志乃 「日曜日のラクーン台場に遊びに来ていた島麒麟は二人組の男によって誘拐されてしまいます」
翡翠 「丁度、その頃ラクーン台場に遊びに来ていたあかり達は武偵高からの周知メールで誘拐が起きていることを知る」
結衣 「増援到着も時間がかかるそんな状況で、あかり達は自分たちが動く事を決意します」
志乃 「さて……あかりさん達は無事に麒麟さんを助けることが出来るのでしょうか」
翡翠 「第006弾 サイカイとデアイはイガイなバメンで起こるもの。Ⅱ」
3人 「「「どうぞ!!!」」」
今回は前後編なのであらすじ紹介のまえがき⑥ 完
SIDE_KIRIN
ラクーン台場にあるラクーングランドホテルの7階、703号室に拉致られた私は現在…………
「まだあるんだろう~~~~~っ、銃~~~~~~~」
髪を掴まれ、手首に超偵用の手錠を嵌めれられていて、私の銃が私の頭に突きつけられて、お察しの通り誘拐犯に脅迫を受けています。
というか、いい加減髪を掴むのやめてくださいまし!
「おい、バカ大和。人質だからって女の子に乱暴するんじゃねぇよ」
銀髪の男性が制止します。
「別に良いじゃねぇかよ、悠斗」
「うるせぇ口答えすんな、大和……。さっさと終わらせろ」
「へいへい……」
銀髪の方……悠斗に説教され大和は私の方に戻ります。
「銃なんかもうありませんわ! ほら!」
私は証拠にとスカートを捲ってガンホルダーを大和に見せます。
スカートを捲るという事は必然的に太腿が一緒に見える訳で。
「うっ…………」
色気沙汰に耐性がないのか、大和はかなり動揺している御様子。
では……もう一撃加えてみますか…………。
「なんなら、直接スカートの中お探しになります?」
照れて視線をずらした大和。
これでガン見してたら『ド変態』の称号を与えていますわ。間違い無く。
「大和、その縫いぐるみだ。明らかに重心がおかしい」
私が持っていたキリンの縫いぐるみ、ジョナサンの方を悠斗は指摘します。
…………まさか気付かれた!?
「なるほど」
「ああっ、ジョナサン!!!」
私の制止もも聞かず、大和は私からジョナサンをひったくります。
「ジョナサンに触らないで!!」
私は大和に子供っぽく泣きながら訴えますが、それに聞く耳を持たずにジョナサンの首を左手で握ってあちこちを確認しています。
「ジョナサンを返して━━━━!!」
私は大和にジョナサンを返して貰うべく、大和の方へ駆け寄ったその拍子に部屋にあるビール缶(空き缶)と大量の(悠斗が吸った煙草の)吸殻が入った灰皿、メモスタンドが載ったテーブルに私の腿が当たります。
「みきゃっ!」
そのまま私は転んでしまい、テーブルに載っていた物が床に散乱します。
転んでしまった私を助けることなく、大和はジョナサンのお腹のチャックを開け、アメリカ・コルト社が初の.44マグナムとして発売されたMK-Vシリーズの一つであるコルト・アナコンダを取り出します。
銃を使用した時の反動が大きく、私が到底扱えないシロモノですが、対物破壊や対人への威嚇用に持っていたものでした。
「ヒャッハー!!! もう一丁手に入ったぜぇ!!!」
大和は今更時代遅れな世紀末な声を上げて大喜びでした。
そして、コルト・アナコンダを悠斗に渡します。
「武偵のガキを攫えば人質と武器が手に入って一石二鳥になる」
「攫う時の防弾着ぐるみといい、マジで天才だな、悠斗!!」
「こんなの至ってフツーだ。大和みたいなバカじゃなければな」
「なっ…………俺のどこかバカだというんだよ!」
「すぐムキになる……そういうところだ」
「(・д・)チッ」
「露骨な舌うちすんじゃねぇよ、バカ大和」
「な…………なんだとぉ!」
大和が悠斗の言葉にブチギレて、人質な私を無視してケンカが勃発します。
バカなのでしょうか…………あの二人は。
私がこの隙を突いて逃げることを想定してないのでしょうか…………。
直後、銃声が響きます。
「逃げようなんて馬鹿な真似はしない事だな……」
悠斗は私から奪ったコルト・アナコンダを発砲したようです。
この人……抜け目がないですわ…………!
