かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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第四十七章 それは突然の

 

「やってしまえ、バーサーカー」

 

「かしこまりました」

 

バーサーカーが一歩ずつ前進してくる。

 

「くっ、」

 

「何か、殺せる方法は……………」

 

考える暇もない、バーサーカーはその腕を連続で突き出してきた。

 

「うわわわわわわわわわわわわ!!!」

 

一面の砂埃で前が見えない。

だが、敵のラッシュが全然こっちへ飛んできていないことだけはわかる。

なぜだ、何かにつけて防がれているのか?

全くわからない。音だけはするけど、金属に金属をぶつけるような音だけが響くばかりで、なんにもわからない。

 

「───────止まった…………?」

 

攻撃が止んだと思ったその時、

 

 

 

「ふぅ~、気持ちよかったわ~」

 

煙の中から、瑠璃色の髪の女性が現れた。

 

「──────げぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

セイバーがあまりの驚きで刀を落としてしまった。

 

「エインスさん!?」

 

「はぁい、よんだんす~?」

 

エインスさんは真後ろにいるこちらを振り向くと手をふりふりしてくれた。

これ以上頼もしい味方が他にいるだろうか。

 

「銀子ちゃんには分からないと思うんだけど……………女性って、胸が大きいと肩が凝るのよねぇ~今の肩叩きは良かったわ、メイドのサーヴァントさん」

 

なぜ頭に「銀子ちゃんには分からないと思うんだけど」という言葉を付け足した。

あたかも私の胸がなんか足りていないみたいな言い方しよって。

 

「なんだ、あの女は」

 

響也さんが目を細めて呆れたような表情をする。

 

「仲間……………みたいなものだけど……………」

 

「──────あの野郎、あんなに硬かったか……………?」

 

「さーて、今日は「あらゆる物体よりも高い硬度を持つ」日だからどんな攻撃も効かないわよー!」

 

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!?

 

「どうりでヘンなわけだぜ。エインスの野郎、昨日は全然闘わねぇくせに身体の動きは冴えているときたもんだ。日によって体質が変わるんだろうな」

 

「ちょ、セイバー、それどういうこと!?」

 

「アイツがゴリラだった日は「そういう日」だったんだ。昨日は一昨日ほどの力が出せない代わりに「動きだけは速すぎる」日。今日は速くもなければ力も強くない。ただ、「硬すぎる」日だろうな」

 

そうか、そういうことか。

昨日私とセイバーを助けてくれたとき、セイバーを抱えながらもサーヴァントであるライダーさんと同じ高さを飛んでいた。

怪力になる日が一昨日で、動きが良くなる日が昨日で、今日は身体がすごく硬い日?

 

「くっ、次から次へと………………!!!」

 

「さて、もう観念したらどうだい?」

 

エインスさんの方を向いている正親の背後からライダーさんが歩いてくる。

これで氷所正親は追い詰めたも同然。

 

 

 

 

 

 

 

───────最強のマスター。

 

 

 

 

 

───────頼りになる味方のサーヴァント。

 

 

 

 

 

───────なんか強い響也さん。

 

 

 

 

 

───────護衛は全滅。

 

 

 

 

 

──────加えてどんな攻撃も無効化できるエインスさんがやってきた!

 

 

 

 

 

──────このカードなら、バーサーカーを打倒できずとも、正親を捕まえることならできる……………!!

正親さえ捕まえれば、バーサーカーも止まるはずだ。響也さんのサーヴァントであるバーサーカーを洗脳したんだ。もとに戻す方法もきっと響也さんが吐かせる。

 

 

 

 

 

──────いける。この状況ならいける。正親の竜は恐ろしいが決して大したこともない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────さぁて、もうおしまいね!」

 

エインスさんが意気揚々と勝ちを確信したようにばんざーいする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────手前がな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビシュ、という一閃の乾いた音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────────え?」

 

この場にいる人物が多すぎて、今の声が誰のものだったか、私には分からなかった。

だが、そこには確かな光景があった。

 

背後から背中を斬られたエインスさんが、水のはいったコップが側面だけ割れた時のように、赤い水を背中からひっくり返して、

自分が作った水溜まりに立ち尽くす姿が。

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────エインス……………?」

 

ライダーさんが、信じられない光景に言葉らしい言葉を失う。

 

 

 

 

 

