かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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孤独の少女、冷織を拾った銀子は、彼女を自宅で保護することになる。
氷所家の謎が深まっていく中、突然冷織の容態が急変し、冷織は救急車で病院に搬送されることになる。
苦痛に苦しむ冷織。慌てふためく銀子たちだが、ただひとり冷静だったセイバーがとあるものを視てしまう。
それは一体、なんだったというのだろうか。


4日目 氷所兄妹の絆 裏・凍結英雄譚
第四十四章 モーニング・ファイト


 

─────。

 

 

 

──────────。

 

 

 

─────────────────。

 

 

 

「───────はぁ」

 

 

 

雨は、嫌いだ。

 

 

 

せっかくのお洋服が濡れてしまうから。

 

 

 

雨は、嫌いだ。

 

 

 

これだけの冷たい水を垂れ流しているのに、私の身体も心も何一つ(きよ)めてくれないのだから。

 

 

 

雨は、大嫌いだ。

 

 

 

────こんな素敵な門出の日の一つも、祝ってくれないのだから。

 

 

 

「あぁ……………」

 

 

 

────もう分かっているんだろう?

誰も助けてくれやしない。

私は、本当は誰かに助けてほしかったのに、私は誰にも助けを求められなかった。

いつからだろう、父の足音に、声に、怯えるようになってしまったのは。

 

私には、言えば助けてくれる味方がいたはずだったのに。

私は、そのチャンスを捨ててしまった。

それは、どうしてだろう。本当は辛かったのに、嫌だったのに。助けてほしかったはずなのに。

私は、あの日常を、当たり前だと思ってしまっていたのだろうか。

 

 

あぁ、そうだ。言えるはずがない。

言ってしまえば、私は軽蔑される。私は失望される。

私から、数少ない味方が、もっと居なくなってしまうから。

 

 

 

────本で、魔法使いの少女の物語を見た。

彼女は13歳になったときに、黒猫と共に家を出たらしい。

そう、誰でも知っているだろう、あの空飛ぶ箒に乗って。

 

 

 

いつからだろう。境遇は違えど、私はあの黒い魔女に憧れを抱くようになってしまった。

広いけど狭い、窓からの明かりしか見えない部屋よりも、青空を泳ぐ外の旅のほうが、きっと面白いだろうと。

 

 

 

────雨は嫌いだ。

 

 

 

歩いて仕事に行く父が、その日は電車に乗って早く帰ってくるから。

 

私が私で居られた時期は、もう終わってしまった。

私という少女は、もうとっくに死んでしまった。

 

そこにあるのはココロの一つも無い、ただの自我を失った骸。

 

 

 

 

 

昔、大切な誰かが、ミサンガを作ってくれた。

不器用なのに。腕は、生まれつき使い物にならないのに。それでも、あの人はそれだけの体力を使ってでも、私にそれをあげたかったらしい。

あの時、彼は両手で作ったと言っていた。

その左腕は度重なる酷使のせいか、血塗れになっていた。

彼は痛そうに顔をしかめながら、けれど渡せて嬉しそうに笑ってくれた。

 

私は数少ない宝物、何年ぶりにもらっただろうと嬉しくて。なのに、私は笑ってやれなかった。

────私は、もう既にその時には笑いかたを忘れてしまったのだから。

 

 

 

「どうだ、願いは決めたのか?」

 

「願い…………?」

 

「知らないのか?ミサンガっていうのは自然に切れた時に願いが叶うものだよ。「プロミスリング」っていうおしゃれな言い方もするよな」

 

 

 

ミサンガにそのような意味があったことを知らなかった私は顔に出さずに内心で驚いた。

─────願い、か。

 

私に、なにかを願う権利はあるのだろうか。

 

 

 

「─────うん、なんとなく決めた」

 

 

 

 

 

─────あーあ。

何が、願いの叶う、だ。

 

願いなんて叶うわけがない。

人がなにかを願えば、そこに物欲センサーが働くということは、私は誰よりも早く知っていた。

 

