夢幻の剣製   作:異世界物書き

3 / 8
3

朝、鳥の鳴き声と共に目が覚める。

 

「……朝か…今何時だろ……」

 

ふといつもの癖で携帯を求めて枕元を漁る。

 

「……………あ、そうだ、携帯ねぇじゃん……」

 

漁っていた手を止め、窓の外を見るために起き上がる。

 

やはり、見慣れた街並みはそこには無く、見慣れぬ石や木材で作られた建物が並び立つ。

 

異世界か……

 

「おはようございます。」

 

「んん!?!?」

 

急な声掛けに心臓諸共体が跳ねる。

 

「……お、おはようございます。」

 

「はい、おはようございます、お体の調子はどうですか?」

 

体の調子……後遺症もなく、完全完治したようだ。

 

「何ともないよ、元気健康そのものだ。」

 

「それは良かった……昨晩話していた冒険者について少しお話しておきたくて。」

 

「冒険者について?」

 

「はい、貴方に聞いておきたいことがあります、貴方は、冒険者になりたいのですか?」

 

「……そうだな、今の所冒険者になろうかとは思う。」

 

「…………わかりました、では、貴方はなにか戦闘に向いたスキル等は何か所持していますでしょうか?」

 

戦闘向きのスキル……俺の持つチカラ、夢幻の剣製、これもスキルに分類されるのだろうか……

 

「一応、持ってはいる、ただ、まだまともに扱えないと思う。」

 

「扱えない?」

 

「このチカラはこっちに来た時に手に入ったチカラなんだ、だから手に入ってからまだ一日しか経ってないもんで。」

 

「転移時に獲得した能力、という事ですね……分かりました、ならば、1つ、提案させて頂きます。」

 

提案か……

 

「貴方を強くするために、修行をさせて頂けませんか?」

 

「修行……俺に得しかない提案だけど、 本当に良いのか?」

 

「ええ、偶然とは言え、救った人が冒険者になって、怪我をしてしまったら悲しいですからね。」

 

この人は……本当に正義の味方と呼べる人物だと、思う。

アニメや漫画でしか見たことの無い世界、命の危険が身近にあるこの世界で、彼女は人を思いやり、手を差し伸べる。

彼女こそが、正義の味方なのだろう。

 

「ですが、貴方の特訓についてですが、私にも得はあります。」

 

「ディアにも?……自分で言うのもあれだが、別になんも持ってたりはしないぞ?」

 

「何かを求めている訳ではありません、私は、冒険者を目指す友人を失いたくないだけですよ。」

 

……中々に、照れさせられるな。

 

「そうか……ん、ありがとう。」

 

「いえ、良いんです、それで、特訓の開始日ですが、明日の朝から始めたいと思います。」

 

「明日の朝から?それまた随分と性急だな。」

 

「私は王国に主拠点を定めていまして、あと半年ほどこちらに滞在した後、帰還することになっています、あまり長い時間は無いため、少しでも長く特訓する為に、早い方がいいかと思いまして。」

 

「そういう理由なら問題ないよ、ありがとう。」

 

「では、また明日の朝きますね、では、失礼します。」

 

「ああ、また明日。」

 

そう言って外へ向かって行った。

 

明日から特訓か、俺のチカラ、夢幻の剣製は武器の貯蔵、複製、創造ができる。

だが、あくまで思い入れがあるもの、記憶に強く残ったものが創造できるチカラらしい。

 

「取り敢えず、一旦外に出てみるか。」

 

外を見る限り、今の時間は人の流れは緩やかそうだ。

散歩するには良いかもしれない。

 

取り敢えず仮定病院の外に出てみる。

 

「……なんか、不思議だな。」

 

見慣れぬ建物、になれぬ服装の人々、遠くに見える巨大な塔。

 

やはり、ここが元知る世界では無く、別の世界であると認識できる。

 

「……妙に視線を感じるな……なんか変なとこあるかな……」

 

