異世界小話   作:量産機

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追放小劇場

「追放だ」

「どうしてだ?」

「浮気したからよ」

 

 

 

「追放だ」

「なんでだよ?」

「刑期が終わったからだ」

 

 

 

「追放だ」

「だ、ダンジョン! あっ」

「お前のしりとりの腕じゃこの先ついていけねぇよ」

 

 

 

「追放だ」

「お前昨日もそれ言ったよな?」

「追放だ」

「先刻もだ」

「追放だ」

 

 男はリーダーの頭のスイッチを切った。数分間待って再起動させた。

 

「追放追放追放追放追放‥‥」

「まずお前の故障を追放しなくちゃな」

 

 

 

「追放だ」

「お館様‥‥」

「そなたのこれまでの槍働きはワシが一番良く知っておる。じゃが太平の世となりもはや他国から土地を奪う事も出来ぬ。武功一位かつ古株のそなたへの知行がもはや工面出来ぬのじゃ‥‥」

「それ以上申されるな。明日の評定ではそれがしを厳しく、激しく罵倒なさりませ。新顔の若造共に殿の威を知らしめた上で我が旧領を分配すれば、不満も出ますまい」

「済まぬ」

「頭を上げなされ。殿の戦いはまだ終わってはおりませぬぞ。藩と民草を守る戦いは御命尽きるまで続くのです。その様な気弱では、それがしも大役を引き受けたかいがございませぬ」

 

 殿と家臣は満たされた酒杯をぐっと空けた。

 

 

 

「追放だ」

 

 だが、リーダーの前には誰もいなかった。彼は無言で銃口をこめかみに当てると引き金を。

 

 

 

「追放だ」

 

 リーダーはトイレの水洗レバーを下ろした。今度の便秘は強敵だった。

 

 

 

「追放だ」

「追放だ」

「追放だ!」

「追放だ」

「追放だっ」

「追放だ」

 

 リーダーはオウムに餌をあげた。

 

 

 

「追放だ」

 

 リーダーの眼前の巨大な目玉がぎょろりと動き、彼を見つめた。視線が動揺してるかの様に僅かに彷徨っている。やがてその黒く輪郭の見えない体をゆっくりを反転させ、後ろに自ら開いた異空間への裂け目へと消えていった。

 机の上の魔法電話機を取るとリーダーは番号を回した。三回間違えた後、相手につながる。

 

「娘さんは今説得に応じ帰宅しました。冒険者になるにはまだ人生経験が足りません」

 

 

 

「追放だ」

 

 その時、部屋の中に控え目なチャイムが鳴った。

 

「罵倒プレイの延長しますか?」

「後三十分延長で」

 

 

 

「追放だ」

 

 少女の命を脅かしていた大きな腫瘍が手術皿の上に載せられた。

 

 

 

「追放だ」

「どうしてだ! 俺はあんた達と共にこの世界を救うために一緒に戦ってきたんじゃないか! 今更なんだ!」

「うるさい!!」

 

 リーダーの杖から電撃が放たれ、気絶した冒険者はそのまま棺桶に倒れ込んだ。自動的に棺桶が移動し、遥か天空を斜めに睨む巨大なクロスボウへと装填される。弓とは思えない巨大な射出音と共に棺桶は遥か蒼空の果てへと消えた。

 

「魔王を倒しても邪神を封印しても、この星に襲い来る災厄はもうどうにもならないんだ。

いつかお前が別天地で目覚めたら、ぼくの最後の怒鳴り声を思い出してくれよ」

 

 棺桶が大気圏を突破して、赤く変色した肌の惑星を背にどんどん加速していく。やがて惑星イ・セカイは大爆発を起こした、

 

 追放された冒険者が新たな異世界に辿り着き、今は亡き故郷と最後の一つの宇宙探査棺桶を自分に譲ったリーダーの事を思い出し涙するのであった。

 

 

 

「追放だ」

 

「追放だー」

 

「追放だ」

 

「追放だー」

 

 山彦返る山脈の中、若きリーダーは思う。いつかこの台詞を言える程大きなパーティーのトップになりたいものだと。

 

 

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