《街喫茶umber裏森》
「な……………………………」
アサシンはオベロンよりも大幅に遅れて店にやって来たところ、そこから恐ろしいモノが見えてしまった。umber裏にある大きな森林から、両腕が鎌のような形をした真っ赤な生き物が。
追いかけるように、その方向へ向かう。木々をかき分けて先を急ぐ。木々のカーテンをくぐり抜け、緑のヴェールをまたいでいく。森の中を越えたその先に、大きな広場が。
「ついた──────!!!」
以上。彼はそこに辿り着いただけだった。
「え─────?」
急いで木々の中から走り出てきたアサシン身体を、巨大な斧のような何かが勢いよく薙いだ。斬られた。いや、打ち付けられたと言った方が正しいか。それぐらい、その謎の斧は太く大きく、そして強靭だった。
そもそも、斧ですらなかった。あれは巨人の斧などではなく、ただの鎌。建物を越えるほどの、森の外から見ただけでも木々よりも背の高い、巨大なカマキリの腕だった。
◆ ◆ ◆
《同時刻》
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アーチャーとアンザスは二人で力をあわせてオベロンに立ち向かっていた。自分たちよりも数十倍、なんなら百倍近く大きな相手に恐れも成さなかった。
「おりゃぁぁあ!!」
アーチャーの剣が巨大な蟷螂の姿へと変貌したオベロンの脚を直撃する。蟷螂は昆虫である以上、脚が細い。そこならば、楽に切れると判断したのだ。………その判断は正しかったが、上手く行った訳でもなかった。切れ味抜群のアーチャーの剣は蟷螂の脚にまっすぐ直撃した。鋼をも切り裂く斬鉄の一撃。それはオベロンの脚に当たったものの、まるで効いていない。脚に刃が食い込みもしない。蟷螂の甲殻の堅さがどれ程なのかはさておき、蟷螂の甲殻の堅さは、草むらで見かける野生の蟷螂のものとは雲泥の如く、堅さに差がある。形は全く同じなのに、サイズは普通の蟷螂とでは月とすっぽん。それに加えて堅さと強さもどうやら提灯に釣鐘のようだ。
「う…………このォォォォォ!!!!」
アーチャーが力任せに剣を押し出すが、剣は持ち主の言うことを全く聞かない。いや、聞いているが、それが叶わないだけか。
「アーチャーさん!!」
空を舞う代行者。アンザスも手に巨大な蛇腹状の大剣を握って蟷螂に襲い掛かる。
人間の身長を優に上回る、大蛇のようにしなり伸びる鋼鉄の
それも、
「てやぁっ!!!」
効いていない。しなるゴムで鉄を斬れる筈がない。蛇腹剣は悉く弾かれ、辺りにはただ鉄がぶつかる音が響くだけ。
「クハハハハハ!!!そーれ、全員潰してあげよう!!」
オベロンは強烈な筈の一撃に苦しむ様子も見せず、ただアーチャーとアンザスを攻撃することだけを考えて、唯一の武器である両腕、蟷螂の鎌を振り回す。
「危ない!!」
蟷螂が大きすぎる。通常時の物理攻撃におけるリーチでこの怪物を越える存在は、此度の聖杯戦争に存在するものか。ただ単に腕を振り回すだけで厚さ7メートル長さ数100メートルの攻撃が炸裂する。これを避けながら、降ってきたギロチンの刃すらも折りかねない堅い甲殻を切り裂く、だなんて夢物語だ。
「くっ、なんなんだこの化け物は!!」
「余所見をするのはよくないな、大ボスとのバトルは、真っ向から切り込まないと面白くない」
オベロンの声は反響するように、マイクに話しかけるように響いて聴こえてくる。
「アーチャーさん、12時方向!!」
「─────!!」
アーチャーに向かってもう片方の鎌が振り下ろされる。
「ぐ、うあぁっ!!」
アーチャーの剣は細身だ。対して蟷螂の鎌は太いどころの話じゃない。物理的にアーチャーが弾かれない筈もなく、剣で防いだアーチャーは反動で大きく吹き飛ばされ、着弾した地面が砂ぼこりを巻き上げた。
アーチャーは鎌の直撃は防いだものの、勢いは全く殺せていない。直撃のダメージをゼロに持っていったところで、勢いそのものはもはやガード不能攻撃。生き物のサイズ感による質量と圧力、それから力の向きやレンジの差が歴然としすぎているからだ。