別に服装も変じゃないと思うけど…………あ。

 

「服着替えてないからか、そりゃまあ目立つか……」

 

「ねぇねぇお兄さん!」

 

「うーん、どうするか、どっかでチカラを試す為にも人気のない開けた場所に行きたいな……」

 

「……聞こえてない?おにーさーん?」

 

「ん?ああ……えっと、どちらさん?」

 

「私はフール!初めまして!」

 

「俺は……ユウキ・アヤツジ、はじめまして。」

 

「お兄さんは異世界から来た人?」

 

やっぱり目立つよね……

 

「そうだね、異世界から来た、異世界人ってやつかな。」

 

「そっか!やっぱりね!服装でわかったよ!高価そうな服だけど、お貴族様みたいな雰囲気感じなかったからね!」

 

「雰囲気でわかるものなのか……」

 

「結構わかるよ!貴族様は傲慢な匂いが染み付いてるからね!」

 

……匂い?

 

「……それで、俺に一体どんな用が?」

 

「そうそう!忘れるところだった!1個聞きたいんだけど…………昨日、森の木を1本、バツ印に切り裂いたの、お兄さん?」

 

……背筋に嫌な予感……

 

「……多分俺だと思う。」

 

「やっぱりね!お兄さんの匂いと、あの木に残ってた匂いが同じだったからね!良かったぁ見つけられて……じゃあ、戦お?」

 

ゾクッと悪寒が走る。

 

「ッッ!!!」

 

反射的に体がバックステップする。

 

今喉があった場所に黒い線が通る。

 

「!!やっぱりね!お兄さんなら避けてくれると思った!!強い人の匂いがするもん!!」

 

ニコニコしながら声をかけてくるが、俺に答える余裕はなかった。

何故こんなことになってるのか、恐怖で心が強ばる。

ただ外で景色を眺めただけなのに、意味不明すぎる。

死にかけたばかりなのに、また突然に襲いかかられるなんて、恐怖でしかない。

だが、不思議な事に、体が動く。

頭は鮮明に、視界はクリアに、体は軽やかに。

理由は分からないが、体が動く。

1度死にかけた経験なのか、それとも別の何かによる影響なのか、今は分からないが、今この場を切り抜けることは出来るかもしれない。

 

「よく分からんが!!とりあえず!!」

 

ぶっつけ本番、使ったことはあれど、戦闘使用は初めて。

恐怖はある、だけど、戦える、そんな予感がする。

戦い方も分からない、戦闘する為の体の動かし方も分からないはずなのに、自然と体が動く。

 

「投影!!開始!!!」

 

脳裏に描くは双剣。

赤き弓兵が振るい、正義を目指す青年が振るった、双剣。

干将莫耶。

俺の人生を変えた、1つの正義の有様。

その力を。今。振るう。

 

目に見えぬ黒い線を双剣にて受け止める。

よく見ると細い鉄線のような物。

本来の俺であれば受け止めることは叶わず、そのまま切り裂かれていただろう。

だが、この不思議な状態の俺ならば、用意とは言わずも、受け止めることは出来る。

 

「!?よく受け止められたね!?こんなに早く対応されたのは初めてだよ!!」

 

「急になんでこんなことを!?周りに人もいるんだぞ!?」

 

「お兄さん、周りみてよ、誰もいないよ?」

 

そう言われ周りを見れば、確かに誰もいない……人避けか?あるかも分からないものに気を割けば、即座に体がバラける気がする。

なんにせよ、居ないならそれでもいい。

周りを気にせず、チカラを試せる……!!

 

「……なんで俺を襲う……!」

 

「簡単だよ?あの木を斬り裂いた剣筋、すごい綺麗だった……だから……戦ってみたくなっちゃったの!!!」

 

この子バーサーカータイプ……!!!!

