それに加えてさらにそれに対して対抗してくる兄の響也との激突。
とばっちりを受けるように巻き込まれた銀子たちは冷織を護るためにやむなく響也と手を取り合って正親と抗戦。
窮地に立たされた銀子たちだったが、響也の能力と銀子の閃きからの大逆転で正親を追い詰めたと思われたが…………?
「ふふ…………お前もだんだん、冷織に似てきたな」
若さを失った顔が響也に向けられる。それは、まさに我が子の成長を喜ぶ父親のよう。
「性格が、変わった…………?」
「いいや、元々こんな感じだ。あんな厳格な紳士が親だったら俺はこんなクソ野郎じゃないだろ」
それは…………知らない。
そんなこと言われても困るし。
「さすがにここまで追い詰められたら観念するか。だがな、そう簡単に責任取れると思うなよ。二度と邪魔をするなと言ったにもかかわらず俺の前で冷織に手を出すなんて、相当殺されてぇようだな」
「まぁ、それはどうでもいい。私はただ冷織を連れ帰りにきただけだ。迷子の我が娘を連れ帰るのは親としての義務だ、そうは思わないか?お兄ちゃんよ」
「テメェ………………」
「ちょ、ちょっと待って!」
二人の間に入る。
「あんたたちの気持ちはわかるけど、なんでそれで冷織ちゃんが狙われないといけないのよ!特にお父さんのほう、あんた何が目的なの?冷織ちゃんは帰るのを嫌がっていたんだから、お兄さんの言い分が正しい。そうは思わないの!?」
「おや、部外者が一人。さっきはよくもやってくれたじゃないか。これは少し、厳しく教育しなければいけないようだ」
「昔からそういう戯れ言は聞かないように育ってきているからどうでもいいわ。ただ、もしこれ以上冷織ちゃんを困らせるつもりなら、相手がお父さんだろうと容赦しないから」
「余所の家に口出しするなんて暇人だな。まぁ、いいだろう、育ちの悪い小娘には少しお灸を据えるとするか。バーサーカー。皇女様の勅命だ、侵略者を根絶やしにしてやりなさい」
正親がそう言った瞬間、
「させるか────!!」
お兄さんが突撃して、正親の顔面にその腕を突き出したが、もう遅かった。
「かしこまりました、皇女様のご指示に従い、早々に賊に勅罰を下します」
すぐそこの壁を突き破って誰かが入ってきて、お兄さんの腕は弾かれてしまった。
「なっ…………!?」
「うわぁぁぁぁ!!」
辺り一面砂埃に包まれる。
中から出てきたのは……………!
「離れなさい」
「ぐはっ!!」
「大丈夫お兄さん!?」
お兄さんがド派手なキックで吹き飛ばされる。
「さ、サーヴァント!!」
控えめでシックなメイド服に身を包んだ、一人のブロンドの女性だった。
その美しさとは裏腹に、身の使いようはサーヴァントのもの。
「ふっ!」
どこから取り出したか、1本の剣を持ってメイドが突撃してきた。
「下がってろ、ギンコ!!」
「わぁ!!」
今セイバーに襟足を捕まれて投げ飛ばされなかったら斬られてたところだった。
間に入ったセイバーが刀で攻撃を防いでくれた。
「チッ……………バーサーカーか」
「ば、バーサーカー!?こいつが!?」
「あぁ。命令だけのために動いてやがる。俺への殺意はゼロだが、そこの男への殺意がとんでもねぇ。ギンコ、手前も認識されていたぞ。俺もあとで抹殺の対象にされるかもな」
「そ、そんなことはどうでもいいよ!」
「クソッ、なんて面倒な事を…………おい、落ち着け、バーサーカー!!」
お兄さんが必死に、可能な限りでバーサーカーのサーヴァントに歩み寄って落ち着かせようとする。
「おい、どうした!俺の顔がわからないのか!マスターの顔を忘れたのか!」
「はァ!?ちょ、こいつ今…………!」
「マスター…………って!?」
ま、まさか、このお兄さんもマスターだったのか!?
