①って書いてますが続きは厳しそうなのでそれでも大丈夫な人はどうぞ
暁のイタチとオリ主が入れ替わるネタ①
「イタチさん、どうかされましたか?」
「…………」
今日は鬼鮫と二人で簡単な任務を遂行していた。
暁のアジトを嗅ぎつけてきた忍たちの始末――オレと鬼鮫の前にはすでに死体が転がっている。任務は完了した。……それなのに、オレは妙な胸騒ぎのせいですぐにその場を離れることが出来なかった。
顔を上げる。空は分厚い雲に覆われていて、今にも雨が降り出しそうだ。
「彼らの捨て台詞なら気にしなくていいと思いますよ」
先ほど手にかけた忍たちが残した言葉のせいだろうか? いや、それもいつものことだ。
“呪ってやる”なんて。
今までもこれからも何度だって耳にする言葉だろう。ぎゅっと無意識に握った拳に力が入る。
「……戻るぞ」
ぱちり。
「…………」
ズキズキと痛む頭を押さえる。寝起きのせいかぼやける視界の中で、見覚えのない布団を見つめた。
「…………」
見覚えがない? そんなはずはない。そもそもオレは……。
こうなる直前の記憶が徐々に蘇ってくる。オレは――鬼鮫といくつか言葉を交わして暁のアジトに戻るところだった。それがどうして。
「……? ………!!」
喉を押さえる。声が出ない。一体どうなっている?
あの後何者かに毒を盛られて気絶したのか? そのせいで一時的に声が……?
瞬時に立ち上がって、やはり見覚えのない部屋を見渡す。扉は一つ。ご丁寧にオレが寝かされていた布団のそばにはホルスターやクナイ、手裏剣、手入れの行き届いた忍刀まで置いてある。
それら全てを身につけて扉の前に張り付いた。
「…………」
人の気配は――ある。少しずつこちらに近づいてきている。馴染みのないものだ。
背中の忍刀を抜き、構える。刀を持つのはいつぶりだろう。毒か何かを受けた影響か、身体の調子がいつもと違う気がするが、こちらに近づいてくる何者かを拘束するくらいはできるはずだ。
部屋の扉が開く。部屋に入ってこようとした人物に刀を向けようとして――ぐるりと視界が一回転した。
[……どういうつもり?]
降ってきたのは呆れたような声だった。床に背中を強打するところだったはずが、声の主がオレの片腕を掴んだおかげで免れたらしい。
男の顔を確認しようと顔を上げたオレは、その瞬間に固まった。
[あのダンゾウにも大人しくしとけって言われただろ]
「…………」
[それをさー、することないからって
「…………」
――兄さん、
[このことはモズにも報告させていただきますので! 来世まで覚えとけ]
――スバル兄さん!
[じゃあ俺はそろそろ消える頃合いだし先に……って、何!?]
部屋に入ってきた男がつけていたのは、とても懐かしい……
スバル兄さんが火影直属の暗部に所属していた時につけていたお面。そして、ちょっと、いや非常に独特な言い回しは――確実に本人だ。
[え……なに、ご乱心?]
スバル兄さんは急に抱きついてきたオレにドン引きしているようで、ススス……と距離をとろうとしてくる。
夢、なんだろうか。それとも俺は何者かの幻術の中にいるのか。
「…………」
声が出ないのも夢の中だから?
それでもこのままどこかに行こうとするのを引き留めたくて、兄さんの服の裾をぎゅうっと握りしめる。
[あー……まあ、うん。俺も自分のことだしさ? 人恋しくなるのは分かるけど。だからって影分身にそういうのは……]
「…………」
影分身? なんのことだと思っていたら、小さなため息が聞こえてきた。
[我ながらお面がないとダメだな。闇堕ちしてから口数も少ないし。やれやれ]
「…………」
[もうずっと被ってたら?]
ぎゅむっと顔に何かを押し付けられる。ちょっと苦しい。
ビリッと静電気が走った時のような痛みがした。
『に、兄さ……』
[ん?]
『スバル兄さん……』
声が出た。いやこれは声が出たというより。
[お前……?]