 

「取り敢えず……一旦落ち着いてもらう!」

 

黒い鉄線が鞭のように迫る。

 

目に魔力を流し、動体視力を強化しながら時には避け、時には剣で受け流し、避ける。

 

「反撃しないの?このままじゃ……やられちゃうよ!!」

 

先ほどより1段速い攻撃が迫る。

 

「ッ!」

 

頬をかすり、薄く血が流れる。

 

「……ね?」

 

ニヤニヤしながら、しなる鉄線を撫でる。

 

「……疲れた…異世界に来たばかりでこれは辛いな……」

 

俺は息を吸い、覚悟を決め、ある武器をイメージする。

彼女を止める為には、彼女より強いと証明するのが手っ取り早い、そんな気がする。

なら、この武器を使うのが1番だ。

今の俺じゃ魔力は足りないが、それでも、少しは真似た物が出来るかもしれない。

 

「投影、開始」

 

脳裏に描くは紅き槍。

全てを貫き、穿つ、絶死の魔槍

ゲイボルグ。

 

「……な、に、それ……」

 

俺の視界はボヤけ、足の感覚はなく、体は揺れる。

 

だが、手にはしっかりと、紅き槍が握られている、長さは短く、刃も小さい、未完成でありながら、それに込められた力は、変わらず存在する。

 

顔を白くするフール。

 

「これが……今の俺の、全力……だ……!!!」

 

体が自然と動く。

感覚の無い足さえも、不明瞭な視界も全て無いかのように。

紅き槍が、放たれる。

 

フールは防ごうと鉄線を放つが、紅き槍を止めることは叶わない。

自身へ向かう槍を避けようと空中に飛ぶ。

だが、因果を捻じ曲げる魔槍を避ける事は出来ない。

一直線に彼女の心臓に向かう。

 

フールは目を瞑り、恐怖で体が固まった。

 

自分は死んでしまうのだと、確信している。

ちょっかいなんてかけるんじゃなかった、別に殺すつもりは最初からない、少し戦って、チカラを見れたら満足だった。

なのにこんなことになるなんて……ああ、後悔しちゃうな……

……なかなか死なない……もしかしてもう死んでる……?

閉じていた目をゆっくりと開き、確認する。

 

「人は……殺さな、い……!」

 

槍は胸のすぐ手前で止まっていた。

 

おそらく元から当てるつもりはなかったのだろう。

直前で止まるようにされていたんだと思う。

 

あの槍には、必ず貫く、必中、その手の呪いだかなんだかの匂いがする。

それが、目の前で、止まっている。

 

なんてお人好しなんだろう。

なんて、おバカな人なんだろう。

異世界人はみんなこんなやつなんだろうか。

 

……ちょっと、本当に、超ちょびっとだけ、、、ときめいてしまうじゃないか。

 

 

 

「もう……むり……」

 

体から力が抜けていく。

ゲイボルグ作成時の足りない魔力はどこから持ってこられたのか。

答えは簡単、生命力や精神力と言ったものが削られるんだろう。

現に、命がすり減るのを確かに感じる。

命の危機が身近に迫る。

ああ、せっかく助けて貰ったのに、また死にかけてる。

自分でもお人好しどころか、自殺志願者だと思える。

なんせ自分を襲ってきた相手を拘束することも無く、倒れているのだから。

いくら異世界だとしても……やっぱり人は、殺せない……

異世界来てから、2日連続で死にかけてらァ……そういうもんなのかなぁ……

色々な思考が頭を巡る中、俺は地面に倒れ、意識を失った。

 




お久しぶりです、作者です。
久々どころか半年ぶりの更新になります。
久々の執筆です、誤字脱字、そして話の整合性の無さ、よくあるなろう系っぽくなってしまっている可能性、色々否定しきれません。
作者自身、あれ、これ普通のなろう系?って思ってます。
ただ、この小説は、作者の描きたいものを描きたいように書いている作品です。
趣味が合わなければごめんなさい。
ただ楽しくかける時に書いていきます。
4話の投稿も早めにできるようにがんばります。
コメントくれたら嬉しいです。
また次もよろしくです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。