「─────オォォォォォ!!!」
砂ぼこりの中から神速の物体が現れる。
「─────!?」
オベロンの鎌が振り下ろされる。鎌は地を貫き大地を叩き潰す。神速の物体はそれを横に回避し、その振り下ろされた腕を伝って、蟷螂に直接斬りかかる。
神速で走るアーチャーの手には見たこともないような剣が握られていた。アーチャーがいつも握る白い輝きを放つ剣ではない。蒼い輝きを誇る、巨大な太刀のような剣。
「なんだ、ソレは!!!」
「─────この怪物め!!!」
腕から、蟷螂の頭をめがけて跳躍。同時に空中から剣を振りかぶる。剣が真っ青な光を溜め込む。広場の辺り一帯も、翠色に照らされる。土地の魔力が、剣に収束される。
「あれは…………」
宝具だ。アーチャーの宝具。今までとは比べ物にならない、強い魔力の流れ。
スサノオ神話曰く。スサノオノミコトは、災害竜ヤマタノオロチを打ち倒したとき、その尾から一振の神剣を得たという。
その剣の名は──────
「────
三種の神器として奉られた神の剣、草薙の剣、天叢雲。
アーチャーの太刀が一直線に蟷螂を切り裂く。頭から身体を一刀両断していく刃は大地、森林、広場ごとオベロンを真っ二つに切り裂き、その光を薄れさせた。
「ギ───アアアアアァァァァァァァァァァ!!!」
蟷螂の姿だったオベロンのカタチが崩壊していく。本来真っ二つになって縦に二等分された蟷螂の死体が転がる筈が、血よりももっともっと明るい色の、赤液体を吹き出しながらドロドロと融解するように崩れていく。
ダムの水を全部ひっくり返したように、液体が広場全体に弾け溢れだす。波に飲まれるようなざっぱーんという大きな水音がして、オベロンだった存在は消え去って、あとに残ったのは、大量の泥のような液体だけだった。
「やっ…………たか」
アーチャーはそれを確認してから片膝をついて身体の半分を倒した。
「アーチャーさん!!」
アンザスがあわてて駆けつける。アーチャーは倒れてはいるが、生きてはいるようだ。どうやら力を使い果たして動けないようだ。
「はぁ、オベロンは」
「アーチャーさんのおかげで倒せました」
「そうか、なら……………」
「あのさ、こう言うのもなんだけど、さすがに無茶があるでしょ」
しかし。まだ声が残っている。
「─────!?」
アーチャーとアンザスが声の方向を向く。そこには、
「やぁ、まさか倒したと思ってた油断したかい?だとしたらご愁傷さま。いいかい?いいこと教えておいてあげるよ、こう言うでっかいボスはね、簡単には倒せないんだよ。第二形態があったりとか、殺せなかったりとかね。俺は呪いなんだ。あの呪いの液体が形状を変えただけ。そりゃ、斬っても意味がないさ。俺はそもそも呪いであって、生命として存在していないからね。生きていないんだから、殺せるはずがないよ」
「やはり、そう上手くはいかないか………」
「当然。俺は最強のサーヴァントだからね。こんな宝具ひとつでやられていたら、サーヴァントとして終わっているよ。さぁ、生意気な抵抗をしてくれたお礼だ。さっきのオマエが俺を真っ二つにしたように、俺もオマエたちを真っ二つに斬ってあげよう」
オベロンだった呪い。その呪いがつまった液体が再び形を取り戻す。元の巨大な蟷螂のシルエットが戻っていく。蟷螂は再び腕を振り上げて、アーチャーとアンザスに向かって、
「────危ない!!」
アーチャーがアンザスの前に立つ。
「うん、誰か来たようだね────!!」
オベロンはすぐに腕を振り下ろすのをやめて、アーチャーたちではなく、自分の背後に向かってその腕を薙ぎ払った。
「な─────!?」
そこに居たのは。血を撒き散らしながら空を舞っている、一人の青年。オベロンの鎌が直撃したのだろう。
「アサシンさん─────!!」