エインスさんは痛がるわけでもなく、とりわけ大きな感情もなく。

ただ自分の口から垂れてきた水を指で触れてその味を感じた時に、

てへぺろ、といった表情でライダーさんを見つめる。

背中が斬られている中でも。抜けきれていない刃が肩に刺さっていても。

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、ライダーくん」

 

 

 

 

 

寂しさを誤魔化すような笑顔が見える気がする。

私には、エインスさんの背中の前に立つ、彼の後ろ姿しか見えないけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────やっちゃった☆」

 

 

 

 

 

エインスさんは腕を下ろしてしまった。

それを見てから、エインスさんの背後に立つ男はエインスさんの肩に刺さった刃を抜く。

そのまま、エインスさんは自らの血の海に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────うそ」

 

今のは、私の声だったのか。

自分で自分の声が信じられない。

あぁ、よかった。これは夢なのだ。そう、これは悪夢なのだ、

だって─────そうじゃないとおかしいもん。

昨日、私を助けてくれた人が………………

 

 

 

 

 

私の従える■■■■■によって、殺されてしまったのだ。

 

 

 

 

 

「エインス………………!!!」

 

ライダーさんが、膝から崩れ落ちる。

正親もバーサーカーも響也も、状況が何一つ把握できていない。

もちろん、私もこの夢を信じない。

 

 

 

 

 

「セイバー……………どうして、君が……………!!」

 

ライダーさんはすぐに気持ちを切り替える。

あの穏やかな表情の声は無くなり、怒りに満ちた瞳と荒々しい声がセイバーという男に向けられる。

三度笠と軍服を朱に濡らした青年はその問いを苦笑いで返した。

 

 

 

「──────いやぁ、刀鍛冶ってのは全くもっててぇへんなモンでよぉ。俺ぁ、剣士(セイバー)でありながら、粛清者(エリミネーター)でもあるんだよ」

 

 

 

 

 

昨日まで友達だと思っていた男の声が、今では………………

遠く離れた、敵のようだ。

 

 

 

 

 

「エリミネーター……………?なんの話を…………」

 

「【マスター】、これで良いんだよな?」

 

セイバーは言う。

 

「何言っているの…………そんなこと、良いわけないでしょう!!どうして、そんな…………」

 

必死に私はセイバーに向かって叫ぶ。

頼むから嘘だと言ってくれ。セイバーじゃなくて、バーサーカーがやったんだよね?

バーサーカーの攻撃をやせ我慢していただけで、本来はあれぐらいのダメージを受けていたってことだよね?

 

「──────わかったぜ。んじゃあ、バーサーカーの方もやった方がいいか?────え?ややこしいから後回し?おうよ、わかったぜ」

 

セイバーは、私の声を完全に無視して、見えない、聞こえない誰かと話をしている。

セイバーは一通り話し終わった後、大人しく刀をしまった。

 

「──────セイバー」

 

「──────仕方ねぇことだ、ギンコ」

 

「仕方なくない」

 

「──────俺ぁな。手前の友達ではある。だが、残念なことに、最初っから手前のサーヴァントじゃあねぇんだよ」

 

セイバーは当然のように吐き捨てる。

 

「嘘だよ、そんなこと。だって、初めて会ったときに、「手前は俺のマスターか?」って訊いてきたでしょ…………?」

 

「考えてみろ。手前みたいなもんがあんな都合よくサーヴァントなんか喚べるわけねぇだろうがよ」

 

そうだ。アレは偶然だ、奇跡だ。

だから、その奇跡が、私たちの絆を結びつけたきっかけじゃなかったの?

──────違ったの?

 

「私の友達になったのは、嘘だったの…………?」

 

「いいや、手前との友情はホンモノだ。俺ぁ嘘は大嫌いだって知ってるだろ?だから俺ぁ手前のやりてぇことを一度でも否定したか?手前の指示に逆らったことあるか?ねぇだろ?俺が手前の意見を尊重するようにさ、手前も俺の【仕事】の邪魔をすることはできねぇはずだ」

 

「仲間を裏切ることが、アンタの仕事だって言いたいの……………?」

 

セイバーは何がおかしいのか大笑いし始めた。

 

