かつて自作した聖杯戦争   作:マジカル赤褐色

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セイバーと決別した銀子は氷所響也の車で、正式ライダーの言った「教会」に到着した。
そこでエインスの身体を預けたところ、如何なる経緯か、なぜか教会に居たサーヴァント、ライダーと親しくなる。
ライダーに自分の葛藤を打ち明けた後、彼の言葉に背中を押された銀子は、自分の中で人を殺さずに聖杯戦争を生き残る、という無謀な決意を抱く。


第五十章 宿した怒りを解き放て

 

「あ───────!!!」

 

ライダーと並んで教会から出た時、私は門の外に人だかりができているのを見た。

もしかして、響也さんが手配してくれた車かな?

いや、でもにしては騒ぎが大きすぎる。

 

 

 

「ふーん、オマエらってほんとに災難だな。とうとうヤーさんに絡まれちまってるよ」

 

ヤーさんって…………まさか、

 

「え、ヤクザ!?」

 

「あぁ。あそこに停まってるオマエ宛ての黒塗り高級車もなかなかだが、それ以前に、その運転手に因縁つけているあの黒スーツの男たちはゴリゴリのヤーさんだろ。なんでこんな分かりやすいんだろーな」

 

「ちょっと、ちょっと!?」

 

ライダーから離れるのが危険だと分かっていながら私は一目散に走り出してしまった。

 

 

 

 

 

「オラ、ここの偉いやつ早よう出せやゴラァ!!」

 

「し、知りません!!私どもは、ここの教会とは無縁で…………」

 

「あぁん!?何言うとんのじゃ、じゃあ何でここ停まっとんのじゃボケ!!」

 

「下手な事抜かしてんじゃねぇぞゴルァ!」

 

 

 

 

 

運転手がヤクザに絡まれている。

すごい、口調も服装も顔立ちも手口も、何もかもがヤクザ。

絵に描いたようなこんなワル、今の日本にまだ存在していたんだ…………

 

「おい、アレ」

 

「あぁん?」

 

────────やっべ。

 

 

 

 

 

「おい、何見てんだテメェオラァ」

 

巻き舌凄い話し方だな…………

オラじゃなくてオルルルルゥゥゥゥァァッって感じ。

 

「──────えっと、運転手さん…………?」

 

「な、なんか急に彼らが集団で…………歩道を2列で並んで歩いてきてここへやってきたと思ったら……………いきなり絡まれて……………」

 

歩道をちゃんと2列で並んでインネン吹っ掛けるって…………礼儀正しいのか正しくないのかわからん!!

ヤクザってそういうところが一番謎だわ!!

 

「あぁん!?喧嘩売っとんのかゴルァ!!」

 

「ひぃぃぃぃい!!!すみません、すみません!!!」

 

「余計なこと言ってんじゃねぇ」

 

おぉっ、怖っ。

 

 

 

 

 

「まぁまぁ、その辺にしといたれや~」

 

声がしたと思ったら、車を取り囲む組員の波の間から、背の高い男がやってきた。

ロン毛に赤レンズのミラーサングラス。まるで、どこかのエージェントだ。

なまりの酷い関西弁が特徴の、背の高い脚長男は、ゆっくりと教会の門の前に立つ。

すごい脚長い、そして細い。スタイルはめちゃくちゃ良いが、ミラサンロングはさすがに強面がすぎる。

 

「あんたがフランスで大暴れしたっちゅう女かいな?うちの組員に覚えあるか?」

 

か、関西弁は分かりやすいのになまりのせいでアクセント位置が気持ち悪い……………

 

「な、ない…………フランスって、フランスでも活動してるのあんたら」

 

「テメェ、副会長に向かってあんたって何様のつも…………」

 

「うっさいのぉ、ヒトが喋っとんのや。口出すな、ボケェ」

 

副会長…………見た目でもまぁ、お偉いさんなのは知っていたが、まさか団体の副会長とまできたか。

副会長って、こんなに外を出歩いていいの?

 

「ほんまかどうか分からんわぁ、んじゃ、ひとまず話は聞かせて貰うで。あんた知り合いなんやろ?この運転手と。今、言うてたやん」

 

しくった、地雷踏んだ。

 

「おい、ヤクザに口喧嘩負けたら終わりだぞ」

 

うっさいのぉ、ライダーは!?はよ助けろや!!

