黒き王の原罪   作:イテマエ

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原作とは少し展開が違うのはご了承ください!


第3話 黒き王の威光

 ある日の朝、と言っても春雄と一誠からしてみれば普通ではない。

 先日、一誠は天野夕麻という少女に殺されたが、その瞬間のことも、それ以降のことも覚えていない。

 春雄は一誠よりいくらか記憶はあるらしいが、殺されたその現場を見て以降のことは曖昧だった。

 朝からいろいろな疑問が浮かび、落ち着かない二人だったが、そんな彼らを嘲笑うように世界はいつも通り回っている。

 あまりにも日常すぎて、逆に二人は困惑していたのだった。

 

 

 

 学校に着いてすぐ、僕たちはいつものように松田、元浜に出会う。

 朝一からよくもまあアダルトな話をしてくるもんだ。

 僕は呆れを通り越して、二人にはむしろ感嘆する。もちろん心の中で。

 だがいつもと少し違うのは、この手の話に必ずと言っていいほど乗っかってくるイッセーが、妙に静かだったことくらいかな。

 朝、来る途中に話した天野夕麻のことで、ずっとモヤモヤしている。

 

「珍しいなイッセー。普段ならもっとノリが良いと思ったが…」

 

 眼鏡をクイッとあげて、元浜が問う。

 イッセーは僕によって聞かされた「殺された」という事を話すわけにもいかないので、とりあえず夕麻とデートしたことだけを伝えるが…

 

「お前に彼女なんて居たのか?」

 

と、松田が「ありえない」といった感じで苦笑いを浮かべている。

 これに僕とイッセーは「えっ?」と、ついつい言葉が漏れてしまった。

 

「何?春雄、お前までまさかイッセーに彼女がいると思ってんのか?」

 

 松田の問いに僕は頷くが…

 

「んなわけねえだろ。何かの間違いだって」

 

「でも一昨日松田と元浜にも、イッセーは自分から『彼女ができた』って報告してたし…」

 

 それでも疑う二人に、僕は頭を悩ませていると、

 

「そうだ、アドレス帳の連絡先を見せれば!」

 

イッセーが閃いた。

 確かにそれならきちんと証明できるかもしれない!

 いそいそと携帯電話を取り出して、早速アドレス帳を見るけど…

 

「…無い…」

 

「イッセー?」

 

「夕麻ちゃんの連絡先が…無い!」

 

 また僕とイッセーに衝撃が襲う。

 試しに写真データを見てみるも、案の定データは残されていなかった。

 あまりに不可解なことが連続し、立ち尽くす僕たち。

 そんな僕たちを不憫に思ったのか、松田と元浜は一度お互いを見た後、軽くため息をつき、

 

「ま、イッセーはともかく、春雄は疲れたんだろ!」

 

「『ともかく』ってどういうことだよ…」

 

「君はあれだろ?彼女が欲しすぎたあまり、幻覚を見ていたんじゃないのか?」

 

少し揶揄いながらも、二人は僕たちを励ましてくれた。

 イッセーも口では憎まれ口をたたくが、こうした何気ない友人との接触は、今の僕たちにとって心のオアシスだった。

 二人には感謝だな。

 なんやかんや言って、僕の数少ない友人なんだし…

 

「ありがとう。二人とも」

 

 

 3時間目は評判のいい神永先生の授業だったけど、ボーッとして内容が頭に入ってこなかった。

 昨日のことは夢だったと割り切ろうにも、どうしてもできなかった。

 目の前でイッセーが殺されるあの瞬間、僕には夢とは到底思えないほど生々しく、リアルだった。

 木々がザワザワと揺れる音、少し錆びかけた遊具の鉄の匂い…そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…血の匂い…

 

 

 

「どうしたらいいのかな…」

 

 窓の外を見て、僕はボソッと呟いた。

 

「どうしたもこうしたも、授業に集中しろ」

 

と、神永先生がいつの間にか僕のすぐ隣に来て、持っていた教科書で頭を軽く叩いてきた。

 それでハッとなった僕は、立ち上がって謝罪したと同時に授業は終わった。

 一度背伸びをして、昨日のことを冷静に思い出す。

 もしそのことが夢ならば、僕が朝起きたところから全てが夢ということになる。

 まるで本当にその時を過ごしたように体は覚えているが、百歩譲ってそうだとしよう。

 でもイッセーがデートに行くまでのことの全く同じ夢を、僕とイッセーは見るだろうか?