「びえええええええええぇぇぇぇぇえええええん!!!!!!」
私は大声で
「うっせーなぁ…………」
そう言って大和は耳を指で塞いでそっぽを向きました。
嘘泣きと同時進行で私は足で先程倒した時に散乱したメモ帳とボールペンを自分のお尻の近くへ手繰り寄せ、私から奪った携帯で脅迫を行う悠斗の会話に聞き耳を立てます。
「なぁ……ラクーンさんも凄惨な事件が起きたら集客に響くだろ? ……このまま何もしないで集客が下がる損害に比べたら、身代金ぐらい安いモンだと思うぜ……?」
私は悠斗と大和の二人が脅迫を行っていてこちらに関心が向いていないうちに先ほど手繰り寄せたメモ帳とボールペンをスカートの中に隠します。
SIDE_OUT……
SIDE_AKARI
あたしはラクーン台場の建物周辺を探すけど……
(手掛かりが全く無い…………一体どうしたらいいの……!?)
手掛かりという手掛かりが全く無く、ただ右往左往だけで時間だけが経過していく。
ライカが駐車場の方を探し、志乃ちゃんが来場客に聞き込みを行うが、全く有力な情報は出て来なかった。
《font》SIDE_OUT……《/font》
SIDE_KIRIN
脅迫を終えた悠斗と大和はビーフジャーキーを肴に酒を呑んでいました。
大和はビール、悠斗はウィスキーを呑んでいて私は手錠をされたまま悠斗にウイスキーをお酌しています。
浮かない顔している私に悠斗はグラス片手に声をかけます。
「金さえ受け取ったら無事に帰してやるから、そんな顔するなよ」
「今にきっとカッコイイ王子様が助けに来るですの!」
悠斗の言葉に私は(σ'д`)アッカンベーをしてそう返します。
「でも…………王子様ごめんなさい」
私は半回転してそのまま人魚姫座り。
「なー、悠斗、なんか始まったぞ(はむはむ」
「ああ……そうだな」
大和はビーフジャーキーを咥えつつ、悠斗はグラス片手にそれを見ていた。
私のターンはまだ続きます。
「麒麟は
この一連の演技は空想の王子様とのやり取りというシチュでやっていますわ。
それをみていた悠斗と大和はというと…………
「なんか…………コイツを攫って来たのは失敗だった気がするな…………」
「そうだな…………。おかしな娘を攫っちまったな…………」
あまりの私のマイペースさにドン引きですが、周りがどう言おうが続くものは続きます。
「はう! 囚われの麒麟姫に更なる悲劇が…………」
「今度はなんだよ……」
大和が少し戸惑いつつも尋ねてきます。
「お、おトイレに行きたいですの……!」
私はそう答えます。
「行かせてやれ。携帯はここだしな」
「解ったよ……」
私の携帯が自分の手元にある事を強調した悠斗に指示された大和に私を部屋のトイレに連れて行き、扉を閉めた直後
「さっさと済ませろ」
そう言って扉の前で番をするみたいですわね。
私は先程手に入れたメモ帳とペンを取り出し、次に扉の前にいる大和に怪しまれないように水を流します。
こうすれば、音消しで水を流したと思うでしょうからね。
そしてトイレの壁に掲示してある避難経路図を見て逃走方法を考えます。
えっと……ポールがここで、プールがここだから…………
この逃走方法でいいはずですわ……。
そしてその逃走方法をメモ帳に書いていきます。
この時、万が一の事を考えて武偵の
『703NFターザン戻りでダイブ』
それを沢山書いてその用紙を紙飛行機の形に折ります。紙飛行機の折り方は理子お姉様の恋人な遠山潤先輩に以前教えて貰ったのと同様ですわ。
潤先輩曰く、『余程の事案が無い限り長距離飛ぶ』とのこと。
さて後は出来た紙飛行機を飛ばせば…………そう思った時でした。
「まだかよ? 何やってんだよ」
と、イラついたような大和の催促が入ります。
なので、私は
「生理中ですの!」
と返します。
私の返答に大和は押し黙った御様子。
やはり女性に対する耐性が無い相手にはこの手の返答は有効ですわね…………。
SIDE_OUT……
SIDE_AKARI
どこなの…………麒麟ちゃん!
