かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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ライダー陣営と吸血鬼探しを続けているアサシン陣営。マスターを安全な場所に置いて単独で行動するアサシンの前に、遂に、噂に名高い、吸血殺人事件の犯人が姿を現す。
時を同じくして、ライダーのマスター、アンザスとランサーのマスター、ケイアスの闘いは熾烈を極めていた。


第八章 犯人

 

 

《アサシン陣営》

 

蝦碑市北部、山奥。

 

 

「はぁ……困ったな、頭痛がするってことは……お前が犯人で間違いないな、キャスターのマスター」

 

俺は先程、ライダーのマスターと共闘関係を結んだその後、こうして街の北と南で二手に分かれて街に巣くう吸血鬼を探していた。

俺は一人で街の北を捜索していた。青緑と黄金さんは一般人だから、連れてきたら非常に危ないと踏んで、上手いこと言い逃れて喫茶店に置いてきた。まぁ、その判断は正しかった。

まさか、一度に吸血鬼とサーヴァントを両方発見するとは。しかも、その吸血鬼はマスターだった。まったく、これじゃあライダーの言った通りだ。

 

「こんばんは、そこのガキ。アタシは蓋折杏莉。理杏の姉よ。そっちはキャスター。アタシのサーヴァント。アンタは?」

 

「遠野し………いや、違う、アサシンだ。すまない、遠野ってのは、俺の身体の依代となった男の名前だ」

 

「トオノ?それ、アンタの真名?誰だよソイツ。依代ってことは、アンタはトオノとは別物なの?」

 

「そういうことでいい。遠野と俺は無関係だ。ホントの俺はこの少年みたいなお人好しではないし、こんなに物腰軽くもない。やる気になれば、すぐにお前の首も跳ねる。それはそうとして、お前、吸血鬼だろ」

 

蓋折はクククと笑い続ける。

 

「えぇ、そうだけど?アンタとなんか関係ある?」

 

「あぁ。この街に吸血鬼が出てるって話なんでね。ちょっとここで敗退して貰おうと思っている」

 

蓋折の笑いが爆笑へと変貌した。

 

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!!!!!!バカなのアンタ!?アサシンごときがアタシらに勝てるワケないじゃん!!!本気?暗殺者よ、アンタ。対してこっちは最強の魔術師のサーヴァント。アサシンとキャスターじゃ、全然強さが違うじゃん!!それに、アンタさ、マスターはどうしたの?弱すぎるから置いてきたの?臆病者ばかりじゃないどいつもこいつも!!アンタみたいなヒヨッコが、アタシら二人に勝てると思ってるの?無理だよ無理!!勝てっこないじゃん!!アンタアタマ大丈夫??精神病棟行ってきたら??????ね、ね、ね!!ね!?」

 

蓋折は謎に爆笑している。ちょっと意図が解らないのでひとまず放置しておくことにした。

 

「は?なに、オマエ。聞こえない?耳悪くない?返事しろよ。なに、ケンカ売ってるの?」

 

「いいや、反応するほどのことじゃないからな。ケンカ売ってるのかと聞かれるとそうだよな。そりゃあ、聖杯戦争なんだから、ケンカどころか、殺し合いだろ」

 

「ウザい。そーいう自分メンタル強いですよアピール、くそウザい。なにそれ、今すぐ死ね。キャスター、そいつウザいしムカつくからブッ殺して!!」

 

嘘だろこいつ。自分で散々言ってきて自分で逆ギレしてて怖いな。変人……いや、変吸血鬼か。なんだよ、面倒な。

 

「わかった」

 

キャスターが俺に近づいてくる。武器は、その黒い鎌か。

 

「どうよ!!アタシのキャスターは!!アンタなんかよりもずっと強そうでしょ?怖くて震えてるね!!ね!?」

 

「まぁ、うん、なんというか、普通だな」

 

「は?なに、文句ある?グチグチ言うなら勝ってから言いなよ」

 

なんだそのハイパーブーメラン……自己中の極みか。

 

「さっさと死ね!!行け!」

 

