ネタ募集で続きくださいって送ってくれた人ありがとう!まだいらっしゃるか分からないけど続きをどうぞ!!
なにが更新されたか分かりやすくするために暫くは目次の一番下にぶら下げておきます。そのうち②の下に並べてるはず
先日もう一人弟が生まれた。
名前はサスケ。イタチにとっては初めての弟だ。
今日もイタチはバタフリーを連れてサスケのいる離れで過ごしているらしい。もちろん俺も塾帰りに顔を出す予定だ。
イタチが生まれた時も弟って可愛いなあなんて思ったけど、サスケは俺と8歳も離れているせいかさらに可愛い。あまりに可愛すぎて最初は女の子かと思ったくらいだ。
「おはよう、スバル。前回渡された宿題やってきた?」
「……………」
キキョウシティにあるポケモン塾。適当な席に座って鞄から参考書などを机に出していたら、隣に誰かが座った。顔を上げる。目の前で癖のない黒髪が揺れていた。
おぼかた一族のセキ。数年ほど前にカントー地方からジョウト地方のヒワダタウンに引っ越してきたようで、今年からセキだけがポケモン塾に併設されている寮で一人暮らしをしてると聞いている。
「僕もやってきたよ」
「………………」
「今から答え合わせする?」
「………………」
「そうだね、思ったよりも簡単だった」
念の為言っておくが、俺はセキを無視しているわけではないし、セキは独り言の多いやべーやつというわけでもない。
セキの一族は代々サイキッカーで、その時の体調や相手にもよるらしいが人の心を読むことができるらしい。
それまでご近所のサイキッカーが「お前は今から私とバトルをするだろう!」と予知してくるたびに適当にあしらっていたが、セキと出会ってからは彼らへの認識を改めることになった。サイキッカー凄い。
お前は絶対違うだろ……という奴はいるものの、実際にモンスターボールを浮かせている人をよく見かける。セキにもできるのかと(心の中で)聞いてみたら「できるよ。ほら」と俺が持っていたペンを浮かせてみせたこともある。サイキッカー凄い。大事なことなので2回言った。
「セキくん! 今日は塾に来ないって言ってなかった?」
セキの姿を見つけた塾生たちがわらわらとセキの周りに集まってきた。そのほとんどが女の子だ。
「うん。だって今日はスバルが参加してるって聞いたから」
「……………」
「わざわざポケギアで連絡をくれた人がいたんだ。親切だよね」
セキが俺をみて柔らかく微笑む。なんだかいたたまれない気持ちになって顔を逸らす。
セキはいつも男の格好をして、自分のことを「僕」という。以前なぜそんなことをしているのかと聞いてみたら「何となく」と返ってきた。本当に特別な理由はないらしい。
最初からセキの性別を知っていた塾の先生が「セキちゃん」と呼んだことがきっかけで全生徒が彼女の性別を知り、教室内に衝撃が走ったのが懐かしい。俺もその中の一人だった。
その日から彼女は不定期に女の格好で塾に現れるようになった。その時は一人称も「私」になっていて、男の格好の際は後ろで一つ結びにしている髪を解いていることが多い。
授業が始まるとセキの周りに集まっていた子たちも自分の席に着き、先生が黒板に書いた内容を静かにノートに写す時間が流れた。
このクラスではポケモンバトルよりもポケモンの生態や体調管理を主に学ぶ。とにかくポケモンと冒険したりバトルに勝利して強くなりたい!という人はまず受講しないか後回しにされてしまう授業で、主にただポケモンと共に暮らしていきたい人や将来ポケモンセンターなどポケモンと関わる場所で働きたい人が優先的に選択している。その内容から子どもだけでなく大人が参加しているのを見かけることもあった。
全ての授業が終わる。窓から外を見ればすっかり日は沈みかけていた。慌てて椅子から立ち上がってカバンに荷物を詰めていく。
まずい、のんびりしてたらサスケの起きている時間までに家に帰れなくなる。
サスケはミルクと睡眠を決まった時間にきっちり摂るタイプなのでたった数分の遅刻が命取りになってしまう。寝ているサスケも勿論可愛い。でも俺は起きているサスケに会いたい。
「また次の授業で!」
俺の心を読んで察しているのかセキは何も聞かずに手を振って送り出してくれた。こくこくと何度も頷いて、ちょっと迷ってから小さく手を振り返す。
塾を出てからは全力ダッシュでうちはの屋敷に向かった。
ポケットの中に入れているモンスターボールが不機嫌そうに震えている。
布の上から優しくつついてやると震えが少しずつ収まってきた。塾に行く時は仕方なくリオルをモンスターボールに入れているのだが、彼はモンスターボールが大嫌いなのでこうやって「早く出せ」と何度も催促してくる。そんなにボールの中が嫌なら屋敷で待っていてもいいと伝えているのに、それはもっと嫌だと余計に臍を曲げてしまうので困ったものだ。
うちはの屋敷に駆け込んだ俺は真っ先にポケットからモンスターボールを取り出してリオルを解放した。その瞬間に俺に飛びついて鼻先をぐりぐりと押し付けてくるリオルを抱っこしながら、真っ直ぐ屋敷の離れへと足を進める。
