かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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キャスター、オベロンを討伐したサーヴァント御一行。
そしてボロボロになりながら無事に生還したセイバーは事情を知らない銀子に事情を説明するために帰宅する。
その後、セイバーに無理矢理連れられて銀子は激闘のあった街喫茶umberを訪れることになる。


第三十五章 閑話休題

 

《街喫茶umber前》

 

 

「な、なんか凄いことになってる…………けど」

 

私は夜ご飯を食べたあと、セイバーに連れられてその、【例の激闘】があった場所へと連れられた。

アンティークな喫茶店だ。だが、その壁は大型トラックが突っ込んできたのかと思うほどに崩壊してしまっている。

ここは街喫茶umber。私もたまに利用する。

 

「だろ?これが俺の言ってたオベロンって野郎のダンゴムシがぶっ潰したやつだ。ダンゴムシがな、ドえらい速度でやって来てな、店の壁ごと俺をぶっ潰しやがったんだよ」

 

「その、オベロンってヤツが犯人だったわけ?」

 

「おう。もうオベロンは消滅した。こいつでオベロン事件はもう仕舞いだぜ」

 

オベロンといえばシェイクスピアでお馴染み、夏の夜の夢に出てくるアレだ。

ゲルマン民謡のマスコット、妖精の王。どうやらそんな大物サーヴァントが召喚されていたようだ。もっとも、そのオベロンはセイバーに倒され、もう消滅してしまったようだが。

そして、そのオベロンのマスターが吸血鬼だった、と。

 

「それで、吸血鬼事件はもう終わったってこと?」

 

「あぁ。他に吸血鬼がいねぇ限りはこれっきりだ。さて、ギンコ。次の仕事に取りかかろーぜ!」

 

そう言って、セイバーは私に箒と塵取りを投げ渡してきた。

 

「ちょ、どういうつもり?」

 

「決まってんだろ。喫茶店の掃除だよ。ウルカとカンタとアーチャーもやってるぜ?俺らも手伝おうぜ!」

 

言うが早いか、セイバーは箒を刀のように構えながら壁の崩れた店の中に入っていく。

 

「元気なもんね……………」

 

まぁ、壊れた店の後片付けには私も賛成だし。このお店にはわりとお世話になっているし、今日は是非ともお手伝いするとしよう。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「あれ?銀子ちゃんとセイバー?手伝いに来てくれたのかい?」

 

「あ、幹太さん。はい、手伝いに来ました」

 

店の中には幹太さんが先にいた。長袖のジャージを着て軍手をはめているところを見るに、幹太さんも店の修繕活動に来ていたみたいだ。

 

「助かります、人手が足りていなかったのです」

 

奥から相変わらずの紬を来たアーチャーがすたたた、と大きな箒を持ちながらやってきた。頭にサイズの合ってない黄色い工事用ヘルメットを被っているのがなんかギャップ萌え。

 

「あんたたち、来てくれたの?」

 

「あ、麗花。来てたんだ」

 

「まさに、全員集合ってな。アーチャーも珍しいなぁ、お堅い手前がお片付けの手伝いたぁ………んだ、今日は誰かの誕生日かい?」

 

セイバーは元気100倍だ。アーチャーにちょっかい出す気まんまんだ。

 

「関係ない。私はセントーとマスターが掃除をすると言うから手伝っているだけだ。マスターたちが掃除しているのに、肝心のサーヴァントが何もしていないなどありえない」

 

意外とありえなくないんだけど。うちのセイバー見て。こんなのもはやマスターと一緒にどころではない。単独行動の極みだ。

 

「つまんねぇ。冗談が思い付かねぇ」

 

「無理に考えようとするな馬鹿!」

 

「あれ?そういや、あの女どこ行ったんだ?」

 

「あの女………?────あ、あぁ………」

 

あの女?当時いなかった私にはさっぱりだ。

 

「あー、あの胸くそでけぇ女か。あいつぁ消えたぜ。担々麺食うとかなんとか言ってたぜ」

 