「──────手前はおもしれぇこと言うじゃねぇか。裏切ってなんかねぇさ。あくまで、【一番油断しているタイミングを突いた】ってだけだ。何事も、どさくさに紛れて動けば勝手に上手く行くんだ。エインスたちと一緒にイザコザに巻き込まれるタイミングを見計らっていたからこそ、俺ぁヒオリを家に入れることを良しとしたし、手前との関わりを絶たなかった。鋭い手前のことだ、【騙す】ことは許さねぇとて、ある程度【黙っている】必要はあったがな」

 

「──────何それ…………結局、私が全部悪いっていうの…………?私が、聖杯戦争のこと、なんにも知らなかったから」

 

「安心しろ。普通はこんな英霊(クラス)やってこねぇ。だからエインスも予想つかなかったんだ。この聖杯戦争で、今日のエインスを斬れるのは、なんでも斬れる俺の刀ぐらいだったろうなァ」

 

サーヴァント、エリミネーター。

それが、セイバーの本来のクラス。

岡崎正宗が、ここに喚ばれた使命。

 

「手前も昨日言われたろ?聖杯戦争は二つあるってな。俺ぁ、もう一つの聖杯戦争を潰すために喚ばれたサーヴァントだ。手前やウルカに手出しはしねぇ。ただ、正式聖杯戦争の連中だけとは絶対に手を組まない。俺の精神力を以てしても、身体が勝手に動いちまう」

 

「───────────────」

 

 

 

 

 

 

 

このやり取りの隙を、ライダーさんは見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「───────今だ!!!

 

 

我らが絆の誓いに反する者、三銃士にあらず!

三銃士にあらずんば正義にあらず!

同じく正義に反する者は人にあらずもまた然り!

人徳(ひと)に反する者よ、仁義を裏切る者よ、汝に天罰を与える!

この契約に乗っ取り、汝の身を絶つ!

─────正義に反した時に、人の命は、人の心と共に消え失せると知れ!

地獄より後悔せよ、令呪を介した我らの誓いに基づき汝に命ずる!自害せよ、セイ─────」

 

 

 

「させねぇよォ!!!」

 

空中に出現させた刀がライダーさんに襲いかかる。

 

 

 

「ぐ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ライダーさんは爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされた。

 

 

 

「ライダーさん!!!!!」

 

「おい、待て!!」

 

響也さんの静止も振り切って、私はセイバーの前を通りすぎ、正親とバーサーカーの真横を通り抜け、

慌ててライダーさんの元へ駆け寄った。

セイバーは私を黙って見ていただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、ううぅ………………ぐっ、」

 

ライダーさんは瓦礫の下敷きになっていた。

 

「ライダーさん!!!」

 

私は急いで助けようとする。もう、今の私には、彼しか信用できなかったから。

だが、ライダーさんは私の肩を持って「もういいよ」と言ってきたので、私も手を止めた。

 

「そんなことより……………いいかい?よく聞きなさい」

 

「はい……………」

 

「あのサーヴァントは、騙し討ちはするが、裏切る事は絶対にない。彼の心にはまだ正直さが残っている。君が非正式聖杯戦争の参加者である限り、彼は君の友であり、君を裏切ることは絶対にないだろう。だから、彼をまだ信じてやってくれ」

 

ライダーさんの腕が黄色く光っている。

というより……………姿が薄れているような……………

 

「─────────」

 

「君は彼の仲間として引き続き戦い続ければ、きっとこの戦いに勝てる。彼はどうやら、僕たちが想像している以上に、【奥の手】を多く持っているようだ。おそらく、今回の聖杯戦争の最有力サーヴァント候補だろう。君は彼の仲間として、これまでと同じように闘うかい?」

 

「───────生き残れるんですか…………?」

 

「生き残れるばかりか、あらゆる願いを叶えるという万能の願望器、聖杯を手に入れてしまうかもしれない。君にとって、一番生存の近道は、セイバーの仲間として闘うことだ。だが、そうなった後に、得るものは素晴らしいが、同時に失う物が多すぎる」

 

「────────はい」

 

セイバーの言うことを理解すれば、彼と手を組んでこれからも良い友達どうしとして聖杯戦争をこれまで通りに生き残れるはずだ。

あのバカを嗜めながら、麗花のアーチャーとの掛け合いを見て呆れる、そんな日々が戻ってくるだろう。

だが、そうすれば私は──────

 

 

 