屋敷は炎タイプのポケモンたちで溢れている為、炎を弱点とするポケモンや、生まれたばかりで特別な保護が必要な赤ん坊(人間もしくはポケモン)がこの離れで暮らしている。
バタフリーも最初はここで暮らしていた。今では俺やイタチの言葉を無視して好き勝手に屋敷中を飛び回っているけれど。
「スバル兄さん、おかえりなさい」
《ただいま》
「……リオルはまた怒ってるの?」
サスケの部屋に着いた。中にはサスケを抱っこしているイタチしかいない。
リオルと目が合ったイタチが苦笑する。リオルが大きく頷く。彼は俺に抗議するようにモンスターボールを指差して自分の顔を俺に押し付けた。
「"スバル兄さんと一緒にいたいのにモンスターボールに閉じ込められた"ことを怒ってるのかな」
エスパータイプも真っ青なレベルでぴたりと言い当てたイタチ。
リオルは満足そうに笑って、またべったりと俺に抱きついてきた。ふさふさな体毛のせいで暑苦しい。べりっと引き剥がすと足で顔を蹴られた。
「でも仕方ないよ。リオルは迷子になったことがあるんだから」
痛いところをつかれたリオルがぷうっと頬を膨らませる。
ボールに入れずに一緒に外に出た時、何に対しても興味津々なリオルが一瞬目を離した隙にいなくなってしまったことがあった。それ以降塾や買い物など出先でずっとリオルを見ていられない場合はボールに入れて持ち歩くことにしていた。その代わりただの散歩ではボールに入れずに手を繋いだり抱き上げたりしている。
「スバル兄さんもサスケを抱っこする?」
「………………」
少し悩んで首を横に振る。イタチの時は俺も小さかったからそんなに気にならなかったけど、今は少し力を入れてしまっただけで怪我をさせてしまいそうで怖い。
「そっか……」
ちょっと寂しそうな顔をしたイタチに罪悪感で胸がちくちくと痛む。臆病な兄でごめん。
イタチの隣に立って、腕の中でうとうとしているサスケを眺める。可愛い。俺だって本当は抱っこしたい。でも可愛い弟を抱っこしてる可愛い弟という状況に大満足してるので今はこれで十分だ。
父さんたちは高名な画家を手配してこの素晴らしい景色を後世に残す努力をすべきだと思う。
俺、ついに10歳。ようやく2桁ねえ、おめでたいわねえという親戚の生温かいお祝いの言葉をたくさん貰った。3歳の時よりも豪華な誕生日会を開かれて、父さんに連れられて挨拶回りをしたりと、とにかく忙しい。
数日間は疲労でぐったりしていたら、わざわざ俺の部屋までやってきた父さんに「ファントムバッジを手に入れてこい」と言われた。
ポケットには寝てる間にこっそりモンスターボールに入れておいたリオルがいる。というかリオルしかいない。マジで言ってる?
「おーす! 未来のチャンピオン!」
逃げ出す前に受付のおじさんにがっつり認知されてしまった。ここから入れる保険はないんですか?
顔を上げると、おじさんはキラキラと目を輝かせていた。……眩しい。
「黒髪に、黒を基調とした服に"うちわマーク"! うちは一族の子だろう!」
「……………」
某赤毛一家を判別する時と同じノリだった。これだから家紋が入った服の着用を義務付けるのはやめろとあれほど……言ってないけど。
この服のせいでイタチが誘拐されそうになったこともあるし、全部燃やしてもいい気がしてきた。
「代々優秀な火吹き野郎を輩出しているうちは一族なら大丈夫だろうが、このジムのトレーナーはゴーストタイプを好んで使っている! まさかノーマルや格闘タイプを連れてきては―――」
ポケット越しに指がこつんとモンスターボールに当たった。光と共に飛び出してきたリオルが俺とおじさんの顔を見比べて不思議そうに首を傾げている。
「………いるようだな! しかし、リオルだけというわけではないだろう! うちはらしく炎タイプのポケモンが他に―――」
おじさんは俺のズボンの両ポケットを見た。明らかにボールが一つしか入ってないであろう膨らみを。
サングラスの奥でおじさんがとても悲しそうな目をした。
「…………何しにきたんだ?」
「……………」
やめてくれ、その言葉は俺に効く。
リオルは基本的にノーマルや格闘タイプの技しか覚えてこなかったが一つだけ例外がある。今となってはそれだけが頼りだ。
エンジュジムの中は照明もなく真っ暗闇だった。
不安定な足場から落ちないよう手探り状態で進んでいく。暗いところが得意ではないリオルはすでに怯えきっていて俺の首を絞める勢いでしがみついている。
「くうん……」
「………………」
なんとも情けない鳴き声に笑いそうになった。指で鼻先をちょいちょいと撫ででやってもすぐに顔を俺の首元に押し付けて隠してしまう。よっぽど怖いらしい。分かる、分かるぞ。
暗闇の中を一歩一歩慎重に歩いていたら、いくつか蝋燭の炎が灯る場所に出た。俺にしがみついていたリオルが出口だと勘違いしたようで嬉しそうに顔を上げる。
蝋燭の灯りがゆらりと動いた。その動きに合わせて俺とリオルの顔を順番に照らしていく。
近づくにつれて蝋燭を頭につけた老婆の顔がぼんやりと浮かび上がってきて、俺とリオルはお互いの身体をひしりと抱きしめ合いながら飛び上がった。
「………!? ………!!!」
「くきゅうん!!」
寿命縮んだ。絶対今ので寿命持っていかれた!
