Side 狩澤 ナオヤ
この世界にやって来てからどれだけの月日が経過しただろう。
教官からゲロ吐き漢だの泣き虫野郎だの散々言われたのは覚えている。
卒業試験と称してリオレウスの討伐に付き合わされたのは未だに根に持っている。
リオレウスと言うのはこの世界の代表的なドラゴンのような生物だ。
ちなみにこの世界に魔法はない。
基本剣とか弓とか斧とかで巨大生物だらけの化け物と戦う。
中にはライトボウガンとかヘビィボウガンとかのオーバーテクノロジー兵器があるが。
笛とかなんなんだアレは。ある意味ファンタジーの産物だ。
最終的に自分は剣+シールドの片手剣装備になったが。
教官殿は大剣装備にしたかったらしいが自分が想定以上に貧弱だったので片手剣装備にされたのだ。
本当はライトボウガンとかヘビィボウガンとかにしたかったが教官殿曰く「弾薬代でヒィヒィ言う事になるからやめとけ」と切り捨てられた。
自分がハンターをやっている理由?
この世界で生き抜くためだ。
だが相談した相手――教官殿が何をどう思ったのか知らないが「一人前のハンターにする」と 意気込んで鍛えられてしまった。
まあその甲斐あってか、どうにか軟弱な元日本人学生の自分でもハンターなどやれているワケだ――
☆
=狩場・平原=
ただっ広い穏やかな広い平原だ。
大人しい大型の草食生物などが闊歩している。
だが同時にこう言う場所は大型モンスターの狩り場になってしまいやすい。
人間の狩り場はより強いモンスターの狩り場にもなるのだ。
視線の先には討伐対象のモンスターがいた。
ランポスとドスランポスである。
自分の傍には姉御肌で褐色肌、大剣使いの白髪の少女、アリアがいた。
自称、自分の先輩らしい上に教官殿から変な事をしないようにお目付け役を任されたとかどうとかで、保護者的な立場になっている。
あと何処で手に入れたのか、昭和のゲームに出て来る女戦士を連想させるようなアンジャナフ装備をラフに着こなしていてちょっと目のやり場に困るのが難点だ。(自分はハンターシリーズ装備だ)
こうしてクエストにまでアリアは大剣を抱えてくっ付いてくるのだ。
「ナオヤは私の援護、いいわね?」
「ああうん」
「気が抜けた返事ね? そんなんで大丈夫なの?」
と、やらしい笑みを浮かべて言うアリア。
俺は「何時も通りだろ」と返しておいた。
「まあいいわ。ドジ踏まないでね」
「ああ」
とだけ短く返す。
アリアは大剣で大物狙い。
俺は自然と片手剣で周りのランポスの群れを倒していく。
二人と長い事組んでると、自然とそう言う流れが出来ていた。
アリアは実力はあるのだが危なっかしい。
何度か危機的状況があって、顔を真っ赤にして「余計なことしないでよ!!」と罵られる流れはもう慣れている。
そして今回も――
「もう! 余計なことしないでよ! 私一人でもどうにかなったんだから!」
「へいへい」
と、ドスランポスとの戦いに集中していたアリアにランポスの奇襲攻撃をシールドで咄嗟に防ぐもそう返されてしまう。
状況はドスランポス一体に自分とアリアの二人での戦いになった。
☆
拠点としているナタネヤ村――RPGのゲーム開始で最初に訪れそうな自然豊かな村――で村長や教官殿から割り与えられた家でゆっくりしていた。
ちなみにハンターが集う集会所ではアリアは教官殿に絞られた。
と言うのも自分が危機を救って強気に振る舞って愚痴ばかり言うアリアの話が耳に届いたらしい。
そしてアリアは何を思ったのか自分の家に訪れていた。
「その――ごめんなさい。何時も何時も迷惑かけて」
「どうしたんだ急に」
「聞いて」
「ああ」
雰囲気が何時もと違う。
どうやら話があるようだ。
「……私昔からこうなの。何時もミスして、ついクセで――だから他の人と組んでも長続きしなくて」
「そりゃあんな調子で振る舞ってたら嫌われるわな」
実際俺とアリアが何日パーティーが持つか賭けの対象になっていたぐらいだ。
最初は意味が分からなかったが今なら分かる。
「最初は落ち零れ同然の新人だったのに、なんだかんだで教官に認められてて、それでペアを組むことになって――その、色々と複雑だったの」
「ようするに焦ってたんだな」
「うん――それに悔しかった」
「悔しかった?」
「私の方が先輩なのに、落ち零れだったアナタがドンドン先に行って――このままじゃいけないと思えば思う程、上手くいかなくなって――恐いの、私――」
「……そうか。教官殿からはなんて?」
「自分に正直になってみろって言われて――だけどこうしてここに来て、自分の本心を語ったのは――その――私の意思よ?」
との事だった。
顔を真っ赤にして涙を流して、アリアは本心を告げた。
だから俺は――
「俺も正直恐かった」
「え?」
俺も自然に本心を告げていた。
「そりゃムカつく時もあったがまた一人ぼっちになるのが恐かった。見知らぬ世界で一人ぼっちになって、この村の人達に助けられて、そして今はアリアがいて――何だかんだ言ってアリアと一緒に過ごす日々を手放したくなかった」
「それって――」
まるで愛の告白みたいだ。
だが事実だ。
「いきなりは変われない。ゆっくり変わって、そんで」
「……そう。ここでの出来事はその、秘密だからね」
「ああ、分かってる」
このやり取りの後、アリアは家から出た。
その後、アリアは依頼をこなすと小声で照れくさく「ありがと」と言うぐらいには可愛らしくなった。
それだけで俺には十分だった。
あんまりモンハンらしくねえなと思いつつ今回はこれまで。
不定期更新になると思います。