酷いよモモンガさん、何で俺を誘ってくれないんだよ?

凄く暇なんですけど?

 

 

◆まろんside・了◆

 

≫≫≫

 

◆シズside◆

「あれ? シズも呼ばれたの?」

「…はい。」

アルベド様から、円卓の間に来る様にと《伝言(メッセージ)》で連絡を受けた。

其処に向かう途中、同じく呼び出しを受けたアウラ様マーレ様と合流。

 

カチャ…

 

「「「失礼します。」」」

円卓の間に入ってみると、

「や♪」

「「まろんさん?」」

義兄()ぃに?」

其処にはアルベド様と一緒に、まろん義兄ぃにが居た。

 

≫≫≫

「…そういう訳で、私達もアインズ様から呼び掛けが有れば、直ぐに出向く事になるわ。

とりあえずはアインズ様が、エルフの国に入った後の話だけど、何時でも動ける様、貴女達も準備をしておきなさい。」

遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)には、スレイン法国…跡の廃地を疾走する、アインズ様達の乗っている馬車が。

それを見ながら、アルベド様が説明。

何が理由かは分からないけど、兎に角エルフがアインズ様を怒らせ、エルフの国を潰しに出発したのは聞いていた。

それで場合によれば、私達の出番も有るそうだ。

成る程、義兄ぃには もしかして、転移係? 

 

 

◆シズside・了◆

 

▼▼▼

 

◆モモンガside◆

法国跡を進む馬車。

悪路この上無い瓦礫の上でも、特別仕様の緩衝装置(サスペンション)の お陰で、かなりなスピードで走らせていても、揺れは全く感じない。

 

「…………………。」

そんな移動中、俺は改めて考える。

俺が望むのは、あくまでも平穏な日常(まいにち)だ。

決して殺戮でも破壊でも、況してや世界の覇権でも無い。

だから、必要以上に敵は作らない方向で居た。

…しかし、エルフ王国。

少なくとも、エルフ王だけは敵認定だ。絶対に潰す。

エルフ王がアレなのは、ツアーから聞かされて知っていたが、まさかアレ程迄に見境無しだったのは想定の外だ。外過ぎる。

こんな展開になるのが分かっていたなら、裁判の時に訪れたエルフの代表の帰り際に、シャドウ・デーモンを憑かせたのだが。

そうすれば、法国を中継とするで無く、転移先登録(マーキング)した上で、直接エルフ王国に転移が出来たのだがな。

 

「…………………(怒)(怒)(怒)!」

「「「「???!」」」」

クソ! クソクソクソクソクソ…! クソがぁ!!

あー、クソ、思い出しただけで、また怒りが込み上げてきた!

こんな…これ程迄に、精神鎮静が追い付かない程に怒るなんて、初めてだ?

 

「ァ…アインズ様?」

「だ、大丈夫でありんすか?」

「…ぁ、ああ、すまない。」

馬車の中、俺の尋常じゃない怒気が充満したのを感じたのか、コキュートス達が不安そうに声を掛けてきた。

 

「エントマも、すまなかったな。」

エントマなんか、その怒気殺気に充てられ涙目ガクブルで、ナーベラルに しがみついていたし。

 

「ぃぇ、私も怖がって、ごめんなさい~…」

うわぁ…何?これ?

こっちで怖がらせて、それで そちらが悪いかの様に謝らせるって、どんなパワハラ?

お願いだから、そういう事で謝らないで!

本当にマジ、ゴメンナサイ。

 

「そ、それで、アインズ様?」

「コノ度、エルフ達ハ、一体 何ヲ…?」

「エルフからの手紙が、アインズ様の逆鱗に触れたというのだけは、聞いていますが?」

あ…そう言えば まだ、理由とかは全然 話していなかった!

確かに何も言わない俺も悪かったけどさ、誰か、出発前に何事か聞いて欲しかったな!

 

≫≫≫

「ナ…何ト!?」

「それは…引くでありんす…」

「ナナフシ…!」

「ぅゎあ…(©シズ)」

その後、手紙の内容を話すと、皆が引いてくれた。

 

「エルフの国に向かうのに、アウラ(おチビ)達を連れていかなかったのは、そういう事でありんしたか…」

「…後で来て貰う事に、なるかも知れんがな。」

「とりあえず、キリギリスの国は、滅ぼしましょう。」

「ウム。」

「は~い。」

そして納得も、して貰えた様だ。

 

 

◆モモンガside・了◆

 

≫≫≫

 

◆シャルティアside◆

「「「ひぃぃうっ!??」」」

「「「…………………。」」」

驚いたでありんすね。

廃都と化した法国…に、まだ生き残りが居たでありんす。

 

「ム! コノ者達…!」

おや? コキュートス? 知ってる者でありんすか?