ラクーングランドホテル周辺を探すあたしは一向に手掛かりすら見つからず、次第に焦りが出てくるその時だった。
コツンッ
「ぁ痛っ!」
後頭部に何処からか飛んできた紙飛行機が当たった。
「何これ…………」
そしてあたしは紙飛行機の翼の部分に書いてあるのを発見する。
『703NFターザン戻りでダイブ』
これは……武偵の
『NF』って確か『
あたしは上を見上げ、紙飛行機の出処を捜す。
紙飛行機は…………下から数えて7番目の窓から…………つまりは7階。
ってことは……今、麒麟ちゃんは…………
ラクーングランドホテル703号室にいる!!!
麒麟ちゃんの居場所が判明したあたしは電話で志乃ちゃんとライカに連絡する。
「志乃ちゃん! ライカ! 集まって!」
『はい! 了解しました! 今行きます!』
『ホテルロビーで作戦会議な!』
連絡後、あたしは志乃ちゃんとライカと合流し、ホテルのロビーで作戦会議を行う。
「『ターザン』は強襲科でロープワークを示す
あたしは首を傾げつつ、そう言って紙飛行機をライカに渡すが、ライカもその全文の意味は解らなかった。
時間を掛ければ、その文の意味も判明するだろうが、今は麒麟ちゃんの命が懸かっている。
「とにかく、今は行動しましょう。この場合、窓からとドアからで挟み撃ちするのがセオリーです」
志乃ちゃんの言葉にあたしとライカは頷く。
「そうだな……。じゃ、アタシがロープで窓の上から行く。あかり達はドアから」
あたしはマイクロUZIの弾倉を装着し、それを了承の意として示す。
ライカはケースに入っている
「703号室で会おうぜ!」
と宣言する。
「「了解!」」
あたしと志乃ちゃんは了承の返事を返し、行動を開始した。
SIDE_OUT……
SIDE_RAIKA
エレベーターと作業員用の非常階段を駆使して屋上に到着したアタシは辺りを見回し、ワイヤーフックを掛けれそうな場所を探すが、屋上の形はドーム型。つまりは丸くてツルツルしている。
「ここじゃフックがかけられない…………。ここのすぐ下に703号室があるっていうのに…………」
その時、アタシの目に非常階段のポールが目に入る。
「(あのポール……!)」
そして思い浮かぶのは先程、あかりが遊んでいた『ターザン・ロープ』のアトラクション。
二つのファクターピースが一つに重なる。
そうか……! だから、『戻りでダイブ』か……!
全く、突飛な事を考えやがって!
その思いつきに賭けてやるよ! 待ってろよ、島麒麟!!
SIDE_OUT……
SIDE_AKARI
703号室の扉前に到着したあたしは志乃ちゃんと突入のタイミングを小声で合わせる。
「行くよ、志乃ちゃん」
「はい。あかりさん、私がついてます」
まず志乃ちゃんがドアにそっと近づき、サーベルを持つ右手を後ろに大きく引く。
ひと呼吸おく。
狙うはドアに備え付けのオートロック。
「はあっ」
燕返しの応用技である燕貫きで鍵を破壊し、あたしがすかさず体当たりでドアをこじ開け、突入する。
「「!?」」
「!!」
誘拐犯の二人組と麒麟ちゃんがそれに気付く。
「武器を捨てて!!」
あたしはマイクロUZIを構えて誘拐犯にそう告げる。
「わっ」
あたしは足元に散らばっていたスリッパに足を滑らせて派手に転んでしまった。
「あ、あかりちゃん!? 大丈夫ですか!!」
志乃ちゃんがあたしを心配して駆け寄る。
「う…………武器を……捨て…………」
あたしが起き上がって言い直したその時には…………
「捨てるのはそっちだ」
優劣が完全に逆転していた。
「なんでそこで転ぶですの──!?」
それを見ていた麒麟ちゃんは絶望に染まった顔をしていた。
どうしてこんな時に不運スキルが発動しちゃうの……?!