 

(どうすればいいんだよ…)

 

 僕は机に突っ伏して、目を閉じる。

 そして、最も記憶の新しい赤い髪の女性のことを思い出す。

 あの人、何か言ってたような………

 

 

 

 

 

「あっ!」

 

 

 

 

 

 昼休み、僕はイッセーを廊下に連れ出して、二人だけで会話する。

 その時妙に体をだるそうにしていたことは言及しなかった。

 あと…いや、今はいいか。

 

「なんだ?なんか思い出したのか?」

 

「この学校に赤い髪で、スタイルのいい女の先輩いなかった?」

 

 少し口が悪いことに、イッセーは「おいおい…」と呟いたが、

 

「それリアス先輩のことじゃね?」

 

「リアス…?」

 

 人に興味を全く示さない僕は、仲の良い人か、よく話す人以外のことはこれでもかと言うくらいわからない。僕の短所だと思ってるけど…

 

「お前知らないの!?この学校の2大お嬢様って謳われる、そのうちの1人だぞ!?」

 

 へぇ…そんな人いたんだ…この学校に1年はいたけど、先輩でそんな人がいるって聞いたことないしなぁ…

 そもそも知ってる先輩は生徒会長ぐらいだし、ていうか2大お嬢様?そんなのあるの?つーかあと1人誰?

 まぁそんな疑問は心の奥底に沈めておいて、

 

「そのリアスっていうのはどこの教室?」

 

「確か3年の教室だから…って、まさかお前!」

 

「もちろん、会いにいくに決まってる!」

 

「俺らみたいな問題児カルテットが会っていい…いや、謁見できる人じゃねえぞ…」

 

「そんなの関係ない。同じ()()、平等さ!問題なし!」

 

 そうと決まれば直行だ!

 僕はイッセーの制服の襟を掴んで、リアスっていう人のところまで走った。

 

 

 

 3年生の教室にて。

 もともと女子校だっただけあって、女子生徒、それも見るからに清楚で健康的な子が多い。

 その雰囲気に影響されてか、男子たちも清く正しい、整った体裁の者が多かった。

 昼食時、楽しそうに会話する子や、粛々と本を読む子、前の時間の復習をする子など、各々有意義に過ごしていた。

 

 

 

 

 

「失礼します!えっと…リアス!リアス先輩にお話があって来ました!」

 

 

 

 

 

 勢いよく開かれた扉は大きな音を立てて外れ、教室に何かと話題の二人が入ってきた。

 堂々と一切悪怯ることなく入ってくるのは、この駒王学園始まって以来のトラブルメーカー、問題児カルテットの要注意人物である兵藤春雄。

 まったく雰囲気にのまれない、いや、空気が読めない身内に頭を抱え、反対に入りずらそうにしているのは、問題児カルテットの一人、エロ馬鹿トリオのリーダー的存在の兵藤一誠。

 片や学校一の変態、片や馬鹿を通り越した暴走機関車。

 この教室の雰囲気に相応しくない二人の登場に唖然とする周囲。

 

「あそこか」

 

 そんなことお構いなしの春雄は、ずかずかとリアスのもとへ行く。

 さすがの彼女も困っていた。

 いざ話を切り出そうとした時、春雄はリアスから感じる違和感に眉をひそめる。

 そして、みるみるうちに彼から殺意が出始め、その瞬間教室は凍てついたように静まり返る。

 目の前でその殺意を受けるリアスは冷や汗が流れ始め、体に力が入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前から…()()()()()気配を感じるな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁいい…僕やイッセーに何か言うことはないのか…?」

 

