――もしも、あのウマ娘が最初から得意な走りが出来ていれば。
――もしも、あのウマ娘が怪我をしなければ。
――もしも、もしも、もしも。
これから数分、貴方の目は貴方の身体を離れて、この不思議な時間に入っていくのです……。
「ところで、サイレンススズカさん」
「あ、はい。なんでしょう?」
「練習方針は決めましたが、レースの方は如何しましょうか? 何か、出たいレースがあれば」
「そう、ですね……特には無いです。走れれば、それでいいかなって」
「成る程……距離は?」
「そちらも特には……先頭を走れるなら」
「分かりました。では勝手ながら、こちらで決めさせて頂いても?」
「はい、お任せします」
「承知しました。最善を尽くします」
(……あの後よりも凄く堅くなってる感じだけど、なんでなのかしら……?)
「や、やべぇ……なんだあのウマ娘……!?」
「前評判通りどころじゃねぇよアレ……」
「すぐにインタビューの準備させろ、急げ! これは伸びるぞぉ……!」
――6月某日、阪神レース場
第5レース、メイクデビュー(芝 2000m(右) 晴 良)に、サイレンススズカ出走!
想定をはるかに超える大逃げを敢行
『サイレンススズカ、大楽勝です!』
サイレンススズカ、10バ身差で圧勝
――9月某日、札幌レース場
第11レース、G3 札幌ジュニアステークス(芝 1800m(右) 晴 良)に、再びサイレンススズカ出走
数名が彼女をマークしようとするも、あえなくスタミナ切れ
その間にサイレンススズカ、余裕のゴール!
結果は7バ身の圧勝
――9月某日、トレセン学園にて、早永トレーナーの担当であるミホノブルボンが、怪我による戦線離脱から復帰
同時にトレセン学園からの要請により、チーム・ベテルギウスを設置
――トレセン学園 チーム・ベテルギウス チームトレーナー
――同・所属 ミホノブルボン
――同・所属 サイレンススズカ
――12月某日、中山レース場
第11レース、G1 ホープフルステークス(芝2000m(右) 曇 重)に、サイレンススズカ、チーム結成後初出走
入場者は4万人越え!
ジュニアクラスながら、サイレンススズカグッズ大盛況!
中山大パニック!(※マスコミによる誇張表現込み)
サイレンススズカ、圧倒的1番人気!
一部レース評論家等からは疑問の声
『――スタートしました! まず飛び出していくのは当然のようにサイレンススズカ! ピーターキッド、先頭を取ろうとしますが……これは出来ないと判断したか、二番手に付きますが、サイレンススズカまだ飛ばす!』
サイレンススズカ、相変わらずの大逃げを敢行
他のウマ娘、これに追従せず、虎視眈々と機会を狙う
前半1000mのタイムは58.9!
『――サイレンススズカ、中山の坂をものともしない! 後続も迫るが、サイレンススズカ、そのまま先頭でゴォール!』
残り3バ身に詰められるも、サイレンススズカ勝利
重バ場ながらレースレコードを更新!
クラシック級の台風の目か!?
早永トレーナーに称賛の声
――そして、現在。1月1日。
※本作には独自解釈やオリジナル設定、設定上のガバが多分に含まれております。ご注意ください。