無知(しあわせ)なあの人には、そんなことを知るのはもっと先なのだろう。

自然にちぎれる、か。

 

 

 

「結局、切れなかったわね」

 

 

 

私は大嫌いな雨が燦々と降り注ぐ中、

左腕に巻いていたミサンガを自分で引きちぎって、草むらに棄て、

 

 

 

もう二度と戻ることの無い森を後にした。

 

 

 

 

 

それこそ、魔女が独りで家を巣立つように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…………ん…………」

 

なんだ、これ。

─────なんの、夢だ。

 

 

「わっ」

 

目が覚めたら、私、円堂銀子は病院の待合席でド派手に横たわっていた。

 

「えーと…………」

 

そうだ、昨日、冷織ちゃんを病院に搬送して貰ってから、ここで寝落ちしたんだった。

彼女は、無事だったのだろうか。

心の底から心配だ。

 

 

「─────あんたは元気そうで何よりね、銀子」

 

「え?」

 

前の席に黒髪の少女が身を乗り出してこちらを見ていた。

 

「え、麗花?」

 

「えぇ。昨日ここであんたもぶっ倒れたって聞いて心配してやってきたのよ」

 

なんと、ここでアーチャーのマスター、仲間である千藤麗花と遭遇した。

いや、そんなことよりぶっ倒れたって………

 

「そうだっけ、私は元気なんだけど」

 

「過労でぶっ倒れたんじゃない?昨日は大変だったんでしょう」

 

「まぁ、最後の最後の衝撃が酷くてね」

 

あれさえ起こらなければ私はぐっすり眠っていて、今みたいな悪い夢を見ることもなかっただろうが。

 

「あ、ギンコ起きた?おっは~」

 

「まったく、他人に心配かけて。心配したんだぞ」

 

さらに、麗花の隣から二人の人影が。

 

「…………淑恵、それから間淵くん?」

 

クラスメイトの美尾淑恵と間渕楪葉だ。

聖杯戦争につきっきりだったから意外とこうして顔を合わせるのは久しぶりかもしれない。

二人は「おはよう」と手を振ってくれた。

 

「お、おはよう。そんなことより二人ともなんでこんなところに居るの?学校は?」

 

「いやいや、親友が病院で失神したっていうのに休まん理由があるか。当然ながら休ませて貰ったよ」

 

「間淵くん、見栄を張るのは良くないよ。今日もともと学校休みでしょ」

 

おいおいそれ言っちゃだめだろ…………と頭をかく間淵くんと、やれやれとお手上げする淑恵を見て、いつも通りだなと嬉しく思った。

 

「あんたにもお友達いるもんなのね」

 

麗花が言う。

 

「誰が言ってんのよ…………」

 

 

 

「あ、銀子ちゃん、麗花。みんなお揃いでなによりだよ」

 

「おはようございます、麗花、銀子」

 

あ、幹太さんとアーチャー。

アーチャー偉いなぁ、一般人前だからマスターと呼ばないんだ。

マスターに忠実なアーチャーだけど、聖杯戦争のマナーはマスターよりも優先されるらしい。

 

「兄さん、アーチ………えーと………舞!」

 

舞…………?

アーチャーのこと「舞」って呼ぶの?

ミコトとかで良くね…………?

 

「なんだなんだ、またまた知り合いか?俺含めて美人が多いなこの辺は」

 

「ギンコやるねぇ、トモダチ多いんだ~。てか、超イケメンと超美女~」

 

淑恵、間淵くんの冗談にツッコミぐらいはしてあげて。

 

「うん。そこのロング野郎の兄とそのお嫁さん」

 

「ぶっ─────!!!!」

 

アーチャーが秒で吹き出す。

そりゃそうだ。敢えてアーチャーにクリ殴りできるような嘘で誤魔化したんだから。

 

「ま、まぁ…………そういうことになっているのか…………な?」

 

天然の幹太さんには冗談は通じない。さも当然のことのように受け入れてしまっている。たぶん、今はアーチャーの存在を誤魔化すことだけを考えているに違いない。アーチャーとは違って余計なことは何一つ考えないみたいだ。

