小さな頃、親の都合もあり転校が多かった俺は、友達も出来ず、悪ガキ共に虐められ、幼いながらも、人生はつまらないと思っていた。
そんな俺に、ある転機が訪れる。
両親と共に向かったレンタルDVDショップにて、あるアニメを見つける。
別に最初このアニメを見つけた時、知っていたわけじゃない。
隣の席のやつがなんか話してたな、位の知識だけだった。
だが、暇だった俺は借りて見てみることに。
アニメに興味があったのもあるが、なんとなく、予感がした。
人生を変えるものがそこにある、そんな心踊る予感が。
fate stay night、主人公の衛宮士郎、自信の掲げる目標が、到底人の身に余る物だとしても、自分自身の心が、たとえ偽物であろうとも。
その偽物を貼り続け、貫き通した1人の青年に、正義の味方を目指した男に、俺は惹かれた。
fate stay nightを見て以降、特段俺に変化が起きたか、と言われれば特にない。
ただ、心構えが変わった。
正義の味方になりたいと、心の底から思うようになった。
たとえそれが士郎のように、偽物だとしても、到底達成できないものでも、本当になりたいと、思ってしまった。
あやふやになっているこの世界へ来る前の記憶。
ぼんやりとした過去の記憶の中、この思いを抱いた瞬間だけは、忘れることは無いだろう。
ふと気がつくと、涙が流れていた。
「寝てる間に泣いてた……?」
寝ながら泣くなんて器用なことしてたのか……
なにか昔の夢を見たような気がするも、すぐに霧散してしまい、思い出せなくなる。
(まあ……なんか、懐かしい夢を見た気がするな……)
やはり夢というのは不思議だ。
起きたら忘れてしまうのに、どんなものを見たのか、抽象的には覚えているのだから。
(まあ、夢はさておき……)
自身の体を見る。
特段怪我はしていないがなんとも体がだる重い。
(多分魔力を使いすぎたのかな……あんな無茶したら当然か………)
あんな無茶と言えばそう、ゲイボルグを投影した事だ。
身の丈に余る所では無い伝説の武具、狙ったものを必ず貫く必中必殺の魔槍、そんなとんでもないものを投影したのだ。
体の負担は凄まじいはずだ。
だが、不思議なことにだる重い以外は特に不調は感じられない。
試しに果物ナイフを投影してみるが、普通に投影もできるし、魔力を扱うことも出来る。
ただ、体の中にある魔力の量がかなり少ない。
果物ナイフ程度なら簡単に投影できたが、通常の武具となると、魔力が足りず投影できないと思う。
「さすがに無茶し過ぎたな……」
「全くもってその通りですね。」
「ん!?!?」
予想外の返事に心臓が飛び出でるほど驚く。
右から聞こえた声の方に向いてみれば、そこにはディアが立っていた。
後ろにも人影があるが、ディアに隠れてちょうど見えない。
「さて、色々とお話したいですが、その前に……」
小さく「前に出て」とディアが言うと、後ろに居た人物が前に出る。
その人物はなんと……昨日戦った少女であった。
反射的に体が強ばる、1度勝ってはいても1度戦ったと言う事実は変わらない。
なぜここに、という思考に頭が埋め尽くされ、フリーズする。
「えっと……この前は……ごめんなさい!!!」
ずしゃあ!!みたいな擬音が聞こえてきそうな勢いでフールは土下座した。
「あの時……本当に怪我をさせるつもりはなくて……ちょっとだけ貴方の力を見たかっただけなんです……ごめんなさい……」
少し頭を上げ、こちらを見ながら瞳に涙を浮かべる。
その顔を見た瞬間、戦ったとはいえ、自分より年下であろう少女に土下座させている、という事実に冷や汗が止まらなくなる。
「あっ、えっと、大丈夫!この通り怪我もなくピンピンしてるからさ!」
魔力はすっからかんだけど……
「ほんとに……?」
「ホントだよ、ほら」
そう言って俺はよくある元気だよーみたいなポーズをとる。
「……なら、よかった……」
少女は立ち上がり、ポンポンと膝に着いた汚れを落とす。
「この度は、私の妹がご迷惑をおかけしてしまったようで、申し訳ありません。」
……フールがディアの妹!?