 耳元で呟かれる声に震えるリアス。

 

「…ええ…あとで使いを送るから…その時じっくり話しましょ…」

 

 声を出すのもやっとの思いで絞り出すように伝えると、春雄はそこを去った。

 扉付近で待っていた一誠は、雰囲気が変わった春雄に静かに驚いていた。

 

「春雄…お前…」

 

「行こう…イッセー…」

 

 

 

 放課後、嘘のようにいつもの調子に戻った春雄は、窓の縁に腰をかけ、外に足を垂らしていた。

 あれほど殺気を放っていた様子はなく、今は呑気に鼻歌を歌っている。

 一誠は時々春雄に恐ろしさを感じてしまう。

 普段から何をしでかすかわからない危うさがあるのに、先程初めて見る殺気には文字通り固まって動かなかった。

 

(一応こいつは俺が死ぬ時までは覚えている…こうまでして殺意が湧くのは、何か関係あんのか…それとも…)

 

 異常なほどリアスを憎んでいるのか。

 だが春雄はこれまでリアスと会ったことはもちろん、そもそもいたことすら知らない無礼者だ。

 

(あのリアス先輩がこいつの恨みを買うなんて有り得ねえし…こいつになんかあんのか…?)

 

 なんて一誠は考えていると、廊下の方から悲鳴が鳴り響く。

 何事かと思った一誠だが、自分の目の前にその原因である人物が来ると、ため息をつき、嫌悪の視線を送った。

 

「いきなり敵意が向けられてる気がするんだけど…」

 

「当然だ。お前みたいなイケメンは、非モテの俺たちの敵だ」

 

 苦笑いする金髪の美少年は、メンチを切る一誠と、未だ外を見ながら鼻歌をする春雄と順に見ていく。

 春雄は気配を感じ、振り向くと見知らぬ生徒(ただしほぼ大半が該当)がいることに気づく。

 

「そんなところで休憩かい?危ないよ?」

 

 怪訝そうな顔で見つめる春雄と、柔らかな笑みを浮かべて見つめるイケメン。

 二人の間に妙な緊張が流れる中、最初に口を開いたのは春雄だ。

 

 

 

「誰?」

 

 

 

 その様子を見つめていた一誠と野次馬の女子たちは一斉にずっこけた。

 予想外だったのか、美少年は少し困った様子だった。

 

「挨拶が遅れたね。僕は木場祐斗さ。よろしくね、一誠君に春雄君」

 

 木場と名乗るこのイケメンは、キラキラの笑顔を向けてきた。

 それを見ていた女子達ははしゃぐか、この二人を羨ましがっている。

 明らか嫌そうにする変態、全く知らない感じの大馬鹿、誰もが憧れるイケメンという異色のトリオ。

 後日、俗にいう腐女子という者の間では、この3人の組み合わせの噂が広まることになる。

 

「あ!僕たちのこと知ってるっていうことは、君がリアス先輩の使いってこと?」

 

「うん、そうなるね。詳しい話をしたいからついて来てほしいな」

 

 木場は二人を連れ、廊下を歩いていく。

 向かった先は…

 

「旧校舎?」

 

 疑問を浮かべる一誠に、木場は頷く。

 

「ここが僕達の活動拠点でもあるからね」

 

「だから意外に綺麗なんだ」

 

 春雄は初めての旧校舎に興味津々。

 嗜めようとする一誠を見て、二人の仲の良さに微笑む木場。

 そうしている間に目的の場所の目の前までくる。

 木場が扉を開くと、その中は妙に薄暗く、蝋燭の淡い光に照らされる物騒な絵画や、オカルト系の本があった。

 雰囲気に飲まれそうになる一誠と、これまた好奇心を示す春雄。

 目が慣れてきた春雄は、ソファでお菓子を食べる少女の存在に気づく。

 

「ねぇイッセー、あれは誰?」

 

 この男、遠慮も無礼もお構いなく、指を刺して一誠に問う。

 

「あの子は塔城子猫ちゃん。この学園でロリ属性に人気なんだぜ」

 

