【完結】最後のヘラの眷属が笑って◯○までの話   作:ねをんゆう

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今更ですが、この作品にはアエデス・ウェスタ編のネタバレが含まれます。ご注意下さい。


被害者53:巫女

 

(不味い不味い不味い不味い不味い、これは不味い……!)

 

 神都オリンピアから使者としてやって来た巫女の1人であるイリアは、この船旅の間ずっとこうして焦っていた。その原因は他ならぬ突然この船旅に同行することになった"アルフィア"という人物のこと。

 静寂のアルフィア、その名前は知っている者はよく知っている。才禍の怪物と呼ばれたその女は、ヘラとゼウスのファミリアによる三大クエストにおいて、リヴァイアサンに対してトドメの一撃を刺した英雄の1人だ。才能に愛された彼女は条件次第では当時Lv.9であったヘラ・ファミリアの団長さえ打倒する可能性を持っていたとして、その名声はオリンピアにまで届いていたくらいだ。

 

(そんなことはどうでもいい……それより不味いのは、エピメテウス……!)

 

 とある事情で複雑な立場に居る、というか自らの意思でその複雑な立場に居る彼女は、この"アルフィア"という女が1人現れただけで自分の計画がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じている。

 どうしてもこの女だけは船に乗せまいと多少ながら努力はしてみたものの、そこに女神アフロディーテの事情があり、必要なら他の船まで出すなどと言われてしまえば、もう断る理由など何処にもなかった。なんならオリンピアで大暴れしている女神アフロディーテをどうにかすると言われてしまえば、他の巫女達でさえノリノリで受け入れてしまった程だ。単なる巫女の1人であるイリアには、口を挟む隙など何処にも無かった。

 

 (とにかく、この女をエピメテウスと会わせる訳にはいかない……!なんとか軌道修正を……)

 

 

 

「どうした、巫女」

 

 

「ぅぃっ!?」

 

 

「……なんだ、素っ頓狂な声を出して」

 

 

「な、ななな!なんでもないです!なんでもないですから!!」

 

 

「?……そうか」

 

 

 島を覆う結界を潜り抜け、船を着けると、もう本当に時間がない。このままではエピメテウスとアルフィアが対面してしまう、そうなったら計画は本当にご破産だ。エピメテウスが今以上に拗れてしまう可能性が高く、そうなると本当に何の予測も出来なくなる。彼をコントロール出来なくなる危険性を孕むくらいであれば、それこそ今からでも、この女だけでも、女神アフロディーテの元に届けてしまいたいのだが……

 

 

 (………そうか、その手があったか)

 

 

 今もこちらを訝しげに見ている目の前の女、アルフィア。この女だけでも今からアフロディーテの元へと案内する、それでいい。それだけでいい。そんな単純なことでいい。

 不味いのは"現時点で"彼女とエピメテウスが対面することであり、計画がそれなりに進んだ後であれば、それは問題ない。女神アフロディーテが具体的に何をしたいのかは分からないが、最低でも時間稼ぎくらいは出来るだろう。

 

 ……もうそれでいい。というか、それだけでいい。多少強引になってしまっても、計画を急ピッチで進めなければならなくとも、始まった瞬間に全てが消し飛んだりしなければ。それで。

 

 

「は、はい!!私、女神アフロディーテの居場所を知っています!!……な、なんとなくですけど!」

 

 

「ほう?また急な話だな」

 

 

「えぇ!?そ、そうなのかい!?」

 

 

「な、なので!急ぎの用事であれば私が案内しようと思うのですが!……ど、どど、どうでしょうか!」

 

 

「………」

 

 

 分かってるとも、非常に怪しい発言をしたと。

 女神アフロディーテはオリンピアに定期的に来て魅了を振り撒き、そのまま大事な巫女や兵士達を奪っていく迷惑極まりない相手だ。オリンピアとしても、居所さえ確定すれば彼等を取り返す為に攻め込みたいところである。……故に、どうしてお前がそれを知っているんだと。そう思われても仕方がない。しかしこれ以上の方法が無かったのだから、それも仕方がない。