セイバーの説明があまりにもあやふやすぎて何もわからなかったが、おそらく昨日私と

 

「な、どこに目を通しているんだ貴様ァ!?」

 

アーチャーが頬を紅潮させながら怒鳴り付ける。

 

「アーチャー、胸、あっ、察し」

 

「あ、貴様殺す」

 

アーチャー爆発。セイバーの必死の抵抗の結果、見事にアーチャーのぶちギレに成功。

……………いやさぁ、セイバーねぇ。そんな若者風の言葉マジでどこで覚えてくるの。

 

「ちょ、アーチャー、一旦落ち着いて!!」

 

「あぁん、もう、いっつも通りだなぁおい」

 

「アンタのせいでしょうがァ!?」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「よし、バーサーカー、侵攻を開始しようか」

 

暗いビルのオフィス。その中に、一人の青年が椅子に座っていた。

彼の周囲には無数の黒スーツの男たち。

全員が彼のボディガードのごとく、立ち尽くしている。

 

「響也様。街への侵攻の際の順序は如何が致しましょう」

 

「響也」と呼ばれた青年の隣に立つのは、メイド服に身を纏った金髪の少女。

背丈は女性にしてはわりと大柄であり、成人男性の平均、その少し下辺りの高さ。

青年期真っ盛りにしては小柄な響也と並べるとちょうど同じくらいだ。

 

「俺はマスターとしてはまだまだ新米だ。おかげさまで、バーサーカーの性能も、その特徴もわかっていない。君、そもそも戦闘はできるのかい?」

 

響也は豪勢な椅子に座って手先を弄りながら、机の向こうに立つ少女を見据える。

その左腕は不気味であった。響也青年の左腕は、黒い布のような物が厳重に巻き付けてあった。服の肩周りは切り取られており、そこから露出した肩から左の指先まで、真っ黒な布で覆われており、彼の顔面のような白肌は全く見えない。左側から見れば、黒塗りの人物た。

 

「無論です。私には皇女様と神々のご加護があります。必ずや、このバーサーカー、貴方の最強のサーヴァントとなりましょう」

 

バーサーカーはうやうやしく一礼して退室していく。

よくよく聞くとぜんぜん響也の話を聞いていないようだ。怖いぐらいのノーコントロール。バーサーカーにしてはなぜか会話ができるが、そのぶん、マスターの命令に従うことはできないようだ。

 

「響也様、良いのですか。バーサーカー様が、勝手に外出してしまいましたが…………」

 

響也の隣に立っていた側近らしき男が問いかける。

 

「いいよ別に。バーサーカーなんだろ。どうせ俺なんかじゃロクに制御できないって。勝手にうろうろさせときゃ牽制になっていいんじゃない?」

 

「で、ですが…………」

 

「あのバーサーカーはほぼ【死なない】ようなもんだぞ。一晩で死んだりするもんか」

 

「は……………?」

 

「だから死なないんだって。俺の予想が正しければ、あの英霊には即死が通用しないんだよ。数十回殺されてやっと死ぬサーヴァントだ。まぁ、無論、あのサーヴァントは記録も功績も浅いし、【30撃受けるまで死なない】ってのもスキルや宝具になってるかわかんないし」

 

響也が机に何かを置く。それは木で出来た小さな箱。食パン一斤近くの大きさであり、その厳重に施錠された蓋を開くと、箱が現れた。

その箱の鍵を開けるとまた一つ。

その箱の蓋を開けるとまた一つ。

その箱の中を開けるとまた一つ。

マトリョーシカのように箱の中から箱が出てくる。

 

そして、最後に箱の中から箱ではない何かが出てきた。

 

「こ、これは………宝石、ですか?」

 

「あぁ。こいつがバーサーカーの触媒だ」

 

「なん…………ほ、宝石で………?」

 

「あぁ。悪いか?」

 

「い、いえ。そんなことはないのですが、このなんの変哲もない宝石が、その………サーヴァント………の触媒なのですか?」

 