SIDE_OUT……
SIDE_RAIKA
ドーム状のホテルの屋上。そこに設置されたポールに掛けた空挺ワイヤーをアタシは横へ横へと伸ばしていき、位置と角度を目視で何度も何度も確認する。
「(あそこが、703…………。そしてプールはあの辺……。よしっ!)」
一つ深呼吸をしてアサルトライフルを腰だめに構え、屋上からその身を投げ出す。
SIDE_OUT……
SIDE_AKARI
「ハハッ……まさか人質と武器が増えるとは思ってもみなかったぜ……なぁ、悠斗」
「ああ。だが油断はするなよ、大和」
黒髪の方の誘拐犯……大和はあたしの銃を奪ってその銃口をこちらに向けていて、こうなってしまっては身動きができず、銀髪の方……悠斗の左腕で首を締められるようにして捕まっている麒麟ちゃんも観念した様子なその時だった。
屋上からワイヤーで降下したライカのアサルトライフルが火を吹き、アサルトライフルでの銃撃の嵐は部屋の窓ガラスを木っ端微塵に破壊する。
「「!?」」
いきなりの出来事に吃驚する一同の中で麒麟はライカの存在に気づく…………。
「(あの御方…………分かってくれた!!)」
ライカはそのまま右方向へフェードアウトする。
「な…………なんだ!? 今のは……」
大和は戸惑っていたが……
「バカが! そっちには誰も居ねぇよっ!」
悠斗は此方の作戦が失敗したと思っている中で対する麒麟ちゃんは希望が見えた顔をしていた。
「がう! ですの!」
麒麟ちゃんが悠斗の左腕に思い切り噛み付いた。
「うわっ!」
あまりの痛さに悠斗は麒麟ちゃんの拘束を緩めてしまう。
「てんめぇ…………! と、止まれ…………!」
即座に抜け出した麒麟ちゃんは悠斗の怒声もスルーして、可憐な笑顔で
「♪ 恋心は振り子みたいに」
「揺れて揺れてー♪」
ベッドをジャンプ台代わりにして
「3」
「2」
「1」
カウントダウンの後、
「きゃはーんっ☆」
あろう事か麒麟ちゃんは銃撃によって消滅した窓から自ら飛び降りた。
まさかの行動に悠斗や大和だけじゃなく、あたしと志乃ちゃんも驚愕する直後、梃子の原理で戻ってきたライカが麒麟ちゃんをキャッチした。
まさか…………麒麟ちゃんは最初からこれを狙ってたの!?
だとしたら…………凄い発想力!
ライカは右手で麒麟ちゃんを抱えたまま、左手に手にしたダガーナイフでワイヤーを切断し、プール方面に飛び降りる。
「クソッ!」
悠斗はコルトアナコンダの標準をライカの方へ向ける。
「ライカ━━━━!!」
あたしの声にライカが自分に標準が向けられている事に気づくが、空中で無防備な状態である。
その時だった。
「ふもっふー☆」
「ゴファッ」
そんな可愛い掛け声とともに現れたパンダの着ぐるみがえげつない威力の蹴りを大和にぶちかました。
モロに喰らった大和は壁際まで飛ばされ、気絶した。
この状態だとKOといっても差し支え無いだろう。
「「「「………………ナニコレ」」」」
あたし達は唖然となってしまう。
一体何がどうなってるの!? 全くもって意味不明なんだけど!!
そして何なの、このパンダ! 無駄にハイスペックなんだけど!?
それ以前にこれ、パンダなの!?
「てめぇ……何者だ!?」
悠斗が声を荒らげ、パンダの素性を聞く。
「ふもふもふもふもふもふもふもっふー☆」
パンダから返って来た回答は意味不明でした。
『日本語でおk』とガチで言いたいくらいだよ!
