ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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エルフ王

◆モモンガside◆

ん。やっぱり このエロフ王だけは とりあえず、絶対に殺そう。

国や他の国民をどうするかは、その後の彼等の反応で考えよう。

 

「どうした魔導王よ。私の妃となる娘達は、一体どうしたというのd

鮮血錐揉襲突刺(ブラッディ・スクライド)ーッ!…で、ありんす!

 

ズギャァッ!

 

「げはっ!?」

…等と、俺が考えてるのを察しないエルフ王。

俺がアウラとマーレを差し出すのは、然も当然と言うか、決定事項だと信じて疑わない この男に、シャルティアのスポイド・ランスによる一撃が炸裂した。

 

おい、お前…さっきから黙っていたら良い気になりやがって…

誰に対して、どんな口の聞き方してるか、分かっているのか?! え゙ぇ!?

「ぐ…な…だと?!」

表情(…と、喋り方)で判る。怒り全開なシャルティア。

 

「「「……………。」」」

そして それは、コキュートス、ナーベラル、エントマも同様。

…勿論、俺もな。

 

「敢えて、殺しは しんせん。

それは、私の役目では ありんせんから。」

「何…?!

ま、魔導王! 貴様の部下は、何を考えているのだ?!」

ドクドクと血が流れる左の肩口を押さえ、先程までの自信気な澄まし顔は消え、痛みに歪めた顔で俺を睨むエルフの王。

 

「………………。」

側に居た従者に回復魔法を掛けさせながら、更に反撃の為の魔力を高めようとしたが、ナーベラルが それに対してのカウンター狙いで やはり魔力を高めているのに気付いたか、まだ手は出さない。

 

「…ふむ。質問に質問で返す形で申し訳無いが、先ずは貴様が、何を考えているのだ?」

「何?!」

シャルティアの行動を、咎める考えは微塵も無い。

彼女は俺の心情を察し、俺が動く前に代行しただけだ。

普段は仲が悪い?…と云え、アウラを孕そうとしたのは赦せないというの有るだろうがな。

シャルティアが動かなかったら、俺が怒りの儘に、心臓を握り潰(グラスプ・ハート)していただろうからな。

しかし、それは まだ悪手だった。

そう、この愚か者は只では…簡単には殺さん。

何故、自分が今、こうなっているか…理解も納得も望まないが、その理由を教える必要は有るだろう。

そういう意味では簡単に殺れた筈が、急所を外して苦しめるに留めたシャルティアは、本当にファインプレーだ。

 

「先ずは勘違いしている様だが、お前の言うダークエルフの2人…アウラとマーレは貴様の血等、引いていない。

あの2人は、私の友の子供だ。

そして今は、私の子供も同然。

そんな大切な2人を、貴様の如き下郎の元に送ろうとは、欠片も考えていない。

…それなのに、何故 貴様は既に それが決定事項の様に思っているのだ?

本当に私が、あの2人を貴様に差し出す為に、このエルフの国に出向いたと思っているのか?

…そうだとしたら、教えてやろう。

私が貴様に差し出すのは、"死"だ!

そう…私達は貴様に『死』を届けに、やって来たのだ。」

「な…何…だ…と…?!」

俺の言う事に、いや、自分に対して『否』を唱えている事に、脳内での状況理解が追い付かない…そんな感じなエルフ王。

恐らく…いや間違い無く、絶対強者である自分に対して その周りには、イエスマンしか居なかったのだろう。

 

「貴様! 魔導王! お前は誰に対して その様な口の聞き方をしているか、分かっているのか?

私は偉大なるエルフの王、デケム・ホウガンだぞ!」

ほら、やっぱりな。

自国での程度は知らんが、余所の者にも『俺様EREEE!』が通用すると、思っているのか?

 

「偉大かどうかは知らんが、私からすれば、私達の平穏を脅かそうとする者。

だから、廃除に出るだけなのだよ。」

「ぐ…アンデッド如きが…!

この世で最も優れた偉大なる種、エルフ! その王たる私に意見するか? 逆らうか?!

そして私に死を…殺すと言うのか? 笑わせるな!」

うわぁ…どれだけ自分(エルフ)だけを過大評価してるの?

 

「ほう? エルフ様(笑)が其れ程の種とは、初耳だな?」

「黙れ! 貴様は知らぬだけだ!

我が偉大なる父、クロウ・ホウガンを! その偉大なる功績を!」

あー、そういう事か。

コイツ、八欲王である自分の父親の強さに心酔、そんな勘違いしてた訳か。

ついでに()()()が自分の子供に、『エルフEREEE!』とか吹き込んでいた可能性も大だな。八欲王だし。

 

「…知ってるよ。」

「何?!」

「直接の面識は無いがな。

私とクロウ・ホウガンは、同郷なのだよ。」

「…………………。」

ほぅ? 顔付きが変わったな?

俺の言葉を疑ってる…とは違うが、警戒している顔だ。

 

「確かに貴様の父親が我等が故郷にて、最強の(クラス)と呼ばれる内の1つを極めた、強者だったのは事実だ。

しかし それも、同じ(クラス)を得た()()の内の1人に過ぎない。

しかも、その内訳は、人間が7人に異形種が1人。

そして残る1人が、貴様の父親であるエルフ。

…分かるか? 貴様の父親だけが、特別だという訳では無い。

偶々、あの9人の中の1人が、エルフだった…それだけの話だ。」

ついでに言えば、その中で最強だったのは、異形種の人(たっちさん)だ!

 

「巫山戯るな…

父を…我が父を其処等の其之他大勢と一緒にするな!…《風刃(ウィンド・カッター)》!」

 

ヒュォオッ!

