旦那様、離婚しても大丈夫なんですか…? 作:hapihapi
リーゼも馬鹿ではない。これからクリスがしようとしている事を理解した瞬間サッと顔から血の気が引き「下ろしてください!」と叫ぶが、もう遅かった。クリスはゆっくりとした足取りで部屋に置かれていたベッドに向かうと、ベッドの上に優しくリーゼを下ろす。それから素早く自身のシャツの留め具をカチリと緩めると、怯えているリーゼを安心させるようにその額に口付けを落とした。
「ふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと気持ち良くしてさしあげますから……ね?」
そう言って妖艶な笑みを浮かべるクリスに、リーゼは心の底から目の前の男に恐怖心を感じた。
「い、嫌っ……た、助けて!助けてお兄様!!」
そしてここにはいない兄に助けを求める声を上げながら必死になって体を捩り、クリスから逃れようとするリーゼだったが、彼女のか弱い力では大の男であるクリスに敵う筈もなく、あっさりと手首を掴まれて頭上に固定されてしまう。そして完全に抵抗を封じられたリーゼを見下ろしたクリスはくすっと笑うと、彼女の白い首筋に唇を寄せたーー……
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「へっくしゅん!」
「あら、エリオット大丈夫?」
子爵家に向かう馬車の中で盛大なくしゃみをしたシュベルク公爵に対して、向かい側に座っていたエレーナが心配そうな顔をして声を掛ける。しかし、シュベルク公爵はやかましいと言わんばかりにエレーナを睨み付けて言った。
「黙れ。お前みたいな女に心配されるほど柔な体はしていない。大体、なんで着いてきた?用事があると言っていたが、隣国の大貴族の妻であるお前が子爵家に用事があるとは思えんが……」
「あら、用事ならちゃんとあるわよ。貴方の奥様……いや、元奥様と言った方が正しいかしら?元奥様に『今までエリオットの為に色々してくれてありがとう。これからは私がエリオットを支えていきますわ』と言いに行く用事が、ね」
「……。チッ、性格の悪い……」
今更ながらなんで過去の自分はこんな性格の悪い女に求婚してしまったのだろうか?とシュベルク公爵は内心首を傾げるが、そうこうしている間に馬の嘶きと共に馬車が止まった。
「あら、もう着いたみたいね。さあ、エリオット降りましょうか」
「黙れ。私に指図をするな。わざわざお前に言われなくても降りる」
従者が馬車の扉を開けたと同時に手を差し出してきたエレーナを押し退けて、さっさと馬車を降りたシュベルク公爵は「フン」と鼻を鳴らし、立派な門構えをした子爵家を見上げた。