…ほぇ? あの聖地なる場所に居た?

覚えてないでありんす。…てゆーか、そんな有象無象、最初から記憶になんて留めてないでありんすよ。

 

≫≫≫

「ふっ…御苦労な話だな。」

聞けば この者共、法国上層部…神官と呼ばれていた者の身内だとか。

あの後は、私達が慈悲を以て戦いの後も見逃してやった、シッコクセイテン(私が相手した男は殺したでありんすが)と行動を共にして…瓦礫に埋もれていた食料を掘り起こし、今日まで食い繋ぎないで此処まで やって来たとか。

そのシッコクセイテンとやらは、今は此処に居ない様でありんすね。

食料調達でありんすか?

 

「アインズ様…この蚊蜻蛉共、殺しますか?」

「「「「……………っ!?」」」」

「いや、その必要は無い。既に裁判も終了したという形で もう、魔導国と法国の戦争は終わったのだ。

…と、なると これ以上は、単なる殺戮に過ぎないからな。

…敵意が有るなら、別だが?」

「成る程。流石はアインズ様、慈悲深き御方。

何処かの殺戮の国の者とは、大違いでありんす。

…ヌシ等も そうは、思いんせん?」

「「「「…………………。」」」」

そうして この者共は放置して、私達は再び馬車を走らせるのでありんした。

 

 

◆シャルティアside・了◆

 

▼▼▼

「何…?! あの、アンデッドが、やってきただと…?!」

…あれから少し経ち、僅かながらの食料を持ち帰った漆黒聖典が、事の起こりを聞き、驚きの声を上げた。

 

「チィッ…!? 既に私達には興味が無いとでも、そう言いたいのか?!」

「落ち着け、鹿屍討伐。

情けない話だが、それは幸いと捉えるべきだ。」

「ええ、その通りよ。貴女だって、それは…」

「わ、分かっている! 分かっているさ!…しかし!」

生き残った漆黒聖典の3人。

その内の1人が、無事に済んだ事が逆に、戦士としての矜持を逆撫でされた様に憤るが、それを残る2人が宥める。

関節恐慌と刃刀冥土に諭される鹿屍討伐も、それには納得は往かずも理解は、している様子だった。

 

「魔導王が進んだ先…方向からして、エルフに何か用事なのでしょうか?」

「ふん、どうせならエルフ共も滅ぼしてくれたら、有り難いな。」

「それには、同意だな。」

そう言いながら、彼・彼女達が目指すのは法国の中央の法都。

魔導国との戦争で、一番最初に滅びた都市だが、法国の象徴である大神殿は無事だった。

其処ならば、有用なアイテムが残されている筈だという考えの元だ。

しかし、彼等は知らない。

その大神殿も既に、完全に破壊されている事に。

そして その内に秘蔵されているアイテムも全て、魔導国に押収されている事を知り、絶望に浸る未来を。

その後、法都跡に放逐されていた神官達と合流。

最早 恥も外聞も無く、他国に救いを…

そう思い、目指すのは竜王国。

近接している国で、過去のビーストマン関連の繋がりから、一番 今の自分達を受け入れてくれる可能性が高いとしたからの選択だ。

しかし その長い道中の末、国境に張り巡らされた、自分達の力量(レベル)では突破不可の結界障壁を目にして、更なる絶望に囚われ、その場の全員が発狂したかの嘆きの雄叫びを上げるのも、また別の話。

 

▼▼▼

 

◆モモンガside◆

別に今更、脅威には ならないさ。

あの場には居なかったが、生き残りの漆黒聖典も、高が知れている。

それに法国周囲には結界障壁を施し、国外には出られないだろうからな。

限られた食料を探し彷徨い、死ぬまでアンデッドに脅えながら生きていくが良いさ。

…そんな事を考えながら、俺達はエルフ王国側の国境を抜ける。

 