 

 

 

 

 

「…………ちゅうのは仕事上の理由や。ほんまの理由はなぁ…………俺、あんたのこと知っとるで。円堂家のモンやんなぁ?」

 

「な………………………」

 

なぜ、彼、私の苗字を………………

 

「覚えているもいないもなにも、あんたのオトンが訴えたせいで、うちの息子が迷惑被ったんやろうが」

 

「迷惑………………?」

 

「そうか。覚えてないんかぁ、両親が死んだ経緯とか、意外と覚えてないもんなんやなぁ。俺はオトンもオカンもまだヨボヨボながらも生きとるからわからんねん。あんた、ショックで記憶がおかしくなってもうたんか?」

 

 

 

 

 

──────────待って。

 

その記憶は本当に知らない。

 

 

 

 

 

「そうか。なら思い出させたろか?俺なぁ、「姫路」っちゅうねん」

 

 

 

「───────────ッ!!!!!」

 

その名前で、私は全てを思い出した。

腕が軋む。

─────昔、サバイバルナイフで斬られた傷口が痛む。

 

 

 

あれは確か、中学の頃だったか─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────おい、気持ち悪いんだよ、中国かぶれが。

 

 

 

 

 

───────どうしたの、銀子!?その傷は!?

 

 

 

 

 

───────なんてことだ、学校でのイジメ行為…………なんでもっと早くから教えてくれなかったんだ……………!?

 

 

 

 

 

───────生徒の皆さん、姫路君は家庭の事情があって、学校を辞めることになりました。

 

 

 

 

 

───────姫路くん、どうしたんだろう?

 

 

───────なんでだろうね?

 

 

───────うわさに聞いたんだけど、イジメが発覚して退学になったんだって。

 

 

───────イジメかぁ。それなら仕方ないね。

 

 

───────その子もよかったね。イジメから解放されるんだから。

 

 

───────そうかなぁ。こういうときよく言うでしょ?下手に相談したりしたら、【逆恨み】を受けるって。

 

 

───────逆恨みして…………何が起こるの?

 

 

───────例えば……………イジメを訴えた人に復讐しに行くとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────お父さん、お母さん。どこ行ったんだろう。

 

 

 

 

 

────────全然帰ってこない。

 

 

 

 

 

────────仕事が、長引いているのかな。

 

 

 

 

 

────────やっぱり遅い。

 

 

 

 

 

────────テレビでも見て、時間を潰そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────速報です。蝦碑市近郊にて大規模な爆発事故が発生しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────現場からは、円堂銀侍(ぎんじ)さん、円堂佳根呼(かねこ)さんの遺体が見つかり、

 

 

 

 

 

 

──────────お父さん、お母さん……………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、お父さんとお母さんの写真が、テレビに映っているの?

なんで、死んだことになっているの?

 

 

 

 

 

 

事件直前、防犯カメラの映像には、指定暴力団、総曹連合会幹部、姫路賽(ひめじさい)と思われる人物が映っており───────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

自分でも聞き取れない程の叫び声を上げて、私は狂ったように空を見上げていた。

 

眼に写る景色全てが紅に染まる。

赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤!!!!!

 

 

 

 

 

 

「────────────」

 

 

気がつけば、私の前に写るすべてが、もう敵にしか見えなくなっていた。

あぁ、分かったぞ。コイツらが……………………

 

 

 

 

 

「───────お前らが、私の滅殺対象か…………!!」

 

 

 

ターゲットは絞れた………………

 

ならば今から────────

 

 

 

 

 

 

─────────任務を、遂行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────────ハァ」

 

息を吸って、脚を地面に叩きつける。

お父さんから教わった、護身術。何度も何度も練習して会得した、最初の型を整える。

 

「──────なにやってんだ、あいつ」

 

「気でも狂っちまったんじゃねぇか?」

 

「副会長、アレって何拳ですか?」

 

「─────────なんや、あれ?」

 

「え?」

 

「いや、俺、現存のどんな中国拳法でも知っとるで。だども、あれはマジで知らんわ。我流?いやぁ、でもどっかで見たような気がしぃへんでもないんよな…………なんやったかなぁ、少林寺拳法の一種やった筈やけど…………」

 

 

 

 

 

 

「──────(イー)

 