「まぁな。お前の言うとおり、宝石で呼べるサーヴァントなんて何体居るのかわかったもんじゃない。しかも、残念ながらこいつは魔力も入ってない、ただの宝石だ。遺品が宝石ってのはよくある話だが、今回は別だ。今回は宝石こそが宝具なんだよ」

 

「宝石が宝具………?この小さな宝石が………」

 

サーヴァントの切り札なのかと。

まったくもってその通りである。

サーヴァントの宝具の種類は多種にして多様である。

星の内海で作られた聖剣、所有者に不老や再生をもたらす鞘、確実に相手の心臓を穿つ槍、時間を越えて相手に肉薄する剣技の最奥。あるいは、伝承がカタチとなった、肉体機能としての宝具。

 

その英霊を象徴する道具(アイテム)、及び伝承(エピソード)ならば、何であれ宝具になり得る。

 

だが、側近が言うように、これは宝具にしては【弱すぎる】。宝石など、並みの英霊ならば持っていただろう。

この宝石には、魔術的な価値もなければ、世界級の永続不変的な価値もない。

呪われたダイヤモンドでもなければ、呪われたネックレスでもない。

 

ただの宝石である。時代の流れによる価値の変動を考慮しなければ、通常のジュエリーショップで販売したり、一般人が購入したりもできそうなものである。

 

「宝石の宝具なんて、あり得ないだろうな。なにせ価値が低すぎる。だがな、このなんの変哲もない宝石にも、伝承さえあれば宝具なんだよ。ランクはかなり低いだろうけど」

 

「は………はぁ………なるほど………?」

 

響也の意味不明な発言に首を傾げる側近。

 

「あのバーサーカーは、攻撃面ではいかがなもんかとは思うが、防御面ではかなりの強さを誇るよ。歴史マニアの俺のが言うんだから間違いないさ。宝石でメイド、それから【アレ】と来て、あの英霊以外で誰が思い付くかよ。使い方さえ間違えなければ、ありゃあ最強だぜ。アレよりタフな英霊なんて、そうだな、俺の知識の限りじゃヘラクレスとかラスプーチンとかぐらいだろ」

 

「そ、そんなにしぶといのですか。ヘラクレスはともかく………ラスプーチン………って」

 

響也の歴史トークにもはや側近は付いていけてない。所々相づちを打ったり、首を傾げて疑問に思うことしかできない。

 

「あんなもん桁が違ぇよ。青酸カリ食っても、背中貫通されても、しまいには肺撃たれても生きてんだから。脳天撃たれてやっと死」

 

「人間とは思えない生命力ですね…………」

 

「まぁ、諸説あるけどな。脳天撃たれた後の遺体は川に捨てられたらしいが、川に捨てられるまでは息してたって説もあるし、溺死した説もあるし、川から上がろうとして力尽きたっていう説もあるし。どのみち生命力お化けだよ。まぁ、ほら、ロシア革命の時代って生命力がムダに高いやついるだろ。ラスプーチン以外にも、アナスタシアとか、それこそ俺のバーサーカーとか」

 

「そ、そうですか……………私には、バーサーカー様の真名すらさっぱりです」

 

「まぁな。英霊、いや、偉人としちゃあマイナーに尽きる。………でもまぁ、」

 

響也が愉快な笑みを浮かべる。

まるまるとした瞳をつり目がちに細め、キリッとした表情を見せる。

 

「【捨て駒】には、丁度良いだろう?」

 

響也はその真っ黒な腕を痛む素振りもなく抱えながら、右手に刻まれた自身の令呪を見つめていた。

 

 

─────瞬間、響也の左手の甲が、赤黒い輝きを放ったように見えた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

喫茶店の掃除も一段落ついたところで、私とセイバーは辛うじて壊れずに残っていたテーブルと椅子を立てて休憩していた。

黄金さんと青緑さんはご飯の買い出し、麗花はテラス席で外を眺めており、幹太さんは何かやらなければいけないことがあるらしく、アーチャーと一緒に外出してしまった。

 