アンザスがその青年に向かって叫ぶ。アンザスは共闘していたアサシンの影を見逃すことはなかった。
アサシンは突然襲ってきた強烈な一撃に対応できず、地面に倒れ伏した。
「アサシンさん!!大丈夫ですか!!」
アンザスが倒れ込むアサシンに向かって走り出す。
「待て、貴様死ぬ気か!!」
アーチャーが叫ぶ。だが、もう遅い。
「待ってたよ………!!」
アサシンに夢中のアンザスはオベロンに注意をはらっていない。それを見たオベロンはアンザスに向けて鎌を振り下ろし、
さらに。
「なんだ!?」
アーチャーの前に巨大な虫たちが現れる。オベロンよりも圧倒的に小さいが、それでも全個体が人間のサイズを越えている。
「くそ、ここまでか───?」
アーチャーはアンザスを助けに行こうとして虫たちに邪魔された。アーチャーが虫たちを相手にしない術がない。アンザスはここでアーチャーに助けられることはなく、
「は───あぁぁぁぁぁ!?」
オベロンの驚愕が響いた。
突如、アンザスに向かって振り下ろされた鎌が空高く舞い上がった。アンザスは遅れてその現象に気づいたようだ。
「え?」
「な?」
「は?」
三人が心を通わせたのはこれが初だろう。【その様子】に三人が全員驚愕した。
アンザスの前に、三度笠があった。肩口から柿色の羽織を提げた、臙脂色の紬の青年が刀を持って、その攻撃からアンザスを護った。無論、その正体は言うまでもない。
「セイバー!?なぜ貴様ここに?」
「セイバーさん、その大怪我………」
「オマエ、何しに来た………!!!」
アーチャーとアンザスの疑問とオベロンの怨嗟の声が響く。
「ちょっくら若いもんのことが気がかりになってな。保護者を代表して来てやったぜ、俺がいなくっちゃ聖杯戦争にならねぇからな。これじゃあただの地球防衛軍じゃねぇか。オベロン、手前、演劇の基本わかってねぇな、題材は終始一貫じゃねぇとダメに決まってんだろ?「聖杯戦争」って題材にしたきゃ、でけぇ身体とか、変な救世主とか以前に、セイバーのサーヴァントがいなくっちゃ話になんねぇよなぁ!!」
先ほどの怪我を負いながらもセイバーは叫びながら憎らしい笑顔で大見栄を切ってオベロンを睨み付ける。
「オマエ、俺の、腕を………!!」
見れば、オベロンの腕、鎌は地面に転がっていた。アーチャーが宝具を使ってようやく切断できたというのに、セイバーは刀1本で軽々と斬り伏せた。
「セイバー、貴様、なぜ貴様は剣士でもないのにオベロンの腕を斬ったのだ?」
「なぜって、そりゃ手前、」
セイバーは何事もないように答える。
「俺の刀に斬れねぇもんはねぇからに決まってんだろ?それ以外何があるってんだよ、こんなヨボヨボの爺が斬鉄なんざ無理に決まってんだろ、でもな、こりゃあ、簡単なことなんだよ、【鉄が斬れねぇ】んだったら、【鉄を斬る剣を作りゃ】いいってんだ」
「な………そんな、無茶な………!?」
「貴様正気か!?貴様の刀といえど、即席の武器が、私の宝具である神剣と競り合うなど…………」
アーチャーとアンザスはあんぐり。
「何度も言わせんじゃねぇ。俺の刀は世界一だっつってんじゃねぇか。最低でも、この国のどんな刃物よりも強ぇんだ。作るときに「斬る」機能だけに肩入れすりゃ何でも斬れるし、「折れない」機能だけに肩入れすりゃ何があっても折れねぇんだよ、刀鍛冶ってのはそういうもんだ。だからよ、どんなに雑に刀作ったって、俺の刀は他のサーヴァントの刀の宝具になんざ負けねぇんだよ、だって【日本最高】なんだからな、どこぞやでは鍛冶の神みてぇな扱いされてるんだよ、だから神が作った剣じゃねぇと、俺の刀は越えられねぇんだ、手前の神剣みてぇにな」
まぁ、それもたいしたことねぇけどな、とセイバーは大笑いしている。そんな余裕の表情だからこそ、周りの連中は安心しているが、一方で心配もしている。その左腕はいまだにだらしなくだらーんと下がっている。身体中もぼろぼろである以上、セイバーはいまだかつてないほどに衰弱している。あぁは言っているが、今のセイバーがフルのアーチャーと闘えば、敗北する可能性がある。