 

アーチャーも一般人には配慮しているのか、普段の紬はなんだか鋭さを欠いてお洒落を追及している。山葵色の着物に魚の模様の帯。意外とかわいいな。

普段は狼みたいな耳が生えている頭にはちゃっかり麦わら帽子を被っている。

 

────いや、幾らなんでも着物に麦わら帽子は失格だろ(笑)

 

 

 

「よう!手前らぁ!早速でわりぃがここを出るぜェ!」

 

さらにセイバーまでやってきた。

すげぇ。ぜんっぜん着替えてない。一般人への配慮力ゴミ以下やん。

 

「五郎、何しに来たのこんなとこに」

 

「五郎?俺をあだ名呼びたぁどういうこった、いつもみてぇにセイバ」

 

「馬鹿野郎、一般人がいるだろうが考えろ老害」

 

アーチャーがセイバーの脇腹をどつく。

 

「ぐふっ…………なんだなんだ。なんでこんなところに麦わらのゴム人間がいるんだ」

 

「消すぞ貴様」

 

「悪かったって!」

 

セイバーとアーチャーの掛け合いは何回見ても安心感たまらない。

 

「なんだこの人、この人も円堂の知り合いか?」

 

「まぁ…………偶然知り合ったコスプレイヤーだよ」

 

「ギンコの友人、変な人多いね…………」

 

変な人ご本人に言われるとはこれ以上ない恐悦至極、ありがとうございます淑恵殿。

 

「うっ…………皆さん…………おはようございます…………」

 

カタカタと点滴台を引きずる音。

スリッパのぎこちないゆっくりとした足音。

 

そこには弱りきった冷織ちゃんがいた。

 

「冷織ちゃん!大丈夫だったの!?」

 

真っ先に私は皆を無視して冷織ちゃんに飛び付いた。

 

「銀子さん…………昨日はお騒がせして申し訳…………ごほっ、ごほっ」

 

「いいよ、無理しないで。今は身体を休め───」

 

「いいえ、今すぐに…………」

 

顔面蒼白でなにかを訴えようとしている冷織ちゃんの瞳を見て凍りつきそうになった。

 

「ご、五郎………!?」

 

「あぁ。その事なんだがな、変な爺が乱入してきてよ、今こっちにやってきてるぜ」

 

「は!?どゆこと!?」

 

「どういう事だ、説明しろ五郎入道」

 

おいコラ、クソアーチャー。

 

「五郎入道…………?」

 

「五郎入道正宗のコスプレイヤーだって?」

 

ほら、ややこしい事になっちゃったじゃん!

 

「五郎入道じゃなくて五郎ね、しっかりしてよアーチャー」

 

あ、やらかしたわ。

 

「アーチャーじゃなくてあちゃー、よ!」

 

麗花ナイスフォロー!!

 

「マスター、アチャーとはどのようなクラスのサーヴァ…………」

 

おいコラ、クソアーチャー。

 

「マスターじゃないわ麗花よ!!」

 

もう、終わらねぇ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「よし、誘拐犯がやってくるぞ、手前ら全員逃げろー!!!」

 

「うぎゃーーーーーー!!!!」

 

言うが早いかセイバーが強制的に麗花を引きずって大病院の正面出入口に向かって走り出した。

 

「うっわ、シンプルで助かるわ!!」

 

セイバーに続いて私も走り出す。

 

「ゆ、誘拐犯ってなに!?」

 

「誘拐犯は誘拐犯だよ、早く逃げよう!捕まったら大変だ!僕たちについてきて!」

 

幹太さんが一番怪しいのなんなんだ。

 

「いや、確かに最近物騒だからそんなのあってもおかしくないだろ、行くぞ美尾」

 

「う、うん!待ってよ、ギンコ~!!」

 

この二人が単純で助かった。

 

「冷織殿は私が運びます、点滴器具だけは両手で持っていてください」

 

「は…………はい…………」

 

冷織ちゃんを抱えたアーチャーも私たちに続いて出入口を目指してついてくる。

 

