「さーて!シキさんの来訪に、乾杯~!!」
「かんぱーい」
「どうも、ありがとう、二人とも」
俺はついさっき召喚されたアサシンのサーヴァントだ。ここは、梅原家の双子の姉妹が開く喫茶店。名前は「umber」だそう。umber……赤褐色……?そんな感じの意味合いの言葉だな。
「さて、遠慮せずにどんどん食べてくださいねーシキさん!」
「あ、はい、ありがとうございます」
彼女は俺のマスター、
服装は、和服に割烹着という、時代錯誤な服装だ。性格は明るく朗らかで、ずっと笑っている。料理が上手で、今食卓に並んでいる料理は全て彼女のものだ。完璧な家政婦属性に見えるが、俺はさっき、彼女が掃除中に箒で壺を割ってしまっていたのを見逃さなかった。
「そういや、俺、なんで「シキ」なんて名前で呼ばれているんですか……?」
「昔飼ってた猫が「シキ」っていう名前で、それで愛着湧いたんですよ。しかも、携帯電話でシキさんの真名の名字の「ササキ」の部分を連打して挿れると、「シキ」なるじゃないですか。だから、アサシンさんをシキさんと呼ぶことにしたんです」
おお、思ってた以上にちゃんとした理由あったんだ。
「あの……シキさま……」
「うん?どうかした?」
一方で、こちらは黄金さんの妹の
「あの……シキさまのために……こちらの梅サンドを作ってみたのですが……もし、よろしければ……まだ、料理には不馴れですが……」
青緑が恥ずかしそうにサンドイッチの入った箱を手渡してきた。
「ほんと!?俺のためにわざわざ?嬉しいよ、ありがとう!遠慮なく頂くよ!」
青緑の好意に身を任せて、俺は梅サンドを手に取った。そして一気に口に入れ込んで、その味を舌で隅々まで味わう。
途端。俺は自分の身体が破壊されていく感覚を味わった。サンドイッチ全体に染み込んだ、大量の梅の味。梅の酸味が俺の身体を駆逐していき、梅の風味を通り越した、ただの梅が俺という存在を一片ずつ欠けさせていく。
気が遠くなるぅ………
「お味の方はいかがですか……?」
青緑が顔を近づけてくる。
「う、うん、すごく独創的で素敵だよ……!うん、う、うん、美味しいよ、うん、最高だよ青緑………」
「本当ですか……!?」
青緑の顔が明るくなる。対して、俺の顔面は崩壊寸前だ。
「あーっ、敵襲だー、ちょっと見てくるーー!」
なーんて適当な理由を残して、俺はトイレへと直行した。
◇ ◇ ◇
キャラ紹介【アサシン陣営】
黄金(こがね)
アサシンのマスター。
梅原家の双子の姉妹の姉の方。街で人気の喫茶店、「umber」を妹の青緑と経営している。琥珀色の髪と瞳、そして和服に割烹着という時代錯誤な服装が特徴で、性格は明るく朗らかで常に笑顔を絶やさない。料理が得意で、喫茶店の料理の十割が、彼女の作ったものである。一方で掃除が絶望的に苦手で、箒を持てば最期、喫茶店が崩壊を起こす。飼っていた猫の名前から、アサシンのことを「シキ」と名付ける。
青緑(みどり)
アサシンのマスター。
梅原家の双子の姉妹の妹の方。姉の黄金と令呪を共有している。翡翠色の髪と瞳、そして、アンティークなメイド服という、時代錯誤な服装が特徴で、性格は大人しく寡黙で従順。めったに笑顔を見せないが、感情表現が苦手なだけで、感情は非常に豊か。掃除が大得意で、喫茶店の清掃は全面的に彼女に任されている。一方で料理が破滅的に苦手で、得意料理(自称)の梅サンドは、サーヴァントであるアサシンを崩壊させる程の味を誇る。聖杯戦争に参加しようとする姉を心の底から心配している。
アサシン
暗殺者のサーヴァント。
学ランに身を纏い、眼鏡をかけた、文学青年らしき見た目のサーヴァント。
温厚で大人しいが、その正体は、とある暗殺で名を馳せた、事実不明の短刀使い。アサシン自身は、精神性の合うこの少年の身体を依代とすることで、この世界に顕現している。黄金と青緑に好かれており、自身も双子のマスターを気に入っている。戦闘時は、眼鏡を外し、暗殺の真髄たる、己の力を解放する。アサシンには、依代となった少年の人格と、アサシン本体の人格の二つの人格を持っている。一定以上の状態に追い込まれると、反転を起こし、少年とアサシンの人格が入れ替わる。
いつも見ていただいてる方、ありがとうございます!
今回はさすがにピンと来た方は多いはず(露骨にも程があるけど)。青緑(みどり)と黄金(こがね)のネーミングはなかなかに考えてましたね……黄金は黄金一択だったんですが、青緑が迷いまして、群青(ぐんじょう)とか瑠璃(るり)とか、いろいろ考えてましたね。因みに、シキ、アサシンの真名はちゃんとした英霊ですので、そこはご安心を。決して、器の青年とは関係ないので、そこはご理解ください。
それでは、次回もお楽しみに!