夜の王と魔物の王   作:変人集袋

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封印されたグレートソード

かつて、異形の鍛冶屋に鍛え上げられた業物の大剣
鍛冶屋により強くなったその力は今では封印されている
持ち主の力が解放されるごとに強くなるだろう

この得物は完全に解放されれば
異形の鍛冶屋の願いを叶えうる力を持っている
だが、その願いは別の武器によって叶えられている


増える仲間達

…はい?

大賢者の爆弾発言に唖然となってしまった。いったいどういうことですかね、大賢者さん?

 

《解。この封印は強力でありながら不完全であり十全には使えないものの能力の一部なら使うことが可能です。

どのような能力かは確認できませんでしたが…。それが先程説明した「脆い封印」です。

その封印の脆い部分を解析した結果、主が個体名・ヴェルドラに魔力感知を教わった時期と同じタイミングに封印が綻び始めたのが確認されました》

 

なるほど、時期が全く一緒ってことか。

でも、それだけだとシルシテイの能力と俺が繋がっている証拠としては弱くないか?

 

《他にも、魔物を捕食して、能力を手に入れた時期の綻びも確認されました。》

《また、能力制限(レベルシンク)と言うスキルは主の強さに合わせて力を再現するスキルのようです》

 

なるほど、これは繋がってますね…。でも、封印が脆くなる原因がわからないな、なんだろう。俺が強くなったとき?新しい能力を手に入れた時、とかか?

まあ、とりあえずシルシテイに伝えるか。

 

 

「なるほどのう。心当たりのある能力ばかりじゃなあ。」

「心当たり?」

「祈祷も魔法も狭間ではよう使っとった。戦士と言うのは、わしが色んな武器を振るっていたからかもしれんな。」

「じゃあ、『黄金覇気』は?」

 

どんな能力か分からなかったので、もう心当たりのある本人に聞くしかないんだが。

 

「うーむ、それが心当たりがないんじゃよ。せいぜいわしが夜の王だってことぐらいじゃ。」

「覇気だもんな。そういえば能力の一部なら使えるらしいけど」

「ほう?…あーはいはい。わしが使ってた魔法や祈祷や武器の一部がまだ使えるらしい。」

「おお、魔法使いか。良いなあ。一部ってのは?」

「祈祷や魔術の中でも上位や伝説扱いされているものは使えないらしい。武器は伝説扱いされて無い一部の武器なら使えるってかんじじゃな。祈祷は信仰心が無いと教えても使えないとおもうが、魔術なら必要なものさえ有れば貴公も使えると思うぞ?」

「!? マジ?」

本気(マジ)じゃ」

「マジか…じゃあ、まだ時間もあるし、教えてくれよ!」

「いいぞ、いやーわしにも教え子が出来るとはな。」

「ん、先生って言ったほうがいいか?」

「いらんよ。わしは本物の先生には遠く及ばんでの。じゃあまずは基本の魔術からじゃ」

 

 

いやー色々教えてもらっちゃったよ。教えてもらったのは良いけど、シルシテイの所の魔術ってのは頭がいいほど威力が上がるらしい。つまり大賢者さんにも協力してもらった場合の威力は…。

 

「分かったかな?じゃあそこの木に『輝石のつぶて』を撃ってみよ」

「うん。それっ」

 

ドゴッ…

 

「嘘だろ…?」

「うーん、なんじゃこの威力。知力999かな?」*1

「強すぎるよ!大丈夫かこれ」

「いやー段々楽しくなってきたぞ、次は『輝石の大つぶて』じゃ!」

「でかくなってるじゃん!」

 

 

一時はどうなることかと思ったけど結構楽しかった。

本当は頑張って作ったオリジナル魔法とかがあるらしいけど、それも封印されたらしい。上位とか伝説並って事かよ。

さて、次は俺が話す番だ。

 

「じゃあ、俺のことも話そうかな」

「おー、いいのぉ」

「いやお前ほど面白くはならないからな?」

「なに、別の世界の話ってだけでも興奮するもんじゃよ」

 