 

 

ふと、後ろを振り返ってみる。

 

「────セイバー」

 

「あん?どした?」

 

「どうした、老害?」

 

「悪ぃアーチャー、先行っててくれ」

 

「承知、こちらは千藤邸まで退避する」

 

アーチャーとセイバーのチームワークもいよいよ悪くないものになってきたかな。

 

「おうよ、わかったぜ────んで、ギンコ?」

 

「見て、あいつ」

 

向こうから誰かが追ってくる。

だが、足取りはゆったりとしていて、とても追いかけているようには見えない。

背の高い男性だ。とっくに成人しており、推定年齢は40~50歳辺りが妥当か。

 

「────誘拐犯とは失敬だな。誘拐犯はどちらだ、おまえ達が私の娘を拐ったというのに………」

 

重く、低く、威圧的な声だ。

 

「へぇん、手前がヒオリの親父かい」

 

「いかにも。父として娘を拐った賊を払いに参った、氷所当主、氷所正親(ひどころ おうぎ)である」

 

「私たちは迷子になっていた冷織ちゃんを保護しただけよ。誘拐犯だなんて言われる義理はない。そもそも、どうして実の娘が家を出て行くのよ。彼女は、「家には帰れない」って言っていた。何があったのよ、教えなさいよ」

 

どういうわけか、直感的にこの男が悪者であることがよくわかる。

だから初対面の歳上に対して私が強気に出てしまうのか。

冷織ちゃんはさっきこの人に怯えていた。

この人は、間違いなく冷織ちゃんにとって良くない人物だ。…………その根拠はわからないが。

 

「ほう。それは娘が世話になったようだな、余計なお世話をご苦労だった───他所の当主に対してその口の利き方はなんだ!!」

 

正親の叫びと共に、その後ろから武装した部隊が突入してきた。

 

 

 

「うわっ、マジかよ…………」

 

「なるほどそういう相手か…………」

 

 

 

いやぁ…………ほんと権力の塊らしい戦法だ。

 

 

 

 

 

「アーチャー、銀子ちゃんたちはどうなるって?」

 

幹太、アーチャー、麗花、そして銀子フレンズ一行が揃って銀子たちと別行動を取って撤退を行っていた。

 

「どうやら残って追っ手の足止めをするそうです、我々は千藤邸まで避難しましょう」

 

「え、五郎さんとギンコ残るの?大丈夫?」

 

「まぁ…………元全国トップの薙刀部員がいれば大方の誘拐犯は足止めできるだろうなぁ」

 

「ちょ、みんな!!正面正面!!」

 

麗花が指差した方向から、黒塗りの高級車がドリフトでつけてきた。

 

「すごいな、追っ手の仲間ってことがよくわかる」

 

「前門の虎に後門の狼ってとこか…………」

 

「どどどどど、どうしよう間淵くん!?」

 

(ここは私が迎撃するか………?しかし、一般人の前でサーヴァントが武器を振るうなど…………)

 

アーチャーの葛藤が解決しない中、車から武装兵たちがつぎつぎと降りてくる。

彼らはわずか数秒で整列し、一直線に突撃してきた。

 

「やべぇぞ!?」

 

「もうだめだぁぁぁぁ」

 

「いえ……………あれは……………兄さまの……………」

 

「うん?」

 

冷織の指摘の直後、突進してきた武装隊は麗花たちを避けて病院の中に突入していった。

 

「あれっ?どうしたのかな?」

 

「敵ではないようです。時間稼ぎになるなら都合がいい、喜んで利用させて貰いましょう」

 

その隙にアーチャーたちは冷織を連れて千藤邸を目指して退却していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ギンコ」

 

「わかってるわよ」

 

入り口のほうからも武装兵士がやってきている。

 

(八方塞がりね)

 

(参ったなァ、こいつぁ)

 

二人で小声で話していたところ、

 

 

 

「構わん。そいつらごと【撃ち殺せ】」

 