蓋折が手を挙げると、空に虫が羽ばたき、こちらへと殺到する。

 

「ふっ、はっ」

 

一匹一匹丁寧に避ける。後ろに後退しながら回避していく。

 

「ちょこまか鬱陶しいなぁ……!!いつになったら死んでくれるかなぁぁ!!!」

 

キャスターが無言の疾走で俺にやってくる。

鎌を躱す。縦振りを横に躱したところ、

 

「消えろ!!!」

 

横から現れた蓋折に蹴りとばされる。そのまま近くの岩壁に激突した。

 

「あはははははははははははははははははは!!!!!弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い!!!!!!!!弱過ぎるよ!!!!大口の割には弱いわね!!逃げることしかできないくせに、逃げることすらできなかったじゃない!!アタシたちが強すぎるけど、アンタが弱すぎるのかな???仕方ないか、アサシンだし?????????」

 

煽ってるつもりか知らないが、滅茶苦茶寒い奴だ。

 

「ふぅ………あんまり動くと貧血になるんでね。さっさと済ませないといけない。そっちがその気なら、喜んで期待に応えようか。そろそろ殺してしまっても構わないな?」

 

眼鏡を外して、隠していたナイフを取り出す。かちん、とナイフの刃を出して、キャスターと蓋折に向き合う。

 

「いや、武器短っ!!!よわそー!!!」

 

大量の虫が俺に追い討ちをかけるべく突進してくる。

 

「邪魔だ」

 

ナイフ一振り。一発でひとまず四百体ぐらい殺しておいて、そのまま近づいていく。

 

「は!?なにそれ、イミわかんない!!アンタ、舐めプとかすごいイラつく!!なんなのオマエ?」

 

蓋折が手を挙げる。そこに、一振の刀が現れた。鍔のついていない、紅い刀身の赫刀だ。

 

「死ねよオラ!!!」

 

蓋折がそれを振り降ろす。刀身から放たれる、禍々しい魔力の断層。

目の前で爆発が起こる。だが、危険を感じる感覚はない。むしろ、相手にすらならない。

 

「………うそ…そんな!?何したのよ……!オマエ!!!」

 

「別に。【殺した】だけだ」

 

まったく、よりにもよって、この少年(からだ)に感謝することになるとはな。器に救われるとはこのこと、まさかこの少年、魔眼をもっていたとはな。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

《蝦碑市南、人工林》

 

 

「さて、幕引きと行こうか、アンザス。互いの実力が、この席に至るまで、どれほど腕を上げたか、互いの眼で確かめてみようか!」

 

ケイアスが杖を真上に投擲する。回転しながら物理落下していく杖は、アンザスとケイアスの間の地面に突き刺さった。その杖が蒼白く光輝き、とてつもない冷気を噴出し、地面を持ち上げた。

 

「な────そんなことまで……!?」

 

地面が持ち上がったのではない。新たに氷の足場が形成され、上空へと持ち上がっていったのだ。

 

「これぐらい朝飯前さ。本気になれば、街全体を氷漬けにしてやることもできるけど、それだと流石にまずいのでね。ひとまず、ここらに足場を作るに留めておいたよ」

 

「………いいでしょう、こちらも、加減をしている場合ではないみたいですね」

 

アンザスが氷の地面で疾走を始める。無論、アンザスがこの期に及んで氷で滑ることはあり得ない。地上のときとまったく変わらない速度で、ケイアスに接近する。

 

「………ふん」

 

「………!?」

 

ケイアスが一気に空高く飛び上がる。そして、目の前にいたはずのケイアスは、氷の壁になっていた。また、足場を作って持ち上げたのか。そして、その壁から、

 

「………!」

 

氷の針が突き出てきた。

 

「おっと………」

 

間一髪の回避。ケイアスが上空50メートルからこちらを見下ろしている。そこから、無数の氷の槍が降り注ぐ。

 

「こうなれば、強行突破ですか……!」

 