そうか、確かにな。確かに別世界の話なんて聞く機会無いもんな。そして俺は俺の覚えてる限りの記憶の内容を話すことにした。

住んでた街とか、仕事の話とか。先に結婚した後輩、お世話になった先輩、ひどい取引先、それに友達や両親。そして…俺の最期。

 

「なるほどのう…中々発展している世界なんじゃな」

「そうだなあ。この世界でもそれくらいの生活がしたいな」

「お、いいじゃ無いか。出来る限りの協力をしよう。」

「是非頼むよ。完成した暁には体験者第二号にしてやろう」

「いいのぉ。楽しみになってきたわ!」

「…あれ、そういえば」

「なんじゃ?」

「お前ってこの世界に来る瞬間ってどう言う状況だったんだ?」

「ああ、実験してたら突然な」

「え、大丈夫か?お前嫁さんがいただろ?」

「大丈夫じゃ。ラニはわしに放浪癖があるのを知っとる」

「…それならまあ、なんとかなるかもな。」

 

もうツッコむのも疲れてきた。とは言え、割と平和な時間を過ごしていたんだが…

 

「…む」

「ん?今度はなんじゃ?」

「多分牙狼族だ。それなりの魔力をもった奴らが大勢来てるぞ」

「出番じゃな。初の防衛戦じゃ。気合い入れていくぞ。」

「おう。絶対に勝つぞ。」

「もちろん」

 

ゴブリン達が柵の内側にいることを確認した俺たちは門の前で待つことにした。そこは平原に面していて、走ってくる牙狼族がよく見えた。

 

ウォーーーーーーーーーーーーーン!

 

「うっせぇ、しかも丸見えじゃないか。殲滅する気あるんか?」

「多分格下だからって油断してるんだよ。お前は油断すんなよ。」

「当たり前じゃ。犬は強いと相場が決まっとる。」

「ふふっ、どう言う相場だよ。全く…」

 

軽口を言い合っている内に牙狼族が俺たちの目の前にやって来た。もう真夜中であり、空には満月が登っている。

 

「明るい月だな。異世界の月もなかなかどうして、美しい」

「でっかいな、いつか月見でもしようか。さて、おい!そこで止まれ。このまま引き返すのならば何もしない。さっさと立ち去るがいい!」

 

まずは話し合い。ゴブリン達が言うには話はできるらしい。どう出るか…うおっ!

 

サクサクサク ブシャー

 

あーあ。柵に施した仕掛けで、突撃した狼がどんどんバラバラになっていく。鋼線みたいな蜘蛛糸を張ってあるから、突撃すればご覧の通り、と言うわけだ。

さらに柵には矢狭間があり、ゴブリン達から一方的に矢を受けることになる。下手くそな弓術でも何発も撃てばさすがに当たる。突撃して運良く生き残ったやつも暫くすれば死んでいた。まあ所詮ケモノだ。この程度のケモノ如きが俺に勝つなど、ありえない。

…っと、群れのボスが動き出したな。周りから見たら消えたように見えるかもしれんが、俺からすれば欠伸が出るようなゆったりとした動きだ。

おっとそこにも粘糸が貼ってあるぞ。案の定引っかかるボス。その隙に俺は水刃を放ち、その首を落とした。

あれ、そう言えばシルシテイはどうしたかな。…!?なんだあのクソでかい棍棒!?ボスやその近くに控えている個体ほどでは無いものの結構でかい個体を殴り飛ばしたのが威圧になっているのか誰も近づかない。あれなら大丈夫かな。

さて、そろそろ終わらせようか。ボスに近づいて捕食する。

 

《解析が完了しました。擬態:牙狼を獲得しました。固有スキル『超嗅覚、思念伝達、威圧』を獲得しました》

 

頭の中に大賢者の声が響く。獲得に成功したようだ。ボスが喰われたってのに牙狼達は動く気配がない。仕方ない逃げ道を用意してやるか…

俺は牙狼のボスに擬態し、大声と一緒に威圧を放った。

 

「聞け!今回だけは見逃してやる!俺に従えないならば、ここから立ち去るがいい!」

 

と、牙狼達に宣言する。シルシテイもでかい棍棒を地面に叩きつけて威嚇している(首を捻っているのが気になるが)。これで犬どもと逃げ出すだろう。そう思ったが

(我等一同、あなた方に従います!)