それほどに、セイバーは今、危ない状態だと言うのに、「俺もやりてぇ」という身勝手な理由で、この死地へと脚を踏み込んだのだ。保護服無しで勢いよく対人地雷を踏みつけるようなものだ。
「あぁぁぁぁぁ面倒臭い!!!もはや目的とか、戦う経緯とかどうでもいい!全員纏めて、踏み潰してやる!!」
オベロンと虫たちが一斉に攻撃を仕掛けてきた。その数はこれまでのオベロンとは比にならない。過去一番の総攻撃。それに対処する余力が、果たしてこの場の者たちに残っているのか。
「まずは、アサシン、一番俺の邪魔をしたオマエからだ!!」
オベロンがセイバーに斬られた右腕を直ぐ様再生させ、勢いよくその腕についた凶器を振り下ろす。
「アサシンさん!!」
「アサシン!!」
「アサシン!!」
三人の叫び声が響くが、それでも彼らと倒れ伏すアサシンの距離は限りなく遠い。助けが間に合うはずがない。だが、
「う…………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
それと、根性は別だ。
「───起きた!?」
「チッ─────!!」
「はぁっ!!」
アサシンの振るったナイフがオベロンの右腕を再び切断した。だが、これは、ただ斬ったわけではない。
「くそ、また………」
蟷螂オベロンは斬られた腕を蟷螂の目で見つめる。再生しようとその身体を動かす。
「あれ?」
だが。
「なんで?」
再生、
「なんで、なんで?なんで再生しないんだ?」
しなかった。
「そりゃあ、殺したからだろう」
アサシンの声。アサシンはナイフで斬ったわけではない。一般に、先ほどのアーチャーやセイバーの行動を、斬ると呼ぶ。一方でこちらは、「斬った」のではなく、「殺した」。蟷螂の腕に走っていた死の「線」。そこにアサシンはナイフを通したのだ。死の線を斬られれば、対称となる「部分」はその耐久力、生命力とは無関係に殺される。
「腕を、殺した…………?」
「さぁな、よくわからない。こっちにもよくわからない力だからな。
「待て、そんな、ことはあり得ないだろ、生きていないものを、殺すことなんてできないだろう、殺すというのは生命を奪うということなんだから」
「その前提が間違ってんだよ、手前は」
セイバーがオベロンに話しかける。
「バカな、オマエにはわからないだろう、彼の言っていることが」
オベロンのとても納得いきそうにないという不満の声。
「あぁ、わかんねぇよ。ヤツが何を視てんのか、死がモノの終わりだとか、言われてもわかんねぇ。でも、俺なりに解る。要は、ツギハギが見えるってこった。物事の死が視えるってのはよ、よくわかんねぇけど、世の中の脆い部分が視えるってことなんだろ?俺にゃ、そんなこたぁわかんねぇな。けど、少なくとも、手前はこれでおしまいってワケだろう?」
セイバーがゆっくり左腕を動かす。右手だけで握っていた太刀を両手で握る。
「なら話は早ぇ。どんなもんでも殺せる最強の脇差があったら、それで十分だ。行けるか?アサシン、アーチャー、それから知らねぇ尼」
「それはこちらが訊きたいぐらいだ」
アーチャーは素っ気ない返事をする。
「知らない尼じゃなくてアンザスです~よろしくお願いしますね~」
アンザスも行けるようだ。
「あぁ、俺も行ける。けれど、どうやって行くんだ、あんな大きな相手。俺は接近しないと力を発揮できない。ヤツの【点】、絶対にあいつを一撃で殺せる場所は、首の根元にある。あんな高いところには行けない」
アサシンがただ一人、その計画の難易度に首を傾げる。
確かに、そんな場所にはとても届きそうにない。サーヴァントやアンザスの令呪による跳躍力があっても、あれに届くのは難しい。ましてアサシンを運ぶなど…………
「そうか………」
早くも計画は破綻。アサシンが近づけない以上、あれを倒す術がない。
「アンザス、貴様のライダーは………?」