「銘刀…………正宗…………?」

 

そんなわけで、例の激闘の話をセイバーから聞いていた。

 

「おう。アレが俺の宝具だ。歴史好きのギンコなら分かんだろ?」

 

「いや、そりゃそうだけど、え?そんなご大層なもの使って、大丈夫なの?その、怪我したのに無理して使ったりしたら、危ないんじゃないの?」

 

「関係ねぇさ。最高峰たぁいえ、ありゃあただの刀なんだからな。魔力を使うこともねぇ」

 

銘刀正宗なんて、そんな大物の刀剣、ぜひ実物を見てみたかったものだが、さすがにそんな欲張りを今願うわけにはいかない。

宝具、つまりサーヴァントの必殺技だ。どうせ何か、一定の条件が必要なのは間違いないんだし。

 

「あれはな、文字通り、【何でも一刀両断する刀】だよ」

 

「【何でも】………?それって、マジで何でも?」

 

「おう。結界の中にあるもの限定、だけどな。まぁ、どうせ対象を結界に閉じ込めてから斬るんだ。どのみち何でもだな。………いいか、ギンコ。刀鍛冶ってのはな、剣を鍛え、鋼を打つ生産業じゃあねぇ。俺たち刀鍛冶が目指すのはな、「神をも凪ぐ刀」だ。………縁を斬り、運命(さだめ)を斬り、業を斬る。そんなべらぼうに優れた刀を造んのが、目指すのが、俺たち刀鍛冶の生きる目的だ。岡崎正宗(おれ)はな、その領域に届いちまったんだよ。いつの間にかてめぇの領分を越え、何でも斬れるようになっちまった」

 

「…………それって、いいことなんじゃないの?セイバーは、刀鍛冶としての最終目標(ゴール)に辿り着いたんだから。誇ってもいいんじゃないの?」

 

現代人だから昔の刀鍛冶の精神構造なんてよくわからないが、とにかく、生き方は同じだと思う。ゴールというものを目指し、そこにたどり着く、在りたい自分の姿に辿り着くこと、それを人は「大成」と言う。

 

「まぁな。そりゃあ、嬉しいっちゃ嬉しいさ。…………だが、俺はその時点で、気付いちまったんだよ。「刀なんざ作って、何の役に立つのか」ってよ」

 

「─────いやいや、戦に使うなら、刀は大切でしょ?そりゃあ、確かに昔は弓の戦ではあったけども」

 

「違ぇよ。人を斬るモンなんざ作って、何の意味があんのかってコトだよ。元からよ、刀っつぅ物は要らなかったんだ。人が喧嘩することもなく、ただ平和に暮らしていりゃあ、人を斬るための刃なんて要らなかったんだ。刃が斬るのは、伸びた髪か肉か野菜か魚だけで十分だし、そうなったらより鋭い刀を造る鍛冶もいらねぇってこった。まぁ、鰹節を斬る包丁なんて出来たらそりゃそれで偉いモンだがな」

 

「──────」

 

刀鍛冶が目指すのは、因果すらも絶つ一振だという。しかし、その刀鍛冶たちが産まれたのはなぜだろう。なぜ彼らは刀を造らねばならないのだろう。

それは、戦場で人を斬るためである。

刀は芸術でもなければ、生活必需品でもない。どこまで造形が美しくとも、どこまで人々に愛されようと、その刃は所詮、人を殺すための武器なのだ。

 

「俺ぁな、自分の打った刀に文句ぁねぇ。ありゃあ満足したよ。だが、てめぇの造った剣が、人の血にわざわざ濡らしてまで使うモンだったのかって。【銘刀】とかいう語呂の良い大層なモンだ。だが、そう言いながらも、ありゃあ、戦場(いくさば)に他の刃よりも多く血を撒き散らしただけの、ただの【妖刀】なんだよ」

 

「鋭いぶん、他のものよりも凶悪…………」

 

