「わわわわわわわわわ!!!こないでくださいぃぃ!!」
「その令呪、貰い受けるぞ、子娘!」
わたしはこの蝦碑の街に住む一人暮らしの少女。高校一年のまだまだ若い女の子なのだが、何でも願いを叶えられる聖杯が手に入るとかいう、そんな儀式に参加してしまった。バトルとか、結構やってみたかったから楽しみな限りだけど、まさか、こんなことになるとは思わなかった………
「なんで?わたしはマスターですよ?ちゃんと令呪あるじゃないですか!キャスターのマスターはわたしですよ!」
「知らん。俺はオマエの令呪を奪って、キャスターのマスターとなる。ふざけるな、俺のような一流魔術師がマスターになれないのに、なんでこんな弱っちい小娘ごときがマスターなんだ?明らかにマスター適性は俺の方が高い。もともと俺のものになる筈だった令呪。それをオマエは奪った。返して貰う」
「だからー!令呪が発現したのは、聖杯戦争の参加権を持ってる人だけじゃないですかぁ!わたしは確かにあなたよりも弱いけど、それと聖杯戦争への見込みは違うでしょう?聖杯はわたしを選んで、あなたを選ばなかっただけじゃないですかー!」
逃げ回りながら、話を聞いていたが、とうとう、行き止まりまで追い詰められた。
「はぁん?同じだよ、同じ!アタマ入ってんのか?聖杯がこの小娘を選んで俺を選ばないわけがねぇんだよ!手違いだろうが!」
「はぁ……いい加減認めてくださいよ~小娘ひとり捕まえられないんですから、マスターになってもあんまり意味ないですよ」
ちょっとやらかしたかも。煽り過ぎたかも知れない。
「あっそ、じゃあ死ねよ!」
魔術師が走ってくる。そこへ、
「ちょっと待って欲しいな、そこの魔術師くん」
「あ?」
「………え?」
白い服を身に纏って、綺麗な羽を身につけた、妖精みたいなひとがやってきた。銀髪が綺麗で、王子様のような雰囲気を見せる……イケメンさんじゃないですか!
「彼女は、【僕らの】マスターなんだ。僕らに免じて、ここはひとつ、見逃してくれないかい?」
「あぁん?オマエ誰?」
「僕はオベロン。妖精王オベロン。彼女の召喚に応じて、キャスターのサーヴァントとして、この世界に顕現したよ」
「あ?キャスター?なら解るだろ?オマエのマスターは俺だ。こんな小娘が、オマエのマスターな訳がないだろ?」
なんか、とんでもないことになりそうな予感がしてきた。怖い魔術師の人と、オベロン、キャスターのサーヴァントが、なんか言い合っているけど………
「────え?なんだって?ち、ちょっとまってよ!君、その子をいじめてるこの魔術師を殺そうとしていないか?ダメだよ、マスターでもない、関係ない人を殺すのはダメだって約束したじゃないか~」
「……テメェ何言ってやがる…………?」
「おっと失礼、同居人と話してたんだ。彼女を解放すると、本当に、君を殺しかねないんでね、いま、説得しているところなんだ」
………同居人…が、なんのことかはさておき、彼はわたしのサーヴァントなのだろうか。
「マスター、君の意思に任せるよ。彼をどうすればいいかな?」
いいの?やっちゃっていいの?そっか、わたし、マスターだもんね。彼に頼み事ぐらいはできるもんね。
「じゃあ、キャスター、コイツをズタズタに引き裂き殺して!」
さっきからずっとこのクソ野郎が癪に障っていたんだ。そのツラを見るだけで頭に来る。その頭蓋を一片たりとも残さず、肉塊以下の、肉粉にしてやる。
「おっと、僕には到底できないマネだね。それじゃあ、そろそろ代わってもいいよ~【僕のお妃様】」
「このガキ……ふざけんなよ……!!」
キャスターの形が変貌する。溶けるように熔けていって、カタチを変える。そこにいたのは、オベロンとはまた別の妖精。わたしと歳の変わらなさそうな、女の子の妖精で、手には、黒い鎌のようなものを持っている。
「待て、待てキャスター、オマエのマスターは俺だ!マスターに刃を向けるな…!」
「あッハッハッハッハ!それそれ!殺っちゃえキャスター!!殺って殺って殺りまくって!」
わたしの言葉に、少女は頷いて、鎌片手に、魔術師へと歩み寄る。
「へへん、アタシをガキ扱いすんじゃねぇよ、老害、どうせアンタ数年後に死ぬんだし、さっさと死んじまいなァ!」