「いや、何言ってんのかサッパリ解んねぇよ!!!!」
悠斗はガチギレでツッこむ。
「ふも…………」
パンダは溜息をつくと何処からか取り出した札には何か文字が書いてある。
『武偵よ。大人しく降伏しなさい』
どうやら、このパンダは武偵らしい。
こんなパンダ、一度見たら忘れられない自信は確かにある。
「ハァ? てめぇが武偵だと!? 冗談も休み休みにしとけよ」
悠斗はこのパンダが武偵だという事実が信じられないようだ。
まぁ……あたしも信じる自信はないかな。
パンダはまた新しい札を取り出す。
『疑うんなら、試してみるか?』
同時に可動域の少ない手で思い切り挑発してる様だ。
「舐めやがって…………このクソパンダ」
悠斗はコルトアナコンダの標準をパンダに定め、発砲する。
パンダはそれに動じることなく刀身が美しい朱鷺色をしている刀を抜く。
「そんな刀で何ができる」
悠斗は小馬鹿にするように嘲笑い発砲したが、パンダは平然と手に持った刀で銃弾を全て弾く・斬るなどして捌いた。
「…………何……だと…………」
悠斗は某マンガ作品の名言(迷言)を呟くらい動揺してるのだろう。
あたしはそれよりもさっき、パンダが持っていた刀が気になるんだよな…………。
あの刀と同じ特徴の……刀身が朱鷺色をした長刀をわりと最近この目で見た。
そう……あたしの
気のせいかな…………。
「なっ…………お前、何者だ!」
またもや有り得ない光景を目の当たりにした悠斗はパンダに自らの正体を明かすよう求めた。
パンダはまたもや何処からか取り出す札には
『ただの通りすがりの武偵さ。強いて言うなら超偵だけどね』
と書かれていた。
さっきからこのパンダ、札で会話してるよ…………。
札で会話とか某マンガ作品のあのキャラみたいだ…………と、思ってしまうあたしがいた。
「なっ…………『超偵』だと!? だったら、分が悪い……解ったよ、降参する……訳ねぇだろーが」
悠斗は降伏すると見せかけて、ダガーナイフでパンダを斬り付けようとする。
あのパンダの武器は長刀、なので懐の攻撃には対応できない……則ち、相手の懐に入れるこちらがこちらが有利だ。
悠斗はそう考えているだろう。
確かにその考えも一理ある。
まぁ、それは
悠斗がパンダに行った攻撃は届いていなかった。
何故なら、悠斗の持っていたダガーナイフがパンダの懐に届く前に破壊されていたからだ。
「……何……だと…………」
まさかの出来事に驚愕する悠斗。
パンダは(表情は変わらないが)不敵に笑っていた。
そう、あのパンダは氷系能力の技の一つを使った。
その技の名は『
この技の効果は、相手の武装破壊に使用する技であり、相手に凍傷を負わせることなく身に付けている物を凍らせて砕くことができ、対象を武器にする事も可能でかなり汎用性の高い技である。
現在の悠斗はナイフだけが破壊されており、衣服は破壊されていない。
この技は威力を高めれば、衣服も容易く破壊する事ができるが今回はそれを行っていないということは『男の裸なんて誰得…………』という思考に基づく考慮だろう。
パンダは刀を悠斗の喉元に突きつけ、札を持って迫る。
『さて……もうそろそろ降参してくれない?』
札にはそう書かれていた。
同時にパンダの愛くるしい笑顔の裏から凄まじい殺気が放たれていた。
それはもう、『死にたくなきゃ、とっとと降参しろよ?』と言わんばかりに。
その殺気に気圧された悠斗はがっくりと膝をつき、両手を上げて降伏した。
悠斗と大和の警察への引渡しを終了させ、あたし達はこの窮地を救ってくれたパンダに御礼を言おうとしたが、もう既にパンダの姿はそこになかった。
正体も告げずに去ってしまったようだが、あたしには解る。
あのパンダの正体は…………凪優先輩だ。
だって、あんな着ぐるみを着て人間離れした動きを出来る人ってそうそう居ないだろうし。
「(ありがとうございます、凪優先輩…………)」
あたしは心の中で凪優先輩にお礼を言うのだった。
SIDE_OUT……
SIDE_NAYU