【気】を練る。

一の合図で構えた右の拳を引く。

左手をかざした相手に、標的を絞る。

姫路の右に立つ相手。姫路を直接狙うのは、何か【嫌な予感】がしたからだ。

 

 

 

 

 

「──────(アル)

 

空気を取り込む。深呼吸による急激な酸素供給による肉体強化。熱を帯びた筋肉が、私に力を与えてくれる。

そして────────

 

 

 

(サン)───────!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

50メートル先の相手が、鼻血を撒き散らしながら、昏倒した。

 

「おぉぉぉッ!?波動弾って、ほんまかいな!?」

 

「は───────波動弾!?」

 

「お前ら気ぃつけや!あの女、遠くから気を練って波動撃ってくるで!!格ゲーみたいにちょっと削られるとかちゃうからな?」

 

「な、なんで波動を、どわぁぁぁぁぁっ!?」

 

「なに、その拳法!ぐぇぇぇぇぇ!!!」

 

「なんの、こんなもの防げば……………あれぇ!?鉄パイプが折れた!?げぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

 

 

 

「っと、危ないわ!ギリギリ避けれたけど、見えない飛び道具ちゅうんは怖いなぁ。だから言うたやろ?【義和団式義和拳】は波動が出せるんやでぇ!!」

 

「義和拳って、あの義和拳ですか!?」

 

「ちゃうわ!あんなんと一緒にしたらあかん!ほんまもんの義和団ってのは、恐れを知らず、素手で波動弾撃ちながら壁走ったりして、最新兵器を持った列強の兵隊と互角に戦ったんやで!」

 

「そ、そんなのアリかよ──────!?」

 

「─────俺のチビが中国かぶれって言うてたらしいが、そういうことやったんか。あんた、ご先祖様が満州に住んどったんやなぁ」

 

「────────────」

 

「義和団事件の後も、残党が満州に残ったって聞いたことがあるが、原初の義和拳を会得していた義和団の残党がそのまま当時の義和拳を後世にで伝え残していき、途中で独自の派生をしたのがあんたの円堂式拳法かいな、おもろいのぉ」

 

「────────────」

 

 

二台の車が門をつっきって、私の周りに停車する。中から新たな組員たちが続々と降りてきて、私の周りを囲む。

 

「ふざけた真似しやがって、死ね!!」

 

私の周りを取り囲んだ組員たちが持っていた銃を構えて一斉に放つ。

本来なら蜂の巣にされているところだが…………

 

「─────────効いてない!?」

 

「当たり前やないか。義和拳を会得すると、神力(じんりき)が身について、【刃物や銃弾を跳ね返す】ぅ、言われてるんやで?それが義和団の結束の拠り所となった教えなんや」

 

「ま、マジかよ………………」

 

「でも、やっていればそのうち死ぬわ。連続で銃撃をどれだけ耐えれるか見物やなぁ?」

 

 

 

 

 

「────────────」

 

まずいか。さすがに、何百は耐えられな──────

 

 

 

 

 

「ぐぇぇぇぇぇっっっ!!!」

 

「ひやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

突然、組員たちが吹っ飛ばされた。

 

 

 

「───────え?」

 

私は、後ろを見る。

 

「─────────何すんねんあんた!!」

 

「何をするかも何も、ここはうちの土地だよ」

 

そこには、槍を構えて鎧を身に纏ったライダーが。

 

 

 

「悪いが、ここはこれでも神聖なる教会だ。信ずるすべての人に等しく救いの手を差し伸べる場所だが、悪魔を招き入れる場所じゃあねぇ。門の外での抗争は知ったこっちゃないが、流石に敷地の中を車で走られたら、こっちも黙って見てるわけには行かねぇんだよ」

 

「くっ……………………………」

 

「余計なことしなきゃ、オレを敵にすることはなかったのになぁ!!!」

 

ライダーは停まっていた車二台を掴むと、門の外へ投げてしまった。

 

「な、なんやと──────!!!!!」

 

凄まじい破壊音を立てて車が破損したのを見て姫路があんぐり。

 

 

 

(──────ちょ、大丈夫なの!?ヤクザとはいえ、民間の前で鎧解放って……………)

 

小声でライダーを嗜める。

 

「ふん、心配ねぇ。ほら、さっさと出てこい、そこで隠れているマスターとサーヴァントよぉ」

 

 

 

え!?マスターとサーヴァントいたの!?

