かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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もう一人のライダーのマスター、エインス・マリオンに拐かされたセイバー。セイバーは彼女の策を難なく見抜き、対峙することになるが、セイバーの目の前にいた相手は、最早人間の域を越えた人間だった。


第十六章 破壊女神

 

 

《夜、蝦碑市ビル街》

 

「さてと、どういうつもりだよ?手前」

 

セイバーが女と約束した店の中で、「その女」に詰め寄る。

 

「いいえ?なにも?」

 

紺色のシャツにパーカーを羽織った若い女は首を傾げている。

 

「おっと、教えてなかったな、俺ぁ、嘘が大ッ嫌いなんだよ、あんまり騙してると、本気で見逃さねぇぞ」

 

「うーん、なんのことだか………」

 

女がおどおどしている。

 

「わかってんだよ、手前マスターだろ、どうせ。手前みたいなやつを昨日見たんだよ。昨日温泉行ってな。手前と髪の色が反転してる野郎がいたんだよ。そいつに、付き人がいたんだがな、ありゃあどう見てもサーヴァントなんだよ。手前、あの女じゃねぇだろうな」

 

「えぇ、その子ではないわよ。わたしは昔からこの髪色よ」

 

女の顔が明るくなる。

セイバーがそれをみてため息を付く。

 

「やっぱりな。ほんとの事だけにっこり笑いやがって。わざとか。なんだ、俺が色仕掛けに騙されるとでも思ったのかよ。そんなんで俺を騙されるとでも思ったのかよ?」

 

セイバーが短刀を着物の中から取り出す。

 

「はぁ………バレたらもう仕方ないわね」

 

女はそう言うと、

 

「じゃあ、アナタには死んでもらうわ」

 

女は邪悪な顔をにっこりと見せて、セイバーを蹴り飛ばした。

 

「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

セイバーが店の壁を突き破って外へと投げ出され、さらに店から道路を挟んで100m離れたビルにノーバウンドで衝突し、大爆発を起こした。そして、セイバーがぶつかったビルが大音響を立てて倒壊した。

周囲の一般人たちが悲鳴を上げる。

 

「きゃぁぁぁ!!!、」

 

「なんだなんだ!?」

 

「ビルが倒壊したぞ!」

 

瓦礫の中からセイバーが這い出る。

 

「痛って………!!んだ、いまのは………!」

 

セイバーの衝撃はもっともだ。女は大したことは何一つしていない。ただ、軽くセイバーを蹴っ飛ばしただけだ。それだけで、現代の建物に穴を開け、そのまま吹っ飛ばされたセイバーが衝突した衝撃で、三階建てのビルを倒壊させた。とんでもない怪力だ。

 

「自己紹介するわ。わたしはエインス。エインス・マリオン。ライダーのマスターよ」

 

女、エインスは何事もなかったかのように、セイバーに歩み寄る。

 

「なんて怪力だこの野郎………」

 

「さて、勝負よセイバー!」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

そう言うと、エインスは肘を地面に叩きつける。アスファルトって言ってたっけ、そんな感じの名前の地面が液状化現象を起こしたように陥没する。

 

「うわぁあ!!!」

 

間一髪、道を走って陥没には巻き込まれずに済んだが………

 

「それっそれ!!」

 

相手は壊れたビルの瓦礫を、石ころを投げつけるようにぽいぽい投げつけてくる。

俺もまぁまぁいろんなやつを見てきたが、こいつぁ、今まで見てきたん中でいっちばん強ぇ。

遠くから、ウーウーと音がしてきた。この音、パトカーのサイレンか?なんだか、暫くテレビばっかり見てる間に、最近の言葉をよく覚えたもんだな。

車の中から警官たちが降りてくる。

 

「な、なんだこれは……!」

 

「皆さん、落ち着いて避難してください!」

 

警官たちは、住民の安全を確保し、それから俺たちを止めようとしてんだろうが…………だめだ、こいつぁ、化け物だ。近づきゃ死ぬ………

 

「あー!ちょっとそのパトカー借りるわね!」

 

エインスがパトカーに走り寄る。

 

「な、なんですか貴女は!」

 

警官3人組のうちの一人は戸惑っている。

 

「ま、待ちなさい!」

 

その呼び掛けも無視して、エインスは、あり得ない行動に出た。

 

「セイバー!!」

 

「はぁぁ!?」

 

なんだ、コイツ!?停まってた二台のパトカーを両方とも片手で持ち上げやがった!?