服従の宣言と同時に平伏されたのだ。寝そべっているようにしか見えないが。従うならばそれでいい。

こうして俺たち初の防衛戦は終結したのである。

 

 

終わってないんだな、これが。戦いで一番面倒なのは後始末。無いのと一緒みたいな家も、ぶっ壊して壁にしたし、大体80匹の犬の面倒なんて誰がみるんだよ!とりあえずは犬とゴブリンに二体一組を組ませて一晩を過ごさせることにした。犬達はもふもふで暖かいだろうからな。

ゴブリン達が寝ている間、俺は太すぎる骨(?)を削っているシルシテイに話しかけた。

 

「お疲れー」

「ん、お疲れ様」

「なあなあ、あのでかい棍棒なに?なんか、不思議なかんじがするんだよ」

「おお、よう気づいたな。確かにあれはただのでかい木の棍棒ではない。黄金樹っちゅう特別なでかい木の枯れ枝じゃ」

「すげぇな…なんでも武器にするんだな。」

「なんでもじゃ無い、使えるもんだけじゃ。」

「聞いたことある気がするな…*2ところでさ、あれで地面叩いて威嚇してた時首捻ってたけどなんかあったのか?」

「あれは威嚇じゃないんじゃよ。本当は『地揺らし』をするつもりだったんじゃ。どうやら戦技も封印されているみたいじゃな」

「戦技?」

「ああ。戦技ってのは戦士達が戦いの上で習得した技のことじゃ。本来わしのような褪せ人が使うには武器に刻まれた記憶を使うしか無い。わしは自分で覚えたがな。」

「どんなのがあるんだ?」

「だいぶ前に蛇の首を切った技があったろ?あれが『獅子切り』じゃ。回り込みは『猟犬のステップ』じゃな。他にユニークなのは『回れ回れ』、『共撃の幻』とか…ああ、多すぎてきりが無いわい」

「色々あるんだなあ…。今度見せてよ。ところで話は変わるがお前ずっと起きてるけど眠く無いのか?」

「眠れるけれどま寝なくとも生きていけるからの。飯も食わんでも生きていける。食うけどな」

「良いなあ、便利だな。俺も飲まず食わず眠らずでも大丈夫だけど逆に飲んでも食っても味しないし眠れないんだよ。」

「あー、それは元人間なら辛いな」

「味覚は絶対手に入れる!その次には寝れるようになろうと思ってる」

「なんか良い方法がありゃいいんだがねー」

 

そうやって今後の話をしながら夜は更けていった…

 

 

日が昇り、ゴブリン達も起き始めた。村長を呼ぼうと思って彼らに名前がないことに気づいた。なので…

 

「村長、お前等を呼ぶのが不便だから名前をつけようと思う。」

「おお、名案だ。指示する時に不便だったんじゃ。」

 

すると、ゴブリン達がざわつき始めた。

 

「よ、宜しいのですか?」

「名前くらいいいだろ。うーん、まずは…」

 

それっぽい名前をどんどんつけていく。村長にリグルド、その息子にリグル、鼻の大きいやつにゴブタ、なんかぼーっとした顔のやつにゴブゾウ…

ゴブリンには名前をつけ終わったんで、最後に牙狼のボスの息子に嵐牙(ランガ)と名付けた。その瞬間、俺からごっそり魔力が抜き取られる感覚がした。

 

《告。体内の魔素残量が一定値を割り込みました。低位活動状態へ移行します。完全回復までは約三日掛かります》

 

え、なんでそんな魔素が持ってかれるようなことが…名付けか?もしかして名前を付けると魔素が持ってかれるのか?意識ははっきりしているが、身体が崩れていく…て言うかとろけていく。半液体みたいなことになった身体を誰かが入れ物に入れてくれたのか、身体が安定した。

 

(…んなことに…るとはな…とりあ…ず、今はやす…といい…)

 

どうやら壺の中に入れられたらしい。壺を覗き込み、話しかけてくるのは…声はシルシテイなんだが、顔が…思ったよりも女顔だった。なんか女物の鎧着ても多少は許される顔とか言ってたけど、ここまでとは…

 

 

 完 全 回 復 !