「テメェ………この、ガキが……!ひっ、ひぃ……!!来るな!オマエ!来るんじゃない!こないでください……!ヒィィァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!オ、オレ!喰われてる!中から喰われてるよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
そのまま、魔術師は倒れ、もがき始めた。その腹が真っ二つに割れて、中から大量の虫が現れた。
その虫たちは、アタシに近づくと、空中でじっとしてしまった。目の前でふわふわ翔んでいる。
「こいつら、アンタの仲間?」
「うん、いい子達だから、仲良くしてあげてね」
「へぇん、いい子じゃん!中から喰らい尽くすなんて、ワイルドで残虐的ィ!よろしくよろしく!」
アタシは虫の大群を横切って、内臓が空っぽになった肉塊を眺めていた。
「邪魔だよ、このカス」
ひとまず頭をぐっと持ち上げてテキトーに頭蓋骨を握りつぶした。ソレの頭頂から血が吹き出た。はーん、なるほど、頭蓋骨握りつぶすにも、やりすぎたために、脳ミソもつぶれて、頭蓋のヒビから出てきたのか。なんかキモい。
さてと、頭は最早持ち手にもならないもんだから、右足を掴んで、取りあえず、ゴミ箱に投げ捨てておいた。ゴミのポイ捨ては禁止。ちゃんとゴミはゴミ箱だ。
蓋を閉め……っと、あれ、蓋が閉まんない。ゴミがいっぱいなのか。ゴミを奥に押し込んで、勢いよく蓋を閉めた。
「あ、ちぎれちゃった」
蓋に挟まれてゴミの右腕がちぎれてしまった。あーあ、やっちゃった。まぁ、んでも、これでさっきよりもコンパクトになった。右腕をゴミ箱に突っ込んだ。今度はすんなりと入った。よしよし、蓋も閉まったことだし、帰ろ帰ろ。
「さて、帰ろう、キャスター!わたし、お腹空いてきちゃった。」
「おっと、交代かい?わかったわかった……………おや、マスターじゃないか!終わったのかい?」
「うん。ホントに、貴方がわたしのサーヴァントなの?」
気がつけば、少女の姿は消えていて、オベロンがそこにいた。
「そう、改めて自己紹介しよう、僕は妖精王オベロン。君のサーヴァント、キャスターだ。まぁ、もっとも、オベロンはキャスターではないんだけどね」
彼の言っていることの意味がわからないが、取りあえず、彼がわたしのサーヴァントで間違いない。
「さっきの女の子は……?」
「あぁ、彼女は妖精妃だ。君が召喚したキャスターがあの
「へぇ……わたしも、そんな感じだよ。お姉ちゃんと時々入れ替わっちゃうんだ。あ、そうだ、自己紹介がまだだったね。わたしは「
照れくさそうに、わたしはキャスターに手を差し出した。
「リアンか。いい名前だね。よろしくね、マスター。君のことはこれからリアンと呼ぶことにするよ。さーて、っと!行こうかリアン!高まる夜の街へ!」
王子様はそういって、わたしの手を引いて、街へと歩き始めた。
◇ ◇ ◇
キャラ紹介【キャスター陣営】
蓋折 理杏(ふたおり りあん)
キャスターのマスター。
街の外れで一人暮らしている女子高校生。郊外人だというのに、どこで知ったか、聖杯戦争の噂を聞きつけ、キャスターを召喚する。実は双子で、見た目一般人だが、奇形児で、一つの身体に、双子の両方が生まれており、臓器も手足も頭も一つしかないのに、人格だけは二つ持っている。彼女のもう片方の人格となるのが、姉の杏莉で、定期的に反転するらしいが、その反転の謎は、まさに蓋の内側だ。
キャスター
理杏のサーヴァント。
自ら、「妖精王オベロン」と真名を名乗ったが、「キャスター」本体は、オベロンではなく、オベロンと同じ存在を共有する、「妖精妃」の方であり、オベロン自体は、此度の聖杯戦争では、なんの脅威にも成り得ず、なんの闘う力も持っていない。本人は楽天的な王子様で、明るく清らかで、優しい印象を与える、文字通りの王子様。マスターのことは、主として慕い、友として慕っている。戦闘時は、妖精妃と入れかわり、妖精妃に闘って貰う。
いつも見ていただいている方、いつもありがとうございます。
今回は初めてグロものに挑戦してみました。キャスターオベロンを設定した理由は、オリジナル設定にちょっと影響していますが、諸事情あって、設定が雑になっています。オベロンはキャスターではなく、オベロンとは別でもう一人いる人物がキャスターとなっています。今後はこの二人組が、大事件を巻き起こすようになります。皆さん、是非ともよろしくお願いいたします。