 

 

「……巫女、お前はどの程度アフロディーテの居場所を知っている」

 

 

「え!?あ、あ〜、それは……」

 

 

「……方角、それと拠点と推測出来る地点。その程度か」

 

 

「っ!そ、そそそ、そーう!!そうです!!それです!!その程度しか分からないですけど!いいですよね!?問題ないですよね!?」

 

 

「ふむ……巫女長、少しの間この小娘を借りてもいいだろうか」

 

 

「え?ええ、まあ、その……無事に返して頂ければ。ただ、本当によいのですか?長い船旅でしたから、一度休んでからでも」

 

 

「いや、必要ない。アルテミス、お前はどうする」

 

 

「当然着いていくよ。……だから、一旦ここで別れようかヘスティア」

 

 

「うん、そうだね。その方が良さそうだ。……そっちは頼んでもいいかい?アルテミス」

 

 

「ああ、任せて欲しい。だからヘスティアも、あまり無茶はしないように」

 

 

「……!」

 

 

「無茶は、しないようにね」

 

 

「……うん、分かっているよ」

 

 

 ヘスティア達とは別行動、そもそも目的が違うのだから仕方がない。元よりそのつもりだった、それが後になるか先になるかの話程度。互いに互いの思いを知っているからこそ、アルテミスとヘスティアはこうして別れを惜しむけれど。

 ……ただ、それ以上に。

 

 

「お義母さん……」

 

 

「ベル、お前はお前のすべきことをするといい」

 

 

「……はい」

 

 

「こちらは私達に任せておけ。私は必ず、馬鹿娘を連れ帰る。……お前も、これが単なる旅行ではないということには気付いているだろう」

 

 

「っ」

 

 

「用心しておけ」

 

 

「はい……」

 

 

 アルフィアのその言葉に、ベルは神妙な面持ちで頷く。そしてその姿を見て軽く笑みを浮かべたアルフィアは、アルテミスとイリアを連れて歩き始めた。ベル達を見送ることもなく、むしろ見送られながら。案内人のイリアさえ差し置いて、殆ど迷うこともなく一直線に。先頭を歩いて。

 

 

 

 

「ちょ、ちょちょちょ!ちょっと待ってください!?ば、場所を知っているんですか!?ここのこと知らない筈ですよね!?なんか私の方が後ろを歩いてるんですけど!?」

 

 

「知らなくとも分かるだろう」

 

 

「え……?」

 

 

「船の上から見た島の構造、地形、そして風土。そして先の反応からして、アフロディーテは何らかの理由でお前達と敵対している。アフロディーテの眷属の数は知っている、性格もな。そこから逆算を掛ければ大凡の位置は推測出来る」

 

 

「嘘ぉ!?そこまで分かるものなの!?」

 

 

「とは言え、詳細はお前しか知らん。森から先は道化のお前に任せる」

 

 

「ど、道化……?それに私は大体の場所しか」

 

 

「………」

 

 

 2人のそんな会話を、隣を歩くアルテミスは口を挟むことなく無言で見つめていた。

 ……正直、彼女もまた驚いていた。何故なら似たようなことをラフォリアもまた共に旅をしていた頃にしていたから。彼女達"天才"はそこらの才人とは違い、特定の能力が優れている訳ではなく、あらゆる分野における才が世間一般でいう天才と同等以上にまで膨れている。そしてその膨れ具合が、ラフォリアよりアルフィアの方が大きいというだけ。

 

 故に基本的にラフォリアが出来ることであれば、アルフィアだって大抵のことは出来る。ラフォリアが見抜けることは、アルフィアだって見抜くことは出来る。それをしようと思うか、それから目を背けるのかは、個人の自由だとしても。

 

 

「お前は何もかも知っているだろう、道化」

 