正親の指示と共に、正親側の武装兵が入り口からやってきた武装兵に向けて銃を乱射し始めた。

 

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

「どーいうこったぁ!?」

 

セイバーと一緒にに、吹っ飛ばされるように転がって避けた。

 

「なんで…………!?」

 

起き上がったら、二分された二つの部隊が互いに撃ち合っていた。

同じ武装、同じ制服の兵たちが前か後かの違いで争っている。

どういうことだ、これは。

 

「な…………………」

 

「どうやら、味方じゃあねぇが敵の敵ではあるみてぇだな」

 

そう言っているうちに、入り口からまた新たな人物画やってきた。

兵士のような武装をしていない丸腰の人間が一人でやってきたのだ。

 

「────クソ親父、どういう了見だ」

 

その青年は、左腕に黒い包帯を巻いていた。左肩の部分から先を破いたシャツ。その中から出た二の腕から指の先にかけてまで漆黒だ。その艶やかさと妖しさは黒塗りの陶器を思わせる。

 

(まさか、彼が)

 

(ヒオリの兄貴か?)

 

「────チッ」

 

その青年の顔を見た瞬間、正親の背中が変容する。

 

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「わぁお、こいつぁすげぇな!!」

 

なんと、正親の背中から竜の首が六本も生えてきたのだ。

大きさはそれほど大きくはないが、頭だけでも人間の身長ぶんの大きさはある。

まるで昆虫の脚のようだ。

 

「魔術の世界じゃあ、竜種ってのはべらぼうな生き物だ。あんなんに火ィ吹かれたりしたら一溜りもねぇ」

 

「わかってるわよそんなの!」

 

「─────死ね、響也。貴様は、氷所に相応しくなどない!!」

 

竜の首が延びてくる。

兵士たちが次々に銃を放つが、竜の首を止めるに至らず。

 

「ひ、ひひぃぃぃぃ!!!」

 

「あ────わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

彼らは、食われるしかないのか?

彼らは、冷織ちゃんの味方じゃないのか?

正面からやってきたのなら逃げるアーチャーたちに合流しているはずだ。

それを無視したというのなら…………

 

彼らは、冷織ちゃんを守ろうとしているのではないのか?

 

……………いや、そもそも。

 

 

「───────」

 

床に飛び散った血痕を見つめる。

床に倒れ伏す、既に銃で撃たれた兵士たち。

彼らは死の淵で呻き出す。

弾に貫かれた脚を押さえながら苦悶の声を上げている。

だが、不思議なことに。そこには死傷者は一人もいなかった。

これほど激しい銃撃戦があって、全員が脚や右腕、外腹斜筋を撃たれただけなはずがない。

訓練を受けた兵士があれだけ銃を乱射して、一発たりとも相手の心臓や頭部を貫かないなどあり得ない。

ならば、それは─────

 

(この争いは、そもそも正当なものではない…………?)

 

ゆえに、そこに人の命を奪う理由はない。

だからこそ死傷者は生まれない。

だからこそ、彼らは相手の急所を狙わず、致死率の低い部位に向けて銃を撃つのだ。

 

そこに、ただ一人、命を奪わんとする強靭な生命がひとつ。

竜の首、そこに居るという罪で、絶対の死を叩きつける、絶対の力。

そこに存在する暴力に正統性などなく、そこに存在する暴力は、単なる圧制であり、牽制にあらず。

 

──────故に、この行動は、私の意志か、彼の意志か。

 

 

 

どれでもいい。

ただ、この状況を見て、こうしたいと思ったのは、決して間違いではない筈だ。

 

 

 

 

 

「貴様─────」

 

後に残ったのは正親の唸り声。

 

そして────

 

 

 

「悪ぃな。罪のねぇ人を殺そうとするのを見ると…………つい、刀が滑っちまうんだ」

 

刀を掲げた軍服三度笠の姿だった。

 

「おまえ─────」

 

そして、予想外の事態に驚く黒腕の青年。

 

 

 

「悪ぃな、【マスター】。勝手なことしちまった」

 

なんて、冗談言うな。

 