「ご無礼をお許しください、マスター。しかし、私のご主人様は皇女様ただ一人。主君の勅命は、何よりも優先されるのです」
「そんな……………バカな……………!!」
バーサーカーはまるで言うことを聞いてくれない。それどころか、皇女様………?の為ならマスターの命すらも厭わないと言ったのだ。
「こんのやろォ、ふざけてんじゃねぇ!ボケナスがァ!!」
セイバーの刀、その赤い刃がバーサーカーの首に衝突した。
「げぇぇぇぇぇぇあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そのまま横凪に刀が一閃。
深紅の炎を伴って、円環を成す一刃が太陽の輪環を描いて爆散する。
「──────────」
バーサーカーの首が真っ二つに切り裂かれる。
そのまま首が空高く吹き飛び、余った肉体がうつ伏せに倒れてしまった。
「────────チッ」
お兄さんが不機嫌そうに舌打ちする。
それもそうか。自分のサーヴァントを敵に使われ、最後は呆気なくこうして倒されてしまったのだから。
「ハン、大したこたぁねぇな。どうした、奥の手はここまでか!」
「ふふふふ…………バーサーカーはまだ負けていない。足元見るんだ、セイバー」
「あ?」
セイバーが言われた通りに足元を見下ろす。
─────そこでは、人知を越えた、意味不明の現象が起きていた。
「う、うぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
血溜まりが切断された頸の断面に集まっていく。
そして、転がっていた生首がひとりでに転がり、なんと、切断部と結合したのだ。
「チッ、やっぱりこうなるか…………」
「うっそぉぉぉぉぉぉ!?」
「どうなってやがる!?」
私とセイバーだけ、この状況に驚きを隠せない。
そのままバーサーカーは墓から蘇ったゾンビのようにムクリと起き上がり、
「大事無し、戦闘を再開します」
今度はどこからか取り出した椅子を両手で持ってセイバーに襲いかかってきた。
「マジかよ!?」
セイバーが間一髪でまさかの不意打ちを防ぐ。
「ほう。よく避けたな、今のを」
「舐めんじゃねぇ!」
椅子を破壊し、バーサーカーを再度斬りつける。
──────が。
「無駄、損傷無し。戦闘を続行」
「クソッタレが………………!!」
あらゆるものを切断するその刃は、バーサーカーのメイド服を破くことすらできなかった。それは確かに命中したのに。
「なんだコイツ、生き返りやがった!!しかも、さっきと比べて攻撃の通りが悪ぃ!」
「気を付けろ、そのサーヴァントはダメージの大小問わず、全部で30回ぶん攻撃を耐える。さっきの打ち首を除いてあと29回致命傷を与えないと死なないぞ」
「に、29!?」
「なんじゃそりゃ!!」
「死になさい」
バーサーカーはダイニングカートを3台、凄まじい押し出したついでに、スナイパーライフルを構えてセイバーを狙ってくる。
すごい、何でも武器にしてくるぞこのサーヴァント!
「そんなのアリかよぉぉぉぉぉ!?」
セイバーはダイニングカートを蹴り返して銃弾を弾き返す。
「くっ……………!!」
しかし、今ので体勢を大きく崩してしまった。
「粛清開始」
そこにバーサーカーの心臓打ちがクリーンヒットする。
「が────はッ!!」
血を吐きながらセイバーが地面に転がる。
「セイバー!!」
「チクショウ……………バーサーカー、令呪を以て命ずる!落ち着け!」
お兄さんが令呪でバーサーカーを止める。
お兄さんの右手の甲にあった令呪の輝きが一つ薄れる。
「────お断り致します」
「なっ………………!?」
しかし、バーサーカーはその命令を拒否した。令呪は確かに使った。お兄さんの令呪も一つ減っている。
なのに─────
「おい、どういう教育してんだよ、手前んとこはよォ!」
「そんな馬鹿な、俺もバーサーカーの制御が難しいことは百も承知だ!制御など不可能だと解っていたが、いくらなんでもここまでとは思わないだろ普通!!」
お兄さんもあまりの出来事にショック、というか驚愕を隠せない。
「クソ、なんで俺はバーサーカーなんて扱いづらいクラスを喚んでしまったんだ!」
「何がマスターの絶対命令権だよ!令呪なんてクソ食らえだァ!」
慌てている暇はない。
バーサーカー、今度は巨大なミサイルポットを担いで一斉掃射してきた。
「ぶぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「─────くっ………今一度命ず!止まれ、バーサーカー!!」
「ちょ、手前なに考えて……………」
「構わない、殺してくれ。セイバー!」
お兄さんの令呪が再び薄れる、が。
「……………お断り致します!」
再び拒否されてしまう。
だが、令呪を用いた二度の停止命令には簡単には抗えないのか、一時的にバーサーカーが大きな隙を晒した。
「チッ、後悔すんなよな────!!!」
セイバーがその隙を逃すかと、容赦なくその燃える一刀をバーサーカーの首に勢い良く叩きつける。
渦を巻くように吹き出る炎が環を描く。
