彼が情報を集めた後の話をしよう。
暗い部屋。その中で、おれは集めた情報を整理していた。
日本の中でも更に片田舎。この蝦碑(えび)市で開かれた新たなる聖杯戦争。我ら「エンケラドゥス」一門の大望を果たすために、この聖杯戦争は開かれなければならない。我らの無限の願いたち、欲望たちを満たすためには、万能の願望器、聖杯の力が必要不可欠。だが、聖杯戦争で勝利するのは困難だ。相手は我らと同じような、強力な魔術師たち、サーヴァントたち。
そこで、おれは、前回の聖杯戦争で勝利を修め、その時手にした聖杯を利用し、聖杯戦争のシステムに変化をもたらしたのだ。
それは、「聖杯戦争の一般化」だ。一般人を対象に聖杯戦争を開催することで、敵対する人物のレヴェルの水準、平均値を低下させ、勝算を底上げする。勿論、神秘の秘匿に違反するが、だからこそ、わざわざ、こんな小さな町を見つけ出して、聖杯戦争を開いたのだ。そもそも、神秘の秘匿など、我らエンケラドゥスが勝利すれば最早関係がない。我らエンケラドゥスの一門の大望、それは「エンケラドゥスによる神秘の独占」だ。魔術協会、聖堂教会なぞ馬鹿馬鹿しい。神秘は只一つの組織が持ち合わせればいいのだ。そうすれば、魔術協会と聖堂教会の腐った争いも締めることができるし、このような儀式も開けるまい。おれはその一門の意思を受け継ぐ者だ。敗北は一家は愚か、おれ自信が許さない。勝利は確実に。
マスターNo.1 蝦碑市の主、千藤家の一人娘。
サーヴァントアーチャー 極東の龍殺し。
マスターNo.2 ユグドミレニアの最強兵器
サーヴァントランサー 冥界の神
マスターNo.3 聖堂教会の代行者、教会の鍵。
サーヴァントライダー ギリシャ最強の盾兵(シールダー)
マスターNo.4 この町の外れで一人暮らす娘。
サーヴァントキャスター 王と姫の二面を持つ妖精國の王族
マスターNo.5 梅原家の双子姉妹。
サーヴァントアサシン 少年の姿を装った日本最高の短刀使い。
マスターNo.6 このおれ、エンケラドゥスを勝利へと導く、エンケラドゥスの最後の希望、「アルケード・エンケラドゥス」
サーヴァントバーサーカー 異次元から来訪した現存する真祖の姫君。
そして、マスターNo.7
地元の高等学校に通う一般人女子。
サーヴァントセイバー 銘刀鍛冶師。
まったく、予測できる範囲だけでも面倒なサーヴァントばかりだ。サーヴァントの召喚条件を「精神性のみ」に限定したために、触媒なしでも強力なサーヴァントが喚べてしまうわけだ。
ちっ、やらかしたか。まぁ、いいだろう。こちらにはバーサーカーがいる。あの自由奔放を制御するおれの精神性、そして、彼女が自称する誕生日はおれの個人情報的な誕生日と一致する12月25日。これ程ピッタリな条件はない。
此度はどうも、おれの思った展開にはならなかったか。ユグドミレニアから一人、聖堂教会から一人……か。警戒すべきはそのあたりか。
さてと、情報は整った、では、これより、本当の聖杯戦争を開始しよう。
アルケード・エンケラドゥス、今度こそ、エンケラドゥスの大望、果たしてみせます、見ていてください、お爺さま。
「やっほー、ただいまー何やってるの?」
がちゃり、とドアを開けて、バーサーカーが部屋に入ってきた。
「情報を集めていたんだ。それより、お前のほうこそ、どこへ行ってたんだ?」
「映画を見に行ってたの!楽しかったー!」
「…………………」
しまった、おれとしたことが、コイツの脳内細胞の理性信号レヴェルを甘く見積もっていたみたいだ。
コイツは馬鹿では済まされないほどの低脳野郎だった。聖杯戦争中に映画を観るなというほど、おれは鬼ではないが、初日に観るという発想はなかった。おれの道徳的価値観からして、忠告しておくまでもないコトだったが、本当に一から全て説明してやらないと解ってくれないみたいだ。