 

「うお~!」

 

ちっとも力を込めることなく、両手でパトカーをブンブン振り回して攻撃してくる。

 

「ざけんな………!なんだそりゃ!!」

 

即席で造った刀二本で文明の塊を二つ防ぎきれるか?できる筈がない。カラの腕を振り回すように、カラではない両腕をブンブン振り回しす様子は最早、破壊の女神にしか見えない。

 

───狂ってやがる。コイツ、アタマおかしいぜ。こんな馬鹿みてぇな性能の人間、実在するのかよ!?だが、霊気は何一つ感じられねぇ。サーヴァントの可能性はゼロだ。

 

こいつぁ、本当に、ただのニンゲンだ──!

 

周囲の一般人を巻き込むのは嫌だが、こうなればそれも仕方がない。いざとなれば、本気を出す覚悟も要る。

 

「俺も本気でいくぜ!!エインス・マリオン────!!」

 

「さて、ちょっと頑張りますかね……」

 

エインスは首を回して首を鳴らしたあと、両手に持った二台のパトカーを要らなくなったとばかりに地面に置いて、回し蹴りで粉砕した。

さすがに俺も怯えざるを得ねぇ。

 

「いいぜ、付き合ってやんよ、化け物!!!」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「ふぅ、もう、どこ行ったのよアイツ………」

 

私はセイバーを探して街じゅうをうろついていたのだが、とうとう街の中心、ビルが並ぶような場所までやってきてしまった。

 

「こんなとこまで来て戦ったりしないか………」

 

ひとまずあきらめて、撤収することにしたその時だった。

遠くから、とんでもない爆発音がした。

 

「!?」

 

爆発音の聴こえた場所から、黒い煙が上がっている。人々もそちらの方向を向いて唖然としている。

 

「そんな、セイバー!!」

 

そっちの方向へと走る。住民が街から離れるのに対し、反対の方向、音のする方向へ走っていく。

道路ではたくさんのパトカーが走っている。よく見たら、機動隊のものらしき車も走っている。どうやら、結構な大事になっているらしい。

 

「そこの女子校生、上から来てる!危ないよ!!」

 

「!?」

 

警官が私に呼び掛けてくる。言われた通りに上を見たら、作業中のクレーンが建設中のビルの屋上から落下してきた。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

突然のことに驚いて動けないでいたら、そのクレーンが急に、独りでに横に動いていった。

 

「嘘………でしょ………!?」

 

そのクレーンは、勝手に動いたわけではない。落下してきたクレーンが平行に動くものか。動いた理由は単純だった。クレーンを右手で軽々と持ち上げた女性が、そのまま運んでいっただけだ。

 

「なんて、怪力なの……?しかも、あの人………」

 

さっきセイバーをご飯に誘った筈の女性……やはり、アレは罠だったのか。

 

「え!?それじゃあ、セイバーはどうなってるの!?」

 

奥へと進んでいく。あの女性を追ってみる。スポーツカー並みに足が速いが、視認はできる。後を追うことはできなくはない。

 

「君、止まりなさい、」

 

「ここから先は危険だ。ここは警察に任せて、君は真っ直ぐ家に帰りなさい」

 

警官が三人がかりで私を止めてくる。

 

「向こうに、私のサーヴ………知り合いがいるんです……!」

 

「知り合い……?」

 

「はい、和服を着て、三度笠を被った……」

 

「ちょうどその知り合いさんと今クレーンを運んでいった女性との抗争なんだ。それを制圧するために、我々はここへ来た」

 

くっ、遅かったか、かなりの大事だ。

ひとまず走って、警官を横切ってセイバーを追う。

 

「ちょっと、待ちなさい!」

 

警官が追いかけてくるが、私の脚の速さに敵うわけもなく、すぐに追手は消えた。

 

