無能in異能バトル   作:我らに幸あらんことを

9 / 13
評価・感想お願いします
作者が小躍りするかもしれません
なにとぞ



宣戦布告と小競り合い

「宣戦布告ぅ!?」

「そう、宣戦布告。君は聞いているだけでいいよ。んっごほん」

 

 とたん、今までの遊びといったものがなくなり、俺ではないどこか遠くをにらみつけて、続けた。

 

「ボクたち『雑音見聞会(ざつおんけんぶんかい)』は『(ほむら)高坏(たかつき)』に宣戦布告をする!日時は明日。場所は『八つ穴の祠』。勝った方が()のものを手中に収める」

「おい、マジで何言ってんのかわからねえ。雑音見聞会?八つ穴の祠?たのむからわかりやすく説明してくれ」

 

 しかし、俺の抵抗もどこ吹く風である。

 気が付けば、勅使河原の背後には四人たたずんでいた。

 

「ねー?この人どうするー?」

「そうだなァ、今のうちにさらっちまうかァ」

「それじゃああなたがやりなさいよ石風呂」

「えぇ、何で僕がしないといけないんですか」

 

 女子と男子が交互に二人ずつ。眠たげな少女と、髪を逆立てた目つきの鋭い青年。利発そうな少女と、石風呂と呼ばれた眼鏡をかけた青年。

 

「別に僕がやってもいいですけど、勅使河原さんどうします」

「……捕まえちゃって。殺しはなしで」

 

 勅使河原は刹那、逡巡をしたのちに答えた。

 相手は当然異能持ちであり、逃げたり抵抗するのは賢い方法ではないだろう。なら――

 

「石風呂君とやら、ここはいったん話をしないか」

「ああ、申し訳ありませんけど、勅使河原さんに忠告されていまして。あなたと会話しないように言われているんです」

「いしぶろー?今会話してない―?」

「……あっ。まあ、このくらいは許してくれるでしょう。じゃあ、さっさとやっちゃいますか」

 

 俺の唯一の武器すらも対策され、打つ手なし。

 石風呂がこちらに手を伸ばし――

 キンッ。金属がぶつかった音。視線を向けると、そこには跳ね返された槍が刺さっていた。

 

「おいあんたら、私たちのチームメイトに何してやがる」

 

 金倉カンナの登場である。

 

「私もいますよ」

「ひさの、何でここに……」

「言ったじゃないですか、『警護とかつけましょうか』って。不安だったのでついてきました」

 

 私の言った通り、つけていて正解だったでしょう。誇らしげに胸を張る姿が、今は本当にありがたかった。

 

「危ないですね。僕が異能を使っていなかったら死んでいましたよ。まじでやる気じゃないですか」

「石風呂、あたしが変わろうか。そいつ相手なら苦労しないだろうし」

「俺が変わってもいいぜェ。俺とそいつは相性がいいからなァ」

「ええ、それなら」

「よそ見してんじゃ、ねぇっ」

 

 相手側のすきを突き、一瞬で間合いを詰め生成した槍を石風呂に突き刺す。

 しかし、金属がこすれる嫌な音とともにカンナの槍は止まってしまった。まるで()()()()()()()()()()()

 

「野蛮ですねぇっ」

 

 石風呂は腰に下げていた鉈を引き抜いて振りおろす。カンナは槍の胸で受けた。

 ぎちち、ぎちち、と金属同士がすり合わされ、不協和音があたりに響く。

 そのほかの三人とひさのもまた、戦闘態勢をとっていた。

 逆に自然な態度をとっているのは俺と勅使河原の二人だけ。

 

「戦いは明日。そうだろ勅使河原。そういう宣戦布告であったはずだ。小競り合い程度ですませておかなければ宣戦布告の意味がない」

「そうだね。今日はここまでにしておこうか」

 

 勅使河原は身をひるがえし、喫茶店の出口へと向かっていった。四人も後に続く。

 

「ああ、そうそう。飯泉。日野にもよろしく言っておいてね」

 

 そう言ったきり誰もしゃべらず、あいつらの姿が見えなくなるまでその場に立っていた。

 

 

 俺たちはアジトの庭に集まって今後の方針について話し合っていた。

 誰よりも大きな声で、場を仕切っているのは、ボス代理である日野ひさのだ。

 

「皆様も知っての通り、私たち『焔の高坏』に裏切り者が率いる『雑音見聞会』が宣戦布告をしてきました」

 

 これらの名前はチーム名のようであった。

 焔というのはおそらく日野のことを指すのだろう。

 雑音見聞は勅使河原の『知ろうとしたことは何でも知れる』ことの煩雑さを表している。

 なるほど、どちらもよく考えればなんとなしにわかる。

 

「場所は『八つ穴の祠』」

「それだよな。その八つ穴のなんちゃらってのはどんな場所なんだ」

「ざっくり言うと、強制的にトーナメントをさせられるとこだな」

 

 一つの山の中に八つの穴が開いている。

 八つの道はやがて合流し四つへ。

 四つの道は合流し二つへ。

 二つの道は、山の最奥にある大きな部屋につながっていているらしい。

 

「八つ、というとちょうど俺と日野を除いた戦闘員と同じ数だな」

「そういうことになりますね」

 

 これは明らかな誘導である。罠の香りしかしない。

 しかし、勅使河原の策にのらない手はないのだ。チームメンバーがすでにやる気になってる。

 彼女らにとって、裏切り者を倒すまたとない機会なのである。ここで背を向ければ不信感を抱かせかねない。

 

「問題は誰がどの穴に入るのか、か」

 

 八つの穴の中にはそれぞれ勅使河原の刺客たちが待ち構えているだろう。

 異能同士で戦う場合、最も気を付けなくてはならないのは相性であるらしい。

 また、自分たちは相手の異能を知らないのに、勅使河原によってこっちの異能は駄々洩れである。

 極めつけは――

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()』。誰がどの穴に入ってくるのが知られてしまうのは痛いな」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 これだけは避けなくてはならない。

 

「飯泉先輩、何かいい案はありますか?」

「ああ、あるぜ。とっておきのものがな」

 

 そう言って俺が取り出したのは()()()()()()()()




この回やけに難産でした。
後半部分の八つ穴のくだり、ちょっとややこしいと思うので次回詳しく説明します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。