「あぁ。そういうこった。できりゃあ、二度と俺ぁ刀を打ちたくねぇ。………ってのは嘘だよな。本当は、俺の打った刀が、人を斬るってことが辛いモンだ。…………刀鍛冶にとっててめぇの作は自分の命そのものだ。そこにゃあ、どんなナマクラだろうが職人たちの魂が宿っている。同じものを幾つ造ろうが、なんだろうが、刀に籠められた想い、吹き込まれた魂の強さはどれも同じだ。俺の正宗に吹き込まれた俺の魂も、そこいらのナマクラに吹き込まれた職人の魂も、どちらも同じ価値だ。そいつぁ不変の決まりごとだ」

 

「────────」

 

存外だ。いつもなら、「俺の刀は世界一なんだよ、他の誰にも越えられやしねぇ」、と言いそうな空気だが、なんだかいつもより弱気に見えてきた。

 

「────作に優劣はあっても、職人の想いに甲乙はねぇ。その想いを、血肉で汚すってなると、職人魂にも折れが入る。まぁ、そりゃあ、使って貰っているだけまだマシなんだがな」

 

「…………………………そうだったんだ」

 

意外と、セイバーにもそういうセンチメンタルなところあったんだ。

てっきり、慢心に近いくらいの自信家なんだと思っていた。

 

「───だがなァ!」

 

セイバーが突然叫び出す。そこにはさっきまでの弱気は存在しておらず、いつもの姿に戻っていた。

 

「俺は手前の剣を造んのが今の俺の生きる目的だ。俺の剣が手前の役に立つんなら、俺はもう一度人をぶった斬る剣を造るぜ。それが、ギンコに任された使命だかんな。俺ぁ、最後まで、手前の剣になってやらぁ」

 

セイバーは荒々しく椅子から立ち上がると決めポーズを決めながらこっちを見つめてくる。

 

「そう。ありがとう、私も岡崎正宗の主(マスター)に恥じないように、頑張るよ。…………だからセイバー、私と戦って。聖杯戦争とは何の関係もない私を巻き込んだんだから、最後まで安全に送り返して貰うからね」

 

「おうよ、任しときなァ!!」

 

同時に手をまっすぐに差し出す。

セイバーの鍛えられた、堅い手を強く握る。

 

────それが、私の初めての、友達との握手だった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

【非正式セイバーを聖杯戦争に喚ぶとどうなる?】

 

非正式セイバー、岡崎正宗。

 

基本的には千子村正の上位互換。

刀鍛冶が英霊となることは基本あり得ない。なぜなら、いかなる素晴らしい刀剣を遺そうと、それがただの刀鍛冶である以上、英雄としての器には不十分だからだ。

知ってのとおり、千子村正の場合は、精神や性能ともに似通った剣の青年、衛宮士郎を依代として召喚される。

 

しかし、岡崎正宗は特例。鍛造を以てしてヒトの身でありながら都牟刈ノ太刀、即ち、神域の刀剣に到達した紛れもない大英雄。

…………たとえそれが、戦に脚を運ばない者であったとしても。

そんな岡崎正宗は英雄となるには十分な器であるため、当然、通常の聖杯戦争でも召喚が可能。

彼の造る刀はどれも最高峰の業物。折れることはなく、曲がることもなく、斬れぬ物もない。

他にどのような名刀を手にしたサーヴァントが現れようと、武器の性能だけならば如何なるサーヴァントであろうと岡崎正宗の足元にも届かない。本物の天叢雲、いわゆる草薙の剣を持つサーヴァントを召喚して、やっと同等の武器性能となる。

つまり、神世の太刀でなければ彼の太刀のランクと渡り合うことはできない。

 

この時点で、ほぼすべてのサーヴァントが不利を被ることになる。

参考までにだが、正宗の太刀は即席であろうと、すべてが最高峰。

火力の数値だけで計算するならば、宝具「無元の剣製」を攻撃の度にコストなしで毎回繰り出しているようなもの。

 

