じんせい詰め合わせ   作:湯切

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※ポケモン(HGSS)世界にうちは一族が存在したら絶対面白いじゃん……と思って衝動的に書き殴ったネタです。
続かない可能性が高いので、クロスオーバー含めて大丈夫そうな人のみどうぞ。




HGSS世界でのうちは一族シリーズ
エンジュにうちはあり


 ジョウト地方にあるエンジュシティ。

 

 歴史の街と呼ばれてるだけあって、今日(こんにち)まで続く長い歴史の延長線上に立っている街である。

 

 美しい景観を損なわないように様々な工夫が施されており、この街を訪れた人はその洗練された美の虜になる人も少なくないのだとか。

 

 歴史というのは、血を繋ぐことでもある。恐らくこのエンジュシティで一番古い血筋を持つ一族こそが、うちは一族。俺の生まれた一族だ。

 人間でありながら口から炎を吐き出す特異体質を持っていて、特にご先祖様であるうちはマ……なんとか様はあの伝説のにじ色ポケモン、ホウオウから直接の加護を受けた唯一の人間だと言われている。

 多分人間の皮を被った第二のポケモンか何かなんだと思う。一族に代々伝わる巻物には彼の偉業がつらつらと書き連ねられているが、どれも人間離れした所業ばかりが載っていた。

 

 そんな、"なんかよく分からんが凄そう"なうちは一族ではあるが、現代ではただの火吹き野郎として全国にその名を轟かせている。呼び名だけでエンジュシティの景観を損ねそうなレベルである。

 父さんの世代に一度街側から「もっと高貴な雰囲気の呼び名を広められなかったんですか?(意訳)」と指摘されたことがあるらしいが、父さんは歯軋りしながら「こっちは全国から弟子入り希望の火吹き野郎が集まっててそれどころじゃないんだよ火消しはそっちでやれ!(意訳)」と返し、その日から街を管理する上層部とは不仲が続いているらしい。

 しょうもなさすぎて閉口しちゃったのは記憶に新しい。

 

 そんな黒歴史もたっぷりなうちは一族に嫡男として誕生してしまった俺の名は、うちはスバル。

 生まれつき声が出せない体質ではあるが、火吹きの才能だけは辛うじて受け継いでいたようで村八分もなくここまで細々と生きてこられた。

 

 まだ上手く火も吹けない二歳の時にヒワダタウンの隣に広がるウバメの森にその身一つで放り出され、ポケモン一匹捕まえてくるまで帰ってくるなと無茶振りされたり(トランセルを捕まえた)、自然公園の無差別連続ポケモンバトルマン達が蔓延る魔窟に捕まえたトランセルと放り込まれて完膚なきまでに叩きのめされたりしたが、俺は無事に生き延びた。

 

 トランセルは"かたくなる"だけは覚えていたが、"かたくなる"すらもできない生身の子どもがどんな目に遭ったかは言うまでもない。人間、生きていればそれで勝ちだと思う。生きてて偉い。

 

 そんなトランセルも俺が3歳の誕生日を迎える頃にはバタフリーに進化して、言葉を交わさずとも心を通じ合わせる良き相棒になっていた。

 それまではトランセルの"かたくなる"でバトルを長引かせている間に俺が相手のポケモンに口から吐き出した火を命中させるという、対人間におけるポケモンバトルでは間違いなく反則扱いされることをしていたわけだが、野生ポケモン相手なら大丈夫だろう。野生という無法地帯において、ルールはこの俺である。異論は認めない。

 

 

 

「3歳のお誕生日おめでとう、スバルくん」

 

 一族のほぼ全員が集まった俺の誕生日会。

 俺は挨拶に来てくれたその人が腕に抱えたぬいぐるみのようなポケモンから目が離せなくなった。

 

「私からの誕生日プレゼントを受け取って貰えるかな?」

 

 優しげな目が俺を見下ろしている。俺はただただ頷くことしかできなかった。

 そっと差し出されたポケモンを受け取って抱きかかえると、温もりと共にお日様の匂いがした。

 