 

「……!」

 

 

「お前が何者かは知らんが、お前はより多くのことを知っている。それこそ、お前の上司である巫女長すら知らないようなことを」

 

 

「それ、は……」

 

 

「だが、私にとってはどうでもいい」

 

 

「え……?」

 

 

「仮にお前の正体が私達並みの才能を持っている天才であったとしても、それともゼウス並みに擬態が得意な神であっても、別にどちらでもいい」

 

 

「……じゃあ、何が望みなんですか?」

 

 

「さあな、現状"邪魔をするな"以外に他はない。……当然、お前達の企み次第ではあるが、そちらはベルに任せることにした。ならば私はこちらを優先する」

 

 

「……もし、邪魔をすると言ったら、どうなりますか?」

 

 

「お前達に明日は無い」

 

 

「っ」

 

 

「余計な手間をかけさせるな、案内を終えたらさっさと帰れ。……それが互いにとって1番いいのだろう」

 

 

「……はい、その通りです」

 

 

「ならばそれでいい、それでいいだろう」

 

 

「……はい」

 

 

 何処まで見抜いているのか、何処まで知られているのか、それが分からない。故に"恐ろしい"と思ってしまう。

 結局のところ、神々にとって下界の子供達は未知の塊であり、特に才能のある人間というのはあまりにも単純に恐ろしい。意志の強い人間は既の所で全てをひっくり返して来るが、才能のある人間は常に神々も真っ向から対峙しなければならない。闇派閥を率いる神タナトスと勇者フィンの思考戦がそれをよく表しているだろう。

 

 神々は嘘を見抜くが、これに対する対抗策として単純に言葉を発さないというものがある。しかし本物の天才達は、この性質すら利用して神々を騙して来る。故に歴史上かつてを見ないほどに才能に愛されたこの女を、この女の言葉を、真に信じることは出来ない。

 善性と愛によって動いていた時は、この世界の味方として生きていてくれた時にはまだ良かった。だがそれが愛と執着によって動き、何より娘の味方として生きている今、神々すら容易く敵に回すだろう。……そこまで言わなくとも、神々を騙すことさえ厭わない。恐らく。必ず。

 

 

 

 

「……この先に集落があります、そこに彼等は陣取っている筈です。森を抜けてから、まだ暫く歩く必要はありますけど。目で確認出来ると思うので」

 

 

「そうか」

 

 

「うん、ありがとう。……イリアちゃん、でいいのかな」

 

 

「……私は」

 

 

「巫女、余計なことを言うな。……さっさと行け」

 

 

「!……は、はい」

 

 

 アルテミスとて馬鹿ではない、今のやり取りでなんとなく思うこともある。だが彼等がそれで良いというのなら、これ以上をどうこう言うつもりもない。

 何ならこの問題が終わるその時まで、自分達はもうベルやヘスティア達と会うことは無いのかもしれないくらいなのだから。互いに互いに対して気にしていられる余裕など無い。

 

 ああ、分かっているとも。そんな簡単な話では無いと。

 

 これから向かう先では、そしてこれから聞く話は、間違いなく面白い話ではないと。そういった苦痛の波を乗り越えた先にあるのは、新たな絶望かもしれないと。だがそれでも。歩いて行かなければ、その先のことは分からない。そこに可能性がある限り、立ち止まる訳にはいかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……意外だった、君のことだから昼間から宴でも開いているんじゃないかと思ったのだけれど」

 

 

「そう……早かったわね、アルテミス。それと……」

 

 

「……3週間振り、にしては妙なことに顔を突っ込んでいるようだな。女神アフロディーテ」

 

 

「相変わらずシケた面してるわね、似ても似つかないわ」

 

 

「っ」

 

 

 護衛の1人すら付けることなく、岸壁からこの地を見下ろしていたアフロディーテ。彼女はもしかして結界を潜り抜けた船を見た瞬間から、こうして自分達を待っていたのかもしれない。