風を切るように振るわれるその一刀を邪魔することはできない。如何なる物を断つその刃に、斬れぬ物なし。その刹那に。
ガキィィン、という鉄を打つような重たい金属音。
「ぼぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「そんな─────!!!」
「バカな……………!!!」
私たち全員、開いた口が塞がらない。
あの、日本最高と呼ばれた業物、岡崎正宗の刀が……………
─────首筋で止められた。
「刃が通らねぇ…………!?」
必死に力を加えるセイバーだが、刀は1ミリたりとも動かない。
首を断つことができないばかりか、その刃が食い込ませることすらできない。
あらゆる物を断つ刃が、止められたのだ。
「嘘だ……………」
「──────やれ、バーサーカー」
「承知致しました、正親様」
バーサーカーは刀を首に叩きつけられながらも表情一つ変えず、セイバーの肩を掴むと一気に投げ飛ばした。
「ぐぇぇぇぇぇ!!!」
壁に叩きつけられるセイバー。
衝撃で壁に大きな孔が空く。
「この…………化物め…………!!」
お兄さんがバーサーカーを睨み付ける。
なぜだ、どうしてバーサーカーはお兄さんの言うことを聞いてくれないんだ……………
「くそ……………なんで俺の剣で斬れねぇんだ、首が……………」
セイバーがふらふらと戻ってくる。
「セイバー……………」
「大丈夫だ、まだやれるぜ……………」
「ちょっと、お兄さん、どうしてこうなるの?何かの宝具?」
「響也だ。お兄さんって言うのやめろ、なんか違和感で気持ち悪い」
響也さんは腕を押さえながらバーサーカーとそれを従えた正親を見つめる。
「あのサーヴァントは、生前はロシア革命に巻き込まれた人物で、如何なる奇跡か体質か、【窮地の不死性】というものを持っていた。ロシア最後の皇女アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァとその母アレキサンドラに忠誠を誓い、共に最後まで隠れ生き抜くことを誓い……………そして主と共に革命に飲まれて命を落としたメイド………………」
「ただの召し使いが、俺の剣を…………!?」
「あぁ。生前はロクな功績もないただの召し使いだが、その最期だけは人間ではなかった。最期は主と我を忘れて「おぉ、神よ」と荒れ狂い、30回にも渡って銃剣に刺殺されては起き上がったという、最期に関する記録だけが残されている。そう、ロシア革命、皇帝一家殺害事件で最後まで生き残り、一番最後に殺された、【主が死ぬまで倒れない】
「な…………………」
主が…………死ぬまで…………?
40回刺されて……………起き上がる?
皇帝一家殺害事件で最後に死んだとされた皇帝一家お抱えのメイド。
「真名を─────アンナ。【アンナ・ステパノーヴァナ・デミディヴァ】だ」
それが、バーサーカーの真名か。
「─────────誰それ……………」
「─────────いや、誰だよ!?」
「触媒はマトリョーシカのように、何重にも箱に重ねて入れて保管した宝石だ。皇帝一家が、殺害前、万が一に備えて持ち込んだ【枕の裏地に仕込んだ宝石の一部】。というものだ」
いや、本当に誰それ。
名前を聞いても歴オタの私がピンと来ないほどの無名。
だが、間違いない。サーヴァントとして召喚されるだけの、これも完成された英霊。
まごうことなきバーサーカーのサーヴァント。
今回の聖杯戦争において、もっとも頑丈なサーヴァントは、間違いなくこの相手なのだ……………!!
お久しぶりです、いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます、マジカル赤褐色です。
びっくりするぐらい投稿ペースが落ちていたみたいですね。FGOで虚無している時って基本何も書かないですから私。てか夏休みだし今。サバフェスが開催されると聞いて今さらながら「あーそういえば、創作があったな」と思って再度書き始めました。久しぶりすぎて設定とそれぞれの人物のキャラを忘れかけてます。
氷所家の設定はとにかくややこしいので思い出すのにけっこう時間要しましたw
忘れないうちにもう要所要所は全部残しておこうかなぁ…………(そもそもちゃんと執筆しろ)
今回の失敗から次からは忘れかける前にやっておこうと思いますw
皆さんも夏休みの宿題はさっさと終わらせましょうね。
それでは、次回もお楽しみに!
完全版 好きなサーヴァントは?
-
非正式セイバー(三度笠セイバー)
-
非正式アーチャー(紬アーチャー)
-
非正式ランサー(ランサーお爺)
-
非正式ライダー(アンザスライダー)
-
非正式キャスター・オベロン(妖精王)
-
非正式キャスター・リアン(妖精妃)
-
非正式アサシン(遠野志貴)
-
非正式バーサーカー(アルクェイド)
-
正式セイバー(姫セイバー)
-
正式アーチャー(モンゴルアーチャー)
-
正式ランサー(ケイアスランサー)
-
正式ライダー(エインスライダー)
-
正式キャスター(リィンキャスター)
-
正式アサシン(見えないアサシン)
-
正式バーサーカー(メイドのバーサーカー)