≫≫≫

「流石に この先は、馬車は無理だな。」

目の前に広がるのは、エイヴァーシャー大森林。…らしいが、俺から言わせたら これは もう、樹海だ。

トブの大森林以上に暗く鬱蒼に茂る森を、馬車を収納した後で、ハムスケを先頭にして進んで行く。

予め、フローティング・アイを飛ばした時、森の かなり奥側に、それらしい集落を見付けたので、それがエルフの国なのだろう。

…尚、森の中を進む際、ハムスケが俺に、自分の背に乗る様に勧めてきたのだが…勘弁して下さい。いや、マジで。

 

「むむ? 殿、()()前の方から、何者かが近付いてくるで御座るよ。」

そして それなりに進んだ時、ハムスケが何者かの接近を感知。

 

「今度は人型(ヒト)が、3…いや、4人で御座る。

樹の上、枝から枝に飛び移りながら、やって来てるで御座るよ。」

「フム。イヨイヨ、エルフ達ノ御出座シカ?」

「待て、コキュートス。まだだ。

向こうから仕掛けない限りは、戦闘は禁ずる。」

「ハッ!」

既に殺る気満々のコキュートスを制し、俺達は歩みを止め、接近者が此の場に来るのを待つ。

そうだ。此方から先に手を出したら、単なる殺戮者になってしまう。

国を滅ぼすとしても王だけを討つにしても、大義名分は必要なんだよ。

 

≫≫≫

「待て、其処のアンデッドの一団よ、この先は我等の領域。

一体 何の用d

『グォラァァアアアアッ!』

「「「「ひぇっ?!」」」」

現れたのは、やはりエルフだった。

軽装武装からして、森の偵察巡回、警備役な様だが、この4人は森に入って少し経過した時、()()()()()()()()()()

「クマっちょ君、ストップで御座る。

まだ食べたらダメ、『待て』…で、御座るよ。」

『グォ…』

森の住人で、4本腕…正確には前足か…の巨大熊クマっちょの咆哮に畏縮。

この(クマっちょ)、最初にエンカウントした時に…彼からすれば、自分の縄張りに入ってきた侵入者を排除しようとしたのだろうが…その時はハムスケが前に出て、ケモノ同士の格の ぶつけ合い?とでも言うべきか?…で、本能的にハムスケの方が上位者と認めたのか、仰向けになっての服従ポーズを見せ、所謂『仲間に なりたそうな表情で此方を見ている』だったので、その儘 連れてきたのだ。

早速 役に立ったかな?

 

≫≫≫

「失礼しました! まさか、魔導王殿でしたとは…」

「いや、君達は君達の任を全うしようとしただけだ。」

クマっちょの お陰で戦闘は回避。

その後は俺が魔導王(アインズ)だという事を伝えると、このエルフ達は畏まり。

一応、エルフ王から魔導王(オレ)という存在は、知らされていた様だ。

 

「それでは君達の王…デケム・ホウガン殿の元に、案内して貰えるかな?」

「しょ、承知致しました。」

案内役ゲットだぜ。

 

≫≫≫

「初めまして、だな。

アインズ・ウール・ゴウン魔導王よ。」

「………………。」

その後…は、特に大きなイベントも無く、エルフ王国の中心に到着。

アンデッドである俺や蟲人のコキュートス、ついでにハムスケやクマっちょを物珍し気に、或いは恐れながら見られつつ、エルフ王国の城…と言っても、巨木をくり貫いただけの大きな樹の家の中、エルフ王デケム・ホウガンと対面。

尚、ハムスケとクマっちょは、外で待機だ。

 

「「「「……………!!!!」」」」

デケムとは初対面だ。

此処はエルフの国、その城、王の間。

そしてデケムは その国を統べる王。

地元(ホーム)の優位性は解らなくもないが、俺も一応は、今は"王"を名乗らせて貰っている身だ。

流石に その如何にもな『俺様EREEEE!』な態度は不遜、傲慢過ぎないか?

そう感じるのは俺が狭量なのか?

いや、俺自身、自分が寛大とか、そういう風には思ってない心算だ。

しかし、それでも初対面だぞ?

一応は王と王の初の顔合わせだぞ?

其処は、最低限な外面の やり取りをすべきじゃないのか?

俺は兎も角、後ろの4人の殺気が半端無いのは察してるよな?