とりわけ、宝具「銘刀正宗」の場合は、固有結界の中に閉じ込めた対象であれば、あらゆるものを切断することができる。

如何なる大きさを誇ろうと、如何なる硬度を持とうと、果ては、因果のようにカタチが存在しないものであろうと。

縁を切り、定めを切り業を切る太刀。刀鍛冶たちのゴールとされた神域の一振。

 

作中では説明が一切なかったが、正宗の刀は持っているだけで使用者に「心眼B」を付与する。刀は武将たちのバトルスイッチ。持つだけでその肉体は戦闘用に作り替えられるのだ。

武道の心得のない正宗が他のサーヴァントと渡り合うことができるのはそのためだ。

心眼を付与されるのはサーヴァントだけでなく、銀子のような生身の人間が持った場合にも心眼とまではいかないが、ある程度の肉体強化が施される。

 

刀鍛冶のサーヴァントであるため、クラスやスキルもだいたい村正と被っている(「当代不吉」は村正の妖刀伝説に由来するため持っていない)。

村正より強いと言いたい気持ちもわかるが、残念ながら岡崎正宗は村正とは異なり、そもそもサーヴァントとして成立しているため、衛宮士郎などを依代として現界できない。依代となった肉体の潜在能力を一切発揮できないため、村正に劣る部分も多くある。

たとえば、スキル、「業の目」に鷹の目としての効果が無かったり、武道の心得がなかったり。当然、徳川絶対殺す系の因果効果も持っていない。

 

そして何より、正宗には時代遅れになってしまう隠しスキル「時差呆」があることを忘れてはならない。

 

サーヴァントとして召喚する価値は十分にあるが、扱い次第では真っ先に敗退するサーヴァントでもある。

一概に、とは言えないが、相性的に、筋金の入った魔術師よりも肝の据わった一般人ぐらいの半端者が喚んだ方が活躍する。




いつも読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。私を知らない皆さん初めまして。マジカル赤褐色です。そしてすべての読者の皆さん、明けましておめでとうございます。
めちゃめちゃ待たせてしまってすみません。お察しの通り、別作品の執筆に集中してしまい、結果的に数ヶ月近く待たせてしまうことになりました。
このシーズンはFGO等々忙しい時期が続くのです、なんて言い訳は止しておいて。
今回のエピソードですね、実は7777文字なんです。ラッキーセブン、今年もいい一年になりますように(偶然だよ偶然)。
時間が空いたこともあってか、文もようやく半端なものから解放されてきた気がします。セリフが多すぎて他の描写が不十分になるのがあるあるなマジ赤シリーズですが、今回の空き期間のうちに成長している気がしてきます。
いや~、ひとまず1月の間に投稿できて良かったです笑
2月入ったらさすがにシバかれるかと思いまして笑
作者と接点のある、とある人物に「聖杯戦争どこ行った」と催促されてようやく「ハッ!忘れてた!」ってなりました。作者が完全にオリ聖杯戦争をド忘れするなんて地球初だと思います笑
長らく待たせてしまって改めてご迷惑おかけしました。
それでも、終わるまでこれからも執筆は続けていきますので、皆さん長い目で見守っていただけると幸いです。
それでは、今年もよい一年をお過ごしください。
次回もお楽しみに!

項目追加版 現在登場している中で好きなサーヴァントは?(文字数の都合により、名称略の場合あり)

  • 岡崎正宗(菅笠のセイバー)
  • 須佐之男命(和服のアーチャー)
  • 貴族服のランサー
  • アイアス(教会のライダー)
  • オベロン・キャスター(妖精王)
  • リアン・キャスター(妖精妃)
  • オベロン・アルカディア(紅いオベロン)
  • 佐々木只三郎(学生服のアサシン)
  • アルクェイド(金髪のバーサーカー)
  • モンゴル風のアーチャー
  • 老人のランサー
  • ダルタニアン(レイピア使いのライダー)
  • 貴族服のキャスター
  • 見えないアサシン
  • メイドのバーサーカー
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