………まぁ、確かに、【真祖の吸血鬼、それも自由なお姫様】に人間の常識など通用する筈が無いのは解りきっていたのだが。
「そうか、余程、現代に顕現したのが嬉しかったようだな。ちなみに何の映画だ」
「宇宙戦争の映画よ。宇宙からの侵略者から地球を守るためにニンゲンが闘うの」
「お前宇宙系のSFを観るのか!?」
偏見だが、コイツはアニメ系か、実写のミステリーとかを観るイメージがあったが、まさか彼女がこんな厳つい系統を観るとは。こんな世界平和のイメージマスコットみたいな少女が、戦闘機?ライトセイバー?宇宙戦艦?狂戦士(バーサーカー)のクラスは伊達ではないな。天真爛漫、自由奔放、極楽蜻蛉。考えなしの極み、その最奥のような存在が、ここにいる。
「本当に大丈夫だろうか?」
おれは心底そう思っていた。まぁ……見てみれば、グッドサインをしてるし、彼女にも自信があるのだろうが。だが、おれの不安はそこではない。本当に、彼女は、何処からやってきたのか、何処の英霊なのか、何をした英霊なのかが、全く読めない。目を凝らしてステータス確認をしても、出典と地域の部分が、モザイクが掛かったように完全に霞んでしまっている。この世のモノでないのは確かだが、だとしたら、逆にこんなものを持ち込んで、何事も無く終わる気がしない。
一旦、おれは様子見も兼ねて、今日は絶対に外に出ないことを決意した。何故ならば、こいつを外に出したらトラブルの件数が2倍になるのは否めなかったからだ。
◇ ◇ ◇
キャラ紹介【バーサーカー陣営】
アルケード・エンケラドゥス
バーサーカーのマスター。
魔術師家系、エンケラドゥスの末裔。第五次聖杯戦争の勝者である「カルヴェーニア・エンケラドゥス」の実孫。エンケラドゥスの大望、「神秘の独占」の実現に向けて、祖父と同じやり方で、第六次聖杯戦争に参加する。マスターでありながら、此度の聖杯戦争の開催者でもあり、祖父が手にした聖杯の力で、聖杯戦争を一般人向けに開催し、唯一の魔術師として、他のマスターたちを蹴散らす予定だったが、運の悪さが次々と災いして、彼自身も予想していなかった結果を生んでいく。バーサーカーを手にしたことで、今回の聖杯戦争の勝利を確信しているが、かなり慎重に動く。
バーサーカー
狂戦士のサーヴァント。
自由奔放で可憐な少女。映画を好んでおり、聖杯戦争初日から、早速映画を見まくっている。アルケードに呆れられる一方、サーヴァントとしては非常に高い戦闘能力を持っている。狂戦士(バーサーカー)とはなっているが、高度なコミュニケーションが可能で、自由奔放とはいえ、ある程度の理性はある。真名も出典も地域明らかになっておらず、「この世のモノ」ではないらしい。詳細が全て謎に包まれており、その正体を知るものは彼女本人のみ。
さて、いつも見ていただいている方、いつもありがとうございます!
これで、この聖杯戦争に参加するサーヴァントは七騎揃いましたね。さぁ、アルケードが集めた情報の中に、それぞれのサーヴァントの真名に関する手がかりやヒントがありましたが皆さん分かりましたか?キャスター以外は、皆さん一度は聞いたことがある英霊たちばかりですよ。今後の展開で、次々とサーヴァントの真名が明らかになっていくので、今後とも是非、よろしくお願いいたします。ちなみに、バーサーカーのサーヴァントは、心当たりが強いお方もいらっしゃるはず。上手いことキャラを出せるよう、日々修行して参りますので、今後ともマジカル赤褐色による聖杯戦争の展開を引き続きお楽しみいただければ幸いです。