「古い知人から貰った卵から生まれた子でね。生き物の放つ波動という力を読み取れるそうだ」

 

 そのポケモンは、リオルというらしい。くりくりとした円らな瞳が腕の中から俺を見上げている。

 

「君ならきっと大切にしてくれるだろうと思ったんだが………」

 

 リオル。何故かその名前はあっという間に心に馴染んだ。

 俺はリオルを落とさないようにしっかりと片腕で支えながら、空いた方の手で指文字を綴る。

 

《ありがとうございます》

 

「リオルを頼んだよ。私の息子もそろそろ1歳になる。またリオルと一緒に遊んでやってほしい」

 

 こくこくと頷く。確か、シスイという名前だっただろうか。

 その後も親戚達からたくさんのプレゼントを受け取り、愛想笑いには愛想笑いで返しながら(出来てるとは言ってない)、俺の誕生日会は無事に終わった。

 

 ただ3年生きただけの子どもを祝うためだけに"まいこはん"が踊りを披露してくれたり、富も権力も申し分ない一族である。

 親世代からは街の上層部との不仲オーラが漂っているが、今のところお互いに不可侵条約を結んでいるようで目立った諍いは起きていない。このままずっと平和でいてくれ。俺の心の平穏の為にも。

 

 

 バタフリーは孤高の存在というか、過剰に干渉を嫌う性格をしていてモンスターボールにも入らずに好き勝手過ごしていることが多い。性格は"さみしがり"らしいが、俺は信じていない。

 リオルはバタフリーとは真逆だった。モンスターボールに入ろうとしないところだけは一緒だけど、どこに行くにも俺の後をついてくる。最初は可愛いなあと思っていたが、俺がトイレに入った時ですら扉の前でじっと待つものだから圧がすごい。おかげで便秘になりそうだった。汚い話でごめん。

 

 バタフリーが同い年のちょっと気難しい友達だとしたら、リオルは年の離れた手のかかる弟だろうか。二人とも(俺はポケモンのことを人間と同じように数えている)ポケモンバトルにおいては非常に頼りになる存在なのは間違いない。

 とくにリオルは波動を読み取る力のおかげなのか、付き合いの長いバタフリー以上に俺の心を察知して行動に移してくれることがあった。

 

 

 

「ただいま、スバル」

 

 暫く病院に入院していた母さんがふわふわの毛布に包まれた何かを腕に抱えながら帰宅した。

 無表情のまま立ち尽くしている俺に母さんが苦笑している。俺は母さんのお腹の中に声だけでなく表情筋すらも置いてきてしまったようだ。

 

「ほら、お兄ちゃんよ、イタチ」

 

 その場で膝をついた母さんの腕の中を覗き込む。抱っこしていたリオルがこてんと首を傾げた。

 

「スバルにとっては弟ね―――リオルにとってもそうかしら?」

 

 母さんの言葉を正しく理解したのか、リオルの瞳がきらきらと輝いている。ぴょんっと俺の腕から降りて、期待しているような目でこちらを見上げてきた。

 

「……………」

 

 母さんに言われた通りに慎重に弟……イタチを抱っこする。すぐに嬉しそうなリオルがぴたりと寄ってくる。正直、首がぐらぐらしていて怖い。それでもぷっくらとした頬や同じ人間なのかと思うくらい小さな手のひらから目が離せない。

 初めてできた弟は、びっくりするくらい可愛かった。

 自然と頬がゆるゆると緩む。俺を見た母さんは驚いたように目を瞬かせて、少し泣きそうな顔で笑っていた。

 

 

 

 

「スバル兄さん!」

 

 ウルトラスーパー可愛い弟であるイタチも2歳になり、その可愛さにもさらに磨きがかかっていた。あの気難しいバタフリーですらイタチの可愛さにメロメロになってるくらいだから相当だと思う。

 

「またバタフリーがオレのところに来てたよ」

「……………」

 