なんだかんだで回復したし、魔素と魔力の総量が増えた気がする。もう一回同じことやったらまた増えるかな〜と思ったが、流石にやめておくことにする。とりあえず壺から這い出る。

 

「おはよう。目覚めはどうかの?」

「いい感じだよ、ありがとう。ところでその顔…」

「どうじゃ?結構イケとるじゃろ?」

「いや、いい顔なんだけど、絶望的に爺言葉が似合わないからさ」

「いやー矯正しようと思ったんじゃがな,全然治らんからもう諦めたわ」

 

そう言って壺を被るシルシテイ。

 

「え、それ被るの?」

「え?あー、なるほど。そう言うことじゃな。」

「うん。そうそう。」

「ほれ、やろう。」

『壺頭』

「そう言うことじゃねえよ!いや、俺が入ってたやつじゃん?大丈夫?臭わない?」

「あ、そう言うことか。それは問題ない。てかスライムの匂いってなんじゃ」

「そう?ならいいけど…これは(壺頭)?」

「貰ってくれていいぞ。親友の証ってことで。」

「じゃあ、ありがたく貰っておくよ。ちょっと被るには難しい体型だから仕舞っとくわ。」

 

壺頭を胃袋にしまう。

さて、村はどうなってるかね。

 

 

「お目覚めですか、リムル様!」

「お、お前は村長…いや、リグルドか?お前…て言うかみんなでかくなってね?」

「はい!我等一同は男はホブゴブリンに、女はゴブリナに進化しました!」

「えぇ…」

「いや改めて見ると凄いのぉ。名付けが、進化がここまでとは…」

 

どうやら名付けの影響により、進化したらしい。しかし、男のホブゴブリンはともかく女のゴブリナは出るとこが出ていて非常に色っぽくなっている。もはやメスゴブと馬鹿に出来ん。服も用意しなきゃなあ。さらに、犬…いや、その姿は犬とは呼ぶには凛々し過ぎる。漆黒の体毛は艶やかな光沢を放っており、先頭の一際でかい奴なんて額にある星形の痣から見事な一本角が生えている。

 

「御快復、心よりお慶び仕ります!我が主よ!」

「お前ランガか!?でかくなったなあ!」

 

どうやらこいつも進化したらしい。ランガの場合は『全にして個』であるらしく、牙狼達の完全支配を成し遂げ、種族全体が進化したとのこと。

食糧もペアになった狼と思念伝達が出来るようになり、行動範囲が広がるかつ、今まで狩れなかった魔物も狩れるようになったらしい。

しかし、強くなったとて、問題は山積みである。衣食住の内、衣と住がひどい有様である。んー、どうしたもんか…

 

 

「じゃあ行ってくる。留守は頼んだぞ、シルシテイ」

「おうとも。わしがいれば万が一もあり得んじゃろう」

 

あれから忙しなく動いた。勝利を祝って宴をしたり、見下さない、人を襲わない等のルールを決めたり、統治をリグルドに任せたり。

その中で、少し遠くにドワーフがおり、そいつらに頼れば服や家が作れるかも、との話を聞いた。なので、ありったけの金になるものと金を用意してもらって、早速出発する事にした。

シルシテイはその留守を受け持ってくれるらしい。ランガ達に乗って出発した。いやー速い速い。こんだけ速けりゃ割と早く着くだろうな。

 

 

side 三人称 ゴブリンの村

 

 

留守を受け持つとは言ったが、特別することがあるわけでもないシルシテイ。ふと、武器がかなり低質であることを思い出し、武器を使いやすくすることを考えた。

狩りに行こうとするリグルを呼び止め、武器を借りる。

 

「えーっと、君はリグル君だったかね?」

「はい、そうですが…どうかなされましたか?」

「君のその剣を貸してほしくてね。なあにすぐ終わらせるからさ」

「わかりました。この剣は、正直ルーン様の武器よりかなり弱いと思うのですが…」

「ああ、わしが使うわけじゃない。まあ見てなさい」

 