 どうやら聞いた話によると、彼女は本来ならば相当に馬鹿で華やかな女神らしいのだが、アルフィアは今日まで彼女のそんな様子を見たことがない。それこそ単純にこれまで対面した際に得た情報だけで語るのであれば、愛情深い女神という印象。

 そしてだからこそ、その愛情が憎悪に転換する可能性を知っているし、彼女はそうならないように自分を鎮めているようにも見える。その反発として自分を嫌っていることも。それほどまでに感情の強い女神であるということも、アルフィアは知っている。

 

 

「ヘスティア達も来ているんでしょう?あんた達2人だけ?」

 

 

「ああ、二手に分かれて私達はこっちに来たんだ。向こうも向こうで、余所見をしていられる状況では無いだろうからね。……そしてきっと、それは私達もそうなんだろう?アフロディーテ」

 

 

「……さあ、どうかしら。大変なのはそっちの小娘の方じゃない?知らないけど」

 

 

「……」

 

 

「それに、どうせアンタ達は甘いこと考えてるんでしょ。あの子を生き返らせたいとかどうとか」

 

 

「「っ」」

 

 

「馬鹿よね、ほんと馬鹿。……ほんと、救えない。救われないわよ、あの子が」

 

 

「「……」」

 

 

 背を向け、空を見上げながらそう呟くアフロディーテは、果たしてどんな顔をしてそれを言葉にしているのか。けれどその掠れそうな声を聞いていると、やはりそこには強い感情が込められていた。

 そしてなにより、2人はその言葉に心を突き刺されたような感覚に陥る。分かっている、そんなこと。分かっているに決まっている、そんなこと。それでも自分の我儘を突き通すことを決めた。この後ろめたさを飲み込んででも突き進むと、そう決めたのだから。

 

 

「ねぇ貴女達、これは単純な疑問なのだけれど……本当に消えた人間を生き返らせることが出来ると思うの?」

 

 

「っ……その方法を探している。何年かかったとしても、どんな手段を用いたとしても、必ず生き返らせる。そう決めた」

 

 

「私もアルフィアと同じだ。……流石に手段は選ぶけどね」

 

 

「そう、でも現実的に難しい話だってことくらい分かるわよね?そんな都合の良い魔道具なんて、少なくともヘルメスだって知らないんでしょう?」

 

 

「それ、は……」

 

 

「それに、問題はそれだけじゃない」

 

 

「え……?」

 

 

 アフロディーテはその先を話すことなく、2人に向けて振り向いた。無表情ではあるけれど、少し険しい顔をして。そこには何か、決意のようなものすら抱きながら。

 

 

 

「……女神アフロディーテ、私達はここに心構えを聞きに来た訳ではない。そろそろ何の用でこんな所まで呼び出したのか教えて貰おう」

 

 

「そうね……でもその話をするには先ず、暗くなるまで待っていて貰いましょうか。その方が話は早いでしょうし、何より貴女が居るんだもの。滅多なことはないでしょう?」

 

 

「……何かが、起きるんだね」

 

 

「ええ、その通り。……天の炎なんていうものが、地上に落ちた結果なのか。それとも天の炎がそもそも持っている性質なのか。どちらにしても、あまり面白くない話よ。……もちろんそれは貴女達にとっては、前提にしかならない話でもあるのだけれど」

 

 

「……」

 

 草原の上、そこに座り込んだアフロディーテは2人にも同じ様に座る様に促す。先程までの決意の表情が何処に行ったのかと思うようなその様子にアルフィアは戸惑うが、アルテミスは当たり前の様に彼女の横に座る。……であるならば、これも必要なことなのかとアルフィアも腰を下ろした。

 

 

「さあ、座りなさい。少し話をしようじゃないの」

 

 

「話だと……?原初の火についてか?」

 

 

「違うわよ、ラフォリアについての話よ」

 

 