私は703号室での制圧を終えて、スタッフ用の更衣室に移動していた。
暫くして、トラの着ぐるみも入ってくる。
「そっちも終わったんだ、お疲れ、なゆなゆ」
トラは手を振って此方を労う。
「そっちこそ、お疲れ、理子。軍団員の相手させちゃって悪いね」
私はトラ……もとい、理子にお礼を言う。
「良いって、良いって。りんりんが狙われてるって聞いたら放って置けるわけないじゃん」
そう言って理子は頭の被り物をカポっと取った。
「そっか、でもありがと。理子」
改めて御礼を言う私。
「じゃあ、その御礼で理子になゆなゆの手料理を食べさせて欲しいな……」
「え」
理子の要望に呆気に取られる私。
「だって、レキュに手料理振舞うって約束したんでしょ? だったら理子も御相伴に預かってもいいじゃん!」
理子はその要望の真意を晒す。
「え、それでいいの……?」
私の質問に
「良いの! だってなゆなゆの料理ちょー美味しいし! のーぷろぶれむ。だよ!」
と理子は返す。
「解ったよ。それでいいなら喜んで」
私は特に問題は無かったのでそれを了承する。
「うわーい!!! マジありがと、なゆなゆ!」
理子は私の了承に物凄く喜んでいた。
そんだけ喜んで貰えるとこっちとしても嬉しくなるね。
私はそう思って更衣室の壁にある時計で現在時刻を確認する。
「なゆなゆ、休憩時間ってあとどん位だっけ?」
理子が尋ねてきた。
「えっと……あと30分位なはずよ。さっき、瑞穂さんからそう連絡来てたし」
「そっか……。じゃあ、バイトも頑張らないとね」
「そうね」
私達は着ぐるみを脱いで次のシフト用の制服に着替える。
15分後、休憩を終えた私と理子はウェイターの格好に着替え、更衣室を後にして次のバイト場所である展望レストランに向かったのであった。
SIDE_OUT……
SIDE_AKARI
これは、事件が終わった日の夜に開催された食事会で聞いた話なのだが、あれから、麒麟ちゃんはライカの事を王子様認定して偉く気に入ったそうだ。
そして麒麟ちゃんはなんと、ライカに
『
と宣言したらしい。道理で……食事会の時、麒麟ちゃんがライカにベッタリだった訳だ。
なんか…………ライカも大変になっちゃったなぁ…………。
と、同情に近い感情をライカに抱くあたしであった。
あ、『志乃ちゃんはどうしたの………』って?
志乃ちゃんはあたしにセクハラ紛いの事をしたので沈めてやりましたが、何か問題でも?
あたしが問題無いと思っているから問題無いのである。無いったら無いのである。
続くよ!
葵 「やっと書き終えた……」
理子「おつー、あおちー」
葵 「あ、ありがと。理子。遅れ遅れの投稿よ」
麒麟「今回はえらく時間がかかりましたわね、リメイクなのに」
葵 「リアルで書く気起きなかったのよ、ガチで」
理子「うわ、またすごい事をぶっちゃけたもんだね」
葵 「しかも、表現も中々思いつかなくてさぁ……」
麒麟「軽いスランプじゃないですか」
理子「そう言って良いかは不明だけどね……」
葵 「本腰入れて書き始めたのが水曜日の夜からでして」
麒麟「今日は休日だったハズでは……?」
葵 「日中は用事とかあるし、流石に」
理子「書く気力も絡んでそうだけども」
葵 「ざっつ・らいと。そうなんだよ。お蔭でいい表現とかも思いつかないし」
麒麟「それで、遅れに遅れてこんな感じに……?」
葵 「はい。そのとおりでございます」
理子「でも、次回は短期間で投稿するんでしょ?」
葵 「一応は今月はこっち重視する予定」
麒麟「飽く迄も予定ですし、解らないと……」
葵 「うん。書きかけのコラボ回も書かないとだしね」
理子「なるほどね、それじゃあ謝辞行っとく?」
麒麟「そうですわね」
葵 「そうだね。改めまして今回のお話も最後まで読んでくださりありがとうね!」
理子「また次も読んでくれると嬉しいな。あと評価も出来たらお願いだよ」
麒麟「次回は私とライカお姉さまのお話の予定ですわ!」
葵 「それでは、また次回お会いしましょう」
全員「「「ばいばいっ(ですわ)!!!」」」
ちょっと長いあとがき⑥ 完