「セイバー、セイバー!」

 

人の居ない街をただひたすら走り回る。すぐそこの角を曲がった瞬間、肩に強い衝撃を感じた。

 

「うわっ!」

 

「……って!」

 

「す、すみません、よそ見してました……!」

 

どうやら、人とぶつかってしまったみたいだ。だが、相手は私とぶつかったのに、けろりとしている。

 

「す、すまない、僕も、よそ見していた。それよりも、君、こんなところで何をしているんだい。ここは危ないって、聞いてないのかな?」

 

相手は赤銅色の服装の青年だ。

 

「危ないって………なんでですか………」

 

「どうやら、和服の男と、シスター服の女が、バチバチに争ってるらしいんだ。だから、僕もちょっと様子を見に来たってわけだ。女の方は特に凄いらしいぞ。片手でパトカー持ち上げたり、あそこの地面を肘打ちだけで陥没させたんだってさ」

 

よくわからないけど、とんでもない人物ばかりのようだ。

 

「!?」

 

また、爆発音だ。見てみたら、向こうにさっきのクレーンが落下して粉々になっていた。多分、さっきの女性が投げたのだろう。

 

「あれか────」

 

青年が目にも留まらぬ速さで、その方向へ突撃していく。

 

「うそ、今のサーヴァントだったの?」

 

それはそれで何のクラスかがわからないから後回しとして、サーヴァントまで乱入されては、セイバーが本当に生還できるか保証がつかない。急がないと。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

用語紹介【蝦碑市】

 

物語の舞台となるのは極東の片田舎、蝦碑(えび)市。麗花や幹太を初めとする千藤一家が古くから統括する街で、歴史ある街並みと、近年から続いている大規模な都市開発計画が進行していることに影響する、狭いビル街が特徴。今日も都市開発が進んでおり、街中が四六時中工事を行っている。街の周りは山に囲まれており、温泉町として売り出されている。物件の安さと暮らしにくさは規格外で、家によっては一番近いスーパーやコンビニでも徒歩一時間掛かることもあると言われている。この地でアルケード・エンケラドゥスが呼び覚ました聖杯が顕現しており、此度の聖杯戦争はそれを巡って行われている。だが実際はアルケードに関係なく顕現した、本物の聖杯であるため、アルケードの開いた非正式聖杯戦争とはまた別で、本物の聖杯戦争、正式聖杯戦争が開かれている。土地の霊脈は非常に良好で、サーヴァントや聖杯を喚ぶには好都合であるとされている。そのため、聖堂教会の建物が大々的に置かれている。

ちなみに、この街は温泉だけでなく、昔から、市民に親しまれている蝦碑饅頭も相当な名物と言われている。




いつも見てくださっている方、ありがとうございます。マジカル赤褐色です。さぁ、FGO七周年を迎えましたね。さぁ、どうしましょう、まさかの、本家でアルクェイド実装ときました。えぇぇ…………私も当時、「アルクェイドくるんじゃないの?」と思っていましたが、いや、ガチで来たのね、と。公式がアルクェイドを実装しないから寂しさを紛らわすためにこんなひっそりとしたところで実装させていましたが、今公式から来たよね!?笑笑 こちらも本家アルクェイドに負けないようなアルクェイドを再現していこうと思っておりますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。
いや、にしても今年は豪華な周年ですね。周年記念として、メルブラのほうもかなり大掛かりなアップデートが来るとか。マジカル赤褐色は小説を書くことよりも格闘ゲームをするほうが圧倒的に得意でして、メルブラに関しては歴10年近くのセミプロと化しておりますため、このお知らせは凄まじいなと。まさかのネコアルク実装とどこかの完全武装した先輩に似ている後輩とか。今後なんかすごいコラボとかもあるようですし。月姫本編については公式からMADにも見えるような一周年記念動画まで出されて、忙しい日々が続いております。今年の型月は忙しいぞぉぉ 私も本家に負けないよう、精一杯FGOとメルブラを頑張っていきたいと思いますので、今後ともマジカル赤褐色をよろしくお願いいたします!!(小説やる気なしのバカ)
それでは、次回もお楽しみに!
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