「私たちのポケモンにダメージを与えられるか?」
老婆の後ろからゴースが出てきて強制的にバトルが始まる。
ポケモンとしての性なのか思考停止して立ち尽くしている俺とは違って、リオルは勇敢にも俺の腕から飛び降りてゴースと対峙している。そのあまりにもカッコいい後ろ姿に胸がときめく。……正直ゴースよりもお婆さんの方が怖かった。
「ほぉ……格闘ポケモンを選んでくるとはの……うちは一族の力、しかと確かめさせてもらうぞ!」
「………………」
バタフリーの世話をイタチに任せている今、相棒がリオルしかいないだけなんだと声を大にして叫びたい。
叫べない代わりに俺は心の中で強く思考した。リオルが「任せろ!」と言わんばかりに一度こちらを振り返って頷く。普段まったく動いてくれない俺の表情筋が少し動いた気がした。
「ゴース! "くろいまなざし"!」
闇の中で大きな瞳がぐぐぐ……と不気味に開いて、閉じる。リオルの全身の毛が逆立っていた。
「これでお前のポケモンは逃げられない。有利ポケモンと交代することも出来なくなった」
「………………」
初めから俺にはリオルしかいないのでただの無駄打ちだよと教えてあげようとしてやめた。どう考えてもリオルしか連れてきていない俺の頭の悪さが強調されるだけじゃないか。
ふう、と息を吐き出す。こうやって真剣にポケモンバトルをするのは久しぶりだ。
リオルが俺が頭に思い浮かべた通りに"でんこうせっか"であっという間にゴースに近づいていく。ノーマルタイプの攻撃はゴースには当たらない。けろりとしているゴースがリオルに"ナイトヘッド"を放ったが、リオルの両脚はすでに炎に包まれていた。
「なっ……なにぃ!?」
リオルの"ブレイズキック"がゴースに炸裂する。
一発で目を回して倒れてしまったゴースを老婆が慌ててモンスターボールに戻していた。
「タマゴ技……! それもうちは一族らしく炎の技とは!」
「………………」
リオルの"ブレイズキック"は彼が生まれた時から身につけていた技だ。それが炎だったのはたまたまなのか、リオルの卵をくれた親戚のおじさんの知り合い(なんかややこしいな)の意図したものなのかは分からない。
常に炎と共に生きるうちは一族の元で育った影響か、リオルが纏う炎は他のポケモンよりも洗練されている気がする。
父さんは「進化すれば炎が苦手な鋼タイプになるだろう」と複雑そうにリオルを見ていたが、俺は大丈夫なんじゃないかなぁなんて思ってたりする。
生まれつき炎の技を持ち、炎ポケモンや炎を扱ううちは一族に囲まれて育った子だ。炎が弱点という体質は変えられない。それでも身近な存在である炎に怯えず立ち向かっていける。そんな気がするんだ。
あっという間に手持ちを失ったお婆さんから賞金を受け取り、俺はリオルに"おいしい水"を渡す。この間コガネシティまで行った時に買っておいたものだ。
鞄の中には"ピーピーエイド"もある。気軽に家を出ようものなら一瞬で「火吹き野郎だ!」と血の気の多いポケモントレーナーたちに囲まれてしまうせいで、常に大量の回復アイテムを持ち歩かなければならなくなった。今だけはその習慣に感謝したい。
「くきゅう………」
「……………………」
ゴースは平気なのにどうしてただの暗闇はダメなのか。
僅かな隙間もないんじゃないかってくらいぴたりとしがみついてきたリオルの背中を撫でながら、俺はさっきと同じように暗闇の中を手探りで進み始めた。
ちなみにうちはの大人世代を火吹き野郎呼びするとがっつりキレられるし、連れてるポケモンのかえんほうしゃと本人の火吹きのダブルパンチを食らう。
今はHGSSとBWをのろのろと並行してます。BWでNに心を読まれて「キミは…ポケモンか……?」って言われるスバルが見たくなってしまった。
ポケモン楽しすぎるから別のシリーズもやりたいな。とりあえずリメイク版のルビサファは買おうと思います。メガ進化まったく分からないけどここから入って大丈夫なんだろうか。
そういえばマツバさんの年齢は現時点で不明っぽいのでこの作品では25歳くらいで考えてます。どっかで情報出てたらごめん。今はゲームのストーリーが始まる10年前なのでマツバさん15歳。ジムにいてもおかし……くないね!(ポジティブ)