 

「…此の度、私達が貴国に足を運んd

「ふむ…貴殿が我が国を訪れた理由…理解していた心算だったが…」

しかし ()()には慣れているのか、シャルティア達の殺気を興味無いが如くに流し、更には俺が喋っている最中に その言葉を遮り、話すエルフの王。

 

「「「「………………!!?」」」」

これにより、また4人の殺気が増大。

気持ちは解る。しかし、スティスティ。

本当、俺が事前に『直接攻撃をしない限りは手出しダメ! 絶対!』と釘を刺していなかったら、今頃この城は全壊してるぞ?

 

「私が部下に手紙を書かせた筈だが、それは貴殿も目を通したのだろう?

それで私の血を引いている…我が妻となる、ダークエルフの少女2人は何処に居るのかな?」

「「「「「…!!!!!!」」」」」

これだ。コレが、あの手紙を見て壮絶激昂(ブチギレ)になった理由。

始まりは あの裁判の時、エルフ王国からの遣いにアウラとマーレを、(ダーク)の違いは有るとしても、同じエルフ種として会わせた事。

それに、深い考えは無かった。

単にエルフだからという理由だけな、只 何となく…な考えだ。

しかし、それが間違い、失念だった!

俺が、この世界のエルフについて、知識が無さ過ぎた。

アウラとマーレの身体的特徴の1つ、左右の瞳の色が異なるオッドアイ。

これは、エルフからすれば、王族…即ちデケムの血を引いている証しらしいのだ。

あの時の遣いは2人を見て、「王の子供とダークエルフとの間に生まれた子なのか?」とか尋ねてきたので、それは違うとハッキリ言った筈だが、どうやら きちんと伝わらなかった様だ。

全ては ぶくぶく茶釜さんの設定だっての。

そして、あのエルフの遣いは勘違いした儘に、自分の王にアウラとマーレの事を話したのだろう。

そして、それで勘違いしてるだけなら、それは別に大した問題じゃなかったんだ。

しかし あの手紙…要約すると、

 

 

我が血を継いでいる子供なら、我と交わる事で更に強い子供が産まれるだろう。

魔導王よ、貴殿の配下のダークエルフの少女2人、我が妻に迎え、我が子を孕ませる栄誉を与えよう。

故に即座、我がエルフ王国に差し出すが良い。

仮に拒むので有らば、その時は強引にでも貰い受けるとする。

 

 

…上から態度、この上無し。

しかも その表現からして、愛は勿論 性欲でも無い。

単に、強い戦力(こども)量産しよう(つくろう)としてるだけ。

そもそもスレイン法国とエルフ王国が戦争してたのも、元はと云えば、コイツが原因。

当時の法国最強の女を拐い、無理矢理に…だったんだよな。

この件に関しては、法国に肩入れしてやるよ。…もう滅ぼしてるけど。

兎に角だ、そんな子作りだけが目的なヤツに、茶釜さんの大事な子供を渡せるかって話だよ!

それに、今は俺の家族…子供も同然だぞ!

もっと ついでに言えば、マーレは男の娘だ!

 

「ん~? どうしたのだ?

我が子を孕むべき娘達は、何故 此の場に居らぬのだ?

此方は貴様が訪ねてきたと聞き、それ即ち娘達も一緒だと思い、既に床の用意は出来ておるのだぞ?」

「「「「「…!!!!!!」」」」」

…って、マジに いきなり()()かい?!

ヤバイ…そろそろ俺も限界が近い。

だから、たっちさん(幻覚視)。

手錠で無くて そう、そっち…その拳銃(ピストル)、俺に ちょっと貸してください。

 




クマっちょ…エイヴァーシャー大森林に生息する、連甲熊(アンキロウルスス)と呼ばれる巨大な4本前足(うで)の熊。
森林内では、最強の一角とされる種らしい。
ハムスケの"野生"に屈し、モモンガさんに従属。
多分、ナザリックに戻ったらアウラが調教役(コーチ)になる。
『クマっちょ』の名付けは、勿論モモンガさん。
 
▼▼▼
 
【次回予告】
 
◆セバスside◆
やはりと言うべきか、アインズ様とエルフ王は衝突。
戦いの場は城の中から外に移り、両陣営の刃と魔力が交差する中、突如 場の空間が横に大きく裂け、その内側から現れたのは、機械装甲の巨ぉ大な腕ェ!
そして そしてェ…!
 
次回『唸れ剛拳! 北●爆砕拳!(予定)』
乞ぉ~う御期待ィい! 感想、並びに評価(高いヤツ)も、よぉろしくお願い致しますぅうっ!!
 
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