「ライダーは療養中です。昨日毒矢が刺さったらしいので」
アンザスはアーチャーを半分睨みながら言う。
「おい、それ手前のせいじゃねぇか、アーチャー何やってんだ手前」
「元はと言えば貴様が寄越してきたものだろう!?」
「困ったな、あそこまで運んでいけるようなものは……………」
「道、作りゃいいんじゃねぇのか?」
セイバーが呟く。
「は?」
辺りは沈黙に包まれる。
「そ、素材は何処にあるんだ?建材をここに持ってこいと?」
「いや、あそこの岩を集めれば、上手くいくんじゃねぇのかって思ってよ」
「岩?」
三人が辺りを見渡す。ついでに会話を盗み聞きしていたオベロンも、辺りを見渡す。すると、真っ先にオベロンが【とんでもないモノ】を見てしまった。
「なんだ…………アレは─────!?」
「………………!?」
遅れて三人も気づいた。岩が、大量の岩盤が、空を飛んでいる───?
しかも、あれは、空を飛んでいると言うより、何かにくくりつけられて運ばれている?
「はぁ………なんでもありだな、【アイツ】…………」
アサシンが溜め息を付く。
「へ?」
「いや、こっちの話だ。────おい、見てるんだろう?だったら手を抜くんじゃないぞ?あんまりこっちに迷惑かけるようだったら、許さないからな、このばかおんな!」
アサシンが遠くにいる誰かに話しかける。返事など帰ってこない。相当離れているのか、念話でもしているのか。
「ひとまず、あの岩が勝手に道になるらしい。なんか、そんな気がする。だから、俺が道を走ってオベロンに近づくから、みんなは虫と
「承知した」
「任せてください!」
「おうよ。んで、ばかおんなって誰のことだ?」
セイバーはアサシンの内情に興味深々だ。
「どうでもいいだろう、アル………バーサーカーのことなんて」
「な、バーサーカー?」
「あの野郎昨日も居なかったか?まぁ、いいや、行けんなら問題ねぇな、って危なっ!?」
四人の背後から巨大な蜂がやってきた。それは、
「黄金流抜刀術奥義、賀正箒星!!」
「暗黒青緑拳六ノ型、志貴さま守りたい!!」
「─────!?」
「セイバー、アーチャー、アンザスさん、大丈夫!?」
一刀と一撃のうちに落とされる。
「せ…………セントー!!ご無事でしたか!?」
アーチャーが真っ先に叫ぶ。
木の中から現れた自身のマスターとその仲間たちに感激している。
「あら、昨日の」
「カンタ!?手前何しに来たんだよ!?」
セイバーの困惑もいいところだ。セイバーは幹太たちに「ここに居ろ」と言った筈だ。なのに、幹太たちはここへ来たのだ。
「セイバーを放っておくわけにはいかないよ、僕たちも戦う!セイバーやアーチャーを助けるって、そう決めんたんだ」
「はい!私も皆さんをお守りしたいです」
「お客さまを守るのが、店員の務めですから」
「はぁ………手前よぉ………ありがとよ、けど、あんまり脚引っ張んじゃねぇぞ?」
セイバーの笑顔はいつものものだ。回復はしていないが、もはやいつものセイバーと何ら変わりない。
となれば、メンバーは全員揃った。オベロンに立ち向かうには、これ以上ないほど整った条件だ。
「は、生意気。そこまで悪あがきするようなら、俺たちも本気で行かなくちゃいけないな!!」
「はん、勝手にしな。どこまで続けられるか見物だぜ。行くぜ、虫野郎!!手前が誰に喧嘩売ったか、これから解るまで教えてやるよ!!」
「チッ────」
ついでに足場となる岩盤が到着した。蔓のようなものでくくりつけられて固定されただけの、頼りない坂道のような足場。このままこの脆い坂道を上っていけば、確かにアサシンはオベロンの点を穿つことができるだろう。しかし、そこまでの道は危険に満ちている。重傷を負ったアサシンに可能な
それに、その攻撃ができるのは岩盤を上りきってからの話。そこまでにもオベロン本体の妨害や、かつてないほどに数を増した虫たちの妨害が入る。危険はどこにでもある。そも、全ての行動が死に面している。全ての地点が死地となっている。一瞬の気の迷いでその集中を欠いたその時点で、死といっていいだろう。