 

俺の台詞が容認出来なかったのか…悪いとは言わないが、コイツ父親大好き過ぎないか?…怒り全開な顔で魔法を放つエルフ王。

魔法自体は低位階の其れだが、魔力に比例したかの様な、幾重の巨大・強力な風の刃が俺達に襲い掛かるが、

「甲壁蟲~!」

「《連鎖する龍雷(チェイン・ドラゴン・ライトニング)》!」

 

バシュゥッ!…ビガァッ!

 

「ぎゃぁあっ?!」

それはエントマの喚んだ防御蟲群に阻まれ、即座にナーベラルが溜めに溜めていた魔力、魔法での反撃。

これも、自身の攻撃が防御されるのは勿論、反撃等まるで考えていなかったエルフ王は、まともに直撃を許してしまう。

大体、さっきシャルティアの一撃を貰ったばかりだろう?

普通なら その時点で、要注意認定すべきじゃないのか?

 

「ぐ…な、何をしている貴様等!

さっさと このアンデッド達を討て!」

「「「……!!」」」

 

ザザザッ…

 

しかし この攻撃で、漸く俺達を只者では無いと理解したか…完全に余裕を無くしたのか、護衛役のエルフ兵に怒りと焦りを露にした顔で命令すると、彼等は武器を構えて俺達を囲む。

兵達も、自分達の王が初めて見せるであろう表情に、やや戸惑い気味だ。

 

「ム?!」

「来るでありんすか?」

それを見て、コキュートスとシャルティアも交戦の構えを取るが、

「…絶望のオーラ・Lv.1!」

「「「「「…………???」」」」」

それには及ばぬと、俺がスキルで黙らせる。

 

「な…?!」

一応はスキルの有効範囲に、エルフ王も居たのだが、流石にコイツには通用しなかった様だ。

 

「あ…?」

「ぁ…ぁあ…?」

「さしあたり、私が用が有るのは、お前達の王だけだ。

命が惜しくば、大人しくしておけ。」

「「「「「…!????」」」」」

…が、他の面々には効果覿面、恐慌(パニック)状態だ。

元より、ハムスケに効いたスキルだ。

ハムスケより弱い者に、効かぬ道理が有る筈も無い。

 

「こ…この、無能の役立たず共がっ!」

「…ならば その無能を束ねる王も、また無能の役立たずでは無いのか?

王が有能ならば、兵や民も、また然りの筈だ。」

「な…!?」

駄目だな。コイツは『王』と呼ぶには、相応しく無さ過ぎる。

 

「…さて、エルフの王、デケム・ホウガンよ。どうする?

最期は私も魔を導く王…同じ王を名乗る者として、一騎討ちに応じてやらぬ事も無いぞ?

今回は私としては、これは戦争では無い。

私に無礼を働いた者を誅しに来ただけだからな。

貴様を殺せば、それで終わりだ。」

「だ、黙れ! この薄汚い、アンデッド風情がぁ…ッ!」

「そのアンデッド足る私からすれば、人間種だろうが亜人だろうが…そして異形種だろうが、そんな違いは塵芥なのだがな?

…で、どうするのかね?

偉大なる(笑)エルフの王とやらは、この薄汚いアンデッドからの挑戦を受けるのか?

私を討つ事が出来たならば、私の配下達は潔く この国から退かせる事を約束しよう。

…別に逃げても、構わぬぞ?

その時は追い詰めた上で、殺すだけだがな。」

「き…さマァ…っ!?」

本当に今迄、好き勝手放題だったのだろうな。

自分の思い通りな展開にならなかったり、望まぬ発言を受けた時の忍耐力、そして煽りの耐性が全くと言って良い程に無い。

 

「私は、世界で最も偉大なる種であるエルフ!

その王、デケム・ホウガンだぞ!

アンデッド如きから、退くと思うかっ!」

 

ドドォッ!

 

む? これは、中々…

無詠唱から、火炎球、風刃、雷撃の3属性の魔法を同時に放ってきた。

成る程。一応は、この世界に於いては強者の域に立っているだけの事は有る。

しかし、一騎討ちに『始め』の合図も無しに攻撃を仕掛けるのは、感心出来ないな。

 

シュッ…

 

「それで、終わりか?」

結局は それも、俺には効かないけど。

 

「…はぁっ?!」

おぉ、初めて見せる表情だ。

鼻水を足らし、何やら信じられない光景を目の当たりにした…そんな間抜け面だ。

どうやら このエルフ王、顔芸の才能が有るぞ。

 

「ならば、次は私のターンだな。」

 

ボォッ…!

 

身体から発するのは、金色に光る魔力。

その全身を包む光の魔力が、敵の攻撃を防ぐと同時、俺の魔力を更に増大させていく。

 

ス…

 

そうした上で、更に魔力を高めながら、両手首を重ねて、その両手を右腰の位置に構え、両掌を前に向ける。

 

「う…っがぁあっ!!」

 

ボォッ…シュ…

  

その間もデケムは連続で炎や風の魔法を放つが、効かないって言ってるだろ。

 

「な…?」

金色の障壁の前に己の放った魔法が弾かれ、間抜け面再びのデケム。

そうした内に、俺の掌の中で必要な魔力が溜まり、その両腕両掌を前に突き出す。

其処から放たれるのは、無属性の純粋な破壊の魔力。

 

「《壊鳴灰冥波(トロピカル・キング・ウェイヴ)》!!」

 

弩ッ轟々々々々々ォッ!!

 

「ぅ…ああぁ…」

直撃。よし、殺ったか?…少なくとも致命傷の手応えは、バッチリだ!

 




前回の『次回予告』迄、話が進まなかった…のは何時もの事。
今回は どうしても、この魔法(ワザ)で締めたかったのです。
 
 
 
鳥山明先生の御冥福を御祈りします。
 
 
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