狩りに行こうとするリグルを呼び止め、武器を借りる。

そう言ってシルシテイは砥石刃を取り出した。砥石刃は本来なら武器に戦灰をつけるための物であるが、砥石でもあるため、武器を鋭くさせることも可能である。

刃と呼べるかも怪しいその石の棒を砥石刃で研いでいく。

五分ほどで作業は完了して、まともな石の剣となった。

 

「おおお…!ありがとうございます!」

「なあに構わんよ。他の奴らもやってあげようかねぇ…」

「あ、あの…」

「ん?どうかしたかね」

「不躾な願いだとは分かっているのですが、弓もどうにかできませんか…?」

「いいとも、いいとも。どんどん頼ってくれ。…しかしこの弓だったら作り直したほうがいいのぉ。どれ、ついてきなさい」

 

差し出された弓は曲がった棒に紐が張ってあるだけの弓であった。それをどうにかするより、作り直した方が良いとシルシテイは判断した。

細めの木を伐採し、縦に割り、断面を削って、木をしならせて狭間で手に入れた紐(亜人の者より上質な弓用のもの)を張った。紐の張り具合を確認してリグルに渡す。

 

「超即席じゃが、さっきのよりはマシなはずじゃ」

「何から何まで…本当にありがとうございます!必ず大物を仕留めて見せます!」

「じゃあ他の奴らの武器も強化してやるか」

「きっとみんなも喜ぶと思います」

 

その後、シルシテイは手斧や剣を研いだり、弓を作り直したり、矢を作った。武器が十分になったら今度は子供達の相手を始めた。

 

[You are beautiful.]

「あははは!なにこれなにこれ!」

[You are beautiful.]

「すげー!」

「すごい褒めてくるよー!」

「面白いじゃろ?一個あげよう」

「わー!ありがとうルーン様!」

「いいなー」

「まだ沢山あるから大丈夫じゃよ。ほれ」

「やったー!」

 

「あったかいねー…」

「だなー…」

「ずっとここいたいよ…」

「あかんよ。ほれ在庫はあるから寝る前に枕元にでも使いな」

『ぬくもり石』

 

リムル達が帰ってくるまでの間。シルシテイとゴブリン達は絆を深めていく…

 

 

side リムル

 

 

「ただいま〜」

「あ、おかえり。その人達は…?」

「ああ、ドワーフの職人達だよ。これで服とか寝床はなんとかなるはずだ」

「おう!ぜひ任せてくれ」

「頼もしいのぉ。こっちではのぉ…リグルド?」

「はい。実はリムル様にお客様が来ていまして…」

 

やってきていたのは別の村のゴブリンだった。曰く、俺の配下に加えてくれとのこと。正直面倒くさいが人手がないのも事実なので、加え入れる事にした。内部から裏切られたら、その時は皆殺しだ。裏切りは許さん。殺す!と簡単に考えてしまう自分に驚きつつ、こいつらの名前も考えなければいけない事に気づき、溜息を吐くのだった…。

 

 

名前つけなきゃなあとは思ってたんだけど…いや本当に多いな。4つの部族、あわせて五百ほど。

 

「多くね?全員の名前考えるの?」

「案を出すのはわしも協力しよう。リムルのアイデアが枯れてからだが…」

「全然それでいいよ。よし、思い立ったが吉日。早速始めるか。壺ここ置いとくから、溶けたらよろしく」

「わかった。頑張れよ」

 

「う〜ん…ぎぶ〜」ドロドロ

「はーい一旦中止じゃー」

 

「よっしゃ復活」

「はーい再開するぞー」

 

四日経ちました。やっと終わった…

 

「お疲れ。やっぱ溶けたのぉ」

「いや本当に頑張ったわ…」

「ああ、頑張ったと思うぞ。リグルドも昇格おめでとう」

「はっ!ありがたき幸せ!」

「がんばれよ。期待してるぞ」

 