兄さんが確かめるようにオレの肩に触れる。お面に二つ空いた穴から見える瞳は大きく見開かれていた。
[まさか…………]
兄さんの手のひらがオレの頬に触れようとしたその時。ぽんっと聞いたことのある音が部屋に響いた。
辺りは煙に包まれ、塞がっていた視界がゆっくりと鮮明になる頃には……。
『兄さん?』
カランッと床に鳥のお面が転がる。
兄さんの姿はどこにもなかった。
***
その日、いつものようにダンゾウ産の無茶振り任務を消化しようとしていたら、まさかの任務中に気絶するという大失態を犯してしまった。
幸いにもモズとツーマンセルを組んでいたので野垂れ死ぬことはなく、突然意識を失った俺はモズによって俵のごとく担がれながらダンゾウの屋敷に戻ったらしい。恥の上塗りすぎる。
屋敷に着いてすぐに目を覚ましたが、ダンゾウには「……数日は養生するといい」なんて気持ち悪いくらい優しい言葉をかけられるし(鳥肌立った)、根の医療忍者には「働きすぎですね」と淡々と言われるし。きつい、きつすぎる。
「今日から暫くは身体を休めることがお前の仕事だ」
「…………」
「ツミの実体化を解除してチャクラを本体に戻せないのか?」
《そろそろ なくなるので》
「……そうか。それなら意味はないな」
影分身のチャクラも残り少ない。長く持ったとしても翌日までだろう。
大人しく自室の布団に包まっている俺を見下ろしているモズ。さらに何か言いたげだ。
ただでさえダンゾウに優しくされるというデバフを受けた後だから、これ以上の小言は遠慮したいのに。
「明日の昼前には様子を見に来る。ちゃんと寝とけよ」
なんだかなあ。あんなに第一印象は最悪だったのに。モズってまるで――
「オレはお前の父親でも母親でもないから」
「…………」
うちはスバルの心読み選手権なんてものがあったら、ぶっちぎりで優勝してると思う。
俺は
「今日はどうにもおかしいですねぇ……一度診てもらった方がいいのでは?」
「…………」
おかしいのはこの状況とお前だと言いたかったが、声を出せないので以下略。声といえばさっきから喉もおかしい気がする。むしろ調子が良すぎるというか。
「まあいいでしょう。任務の報告はしておきますから、ゆっくり休んでください」
「…………」
見知らぬその男は、どことなく心配そうに俺を見下ろしている。なにこれ? というか、誰?
「お…………?」
えっ、待って。なに? 今なんか喉から声が出たような。
ぺたぺたと自分の喉を触りながら、さっきの感覚を忘れないうちに再度喉を震わせてみた。
「おまえ、は、背が高いな」
「…………」
うちはスバルが喋った! 俺が、ついに、喋った! なんかよく分かんないけどありがとう! っていうかこれ夢だな、自分で夢だって自覚してるタイプの夢だな!
夢の中だと心まで軽くなるのか、一族のこととか弟たちのこととか、これまで背負ってきたはずの存在が少し薄れている気がする。なんか変な気分だ。
「……イタチさん。やはり一緒に行きましょうか」
「…………イタチ?」
この男、今間違いなくイタチと言ったよな? 俺の耳がこの三文字を聞き間違えるはずがない。つまり、目の前の男が言い間違えたなんてことがない限り、イタチという名前が俺の耳に届いたのは――
風が吹いた。それは俺の髪や着ている服を僅かに揺らす程度の弱い風だったが、俺より柔らかめの髪質に、見慣れた服色に紛れている赤い裏地……。それら全てが風に揺らされて、俺の視界に入ってくる。
「…………」
ぺたりと自分の頬を触る。
「…………」
記憶にあるより水分量ともっちりレベルが……いや、それでもこれは。
「あいうえおかきくけこさしすせそ」
「!?」
俺の奇行を見守ってくれていた謎の男がビクッと肩を震わせた。
「…………」
声は……違う。こんな声じゃない。でも――限りなく近い。
そういえば、俺は声が出せないからいまいちよく分からなかったけど、自分で声を出した時と他人がその声を聞いた時とでは、随分と聞こえ方が違うって聞いたことがある。
そういうこと? つまり……俺が考えている通りなのか?
「そこのお前」
「……なんでしょう?」
「“俺の”名前を言ってみろ」
「うちはイタチ……これで満足ですか? 今日のあなたはどうも……本当に、何があったんです」
「…………」
夢の中でイタチになってる感じか、そうですか。もしかして俺の心がやけに軽いのは夢のせいじゃなくて、イタチパワーのおかげ? なるほどね。
いくら夢の中だからって、イタチがこんなコスプレしてるなんて。ないない。俺の夢センサーもまだまだだな。
「……戻るぞ」
どこに戻るかは知らないが、“俺の”知り合いらしい男についていけばいいだろう。
イタチである俺とお揃いの服を着ている男は、少し安堵したような表情になった。
「ええ」
このあと書きたかったけど力尽きたやつ
チャクラ切れで消えたスバルの影分身とその場に残されたイタチ。様子を見にきたモズと合流。やけに礼儀正しくて大人しいスバルに素でビビるモズ。
体調が戻ったのならとダンゾウに単独任務を押し付けられる
なんやかんやあって敵と戦うことになった
暁のトップに任務完了報告をする
何回か会話を重ねるうちに自分(イタチ)とコンビを組んでいる高身長の男は実はいいやつなのでは? と思い始めた
次の任務でイタチの姿のまま滑って転ぶという第二の失態を犯してしまい、消えたくなってしまう。その際に擦りむいてしまった膝を鬼鮫が手当してくれて、(暁版のモズだ……!)ってなる