 目の前に人気者がいたことに、一誠もテンションをあげていた。

 とりあえず軽く挨拶をする二人だが、子猫の反応は素っ気ない。

 まぁ当然だろうな…無遠慮な二人に子猫はどこか不愉快にも見える。

 

「ところで、リアス先輩は?」

 

 この部屋に目的の人物がおらず、一誠は隣の木場に尋ねる。

 

「もう少しで来ると思うけど…」

 

「今こっちに二人向かってきてるよ。一人はリアス先輩かもしれないけど、もう一人はわからん」

 

 唐突に喋り出した春雄の内容に、一誠は困惑している。

 何もこちらに向かって歩いてくる音なんて聞こえないし、()()()()なら当然わかるはずもない。

 だが木場はもちろん、先程まで無表情だった子猫も少し驚いていた。

 そして、春雄の言った通り、リアスともう一人の美少女がやって来た。

 二人に向かって木場は態度をあらためて報告する。

 

「部長、例の二人を連れてきました」

 

「ご苦労様」

 

 リアスはそのまま一人用の重厚感のある椅子に座り、一誠と春雄にその前にあるソファに座るよう促す。

 美男美少女揃いにやや緊張気味の一誠と、勝手に手に取った本を見る春雄に、長い黒髪をポニーテールにした、こちらもスタイルが素晴らしい美少女がお茶を出してきた。

 当然、この人物を誰か知っている一誠は、その容姿に思わず見惚れていると、目が合ってしまい、アタフタと慌てて視線を外す。

 そんな彼を、美少女は上品に笑った。

 

「なにもそこまで緊張する必要はありませんわ」

 

「そう…ですが…」

 

「?」

 

「学園の2大お嬢様が揃ってて…」

 

「あらあら、うふふ」

 

 頬を赤く染める一誠に妖艶な笑みを向ける朱乃。

 そして春雄にもお茶が出されるが、

 

「ありがとうございます」

 

と、一誠とは真反対に、平静を保ったままそのお茶を飲んだ。それも熱々のうちに。

 一誠は時折、春雄の心臓に鉄の毛でも生えているんじゃないかと思ってしまう。

 

「イッセー!これうまいぞ!」

 

 また空気を読まずにはしゃぎ始める春雄に、一誠は頭を抱える。

 だがリアスが咳払いをしたことで、再びその場に緊張感が戻る。

 

「私はリアス・グレモリー、このオカルト部・部長でもあるわ」

 

「私は姫島朱乃ですわ」

 

 簡単な自己紹介の後、一誠も春雄も同様に名乗った。

 そして、次にリアスによって告げられた言葉に、二人は電撃が走ったかのようなショックを受ける。

 

「まず、私達は()()よ。そして一誠君、あなたを悪魔として歓迎するわ」

 

と、リアスのカミングアウトと同時に、春雄以外のこの場にいる者からコウモリのような黒い翼が生えた。

 驚いて何も発せなくなる一誠と、絶望に近い表情の春雄。

 

 その後、天野夕麻が堕天使であり、一誠を殺そうとした理由を説明してくれた。

 一誠の中には神器(セイクリッド・ギア)という特別な力が眠っており、危険分子と見做した堕天使側が排除しようと寄越した刺客の可能性があるらしい。

 こんな突拍子もない話をいきなり信じるのも無理はあるが、殺されたその瞬間の記憶が突然鮮明に思い出され、しかし現に生きていることから一誠は信じざるを得なくなった。

 

「じゃあイッセーはもう…人間ではなくなった…」

 

 しばらく黙っていた春雄は、告げられた残酷な現実に呆然としていた。

 そんな彼に、皆哀憐の視線を送っていた。

 大切な、家族同然だった人が、殺された挙句に人をやめて悪魔になっていたのだ。普通の人なら受け入れられないだろう。

 そんな彼を斟酌したリアスは、

 

「ごめんなさい…でも助けるためにはこうするしかなかったの…」

 

「ええ、わかってます。わかってますけど…」

 