名前を付ける際に、族長四人の内男三人にルグルド、レグルドログルド、女にリリナと名付け、ゴブリンロードとした。そして元々ゴブリンロードだったリグルドをゴブリンキングに昇格させたのだ。

 

「リムル様!たった今、全員の進化を確認しました!」

「よし、ご苦労。よし、早速始めるぞ。ドワーフ達の話をよく聞いて、間違いのないように家を建てるんだ。」

「了解しました!」

「おお、統治者然としておるの」

「うっせ。お前どうせしないだろ?俺が統治をする。だから、俺が困った時は協力してくれ。」

「勿論。何でもやってやろう」

「じゃあ、ここら辺の木全部切ってきてくんね?運ぶのは俺がやる」

「早速か。見てろよ、三十秒で終わらせてやるわ」

 

全ては順調。作る規模は最早町である。それは、俺たちの新たな住処。

土地の開拓の始まり。それは俺たちの…

 

新しい国の始まりだ。

 

 

side 三人称 ジュラの大森林、広い道(名称不明)

 

 

シルシテイは一人で散歩をしていた。木の伐採が一通り済んで、やることが無くなった為だ。リムルには付近を散歩してくると言って出掛けていた。リムルは多少なら離れても思念伝達ができると言っていたので問題はないだろう、そうシルシテイは考えながら歩いていると広い道に出た。

 

「随分開けておるのぉ。街道にするならここか?…ん?」

 

ドドドドドド…

 

「…は?」

 

走ってくる四人の人影。だが、それよりも目立つのは馬鹿でかい蟻であった。

 

「…はぁ」

 

シルシテイはいつもの得物とはまた別の得物を構える。またでかい武器…ではなく紫色の石が付いた杖である。

『隕石の杖』。狭間の杖の頭には輝石と呼ばれる青い石がついているのだが、これは輝石ではなく名前の通り隕石が付いている。強化こそできないが、未強化でも強力な魔術補正が付いている。そしてこれから使う魔術にもピッタリの杖だ。

 

「ちょ、ちょっと〜!どいてくださ〜い!」

「あぶないからあんたも逃げるでやんす!」

「大丈夫じゃ、わしの後ろに隠れりゃいい。」

「はあ?何を言って「いいから隠れるのよぅ!」…はあ」

 

走ってくる蟻に対してシルシテイは静かに杖を構える。そしてすぐに魔法を発動させた。

紫色のオーラを纏った三つの岩が地面から飛び出してくる。その岩をシルシテイは迷わず飛ばした。

一つは片方の牙をおり、もう一つは足を砕き、最後の一つは脳天をかち割った。蟻は少し足をバタつかせた後、絶命した。

 

 

side リムル 建設中の町

 

 

シルシテイから連絡が来た。どうやら人間を保護したらしい。これが迷い込んだただの冒険者だったらよかったのだが、近辺に調査をしていた痕跡が残っていたそうだ。

三日三晩なにも食べていなかったらしく、手持ちの食べ物を食べさせているそうだ。

疲労が溜まっていそうだし、悪い奴等じゃなさそうなので何をしていたか聞くついでに休ませてあげたい、とのこと。

 

(ちなみに何を食べさせてるんだ?)

(茹でエビじゃ。結構好評じゃよ)

(いいなぁ)

 

 

臨時で用意したテントにて。

 

「初めまして、俺はカバル。一応このパーティのリーダーだ。こいつがエレンで、こっちがギド。Bランクの冒険者だ」

「初めまして!エレンですぅ!」

「ども、ギドと言いやす。お見知りおきを!」

「で、この人が道が一緒ってことで臨時メンバーになったシズさんだ」

「ゴクゴクゴク…シズです」

「本当にルーンさんには迷惑をかけた…すまない」

 

シルシテイが助けたのは、洞窟で出会った三人組だった。洞窟ではいなかった性別が想像できない仮面を被った女性はシズと言うらしい。

そして、こいつに対してとある予測を立てている。多分だがこいつは日本人だと思う。

お茶を飲む仕草、正座の仕方。そんなに多くの人間を見たわけではないが正座は珍しいんじゃないか?