 イタチはポケモンを引き寄せるフェロモンか何かを出しているのかもしれない。

 バタフリーに限らず、イタチの周りにはいつの間にかポケモンが集まる。オレとイタチが並んで立っていて、イタチの方に行かないポケモンなんてリオルくらいだった。

 

 イタチの周りをご機嫌そうに飛び回っていたバタフリーは俺と目が合うと露骨に鼻で笑った(気がした)。いい度胸じゃないか。

 

「ダメだよ、バタフリー。キミは兄さんのポケモンなんだから」

 

 なかなかイタチと離れたがらないバタフリーに、イタチが困ったように眉を下げる。2歳にして魔性の男になってしまっているイタチ。我がバタフリーながら見る目がある。

 

《かまわない》

 

 バタフリーの気持ちはよく分かってるつもりだ。あんな態度を取っているが、俺のことを嫌っているわけではないことも。……ただ、イタチの側があまりにも心地良すぎるってだけで。

 膝の上に乗っているリオルの額を撫でる。気持ちよさそうに目を細めている。

 すると、ふらりとバタフリーが俺の肩の辺りにやってきた。リオルを撫でていた指を差し出すと、そこにとまる。

 

「……………」

 

 バタフリーは今でも俺の大事な相棒だ。それはこれからも変わらない。

 

《イタチ》

 

 指文字にイタチがすぐに反応する。

 

《おれの バタフリーを たのむ》

「え? でも…………」

《おまえさえ よければ》

 

 イタチならきっとこの子を可愛がってくれるだろう。それに、バタフリーにならイタチを任せられる。

 

 俺がイタチくらいの年齢の時には例のウバメの森放置プレイによりトランセルという心強い(硬さ的な意味で)相棒がいたが、イタチの時代からはあの悪習は無くなってしまった。どっかの団体に虐待だとか何とか騒がれたらしい。いいぞいいぞ、もっと言ってやれ!

 

 そんなわけでイタチはまだ自分のポケモンを持っていない。

 うちはの家紋付きの服を着て出歩いているだけで「火吹き野郎だ! ポケモン勝負しろ!」と絡まれる物騒な時代である。護身用のポケモンがそばにいた方が安全だ。

 

《バタフリー》

 

 バタフリーに"声"をかける。賢いバタフリーは理解している素振りでじっと俺の指の動きを追う。

 

《このこが おおきくなるまで まもってくれるか?》

 

 バタフリーが鳴いた。力強く、任せろと言わんばかりに。

 イタチの顔がぱっと明るくなって、俺とバタフリーを交互に見つめる。

 

「いいの……? だって、スバル兄さんが大事にしてるポケモンなのに……」

《おまえだから まかせたいんだ》

 

 俺の指にとまっていたバタフリーがまたイタチの周りを飛び回る。

 

《おれには リオルもいるから》

 

 リオルが得意げに胸を張る。イタチが「えへへ」と笑う。

 

「ありがとう、スバル兄さん。オレ……兄さんのようにバタフリーのこと大事にするから!」

 

 

 




バイバイバタフリー………。

カタカナ頻出&お面がないこの世界線で指文字を全て平仮名にするとえらいことになりそうなのでカタカナは分けてます。

随分と久しぶりにHGSSを初期化して一からプレイしてたんですが、それはもう楽しすぎて、ワタルはマダラ相手でも容赦なくはかいこうせんしそうだなあとかこの世界線のマダラも元気に闇堕ちしてそうだなあとか考えてました。
イタチやサスケの手持ちポケモン考えるだけで楽しくない?永遠に時間使える。サスケは火吹き野郎らしくほのおタイプで固めてるのもいい。イタチはどんなタイプにも対応できるように色んなタイプのポケモンと一緒にいそうなイメージがある。
うちは三兄弟とその辺のモブが戦闘に入った場合、サスケとイタチが強すぎて多分スバルにまで順番回ってこない。実力も正体も不明なとりあえずやばそうな長男というイメージだけが広まってそう。
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