私のディケイドアカデミア   作:課金ドライバー

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縛りプレイ

雄英受験当日。筆記を終えた受験生達は、指定された会場にて実技試験の解説を受けていた。

 

『受験生のリスナー!今日は俺のライブに来てくれてありがとーー!!Everyday Say Hey?』

 

シーーーーン……

 

『こいつはシヴィーーー!!』

 

 

『これから実技試験の内容を説明するぜ!Are you ready?』

 

 

 どうやら派手なトサカのような髪型の男が司会を務めるようだ。やたらハイテンションなのは気の所為ではないだろう。それにしても、ここまでアウェーな状態でもへこたれないのは凄いメンタルだ。

 

「ボイスヒーロー“プレゼント・マイク”だ!すごい!ラジオ毎週聞いて「緑谷、今は試験中だよ」……そうだった」

 

(うるせぇ……デクもこのトサカもクソうるせぇ……)

 

荻子が緑谷の暴走を止める中、爆豪が心の中で愚痴る。

 

『入試要項通り、リスナーにはこの後10分間の“模擬市街地演習”を行ってもらうぜ!持ち込みは自由、プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!』

 

「つまり、ダチ同士で助け合いとかはさせねぇって訳か。」

 

「ほ…ほんとだ。受験番号連番なのに演習会場違うね。気那由さんはC、僕がB、かっちゃんがAだね」

 

そう言って緑谷が私と爆豪の受験票を覗き込む。

 

「見んなコラ、殺すぞ」

 

「ふーん……」

 

『演習場には仮想ヴィランを三種・多数配置してあり、それぞれの“攻略難易度”に応じてポイントを設けてある。各々なりの個性で仮想ヴィランを行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!』

 

『もちろん、他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

メガネの真面目そうな子が挙手をして質問の許可を求める。

 

『OK!』

 

「配布されたパンフレットには四種の仮想敵が記載されています!もしこれが誤載であれば雄英にとって恥ずべき痴態!どうかご説明を!」

 

『オーケーオーケー、受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな!四種目のヴィランは0P、そいつは言わばお邪魔虫さ!アレ!マリオのドッスンみたいに思えばいいぜ!ようは各会場に一体所狭しと大暴れしている“ギミック”よ。倒せないことはないが倒しても意味はない。リスナーにはうまく避けることをお薦めするぜ?』

 

「ありがとうございます!失礼いたしました!」

 

そう言ってメガネの子は下がった。

 

(なるほどね。だいたい分かった)

 

『俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った……“真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者”と!』

 

『更に向こうへ!Plus ultra!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇演習会場C◇◇

 

「……スケールでっか」

 

試験会場へと到着した荻子は目の前にあるものに愕然とする。

荻子が今受験しているヒーロー科は雄英高校の中でも特に志望者数が多く、倍率は毎年300をゆうに超えるらしいため会場はいくつかに分かれており、荻子はそのうちのCの会場に割り振られていた。

 

 指定された会場に着いた荻子達を待っていたのは、能力を測る器具が置いてあるグラウンドなどではなく、自分が蟻やノミになってしまったかと思えるほど巨大な扉であった。予想外のスケールに荻子だけでなく、周りの受験生も呆気に取られる。

 

「……とりあえずディケイドで様子見かな」

 

「はい、スタート!……どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞ!!?」

 

 

 プレゼント・マイクの号令によってドタバタと他の受験生が走る中、私はさっさと始める為にネオディケイドドライバーを腰に巻き付けて、ディケイドのカードを挿し込む。

 

「変身」

 

KAMEN RIDE DECADE

 

荻子の変身に驚く他の受験生。司会のプレゼント・マイクも例外ではなく、首にかけていたスピーカーがズレていた。

 

「ショータイム……かな?」

 

荻子はオーロラカーテンを開いて、Cの会場で最も高いビルに移動する。オーロラカーテンを使うのはこれだけにする。

 

「……よし、だいたい分かった」

 

ディケイドの複眼であるディメンションヴィジョンによって全ての仮想敵の位置を把握。それを大まかに記憶する。

 

「海東さん、使わせてもらうよ」

 

荻子はライドブッカーからディエンドのカードを取り出してネオディケイドドライバーに挿し込む。

 

ATTAC RIDE DIEND BLAST

 

「そんで、これも!」

 

荻子は続けざまに自分だけが持っているカード、ホーミング ブラストを挿し込む。

 

ATTAC RIDE HOMING BLAST

 

「銃弾のシャワーを浴びなさい」

 

荻子はライドブッカーをガンモードにして銃口を上に向けながら引き金を引く。放たれた光弾は瞬く間に360度全方向に拡散。軌道を曲げて仮想敵の頭部を次々と正確に貫く。

 

「……あ、そもそも曲がるんだからシャワーじゃないじゃん。……ま、いっか」

 

なんと先程の射撃で試験会場Cに存在する仮想敵が全滅。一気に暇になってしまった。

 

(頭部壊したらピクリとも動かなくなるなんて律儀に作ってるねぇ。減点とかされないよね?)

 

暇になった時間をどう潰そうか考えていると、荻子のディメンションヴィジョンが一体の仮想敵の出現を捉えた。

 

「……大きさからして0Ptか。暇つぶしにはちょうどいいかな?」

 

荻子はライドブッカーを開いて1枚のカードを取り出す。ブラストだ。

 

ATTACK RIDE BLAST

 

「弱点は見えた……後は撃つだけ!」

 

 

ディメンションヴィジョンによる精密射撃が0Ptの所々にある隙間に存在する配線や基盤を次々と破壊し、穴だらけになった0Ptが倒れ伏す。

 

「……ミッションコンプリート!」

 

『しゅーーーりょーーーー!』

 

司会のプレゼント・マイクの大声で実技試験の終了が告げられる。


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