…っといかん俺も自己紹介をしよう。

 

「初めまして!俺はスライムのリムル。悪いスライムじゃないよ!」

「ぶふっ!」

 

飲んでいたお茶を吐き出すシズ。仮面に阻まれ飛び散ることはなかった。

確かに渾身のギャグではあったがこんなにウケるとはな。改めて、三人組から事情を聞く事にした。

怪しい事が起きてないか調べて来いと言われここにきたらしい。そして怪しいものなんて言われてもわかんないよと愚痴を言い始める始末。

あと、蟻に追いかけられたのは大岩に開いた怪しい穴を、コレダ!と剣を突き刺したらでかい蟻…巨大妖蟻の巣だったらしい。何やってんの?

疑う事を知らんのか聞いたことも聞いてないこともベラベラしゃべる。

その間シルシテイはシズと話していたらしい。何か錠剤を渡している。シズはそれを迷わず飲んだ。

流石に毒を飲ませることはないと思うが…後で何を飲ませたか聞かなきゃな。

 

「ってかそんなに怪しいものなんてここら辺にあるか?強いて言うなら洞窟ぐらいじゃない?」

「いや、あそこには何もなかったんですぅ。邪竜が封印されてたらしいんですけど、中でニ週間も調べたのに何にもなかったんですよ!ほんと、骨折り損のくたびれ儲けって感じですぅ…」

「ってバカ!それは言ったらまずいって!」

「あー!知らないでやんす!」

 

どうやら口を滑らせたらしい。本当に何やってんだ…

それからは口を滑らせたから、隠しても仕方ないとでも言わんばかりに色々話してくれる。町を作っている事に関して聞いてみたが、流石に国の行動はわからないそうだ。

色々聞いたり話したりしていたらもういい時間である。

三人は町(完成していない)に泊めてやる事にした。俺が引き止めてしまったのに、さあ帰れはできない。

 

「リムル…シズさんについて話があるんじゃが…時間あるか…?」

「ん?別に大丈夫だけど…?」

 

随分深刻そうだ。さっき飲ませてた薬と関係があるのか?

 

「そうか、ありがとう。じゃあ、シズさん。説明してくれ」

「ありがとう。ルーンさん。えーっと…何から話せばいいかな」

「じゃあ出自から話すといい。()()()()()()

「元の世界?ってことはシズは」

「そうリムルさんの思う通り、私は異世界人。リムルさんの悪いスライムじゃないよって言うのも他の異世界人の子に教えてもらったの。だから思わず笑っちゃった」

「なるほどな。俺以外にもいるかもなとは思ったがこんなに早いとはな。俺は元の世界では三上悟って名前だったが…シズは?」

「私は井沢静江だった。またこの名前を言う日が来るなんてね」

「あ、そう言えばあの錠剤は?なんだったの?」

「それはわしが説明しよう。あれは「火抑えの錠」。わしの手作りじゃ。百個ほど飲んで試したが、なんら影響は無かったので安全ではある。して効果なんじゃが、これは身体の中にある火に関するあらゆる物を抑える効果がある。」

「ってことはシズの身体の中には…」

「そう、私の中にはイフリートって言う上位精霊がいる」

「それがなぁ、飲ませる前はもう後三十分も持たない感じだったから有無を言わさずに飲ませたんじゃ」

「え、持たない?暴走しそうだったってことか?」

「そうじゃ、それで問題があるんじゃ」

「鎮められたから問題はないんじゃないの?」

「それがあの薬がなあ、鎮めるとかじゃなくてあくまでも抑えるだけなんじゃ。しかも、イフリートの火がかなり強くてなぁ。明日の昼には限界がくる。しかもあの薬、試作品でさっきので終わりなんじゃ」

「それでリムルさん。お願いがあるんだ」

「…なんだ?」

「私が暴走した時…」

 

 

「イフリートを倒してほしい」

*1
《頑張りました》

*2
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」物語シリーズ 羽川 翼




遅れましたごめんなさい
言い訳をするとですね、まずリアルが忙しかったってのとシズさん周りのイベントをどうすべきか大分悩んだのもあります
あとずっとエルデンリングやってました。もう4週してトロコンしたのに何やってんだろうね
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