かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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街を恐怖に陥れる吸血鬼騒動。その真相を探るために、セイバーのマスター、円堂銀子は、セイバーと共に千藤邸を目指す。そして、そこにはその二人を見る者がいた。銀子が吸血鬼事件の調査をし始めたその一方で、ライダーのマスター、代行者アンザス・マリオンは、アサシンとそのマスターである梅原家の双子の姉妹と共に、吸血鬼事件を解決するために手を取り合う。


第四章 帰路

 

 

《セイバー陣営》

 

「ふぅ……終わった終わった」

 

「おつかれさんよ」

 

私は今日の学校を終えて、それからバイトも終わらせて、セイバーと一緒に帰り道に付いていた。

 

「しっかし、、吸血鬼か。俺の時代にゃ、ンなもんなかったが、今じゃあるもんなのかねぇ」

 

「わからない……けど、放置するのは危ないから、朝にも言ったように、千藤家を訪ねて見ようと思うの。きっと、何が起きてるのか、詳しくは知っていると思うわ。千藤家は、この街の統轄をしているから」

 

そうして、私は夜の街を歩いて、千藤家の屋敷に向かっていった。もう夜になったのか。聖杯戦争は夜に行われる。サーヴァントと出くわしたりしないといいけど………

 

 

◆ ◆ ◆

 

《ランサー陣営》

 

「ふむ、どうやら大成功のようだね、ケイアス」

 

「はい、ランサーと来て、それも神霊。これ以上ない最高の条件で整いました」

 

僕はダーニック様に、現在の状況を伝達していた。

 

「それは喜ばしい。君が、我らユグドミレニアの運命を担っているんだ。是非とも、君には勝ってもらいたい」

 

「必ずや、ご期待にお応え致します。潰すべきは、まずはどのクラスから如何いたしましょう?」

 

「そうだね、キャスターか、アーチャーと対峙すれば、勝利は堅い。正体か性能が判るまで、セイバーやバーサーカーに手は出さないように」

 

「解りました。アサシンのマスターなら、既に把握済みです。「會云」と言う者です」

 

「會云。それは、あの中国最強の殺し屋の……?そのような大物も参加しているのか」

 

「はい、會云はそれなりの脅威となり得ますね。如何に僕と言えども、魔術を使わなければ、プロレスラーにすら敗北しますよ。対して會云は魔術の才能は皆無。その代わりに、体術では最高峰とも言える実力を持つ。条件の悪さと相性の悪さが祟りを奏しましたね。無論、ご安心下さい。僕はユグドミレニア最強の戦士。會云(アレ)が、獲物を狩るためだけの怪物なら、僕は誰もを等しく凍りつけさせる厄災。実力差は天地雲泥。敗北の色はまるで見えません」

 

「そうか。なら安心して任せられるよ。気を付けて戦いに臨んで貰いたい。君を狙うマスターは、【6人だけではない】からね」

 

受話器越しに、ダーニック様はクスクスと笑っていた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

《街喫茶umber》

 

 

「へぇ~シキさんのお友達でしたか~!よろしくお願いしますね~」

 

「姉さん、警戒してください、この方々はあくまでも敵対関係にあります。過剰な信用は気を付けたほうがよろしいかと」

 

「問題ないですよぉ~わたしは嘘はつきませんので、シスターですから。でしょう?ライダー」

 

「まぁ…確かに、オマエが嘘をついたことは今のところないな。混じり気のない、純粋なサーヴァントから言わせても、彼女は本当に嘘だけはつかない」

 

えーっと、この状況をどう説明しろ、と?もし、いま一般人にこの状況を訊かれると…説明にこまる。

まぁ、なんで俺ことアサシンのマスター、青緑と黄金さんの営む喫茶店にライダーとそのマスターがやってきたのかって話だ。

 

 

 

二時間前。

 

 

俺は自分の着る服を探そうと、近くのショッピングモールを訪ねていて、結果的に白いシャツと灰色のジャケット、それから黒いズボンだけ購入してきて、そのまま時間を潰すためにそのまま服屋をうろついていたら、試着室から、濃厚な魔力の気配を感じた。

不思議になって近づいてみたら、そこに、とんでもないモノがいた。

 

「どうですか?わたしこういうのも似合うんじゃないですか?」

 

「あぁ、確かに、イギリスの淑女みたいで可愛いな、謎に服選びのセンスあるよな、オマエ」

 