私は、生き残りたいだけだ。

聖杯なんていらない。殺し合いなんてちっとも望んでいない。

なんなら話し合いで聖杯を譲って、保護して貰いたい。

でも私は、今のセイバーと共に居れば、

他の魔術師たちを、次から次へと手にかけていかなければならない。

 

───────嫌だ、人殺しは嫌だ。

 

 

 

 

 

────────もう、誰も殺したくない。

 

 

 

 

 

「──────もし君がセイバーから離れたいのなら、今すぐ君の仲間たちと合流してから、蝦碑市の外れにある教会に向かいなさい。そこに、君たちと話が通じる人がいるはずだ。彼女とそのサーヴァントなら、終盤まで残る。君のことも、分かってくれるはずだ。僕の紹介で来たということさえ言ってくれれば間違いなく助けてくれる」

 

「────────本当に?」

 

「大丈夫だよ、僕を信じて。─────覚えていてくれ、僕たちは最後まで君の味方だ。後の事は君の好きにしてくれ。セイバーと共に確実に生き残るも、セイバーと決別するも、君の人生だ。君が好きに決めるものだ。いいかい、君は若造の僕よりもさらに幼い。ならば、未熟である故に進化の可能性は無限大だ。君の人生がどう変わるか、それは君の選択で決まることだということを知っていてくれ。ただ一つだけ、迷うなよ。今はただ、時間がない。決断は、今すぐするんだ。セイバーが、君の元へ来る前にね…………」

 

 

 

ライダーさんの姿が………………

 

 

 

「そんな、消えないで……………!!!消えないでダルタニアン…………!!!」

 

 

 

「──────運命を選べ、少女よ…………!」

 

ライダーさんは最後に微笑んだ後、消えていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────私は。

 

 

 

「私は………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は────────────




それは突然の。
それは突然の更新です笑笑

いつも読んでくださっている皆さんお久しぶりです、マジカル赤褐色です。

色々と突然すぎますよね今回の展開は。まぁ、過去イチとんでもない展開だったと思います。
作者の推しであるエインスがお亡くなり。ついでにセイバーがやりやがります。
けれどこの展開は実は既に決まっていました。エインスは前半の最後に死なせる予定だったので、退場にはちょうど良いタイミングです。
でもここで作者と読者のショックを和らげるために作者は何度も言いました。
「【ヤバい事】が起こるよ?」とか、あとがきで何回か言っています。
あと、伏線もちゃんと張ってます。銀子がセイバーのことをただの刀鍛冶だと思っていないような描写が山ほどありましたから。セイバーがなんか色々と知っていそうな所があったり必然、セイバーがこうなるフラグは配置しておいたつもりです。
まぁ、まさかこんなことをしてくるキャラなんて居ないですけどね。
Fate二次創作初、半日足らずで破られる共闘関係()

エインスさん好きだったんですけどねぇ、まぁ何事にもシナリオというお約束がありますから。
嫌でも推しや好きなキャラを退場させるシナリオは飲み込まなければなりません。
まぁ、エインスがこうなった後の展開はまぁ、もちろん皆さんの予想通りの流れが始まると思います。
数ヵ月も放置していたのかぁ、すごいな。
こんだけサボっている自分が恐ろしい。

さて、厳しい中で目だった動きが見られなかった本作の聖杯戦争も一気に動き出し、いよいよ後半戦に突入いたします。
勢力図が明らかになり、さまざまな秘密が生まれ、エリミネーターなる特殊クラスの登場により、ようやく本作の歪んだ聖杯戦争らしさが滲み出てきたかと思います。
ここからの怒涛の展開ラッシュに是非ご期待ください、それでは次回もお楽しみに!

完全版 好きなサーヴァントは?

  • 非正式セイバー(三度笠セイバー)
  • 非正式アーチャー(紬アーチャー)
  • 非正式ランサー(ランサーお爺)
  • 非正式ライダー(アンザスライダー)
  • 非正式キャスター・オベロン(妖精王)
  • 非正式キャスター・リアン(妖精妃)
  • 非正式アサシン(遠野志貴)
  • 非正式バーサーカー(アルクェイド)
  • 正式セイバー(姫セイバー)
  • 正式アーチャー(モンゴルアーチャー)
  • 正式ランサー(ケイアスランサー)
  • 正式ライダー(エインスライダー)
  • 正式キャスター(リィンキャスター)
  • 正式アサシン(見えないアサシン)
  • 正式バーサーカー(メイドのバーサーカー)
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