アンザスが黒鍵を全力で投擲する。氷の足場に突き刺さった黒鍵が真っ赤な炎を上げて爆発し、氷の足場を粉砕する。

上空には、空を跳んでいるケイアスの影がある。別の足場へと跳び移ったか。

ケイアスの足場はさらに高く持ち上がっていく。

その高さ、約600メートル。具体的には東京スカイツリーぐらいの高さだ。人間であるアンザスには到底届かない高さだ。

 

「いやらしい闘い方だが、野蛮であれ戦法だ。仕方がない」

 

ケイアスはその600メートルの(いただき)から氷の槍を放つだけでアンザスに勝てる。

この勝負、貰ったも同然だ、やはり彼女は、大したことな─────

 

「────うぉぉっ!?」

 

突然、氷の上で足を滑らせた。そのまま落下する。

まさか、氷の魔術師ケイアスが氷で足を滑らせる筈がない。

 

「馬鹿な!?」

 

「現実ですよ」

 

気づいたときには遅く、ケイアスはアンザスに組み伏せられた状態で共に落下していた。

 

「な………600メートルの高さを跳躍したと言うのか……!?」

 

「なんですか、それぐらい令呪なしでもできますよ」

 

アンザスはなんと、令呪なし、自身の脚力だけで600メートルを跳躍したのだ。

しかも、それもケイアスが気づかないほどの速度で。

 

「ケイアス───────!!」

 

「ヴォォォォォォォォォォ!!!!!!」

 

地面で大爆発が起こる。吹っ飛ばされたのはアンザスの方だった。

 

「やるね、こちらも中々なダメージを負ったよ………」

 

アンザスの脚が氷漬けになる。

 

「………しまった!?」

 

「まったく、手間をかけさせるね。その氷は、令呪の力では絶対に脱け出せない。凍結しているのだから、空間転移を使おうと、その足は、僕が解除するまでそのままだ。楽しかったよ、アンザス。君と再開できて良かった」

 

ケイアスが杖を空へと投げる。杖が空中で停止し、上空に、巨大な氷の結晶のような術式を開く。その節々から、魔力が充填される。

アンザスはその結晶の術式を見て息を呑む。その下から、

 

「ふう─ぐぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

下から、5本の太い氷柱が突き上がり、アンザスの身体を串刺しにする。氷の棘はアンザスの法衣を一瞬にしてバラバラに引き裂きそのまま貫通し、アンザスの皮膚に到達し、止まることなく、臓物をかき乱し、すぐさま背中から深紅の棘となってアンザスを貫き穿った。

そこへ追い討ちをかけるように、氷結晶の術式の節々にあった氷の魔力が、一斉に火を吹いた。

レーザー光線のように、アンザスを氷柱もろとも照射し、跡形もなく粉砕した。

あとに残ったのは、破壊しつくされた地面と、折り尽くされた人工植樹の木と、そこに横たわる、アンザスだった筈の中身が溢れてひしゃげた冷凍肉だった。

 

「残念だったね。君があと少し、頑丈な子だったら、僕を追い詰めることぐらいできたろうに」

 

ケイアスがその場から立ち去ろうとしたところ。

 

「逃げるな!!オマエ!!」

 

「サーヴァント!!」

 

サーヴァントがケイアスに猛突進してきた。地面で再び爆発が起こる。煙の中から現れたのは、チャリオットに乗るライダーだった。

 

「オマエ………よくもまぁ、アンザスを……」

 

「困ったな……サーヴァントに追い詰められては勝ち目がない。それも、大英雄。これでは流石の僕も、傷を付けるのも難しそうだ。─────ランサー、撤退の準備は?」

 

「─────!!待て!!」

 

「では、失礼するよ、ライダー。うちのランサーがお世話になった!!!」

 

ケイアスはすっと消えてしまった。恐らくは、ランサーの撤退と関係性があるようだ。

 

「くそ………ここまでか。まさか、オレたちが、最初の敗北者とはな………来世じゃ、絶対に赦さないからな、あの野郎……」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

そうして、1分ほど経過した。

 

「ふぁぁぁぁぁ…………おはようございます……ライダー」

 

「なんかそんな予感がしたんだよオレは───!!!」

 

だってマスターが死んで1分も経ったのに、生きてるわけないじゃんオレが!!確かにオレ、単独行動スキルあるけど、あれはパスが強いだけで、マスターと契約切れたら、そりゃ普通のサーヴァントと同じぐらいのタイムリミットで死ぬわ!!