「そうでしょう?貴方の服選ぶのはかなり頑張りましたよ」

 

 

なんだこいつら、って当時は思った。いや、今もだけど。サーヴァントとマスターがデートだのなんだの知らないが、ショッピングモールで遊び回っていたのだ。

 

「ん、アンザス、そこの眼鏡の客が困ってるぞ?そろそろ空けてやれ………って、そこの眼鏡!オマエ、その気配、サーヴァントか!?」

 

てなわけで俺たちは出会ったのだ。無論、ショッピングモールでサーヴァント同士の戦闘なんてしたら大惨事沙汰だ。

一応場所を変えたのだが……

 

 

 

「それで、やるのか?やらないのか?オレたちも、偶然プライベートでの接触だから、やる気があんまり湧かなくてな。オマエが逃げるつもりなんなら、深追いはしないけど?」

 

「それじゃあ、今回は逃がして貰うよ。生憎、吸血鬼を探さないといけないんだ」

 

「吸血鬼……?」

 

その声に反応したのはライダーのマスターだった。

 

「どうやらこの街に吸血鬼が出たらしいんだ。俺の器の性格からか、どうやら見逃せないみたいでね。さっさとそいつを殺して、俺は役目を終える」

 

「吸血鬼ですか、そうですか、実は、わたしも、吸血鬼狩りで食べてる人なんですよ~、もしよかったら、その吸血鬼を倒せるまでの間、お互い協力しませんか?」

 

「え……?」

 

 

 

 

─────というわけだ。

 

「ですけど、確かに、共闘するというのは、お互いにとって好都合ですよね~」

 

黄金さんは問答無用で共闘に賛成のようだ。

 

「その吸血鬼の噂とは、本当なのですか」

 

一方で、ある程度の不安を抱き続け、あまり気乗りでなさそうな様子の青緑がライダーのマスターに問い詰める。

 

「現にわたしは吸血鬼を倒して、恵まれた生活を送っていますよ~」

 

ライダーのマスターが青緑に手を振る。

まぁ、それは本当なんだろう。どうやら、この器(おれ)が、知識として知っている。この世界には、聖堂教会という組織があって、そこには、異端を排除することを生業とする、代行者がいるということを。

特に、そのなかでも強力な、最強の代行者たちで構成された最強の異端狩りチーム、それが「埋葬機関」というそう。ちょっと強い程度では埋葬機関にはなれない。一人一人が天災、主の御業だという。

例えば、ぶっ飛んだ功績、最強クラスの吸血鬼を討伐した経歴を持っていたり、異端を排除するためだけに造られた、最強の転生批判聖典の使い手。あるいは………死んでも生き返る……など。

この体は、何故か、こんなことを覚えており、それなりに吸血鬼の知識を持ち合わせているようだ。

 

「黄金さん、青緑。そういう職業は本当にあるらしいんだ。その代行者っていうのもそれに含まれるんだって」

 

「そうそう、そうなんですよ、よく知ってますね、アサシン」

 

「まぁ、どのみち、アンザスとアサシンが協力しなくても、吸血鬼を倒せば、街で起きてる事件は解決できそうだな。ただ……」

 

ライダーが言う。「ただ……」と付け足す辺り、まだ何かあるそうだ。

 

「問題は、その吸血鬼が………」

 

「マスターかどうかって、言いたいのか」

 

「そうだ。吸血鬼とサーヴァントを同時に倒そうと思ったら、本当にオレたちだけで力が足りるかどうか解らない。相手の力量すら分からないのに、サーヴァントと吸血鬼両方の相手をして勝利できるかの保障がない」

 

「わたしは、代行者とはいえ、残念ながら、沢山の異端を倒していても、吸血鬼とは対峙したことがないんですよ。なので、ちょっと、吸血鬼に詳しそうなアサシンを連れていけば……」

 

まぁ……俺の知識は俺の器となった人間から与えられたものであって、俺の生前とは全く何ら関わりがないのだけど……

 

「俺は、黄金さんと青緑がいいなら、全然いいよ。吸血鬼から街の人を救うだけだし。吸血鬼から街を守りたいっていう利害は一致しているんだから、ここは手を取り合ってもいいと思う」

 

「よーし!それじゃあシキさんの言う通りにしていきましょう!!それでいいでしょう?青緑ちゃんも!」

 

黄金さんが急に決定槌を下した。

 

