「ここがギルド……」
周りの二階建ての建物よりも3倍ほど巨大な建物がそこにあった。
「はい、ここが冒険者ギルド・リューミリオン支部です。」
赤と黒を基調とした巨大な建物、雰囲気は某妖精のしっぽみたいな感じだ。
「それじゃ入ってみよー!!」
フールが意気揚々と大きな扉を開けて入って行く。
……3mほどある扉を片手で押し開くとは……さすがバーサーカータイプ……
などと、本人に言ったら大分怒られそうな失礼なことを考えながら後を着いていく。
中に入るとイメージより綺麗だった、酒場が併設されているためか少々の喧騒はあるが、嫌な感じではなく明るく楽しそうな雰囲気を感じる。
「とりあえず、冒険者登録をしてしまいましょう。」
「わかった、けど、俺字をかけるか分からないんだけど……」
「大丈夫です、字を書くことはありませんから。」
「登録なのに……?」
「ええ、登録なのにです、私とフールは先に報告へ行ってきますので少しお待ちください。」
「私も一緒に行ってくるから待っててね~!」
そう言ってスタスタと歩いて受付へ向かっていくディアとフール。
冒険者ギルド、それは男のロマン。
男なら1度は夢見る憧れの場所、異世界にしか存在しない夢の場所。
ついに足を踏み入れた……すごいワクワク感だ……!
なんて思いながら、受付で色々話しているディアとフールを見ていると。
「なぁ、そこの兄ちゃん!ちょっといいか!」
酒場の方から野太い声が聞こえてきた。
「……」
まさか俺とは思わず、つい後ろを見てしまう。
そこには若めのお兄さんがたっていた。
(良かった俺じゃないや……)
ほっ、と息を着いてディアの方へ向かう、すると。
「いやいやいや!!お前だよ!!今一息ついた奴だ!!後ろのお前は関係ないからさっさとどっか行きやがれ!!!」
大柄な男が大声で言うと、後ろにいた若めのお兄さんは申し訳なさそうに去っていった。
(テンプレだ……ちょっと違うけど……)
まさか後ろ見たらいると思わなかった、多分俺かなぁなんて思って一応後ろ見た時ちょっと恥ずかしかったぞ、違った……って思って……まあ結局俺だったけど……
なんて薄らぼんやり遠くを見つめながら考えていると。
「聞こえてんのかよ!?」
怒声と共にテーブルを強く叩く。
「……そんなに強くテーブル叩くと壊れちゃいますよ?」
「んなこたどうでもいいんだよ!!お前だお前!お前みたいなヒョロガリがなんでブレイディア達と一緒にいやがる!ブレイディア達とどんな関係だテメェ!!」
ズカズカとこっちに近寄りながら怒鳴る。
「どんな関係と言われても……ただの友達です。」
筋骨隆々なマッチョメンに割と近づかれ、大声で怒鳴られるとそれはもう圧がすごい、もう本当にすごい。
圧に押しつぶされそうになりながら答えていると、ディアが騒がしい入口を見にこちらにやってきた。
「どうかいたしましたか?」
「あ、ディア、別になんで「こいつとはどんな関係だ!!!」……」
説明しようとした矢先、男が割り込んでくる。
(この世界の人は割り込むのが好きなのか……!!!!)
「どんな関係と聞かれましても……友人ですが、何か問題でもありますか?」
「大ありだ!!俺の誘いに乗らないくせに何故こんな奴と!」
「貴方の誘いに乗らない事と、アヤトさんと行動する事は特に関係無いはずですが。」
誘い、まあ、色々な意味を込めているであろう発言だ。
要するに、自分に靡かないのになんでこんなやつと一緒にいるのかと逆ギレしてるわけだ、怖いねぇ……
「しかも聞こえたぞ!!こんなやつとパーティを組むそうじゃねぇか!!」
「え、それは初耳なんだけど!」
反射的に声が出てしまった。
(パーティ!?そんな話聞いてなかったけど!?)