 今そこにある彼の姿は、あの元気を通り越した究極の馬鹿ではなく、精神的に憔悴し、項垂れている姿…

 

 そうして春雄と一誠は、悪魔の事情や、この学園との繋がりなど、気になることを聞いていく。

 

「こんな話…人間である僕に話していいんですか?」

 

「本当は控えるべきだったかもしれないけど、あなたはこれから狙われる可能性があるわ」

 

「どういうことですか?」

 

「それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………生身で人間であるあなたが堕天使を撃退したから…」

 

 その一言に部長以外の者すべてが瞠目した。

 冥界に住む者たちは、人よりもはるかに身体能力が高く、通常ただの人間が肉弾戦を挑んで勝つのはまず不可能だ。

 しかし、春雄は堕天使である天野夕麻の攻撃をものともせず、圧倒的な力でねじ伏せた。

 

「ひょっとすれば…あなたも何か特別な力を持っているかもしれない…そしてそれが理由で排除しようとする者も現れるかもしれない…」

 

 不安になり始める春雄。

 狙われること以上に、自分の普通ではないことに恐れを抱いている。

 

「だからこそ、あなたのことを保護したいの。その力が不用意に振り回されないように、私たちに監視させてほしいの」

 

「それってつまり…」

 

 春雄に再び殺意が湧きおこる。

 一誠は狼狽え、他の部員たちはついつい構えてしまう。

 

「僕も悪魔になって眷属になれと?」

 

 表情こそ変わらないが、その瞳に宿る殺気には圧倒されるものがある。

 

「そんなつもりはないわ!一誠君は転生したうえ、さっきの話で自分から眷属になると言ってくれた…

 でもあなたは、あくまでも人間。だから眷属にするということも、あなたが望まない限りないわ!」

 

「保護という名目で監視下に置き、この得体のしれない力を戦力にしようと考えていませんよね?」

 

「そ、それは…」

 

「悪魔的な狙いなら、戦力増強を優先させるでしょう?保護と言うより協力を持ちかけている気がしてならないです」

 

 底冷えさせるような声で圧をかける春雄。

 

(こんなこいつ…今まで見たことが…)

 

 恐れおののく一誠に、ふと小さい頃の記憶が甦る。

 

 

 

『イッセーは信じてくれるの?』

 

『ああ!お前が見たっていうなら俺は信じる!そんなくそったれ野郎たちのこと、俺だって許せねえからな!』

 

 

 

 黙りこくってしまったリアスに、春雄は、

 

原生への興隆(ルイン&リバイス)を知ってます?」

 

と、突然訪ねる。

 唐突に飛び出したこの単語に、皆頭に「?」を浮かべる。

 本当に何も知らないようだった。

 すると、

 

「すみません…取り乱していました…」

 

 先ほどとは打って変わって、頭を下げる春雄。

 

「今後のことを考えると、僕もそちらに身を置いたほうがいいかもしれませんね。ぜひ協力させてください」

 

 雰囲気が何もかも変わった春雄に、オカルト研員は呆気にとられていた。

 

 春雄に対して様々な疑問が残り、晴れない気持ちの中、早速一誠に悪魔としての仕事のビラ配りが言い渡された。

 大量の紙を前にやる気が失せた一誠だったが、リアスに上手くのせられると勢いよく飛び出していった。

 

「あの…」

 

 一誠の手伝いに行こうとする春雄を止めたのは、まさかの子猫だった。

 

「確かに私たちは悪魔ですけど…ここにいる皆さんは悪い人たちじゃないです…だから…その…」

 

 すると、

 

「あの時は驚かしてごめん…でもみんな良い人だってのはわかったから…」

 

 苦笑いする春雄は、心底申し訳なさそうにしていた。

 

「その…まるで悪魔のことを恨んでる気がして…」

 

「いや…えーと…その…ちょっと事情があってね…今度話すので」

 

 そう言うと、そそくさと部屋を出ていく。

 残されたメンバーは呆然とその様子を眺めるだけだった。

 

 

 

 

 

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