「え……はい……姉さんが、そう言うなら……そう言うことにしましょう、か………」

 

青緑も渋々と承諾した。

 

「やったー!これで味方ができましたよ!ライダー!」

 

「おう、良かったな、アンザス」

 

そんなわけで、俺たちの吸血鬼探しが、ついにスタートしたみたいだ。

なんだか、この身体が、こういう光景を懐かしく思っている気がした。この俺とは天地の差を思わすような、幸せな青年がこの国にはいたんだろうな。ふん、いい家族じゃないか、シキ。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

《アーチャー陣営》

 

 

「………あれは……」

 

私は窓から外の景色を眺めていた。そうしたら、この屋敷に繋がる道に、二人の人影が見えた。菅笠をかぶって、橙色の羽織を肩口から下げた、一人の若い青年と、青年よりも幾分か背丈の低い、眼鏡をかけた女子高校生。制服からすると……琴女高校の生徒か。

 

「アーチャー」

 

「はっ、なんでしょうか、マスター」

 

アーチャーは私が呼んだ瞬間に、真後ろに瞬間移動してきた。無論、超能力ではなく、急ぎ足で駆けつけてきただけだ。

この忠誠心から来る速度、そろそろ怖くなってくるころだ。

 

「外に侵入者と思わしき人物がいるわ。追い返す必要はないけれど、万が一侵入した際には一方的に迎撃してもらっていい?」

 

「はっ、必ずや。念のために警戒しておきます。通常警備の方々は?」

 

「相手はサーヴァントの可能性が高い。人間の警備では障害物にもならないわ。屋敷の中の人たちは一時的に避難するように告げるから、あなたは迎撃の方をお願い」

 

「はっ」

 

アーチャーが部屋を出ていく。私の初陣がまもなく幕を開ける。あの青年と少女に勝利して、少しでも駒を進める……!

私のアーチャーは最強のはずだ。今に見ていろ、菅笠のサーヴァント………

千藤の意地、今さらながら、この地に知らしめる。迎撃の準備は完了した。この屋敷の中では、千藤の権威は最高値だ。負ける道理は微塵もない。

 

「そういえば、兄さんはどこへ……?」

 

どさくさ紛れに避難したのなら、それで良いけど、もし、まだ中に残っているものなら、間違いなく、彼はピンチと言える。

私はそんな不安な気持ちを圧し殺して、ただただ、来訪者の侵入を待ちわびていた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

用語解説【街喫茶umber】

 

蝦碑市の隠れスポット。

今回の聖杯戦争のマスターである青緑、黄金が姉妹で経営する喫茶店。黄金の苦手な掃除は青緑、青緑の苦手な料理は黄金、と、姉妹でお互いの得意分野でお互いの苦手を補いあって共同作業をする様子は、客をにこやかにしてくれる癒しである。

知る人ぞ知る、最高の喫茶店。

…………なのだが、姉妹のどちらかが居ない場合、店はとんでもないことになるそうだ。

姉妹の仲は非常に良好で、チームワークも完璧。

……………………どこかの屋敷に仕えた経験があるのか、というと、それは不明。噂によれば、遠い街の坂の上にある大きなお屋敷で別の名前の双子で仕えていたとかいないとか言われていなくもなくもないとは言ってもあんまりよく分かってないが、たまにちょくちょくそう言われていることもあると言われているそうならしい。

 

新しく仲間入りしたアサシンも、客の間では愉快な青年とよばれており、

一部の利用客の間では、「シキ」と名付けられた彼(アサシン)の名の由来は、黄金の言う、「昔飼ってた猫の名前」でも「携帯電話の文字入力」でもなく、かつて仕えていたご主人様の名前から取った……という都市伝説が流行している。それほどにまで、謎に包まれた店なのだ。

 




いつも見てくださってる方、ありがとうございます!
聖杯戦争というだけあって、一度に色んなことが起こるからそれぞれのチームの出来事の動きがゆっくり進んでいきますよね。一度に色んなキャラを出すのが、聖杯戦争書く上で一番きついんじゃないかなって思ってます。ここからも、そういう感じゆっくり進んでいきますので、この駄文についていける優しい皆様、最後までよろしくお願いします。まぁ、もちろん人数が減れば楽になるんですがね、まぁ………登場するキャラ全員いいやつばっかりだから誰も死なせたくないんだわ笑笑
次回もお楽しみに!
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