「ヨーナス・ローレンス、君は…」
「波花騎士、エウルア・ローレンスの従兄弟です」
「…そうか。それではどの部隊への配属…というのは愚問だったかな?」
「…ええ。遊撃小隊への配属を希望します」
「…本気なのか?」
ジン代理団長に心配そうな目を向けられる。そりゃそうだ、自ら遊撃小隊に希望する人は少ない。ただでさえ騎士団の中で最も危険と言っても過言ではない部隊なのだ。
「本気です。ジン団長も知っているでしょう?」
それでも俺は揺るがない。彼女だけに背負わせるわけにはいかないから。
俺も─
「ローレンスですから」
─罪人なのだから。
───
──
─
エウルア・ローレンスといえば古き一族出身の『波花騎士』であり、西風騎士団の遊撃小隊隊長でもある。剣術・知略・胆力のすべてに優れ、ファルカ大団長からも『蒲公英騎士』ジン・グンヒルドに匹敵すると評価されている。
しかし、その身にはかつてモンドを暴政と恐怖で染め上げたという旧貴族『ローレンス家』の血が流れている。それは今もなおモンドに住む人々に畏怖され、疎まれているのだ。
ある日、町で彼女を見た。拒絶されてもなお堂々と振る舞い、陰口をももろともしない彼女を。
なんと強く、美しいのだろうと思った。それと同時にいつの間にか胸の奥にしまっていた感情を思い出した。
─ああ、俺はエウルアが好きなんだ。きっと今までも、これからも─
その瞬間から俺は変わった。エウルアの横に立つために必要なものを知るために、一日中図書館に籠った。我流ながら剣を振った。
そうして1年経ってようやくスタートラインに立てた。
───
──
─
「ねえ、本当に良かったの?」
「何が?」
「あんたはまだ普通の人として生きることができたのよ?なのに…」
エウルアの言葉を遮って言う。
「俺はお前といっしょにいれればそれでいいんだよ。」
「っ!そ、そう……///」
顔を赤くした彼女が俯く。少し言い過ぎたかもしれないな。
「あー、それとだな。エウルアは勘違いしているぞ?」
「何をよ?」
「俺は別にローレンス家の血が流れてるからって気にしちゃいねーよ。第一俺もローレンスだしな」
「でも……」
「それにさっき言ったろ?お前の隣にいるためならどんな努力だってできるさ。」
「……まったく、馬鹿じゃないの?」
「はは、そうかもな」
呆れたような顔をしながら笑みを浮かべる彼女の頬を生温い風が撫でる。
「…来る」
「みたいだな。おしゃべりはここまで。仕事の時間だ。」
そうだ、今はこのヒルチャール達を倒すことに集中しよう。
───
──
─
「お疲れさん」
「このくらい、疲れることもないわ」
ヒルチャールは粗方倒し終えていた。あとはこの辺り一帯を浄化すれば終わりだ。
「終わったら何か食べましょうか。私お腹空いたわ」
「おう、パパっと終わらせて飯行こうぜ」
「ふふ、そうね」
そして俺たちは周囲を警戒しつつ帰路についた。
罪人は知った。愛を、もう一人ではないことを。