 

 

 

「チッ、鋭いな。仕方ないな、下がっていろ姫路」

 

奥から、また新しい人物が……………

 

 

 

「時雨はん!!来てくれたんか!!」

 

「待たせたな、姫路。もう安心しろ。さて、仕事だ。思う存分暴れてこい、ランサー」

 

スーツ姿の若者の横に付き添っている厚着の人物は……………彼の身長をも上回る長い槍を抱えた背の高い老人だった。

 

 

 

「ふむ、儂の趣味ではないが、横に多くの組員を抱えて出迎えられるのは照れるな」

 

にこやかな笑顔で現れたのは、ランサーのサーヴァント。

今回の聖杯戦争に出てきたランサーはあの炎を出してくるランサー。

つまり、こっちがもう一人のランサーか!!

 

 

 

「───────先、行きな」

 

「え?」

 

「こんなの、オレ一人で十分だ。オマエはさっさとここを出ろ。今のうちに運転手を連れて逃げるんだ」

 

「で、でも…………アレは私が連れてきてしまった…………」

 

「関係ねぇ、ここに入ってこられたらオレの獲物だ。悪かったな、戦えねぇと思って見くびっちまって。オマエのライフはまだ12ぐらいはありそうだ。その義和拳ってのについては色々聞きてぇが、そんなのは些末な問題だ。とにかく自分のことが最低限守れるんならそれでいい。さ、行きな。オマエに協力する命令はアンザスには貰ってはいないが、「侵入するような敵が来たら追い払え」っていう指示はある。それに便乗して、今回限りはオマエを見逃してやるよ」

 

「───────────信じていいの?」

 

「当たり前だ。オレはエリミネーターみたいに嘘は嫌いだし、それに加えてアイツと違って騙しもしねぇよ。一度限りの慈悲だ、無駄にするんじゃねぇぞ?」

 

ライダーはこっちを向いてニヤッと笑ったら、そのまま周りに残っている組員たちを片付け始めた。

 

「ありがとう、ライダー!!」

 

そう言いながら、私は一人で門の方へ走り出した。

ライダーからの返答はなかった。必要ないからだ。彼からの言葉は、アレで終わりだった。これ以上何を言おうと、彼からは何の声もない。

 

「ちょ、なにしとんねん……………あん、」

 

「クッソ邪魔!!!」

 

目の前に現れた姫路の顔面に渾身の一撃を叩き込む。頬に炸裂した一撃は、私の現在の火力に加えて、姫路への怒りが上乗せされている。

一撃で顎が吹き飛んで、右側の歯が8本ほど吹っ飛んでいった。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

のたうち回る姫路を無視して、時雨と呼ばれた男の横を通り抜ける。

幸いにも、彼からの攻撃はなかった。

 

「───────絶対に、あんたたちは許さないから、覚悟しときなさい」

 

だが私は、彼に宣戦布告をしてしまっていた。

 

「───────そうか」

 

彼からの返しは、それだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、お前ら。早く全員撤収しろ。サーヴァントとサーヴァントの戦いに紛れ込んだら無駄死にするだけだぞ~。大人しく各々事務所に帰れ帰れ。姫路、お前もさっさと立て。右の歯全部折られた程度で伸びていたんじゃ副会長は勤まらんぞ」

 

「ぐっ、うぅ…………あの女、ブッ殺したるわ……………」

 

「あいあい、早く帰った帰った」

 

時雨はこんなときでも冷静に、仲間たちに指示を下す。

 

 

 

 

 

「───────ほう、お主。このランサーを前に槍とは」

 

一見、穏やかそうな老人だが、そのなんとも言えない風格は間違いなくサーヴァントのそれ。一撃で死んでしまいそうな老人であろうと、ライダーは油断の色一つ見せない。

 

「───────そっちもな。ヨボヨボのクセして、オレの前で矛槍(スピア)か。錐槍(ランス)ならまだしも、敵と武器の種類が同じなのは納得行かねぇ」

 

「うむ、同感である。なれば、早々に決着を付けるか?」

 

「ハン、身体はくたびれちまっているようだが…………中身は話が解るヤツだってのは間違いねぇみたいだな─────!!」

 