 

「もーう!!いったいことしますねー!ケイアスって人!!お陰で今日の令呪が六画も減ったじゃないですか!!合計十画!!今日このあと戦闘があったらどうする気ですか!!!」

 

令呪で生き返るのコイツ!?しかも痛いで済んだのか!?ハラワタ全部ぶちまけられてたぞ!?

 

「生きてるのがそんなに当たり前か、どんな奇跡を呼ぶ令呪だよそれ」

 

オレからすれば、生きているだけで、もうこれ以上ないぐらいに嬉しいのに、この女からすれば、当たり前どころか、令呪減ったことの方が癪に障るほどのことらしい。

 

「まぁ、生きているならよしとしようぜ。それよりアンザス、服着ようか」

 

変態(ケイアス)の攻撃で千切れたんですよ!!もう!!」

 

「お、おう」

 

珍しいな。こいつが自分の意思以外で服着てないなんて。

 

「まぁ、街の中心にあるあの温泉にでも行きましょうか!!」

 

「いや、おい、服どうすんだよ、街中全裸で歩き回る気か?」

 

「はい!!」

 

だめだこいつ。野放しにしたら絶対警察に捕まるわ。

 

「オマエはどのアルファベットの変態なんだよ……!」

 

「エーースーーー!!!!」

 

そんなに叫ばなくても。よほどSを強調したいのか。「エース!!」ってそんな、何処ぞの海賊漫画のワンシーンとかにありそうな叫び方しなくても伝わるだろ…………

 

「さて、ライダー、令呪を以て命じます、服もってきて下さい」

 

アンザスの令呪(サーヴァントとの契約としての令呪)がまた一画減った。

 

「馬鹿なの、オマエは。オレ、オマエの召し使いじゃないぞ!?」

 

だが、令呪使われては逆らえない。オレは仕方なく教会に直行した。しかし、令呪六画消費で生き返るのか………全部で三十画の令呪を六画消費して……すごい令呪だな。アイツはそれをいつも無駄遣いして────

 

「待って、じゃあ、アイツ1日最大五回も生き返るのかよ!?」

 

まこと、聖杯戦争での令呪の大切さを改めて理解したのであった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

キャラ紹介【ライダー陣営-バトルスタイル】

 

アンザス・マリオン

ライダーのマスター。

聖堂教会の代行者で、その黒鍵の実力から、教会の「鍵」の異名を持つ。

アンザスを護衛に従えていた司祭代行、ネロアから譲り受けた令呪三十画を自身に行使し、様々な奇跡を起こしながら、他のマスターよりも圧倒的優位に闘うことができる。たとえ死亡しても、令呪がある程度あれば蘇生も可能。

 

ライダー

騎兵のサーヴァント。

アキレウスに次ぐ大英雄とされた男で、強力な宝具の持ち主。人並み外れた巨体を持っているが、それはライダークラスの身軽さと引き換えに失っている。だが、それでも人並み外れた怪力で他のサーヴァントを圧倒し、類い希な戦闘能力で相手を切り払う。攻撃用の宝具はほとんど持っていないが、防御面では最強の英霊とされており、その盾は、あの大英雄ヘクトールの投擲すらも防ぐ、飛び道具、槍に対する万能の盾である。




いつも見てくださっている方、ありがとうございます!マジカル赤褐色です。ちょっとした有名人に私の作品が見ていただいていることを知って今はけっこうご機嫌です笑笑
さて、吸血鬼が姿を現した理由としては、吸血鬼が誰かということはそんなに重要なことじゃないという作者の身勝手な判断から来てますね。まぁ、皆さんの予想通りに蓋折が吸血鬼です。はい。
蓋折は今後もマスターたちに面倒な迷惑をかけることになるので、今後の展開も是非ともお楽しみ下さい。
では、次回もお楽しみに!
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