「……?」

 

 

「あのねぇ。……私は一緒に居た時の話しか知らない、それはアルテミスだってそう。でも貴女はもっと沢山あの子のことを知っているんでしょう?それを教えなさいって言ってるのよ」

 

 

「……それは、必要なことなのか?」

 

 

「いいえ、全く。……でも、貴女は知りたくないの?私達と行動を共にしていた時、あの子がどんな風に生きていたのか」

 

 

「……!!」

 

 

「だから、これはただの交換条件。そして単なる時間潰し。……どうかしら?乗り気にならないのなら無理強いはしないけど」

 

 

「……いや、迷うこともない。乗らせて貰おう、その提案」

 

 

「そう、じゃあ早速お願いするわ。……あの子が幼い頃、どんな子で、どんな人生を歩んで来たのか。母親である貴女の視点から、教えてちょうだい」

 

 

「ああ、それは私も楽しみだ」

 

 

 そうして唐突に始まった3人の語らいは、なんだかここに来るまでに固めておいた決意や心構えが馬鹿らしく思えてしまうくらいに和やかに進んでいった。ずっと嫌われていると思っていたアフロディーテでさえも、アルフィアの話すラフォリアの話を優しい笑みを浮かべて聞いている。そしてアフロディーテの話すラフォリアの姿にアルフィアが解説を付け加えると、それに驚き、笑い、しんみりともした。

 

 

「ねぇ……貴女のことが嫌いよ、アルフィア」

 

 

「……まあ、そうだろうな」

 

 

「でも、この逆恨みの様な気持ちをいつまでも持ち続ける訳にはいかない。貴女がこの先どんな結論を出すにしても、私達の関係は長くなるのだもの。……あの子のせいで関係が悪くなったなんて、そんな事実は残したくないの」

 

 

「……意外だな。他の神々からは馬鹿なことばかりしているアホ女神と聞いていたが、私からはそう見えない」

 

 

「確かにそうだね。お酒の匂いもしないけれど、暫く飲んでいないのかい?」

 

 

「……まあ、そうね。少なくとも今回の件が終わるまでは飲まないことに決めてるのよ。宴も開かない。……だって、その方がきっと楽しいじゃない?その時になって全部発散したいの。我慢こそが一番のスパイス、だったかしら?」

 

 

「……そうか」

 

 

 そうしてアフロディーテが冷静な判断が出来ているのは、きっと泣くことが出来たからだろうなとアルテミスは思った。

 アルテミスも、アルフィアも、まだ泣くことが出来ていないから。それをしてしまえば、本当に全部がどうしようもなくなると認めてしまう様で、絶対にしたくないから。

 

 だから泣けない。

 

 まだ泣くことは出来ない。

 

 決して泣くことなく、走り続けなければならない。

 

 

 

 

 だってどうせ、今はその死を認められない人達の方が多くても、最終的には皆が諦めてしまうのだから。最後の最後まで諦めることをやめない者など、そうは居ないのだから。

 それは奇しくもヘスティアが言っていたことと同じで、真逆のこと。

 

 今はその死を認めることが出来ない者の方が多いから、ヘスティアは自分くらいは肯定することにした。だが時間が経ち、その記憶が薄れていくほどに、今度は逆に死を受け入れる者の方が多くなる。……だから諦めてはいけないのだ、アルテミスは。それはヘスティアと同じなのだ。

 

 仮にアルフィアが諦めても、アルテミスが諦めることはない。誰か1人くらいはその死を諦めない者が居るべきだと、そう思ったから。諦めて、忘れて、完全に死なせてしまう訳にはいかないから。

 

 いつ帰って来ても良い居場所で有り続ける。

 

 帰って来た時に心から喜ぶ自分で有り続ける。

 

 何百年後でも、何千年後でも、決して彼女を孤独にはさせない。

 

 

 それがアルテミスの示した、ラフォリアに対する、『愛の形』というものであったから。

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