film STARS   作:葛篭

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一話

 『グラン・ステッラ』

 世界最大のエンターテインメント施設。島とみまごうほどの巨大な船に様々なカジノと各種ショービジネス、レジャー施設等を完備した一つの移動する『国家』。

 偶然にもその地へと辿り着いた麦わらの一味は、様々な理由(主に船長の食費)で万年金欠なことも相まって上陸し、そこで思わぬVIP待遇を受けることとなった。

 金粉が降る街でコンシェルジュとして彼らの前にシリウスと名乗る青年が名乗り出た。赤毛に褐色の肌、グリーンの瞳に大げさで軽薄な言動。ルフィたちに対する物腰は丁寧だが貧しい身なりの子どもたちを追い払う様子は随分と冷たかった。

 

 

  ★☆★☆★

 

 最高級カジノホテル「THE REORO」の一室。

 最奥のソファに座すのは『女王』ステラ。その横には歌姫カリーナが控え、数段降りたフロアにも様々な招待客が飲食を楽しみながら賑やかしのBGMとかしていた。

 スルルルルと特徴的な音を起てながら、これまた特徴的な外見の男が床から姿を現す。警備責任者のタナカさんだ。

 

「ステラ様、シリウスが麦わらの一味と接触いたしました。それとハートの海賊団の上陸も確認されました」

「そう…ドフラミンゴを倒した一味…随分なことをしてくれたものよね」

 

 ゆらりと手の中のシャンパングラスを揺らしながら零すステラの美しさには妙な迫力があったが、無粋な笑い声がそれを削いでしまった。酔っ払った男が下品に笑いながら無礼にもステラへと話しかける。麦わらの一味についてイカれているなどと言っているが、その内容などよりもシャンパンを向けながら表情を無くしたステラへの恐怖が場を満たす。

 

「どうして、笑うのかしら?」

「え…?」

「どうして、私の許可なく、笑うのかしら?」

 

 ようやっと酔いで思考能力を落とした男にも彼女の怒りが理解できたらしい。必死に謝り命乞いをし、その上逃げようとするがそんなことは不可能だ。

 ゆるりと彼女の装飾品の一つが男に向かって投げられる。ソレが形を変え男を拘束しついには顔を覆い窒息死に至らしめた。

 

「ふふ…アハハハハ! ……あら? どうしたの? 笑いなさいよ」

 

 その命令に歪な笑い声が会場を満たす。カリーナはそれに合わせながらも自身の仕える女王を恐怖を持って観察する。

 当のステラは、それらを見下ろしながらとてもつまらなさそうに新たなシャンパンを煽っていた。

 

 

  ★☆★☆★

 

 一方で麦わらの一味というと、カメ車レースでの大逆転に始まりスロット、ポーカーなどでも順調に勝ち続け資金を増やしていた。

 キャーキャーと興奮するナミを横目に次はどのゲームに挑もうかと周囲を見回していたウソップはカジノ客の中に知った姿を見つけ声をあげた。

 

「あれ? お前らトラ男んとこのやつじゃねーか?」

「おっ、長鼻か。お前らも来てたのか。奇遇だなー」

 

 いつもの白いツナギ姿ではなく帽子も被っていないペンギンとシャチの姿はともすれば別人にも見え、同じようなスーツを着せられたベポが隣にいなければ通り過ぎていただろう。

 

「トラ男は? ってかあいつはギャンブルなんてやりそうにねぇ気がするけど。意外だな」

「おれたちは仕事! ここにいるどっかのお偉さんから『医者』として必要だーって呼び出されてよ。待ち合わせの日時までちょっとあるから軽く遊んでたってワケ」

「船長はこの国を見たいってまーた別行動中。ま、破産しない程度に遊べよとは言われてる」

「他の連中もカジノやら遊園地やら見に行ってるよ」

 

 へえと同盟相手ではあるが実はあまり話したことがない相手の言葉に頷く。彼ら海賊団は一味全員が医者あるいは看護師という珍しい構成をしている。船長のトラファルガー・ローは世界でも有数と言える名医だ。凶悪な海賊として世間では通っているがその実医者としての誇りは本物であるし、決して認めることはないだろうが随分なお人好しでもあるので乞われれば相手が誰であろうと出向くだろう。うちの船長も大変世話になった。

 

「お前らは…随分稼いだなァ」

「おう! 今日はツイてるみてェだ!」

「うち金欠だからなァ…このまま何事もなく換金して帰りたいもんだ」

「ははぁ…でも気ィつけろよ。こういうトコは勝ちすぎると運営の方から裏に連れてかれるからな」

 

 そんな会話をしていたルフィたちに再びどこか胡散臭さが抜けない話し方でシリウスが近寄ってきた。

 

「おやおや! 流石今を時めく麦わらの一味! 強運に恵まれているようですね! ……どうでしょう?皆様VIPルームへ行きませんか?」

「VIPルーム?」

「はい! ハイリスク・ハイリターンの高額ギャンブル! 勝てば夢のような大金持ちになれる…いかがですか?」

 

 その申し出に今日の運の周り具合ならば勝てると踏んだ一味は了承し、中央エレベーターへ向かう。近くにいたシャチたちもハートの海賊団ということで共に招待された。

 そして彼らは、この国で最も欲と金と陰謀が渦巻く場所へと足を踏み入れることになったのだ。

 

 

〈coming soon〉

 

 

 




なんかだいぶ端折っちゃったな…大丈夫かしら…?
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