もちろん組めるなら嬉しいが、力量の差がありすぎる。
そう思えてほかならない。
「ええ、組ませて頂こうと思っていますが、なにか不都合でもありますか?」
「あるに決まってるだろうが!!!俺のパーティに入らねぇ癖にこんなやつと組むってのか!?」
「はい、あなたの数倍、彼の方が強いですし、貴方は……人格から既に組むに値しない。」
「……こいつのが強えだと?はっ!!ついにおかしくなったか!!こんなヒョロっちぃガキより俺のが弱ぇと!?舐めるんじゃねぇ!!!!」
背負っていた大きな戦斧を持ち、俺に向ける。
「ガキ!俺と勝負だ!ブレイディア達を仲間にする権利をかけて!!戦え!!!」
俺に対して勝負の申し込み、まあ、答えは決まってる。
「断る。」
秒で理った。
「な!?てめぇそれでも男か!?」
「男うんぬん以前に自分以外の人を賭けの対象にするわけないだろ。」
男はたじろぐ、まあ、俺の言ってること自体正しいことだし、反論したくても出来ないだろうな。
男は苦虫をかみ潰したような顔をしていたが、名案を閃いたのか、顔を気持ち悪くニヤつかせる。
「……なら決闘を申し込む!!」
「決闘?」
「あぁ!!決闘はギルドの正式なルールによって定められた冒険者同士の一騎討ちだ!勝った奴は負けた奴に何でも言う事を聞かせられる!」
「本当にそんなものがあるのか?」
「あぁ!本当だ!なぁ!ブレイディア!」
「はい、あります、ですが、負けた方が勝った方に何かする、という決まりはありません。」
「とはいえなぁ!!勝った方になんか得があってもいいよなぁ!!このガキの方が強いんだもんなぁ!!俺に勝つと思うなら!!あっても問題ないよなぁ!?」
煽るような口調で男が言う、ガタイのいい男がやると普通に怖い。
「そんな決闘受けるわけ「良いでしょう」……え?」
(また割り込まれた……って、え?)
「良いでしょうって、どういうこと!?ディア!?」
小声でディアに話しかける、するとディアも小声で返す。
「アヤトさん、この決闘、受けましょう、万に1つもアヤトさんに負けはありませんから、安心してください。」
「なんでそこまで言いきって……」
自分自身、あの男に勝てるとは思っていない、それどころか負ける可能性の方が高いとすら思っている。
「A級トップであるフールと戦えているのです、B級下位に負けることはありえません、それに。」
「それに?」
若干の間を開けてディアは言った。
「……私と毎日修行しているのです、私以外に負けてもらっては困りますから。」
そう言ったディアの頬は少し、赤くなっていた。
(…そんなことを言われたら……頑張る以外に選択肢はないじゃんよ……!)
なんてやる気を充ち溢れさせていると。
「おい!決闘受けるってことでいいんだな!!俺より強いんだからなぁ!!!」
いい加減待ってられん!とでも言わんばかりに叫ぶ。
「ええ、うけましょう、その決闘。」
ディアがそう返事をすると。
「ならジャッジは私がやるよ〜!!!」
いつの間にか審判のような黒い服に着替えたフールが飛び出す。
「場所はギルドの演習場!このあと30分後に開始ね!」
そう言ってフールはいつの間にか周りに集まっていた人たちを解散させた。
男も解散して行ったが去り際に。
「必ずお前をボコボコにして、あの二人は頂いていくからな。」
そんな事を俺に宣言してから去っていった。
「では私達も準備の為に移動しましょうか。」
「そうだねぇ〜、早めに移動して損は無いからね〜!」
そう言った2人に演習場の控え室に連れていかれた。
控え室では俺一人で待つらしい、2人は俺を控え室に連れていくと、足早に観戦席の確保に行った。
(なんで観戦席あるんだよ……というか……、決闘とかする流れじゃなかったのに……乗っかっちゃったし……最初どういう関係だ!みたいなこと聞かれただけなのに………)
色々な疑問が頭をめぐる、だが。
最終的に残る疑問全てを総括した1つの単語が頭を埋め尽くす。
(どうしてこうなった……)