妹の友達のお姉さんが気になる   作:就職太郎

2 / 2
割と早い再会

 

「あれ、今日もキャンプ?どこいくの」

 

朝っぱらからキャンプ道具を玄関に運んでいるリン。

爺ちゃんから間接的ではあるがキャンプ道具を譲り受けてからというもの、リンはキャンプにどハマりしている。

 

「うん。今日は駒ヶ根の方。」

 

「結構遠いな。この時間からだとvinoじゃ着くの遅くなるぞ?」

 

リンも原付じゃなくて二輪取ればいいのに。今更家に一台増えたところで、父さんも母さんも何も言わないだろ。

 

「今日はなでしこも一緒だから、なでしこのお姉さんが車で送っていってくれるって」

 

「なるほど」

 

たまに話に聞くなでしこちゃん。リンの話を聞く限り、賑やかでよく食べる子ってことしか知らないけど、ソロキャンしかしてこなかったリンが友達とキャンプってのは、なかなか感慨深いな。なでしこちゃんには感謝しないと。

 

「良かったな。ちゃんとお礼言うんだぞー」

 

「わかってるよ。」

 

こう言う時って菓子折りとか持ってかなくていいのかな。なんか人に渡せるようなものあったっけか。今からは買いに行けないし。そんなことを考えていると、外から車の音が聞こえてきた。そしてすぐにリンのスマホの通知音が鳴る。

荷物を纏めて一気に背負い込むリン。

 

「忘れ物ないか?」

 

「大丈夫、いってきます。」

 

「はい、いってらっしゃい。」

 

重たそうな荷物を持ってリンが玄関から出ていく。

俺もどっか出かけるかな。行き先は…バイクに乗ってから考えよう。

とりあえず朝飯でも作るか。

そう思ってリビングに戻ると、テーブルの上にリンのメタルマッチが置いてあった。

がっつり忘れ物してるじゃねえか。

流石にまだ家の前にいるだろうし、届けてやろう。

 

「おい、リン。メタルマッチ忘れてるぞ。木擦って摩擦で火でもおこすつもりだったか?」

 

「あぁ、ありがと。それ一回やろうとしたけど全然つかなかった」

 

玄関を開け、車に荷物を積んでいるリンにメタルマッチを渡す。

なんで一回やってんだよ、真面目にやったならお兄ちゃん心配だよ。

 

「もしかして、リンちゃんのお兄さん!?」

 

リンの積み込みの手伝いをしてくれていた女の子が、目を輝かせながらそう言った。この子がなでしこちゃんで間違い無いだろう。溌剌という言葉が似合いすぎる。

 

「リンの兄のすずやです。妹がいつも世話になってます」

 

「各務原なでしこです!こちらこそいつもリンちゃんにお世話になってます!」

 

「おい自己紹介すんな恥ずかしい」

 

リンが睨みながらこっちを見てくる。

いいじゃないか、万年ソロキャンパーの妹とキャンプしてくれるような子だぞ。兄として気になるだろ。

するとなでしこちゃんが俺とリンの顔を交互に見て

 

「リンちゃん、お兄さんとそっくりだね」

 

「おいやめろ、それはやだ」

 

「やだじゃねえよ。喜べよ」

 

どこに喜ぶ要素があるんだとリンにツッコまれる。おかしい、お兄ちゃんっ子に育てたつもりなんだが。まぁ兄妹だから似てても何も不思議じゃない。そしてなでしこちゃんの発言で、このラシーンが、なでしこちゃんのお姉さんの車だと言うことを思い出した。

 

「丁度いいしお姉さんにも挨拶させてもらうか。リンがお世話になるし」

 

「やめろよ恥ずかしい」

 

さっきからこの子はお兄ちゃんをなんだと思ってんだ。逆にここから挨拶なしで家に戻った方が失礼だろ。

そう思って運転席の方に振り返ると

 

「あなたは…」

 

驚いた表情の、いつぞやの眼鏡の美人が立っていた。

 

 

 

 

「へぇー!お姉ちゃん、すずやさんに助けてもらったんだー!」

 

「いや助けたって言うか、パンクの応急処置しただけだけどね」

 

この間あったことの説明を、簡単にリンとなでしこちゃんする眼鏡美人。

まさかなでしこちゃんのお姉さんが、件のパンク美人だとは思わなかった。確かに似てなくはないような気もしなくもないが…。

 

「まだ名乗ってませんでしたね。各務原さくらといいます。いつも愚妹がリンちゃんにお世話になってます。」

 

そう言うとメガネの美人ことさくらさんは、深々とお辞儀をした。

 

「あ、志摩すずやです。こちらこそ、うちのリンがなでしこちゃんにお世話になってるみたいで」

 

慌てて、俺も名乗り会釈をする。絵面が完璧に保護者である。

 

「すずやはさくらさんの一歳下なんで、敬語使わなくていいですよ」

 

やっぱりさくらさんは年上だったか。しかし妹よ、お前がその許可を出すのはどうなのか。まぁ、こちらとしても年上に敬語使わせるのは気がひけるし、その提案は正直助かった。

 

「俺からもお願いします。各務原さんがよければですけど」

 

「…、そう。わかったわ」

 

作戦成功。タメ口により、一層お姉さん感が増した。とても良い。

 

「おい早速鼻の下伸びてるぞ」

 

リンに小声で指摘された。

どことなく語気が強くて怖い。

 

「この間は本当に助かったわ。ありがとう」

 

「いえいえ、たまたま役に立てただけなんで、気にしないでください。…、引き止めた手前、言うのはなんですが、時間大丈夫ですか?」

 

なんだかんだ話始めて15分近く経ってしまった。そろそろ道路が混み始めてくる時間だ。

 

「あら、本当。そろそろ行きましょうか」

 

はーいと元気な返事のなでしこちゃん、お願いしますとリンの2人が車に乗り込む。

 

「リンのことお願いします」

 

「任されたわ。…、すずやくん。LINE交換しましょ」

 

「へ?LINE?」

 

唐突な提案にバカっぽい声が出た。

 

「あなたが言ったんじゃない。“今度会った時何か奢ってください”って」

 

言った。そういえばそんなこと言ったわ。

 

「あぁ…、はい」

 

呆気に取られた俺をよそに、さくらさんは俺のスマホを操作し、友達登録を済ませた。

 

「いいお店見つけとくから、楽しみにしててね」

 

そういうと、さくらさんは運転席に乗り込み、車を発進させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。