「この子はエイル・アイシュ・フラルージュ、私の妹です。」
「エイル・アイシュ・フラルージュです、改めてよろしくね。」
「えっと、よろしく……」
何だこの状況……自分を襲ってきた相手が自分を助けてくれた人の妹だった。
そして謝られた後に自己紹介。
なんだこれ。
「それにしても、お兄さん、長い間寝てたね………」
「……長い間?え、だって、昨日戦って……」
「ううん、違うよ、私とお兄さんが戦ったのは、1週間前」
「え、1週間!?そんな寝てたの!?俺!?」
「うん、魔力が底を尽きて尚、限界を超えて引き出したから、生命力が代わりに持っていかれたんじゃないかな。」
まあ、あんだけのものを投影したんだ、魔力は当然足りない、ならどこから引き出されたか、答えは簡単、か。
「生命力か……だから長いこと寝てたんだな……」
「お兄さん、あんな凄い槍、どこに隠し持ってたの?空間魔法とか使えるの?」
少しキラキラした目でこちらを見るフール。
「いや……空間魔法とかじゃないよ。」
「じゃあ、どこにもってたの?」
……うーん、まあ、話しても問題ないか……な?
「……あの槍は俺の能力で作ったものなんだ。」
「能力?」
「そう、こんな感じでね。」
右手に魔力を集め、投影する。
「投影、開始」
右手が淡い青い光に包まれ、ぱっと消える。
すると、何も無かったはずの右手には果物ナイフが握られていた。
「……無から、有を生み出した……?」
このチカラに最初に反応したのはディアだった。
「アヤトさん……この能力、どんなものが作成可能なんでしょうか?」
「えっと、多分だけど食べ物以外のものは作れるよ、武器防具から、日用品、まあ、構造がわかってるものだけだけれどね。」
「……作ったものは、どれくらいの期間で消えるのですか?」
「壊れたりするまでは、消えたりしないはずだよ」
そこまで言うと、ふたりが固まる。
え、なんか変なこと言ったかな……
「……お兄さん……これ、他の人に見せちゃダメだよ……?」
「ええ、フールの言う通りです、気軽に見せない方が良いかもしれません……」
「……そんなにヤバい能力かな……これ……」
「はい、とてもヤバい能力です。」
「これ、魔力さえあればなんでも作れるってことは、お金が無限にあるようなものだよ……」
「……あ、そうか、魔力のある限りものが作れるなら、作った武器をそのまま売り続ければいいのか。」
「いいえ、そんなレベルの力ではありません……これは、戦争の概念が根底から崩れる程のチカラです……」
え、そんなレベルなのかこのチカラ……
「あなたが居れば、人員さえいれば完全武装した兵士が、いくらでも作ることが出来ます、軍部からしたら、喉から手が出るほど欲しい力でしょう、なんせ、消耗品である武具か文字通り無限に手に入る訳ですから。」
「いくらなんでもそんな……」
「そういう次元の話です、さすがにここまでの力をお持ちとは思いませんでしたね、フールに勝つほどですから、何かしら特殊な力があるものだと思ってはいましたが……驚きました。」
「……国に見つかったら厄介なチカラなのか……」
冒険者になろうと思ったけれど……やめておいた方がいいのかもしれないな……
「ええ、厄介なことになるでしょう……ですが。」
「ですが……?」
「国に見つかっても、大丈夫なようにすればいいのです。」
「一体どうやって?」
「それは……ぼうけ「冒険者になればいいんだよ!お兄さん!!」……」
横で暇そうな感じでたっていたフールが、今だ!みたいな感じで飛び込んできた。
……ディア……君も言えなかったか……
作者です。
えっと、あけましておめでとうございます。
年明けから9日経っちゃいましたけど。
はい、元気です。
前回の更新からだいぶ空いた割に短いです。
年末でちょっと色々あり、小説かけてなくて、更新してませんでした。
なるべく次も早めにかけるようにがんばります。
描く度に自分で雰囲気違うなぁって思ってるんですけど、難しいですね。
中身色々ごちゃごちゃしてます、読み辛かったら申し訳ないです。
作者でした。