「いいわ。私があんただったら、きっとおんなじ事してたから」

 

セイバーに歩み寄る。

なにげに、パワーアップしたセイバーと肩を並べて闘うのはこれが初めてかもしれない。

 

セイバーのベルトから吊るされていた脇差を抜き取って、私も戦闘体勢を整える。

 

 

 

「ハッ────だよなァ!!!!」

 

「さぁ、セイバー。進化したあんたの力、ここで見せて頂戴」

 

「いいぜ。手前も一端のマスターらしくなってきたじゃねぇか。セイバーマーク2の力、ここで見せてやるぜ!!」

 

二人で並んで敵に向かい合う。敵はもちろん、氷所正親。

 

 

「覚悟しなァ、氷所正親!!」

「観念しなさい、氷所正親!!」

 

 

 

聖杯戦争っていうのも、案外楽しいもんね。




いつも見てくださっている皆さんありがとうございます、マジカル赤褐色です。
ちょっと投稿ペースが落ちていたのには理由がありましてね、私もいちおうFGO民なんです、イベというものがありましてね。7月のイベの参加条件がアヴァロンルフェをクリアとかいう鬼畜ゲーでして。それを知った時、私はシンで止まっていたので。やーもう、バリ焦りました笑
現在はアトランティスの、おそらく中盤あたりに止まっているんですが、なんかアトランティスから長そうな気配がしています。なんか、全然進まない()
ユガは終わらんと思ってたら急に後半進むけど、アトランティスだけはなんか時間掛かりそうだなぁって思って。オリュンポスも待っているのに、ここで止まったらもう間に合わん、というか間に合わないでしょうね笑
アヴァロンのシナリオがどんだけ長いのか、ある程度予想はついてます。だって、もう序盤から長い気配しかしないんですもの。三妖精だったり、厄災がなんとかだったり、女王がなんだとか。よくわからんけど絶対25節は最低でもあるってことはわかってますので半分あきらめてちゃんと小説書くことにしました笑
イベに間に合わない=聖杯貰えない、なんです()
シナリオも読みたいし、聖杯が一番欲しい。
聖杯がいま一番足りてないんです()
正確には村正のサーヴァントコインがないんですがね。だって宝具1だもん。
アヴァロンルフェ終わらないと参加できないってことはそこら辺で復刻してくれることを祈ります。
でも正直、参加条件っていうのはたぶんストーリー進行の奨励という形であって、あんまり本編には関係してないんじゃないかなぁ、っていうのが正直な予想です。
復刻はもう少し先になるかなぁ。

FGO始めた時期からずっと村正推しで。本作においても村正をイメージしたサーヴァントてんこもりですからね。正宗は言うまでもなく、スサノオも村正関連ですから。

んで、まぁ、たぶん馬琴ちゃんの時みたいなイベになることは予想されます。結構短めでちっちゃいイベだとは思います。なんなら、2日で終わる可能性もあります(それはない)。
だけど聖杯はやっぱ欲しい笑
間に合わないとは思うけれど、でも頑張りたい、聖杯ほしい。シナリオ読みたい、それより聖杯欲しい。
………てなわけで今からアトランティス攻略して参ります笑


それでは次回もお楽しみに!

完全版 好きなサーヴァントは?

  • 非正式セイバー(三度笠セイバー)
  • 非正式アーチャー(紬アーチャー)
  • 非正式ランサー(ランサーお爺)
  • 非正式ライダー(アンザスライダー)
  • 非正式キャスター・オベロン(妖精王)
  • 非正式キャスター・リアン(妖精妃)
  • 非正式アサシン(遠野志貴)
  • 非正式バーサーカー(アルクェイド)
  • 正式セイバー(姫セイバー)
  • 正式アーチャー(モンゴルアーチャー)
  • 正式ランサー(ケイアスランサー)
  • 正式ライダー(エインスライダー)
  • 正式キャスター(リィンキャスター)
  • 正式アサシン(見えないアサシン)
  • 正式バーサーカー(メイドのバーサーカー)
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