私のディケイドアカデミア   作:課金ドライバー

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検索と退治

 自宅があるマンションに入った私はリビングのカーテンを閉め、どこからともなく『ネオディケイドドライバー2号機』を取り出す。この世界に士はいないので、これからは普通にネオディケイドドライバーと呼ぼう。

 

そのまま腰に当ててベルトを伸ばし、ライドブッカーからディケイドの写真のようなカードを取り出し、ネオディケイドドライバーに挿し込む。

 

「変身」

 

待機音が流れる中、私はサイドハンドルを押し込んで変身プロセスを完了させる。

 

KAMEN RIDE DECADE

 

すると、ドライバーから「ディケイド」と電子音声のようなものが流れると同時に、私の前にいる誰かを囲うように19ほどのモノクロの影が現れ、影は私に重なり色を帯びながら装甲を形成する。左肩から右胸にかけて斜めの十字線が刻まれており、装甲はマゼンタカラー、顔には翡翠の色をした大きな複眼に10枚程の黒色のプレートが埋め込まれている。

 

これが私と士の変身する仮面ライダー、仮面ライダーディケイドだ。ちなみに私のディケイドは士のディケイドよりも一回り小さい。

 

「さてと、検索するならW系統だよね!」

 

そう言って私は白い仮面ライダーが描かれているカードを取り出してネオディケイドドライバーに挿し込む。

 

KAMEN RIDE ETERNAL

 

 ポリゴンパネルのようなものがディケイドを包み、白を基調としたボディに青い炎のような腕、黒い巨大なマント。そして永遠を模している黄色の複眼にEを横倒しにした3つ角。そして、身体中に様々なT2ガイアメモリが挿し込まれている姿。

 私は、全てのガイアメモリを内包した状態の『仮面ライダーエターナル』に変身した。

 

「サイクロンに……ジョーカー! これを押せば……」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

仕組みは分からないが、この組み合わせを押すことで地球の本棚で検索できる。Wの世界を訪れて仮面ライダーエターナルの力を手に入れてからは情報収集が楽になったなぁと思いながら、『仮面ライダー』を検索条件にして検索に入れる。

 

「……よし、さっきやった私の変身を除けば0件だね。お次は『仮面ライダー、代わり』……と。……なるほど、ヒーローっていう職業が私達仮面ライダーの代わりになっていて、怪人にあたるヴィランがいるんだね」

 

夜が明けるまで一通り検索をした私は、近くのヒーロー事務所の情報網からヴィランの情報を検索する。手頃なヴィランを探していると、ヘドロのようなヴィランが暴れている情報が出現し、私はそれを確認して地球の本棚とのリンクを切る。そして、その近辺にオーロラカーテンを繋げる。

 

「さて、この世界の敵がどれ程か見てみますか……!」

 

 


 

荻子がオーロラカーテンを繋いだ先では、商店街にて爆炎が巻き起こっており、現地に集まったヒーローはその地形、状況、そして何よりもヴィランの体質である流動体に大苦戦を強いられていた。

 

「わ、私二車線以上じゃなきゃ無理! メインは誰かにあげる!」

 

「爆炎系は我の苦手のする所…今回の所は他に譲ってやろう!」

 

「そりゃどうも!こっちは消火で手一杯だっての!」

 

「ベトベトのヘドロのせいで掴めねぇし、良い個性の子どもが暴れて抵抗してる!」

 

「おかげでここら一帯地雷原さ…手が出せない…って、やべぇ!」

 

多くのヒーローが到着しているのにもかかわらず、ヘドロのようなヴィランに誰も手を出せずにいる状況を見た観衆の歓声は次第に止んでいき、代わりに動揺の声がポツポツと現れ始める。

 

「なんか……やばくね?」

 

「ヒーローなんで棒立ちなんだよ……これじゃ来た意味ねぇじゃんか」

 

「中学生が捕まってんだとよ。手が出せないのも仕方ないんじゃないか?」

 

「可愛そうに……でもきっと誰かが助けてくれるから頑張るのよ!」

 

 

何もしない邪魔な観客がいる中、荻子こと仮面ライダーエターナルは路地の影からその光景を見ていた。

 

(ふむ……個性の相性が最悪か、或いは上手く力を発揮できない状況のヒーローばかりで手を出せない……ヒーローとしてダメダメだね。仮面ライダーならこういう時こそ立ち向かうってのに……)

 

荻子が動こうとしたのと同時に、緑色の髪の少年が人壁を掻き分けて飛び出してくる。

 

「バカヤロー!! 止まれ!止まれっ!!!」

 

「あ、あなたは……!?」

 

「話は後。今は集中してこいつをぶちのめすだけ……!」

 

『あのガキ!デク!?」

 

ヴィランは肉体を中に取り込んだ結果、より太くなった腕を少年目掛けて振り下ろそうとする。

 

「させないよ」

 

オーシャン!ルナ!

 

すかさず荻子はT2ルナメモリとT2オーシャンメモリを起動して、流動体のヘドロボディを強制的に動かす。

 

『何っ!?』

 

「ゲホッゲホッ……なんでテメェが!!」

 

「君が、助けを求める顔をしてた!」

 

仮面ライダーエターナルは中に入れられていた少年を引っ張り出し、2つのT2ガイアメモリを押す。

 

「ヘドロがオーシャンメモリの守備範囲で助かったわ。さて……」

 

トリガー!ヒート!

 

「アンタは最大火力で吹っ飛ばす」

 

マキシマムドライブ!

 

『ごっ!?』

 

凶悪な威力を誇る炎弾がヴィランの胴体にゼロ距離で放たれ、その流動体の身体をバラバラに吹き飛ばした。

 

アクセル!

 

黒煙で見えないうちにT2アクセルメモリを起動して加速。仮面ライダーエターナルは消え去った。


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