ライダーはそう言ってすぐさま先手必勝、手にした黄金の槍でランサーに突撃していった。

矢のような急激な突進で地面から煙が立つ。

 

「フン!!!」

 

ランサーは槍でそれを横から弾き返す。

ズザザザザザザ、とブレーキをかけてライダーが止まる。

 

「良いねぇ…………燃えてくるぜ。今のところ、喚ばれてから目立った活躍ができてないんだよ。毎回逃げられたり、やられかけたりな。だから今回だけは爺相手だろうが勘弁しねぇからな」

 

「そう来なくてはのぉ、」

 

老人はそう言って、外套を脱ぎ捨てる。

 

 

 

 

 

 

 

「────────マジかよ」

 

 

 

 

 

「我輩も、一人の戦士なれば、貴様の挑戦に、全力で答えねばなるまい!!」

 

外套の下から現れたのは、老人ではなく、青年!!!

 

いや、青年というよりかは30歳前後に近い姿だが、あの枯れ木のような老人の影などもう何処にもない。

 

 

 

「どういうつもりだ…………爺のフリでもしてたのか!」

 

「アレはアレで一つの姿だったのだが、こちらのほうが、より我輩の姿に近い」

 

相手の姿が一気に変わる。

さっきまでの萎びたキュウリみたいな老人は、今では溢れるほどのエネルギーに満ちた、筋肉質な男性だった。

 

 

 

「見てろ、我が戦友たちよ。これが、貴様と共に戦場を歩んだ友の勇姿である!」

 

「───────へぇ、仲間がいる系か。いいぜ、オレも共感できる部分多いぜ。じゃあオレぁ、兄弟の方に見て貰おうかねぇ!!」

 

二人は同時に飛び上がると、教会のはるか上空で、燃える流星が交わるようにぶつかり合った。




いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます、マジカル赤褐色です。
はい、記念すべき第50章です!!ぱちぱちぱち~。
この記念すべき回でようやく長いこと眠っていた銀子の力が解放されます。
姫路が義和拳についてなんか色々語ってありましたが、全部事実です()
凄いでしょ、義和団事件って分かりやすく言うと、銀子みたいなやつが次から次へとやってくる戦いなんですよ()
もしかしたら波動弾で戦っていたことはないかもしれませんが、いちおう「撃てる」とは信じられてはいたらしいです。「気」が扱えるようになるってまぁ、中国拳法においては大したもんですからね。
なんか情報が交錯して分かりづらかったとはおもいますが、要約すると、銀子は「気」を自由自在に扱う能力があります。これは体質とか魔術とかじゃなくて、先代から伝わっている「義和団式義和拳」による基本技術によるもので、銀子以外にも使える人がまぁ、もしかしたらどこかにいるかもしれません。でも今のところ銀子以外にそういうキャラを登場させる予定はないです。
銀子の先祖は義和団の戦士として参戦した中国人であり、敗走の後満州に留まり、その後の紆余曲折で日本に流れ出た代が日本人の人と結ばれた、という感じです。
要は銀子は中日両方の血が流れているわけですね。
それがイジメの発端となり、加害者である姫路という少年が銀子の両親によってイジメ行為を訴えられて高校かを退学処分、その報復として総曹連合会の姫路が動いて銀子の両親が爆殺されるわけです。
まだここの描写が少ないのでアレなんですが、まだ銀子については秘密が多く残っていますので、これからもひとりぼっちにされた銀子ちゃんの成長を温かく見守ってあげてください。
それでは、次回もお楽しみに!

完全版 好きなサーヴァントは?

  • 非正式セイバー(三度笠セイバー)
  • 非正式アーチャー(紬アーチャー)
  • 非正式ランサー(ランサーお爺)
  • 非正式ライダー(アンザスライダー)
  • 非正式キャスター・オベロン(妖精王)
  • 非正式キャスター・リアン(妖精妃)
  • 非正式アサシン(遠野志貴)
  • 非正式バーサーカー(アルクェイド)
  • 正式セイバー(姫セイバー)
  • 正式アーチャー(モンゴルアーチャー)
  • 正式ランサー(ケイアスランサー)
  • 正式ライダー(エインスライダー)
  • 正式キャスター(リィンキャスター)
  • 正式アサシン(見えないアサシン)
  • 正式バーサーカー(メイドのバーサーカー)
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