それでも、倒さなければならない相手がいる。守らないといけない街がある。護らなければならない人々がいる。当然だが、間違いなく討伐対象であるオベロン以外にも犠牲が発生する。この中のいずれかの人間が死ぬか、いずれかのサーヴァントが消滅するか。
構わないだろう。今の彼らがこの期に及んでそれを理解していないわけがない。それでも。英霊として、マスターとして、この場で退くという選択肢があってたまるものか。
構わない。聖杯戦争参加者数人の犠牲など、救える街の人々の数と比較してみれば、相応の代謝だ────
「行くぜ!!手前ら!!」
「応、援護は任せろ」
「うん、役に立たないかもだけど」
「了解!!フルボッコですよ!」
「あぁ!確実にオベロンの死を貫く!!」
「わっかりましたー!」
「かしこまりました」
戦士たちは、一斉に巨大な岩盤に飛び乗って、その頂を目指して走り出した。
いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます。マジカル赤褐色です。えーとですね、体調をまた崩しましてね、ちょっと創作がストップしてたんです。お待たせしてすみませんでした。
それから、勘の良すぎるマジ赤読者ならお気付きかとは思いますが、こちらの聖杯戦争の鯖の設定資料作っときました。まぁ、今は色々あって修正中のため、非公開なんですが………(読者兼作者の方であればなんとなく解るかも)
まぁ、色々と忙しい日々に舞い戻り、創作もストップしていたわけです。活動休止はさすがにまだまだ先になってから迷うことだと思うので、全然問題ないです笑
せめて五日目ぐらいまでは進めておいた方が……
苦しいことはあっても、病気に罹っても、私は小説と向き合っていこうと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします!
それでは、次回もお楽しみに!
現在登場している内で好きなサーヴァントはどれですか?
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非正式セイバー
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非正式アーチャー
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非正式ランサー
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非正式ライダー
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非正式キャスター・オベロン
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非正式キャスター・妖精妃
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オベロン・アルカディア
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非正式アサシン
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非正式バーサーカー
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正式アーチャー
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正式ライダー
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正式アサシン