film STARS   作:葛篭

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話が!進まない!!
今月中には完結させたいんですけどね…オリジナル展開に突入した途端筆が遅くなって…かなし…


四話

 ステラから告げられた期限当日、真昼より少し後。

 麦わらの一味とカリーナは黄金の塔の見取り図を広げ作戦の最終確認に入っていた。

 

 

「まず麦わらさんと鉄人さんは外壁を登って時計部分から内部に入りコントロールルームヘ。国内の監視映像電伝虫を管理してるホスト電伝虫にこの妨害用の白電伝虫を設置しに行く。そうすればしばらくの間一部の映像を誤魔化せる」

「その間に私たちは宝物庫がある螺旋階段に向かう。ここの映像電伝虫を切ってもらわなきゃいけないからホースの番号を間違えないでね。【3番】よ」

「螺旋階段を登りきれば宝物庫。あとはこの鍵で扉を開いて中身をいただく。ね、簡単でしょ?」

「この作戦はお前らにかかってるからな、しっかりやれよ。ルフィ、フランキー!」

「おうよ!スゥーーパァーーに任せとけ!!」

 

 やる気に満ち溢れるフランキーたちと対象的にチョッパーは浮かない顔ををして俯いている。それに目ざとく気がついたロビンが訊ねると不安そうにハートの海賊団のことが心配なのだと零した。

 

「昨日の夜、トラ男が見つからねぇってペンギンたちから連絡があったんだ。それで今朝、こっちからかけてみたんだけど今度はペンギンたちにも繋がんなくて…大丈夫かなぁ……」

「そうね、それは少し心配かも」

「おれ達が嵌められたみてぇにトラ男たちも嵌められたってことか?」

 

 それは分からないけれど…とロビンは頬に手を当てて首を傾げる。彼はルフィと違って慎重だし、そもそもクルーたちにも「羽目を外すな。慎重になれ」と言ってからカジノへ向かわせていた。そんな彼が態々(今思えばあからさまに怪しい)ギャンブルを受けて立つような失態を犯すだろうか?

 

「トラ男さんも彼女たちに嵌められ、今の私達と同じような状況であるならば黄金の塔のどこかに彼らが捕まっている可能性は高いですね」

「それはちょっと変じゃねぇか?あの女はおれたちに『借金を返すか奴隷になるか選べ』って言ってきた。で、おれたちは借金を返すってことで今一応の自由の身だ。ハートの誰かや万一トラ男が捕まってるとしても残ってる誰かと連絡もつかねぇのはおかしかないか?」

 

 海賊が素直に言うこと聞くかよ。と言うウソップの言葉にその通りだとみんな頷く。少なくとも一味が嵌められる現場にいたペンギン、シャチ、ベポの三人はもう無闇にギャンブルに手を出さないだろうし、上記に理由でロー自身の可能性も低い。バラけていた他のクルーが嵌められていたのだとしても同じ状況だと知っている三人からこちらへ何の連絡もないのは不可思議だ。

 

「ちょっとちょっと! なに他の海賊の心配なんてしてるの!? そんな場合じゃないでしょう!?」

「ん〜でもトラ男は友達だからなぁ〜」

 

 なんの裏表も無さそうに悩んでいる目前の5億の賞金首にカリーナは絶句した。海賊って、もっと利己的で汚くて相手を食い物に私腹を肥やすようなものじゃなかったっけ!?

 ナミを振り返れば、しょうがないわねぇというようなまるで母や姉のような顔をして自分の船長や船医を眺める彼女の姿があってカリーナはますます混乱した。ナミ、あんた本当にどうしちゃったワケ?

 

「じゃあ、私たちは二手に別れる?トラ男の捜索をチョッパーと…見つからない様に探るならブルックとロビンかしら?」

「ええ、いいわよ」

 

 三人とも頷き、こちらはトラ男捜索班として途中から別行動をすることが決まった。

 

「いい? もしもトラ男たちが捕まってるとして、それが黄金の塔の中とは限らないしそうだとしてもそう易々と見つかるとは限らない。だからこっちの作戦が成功して連絡を入れた時まだ見つかってなかったら一度こっちに合流するのよ?」

「分かった!」

 

 そうして麦わらの一味&《女狐》カリーナは各自着替えを済ませ、作戦行動を開始したのだった。

 

 

  ★☆★☆★

 

 

《名医トラファルガー・ロー氏にとある患者の診察をお願いしたく存じます》

 

 いたく畏まった文章の手紙がニュースクー経由で届けられたのは4日ほど前のことだった。

 波の穏やかな海域を航海中で、船影も無く近くに島も無かったので久方ぶりにポーラータング号は海上に浮上していた。

 

「なになに?《最高級のもてなしと謝礼をご用意してお待ちしております》…えー罠じゃねぇの?」

「だなぁ。どうします?キャプテン」

 

 手紙を覗き込んで好き勝手言っているシャチとペンギンを放置し、彼らのキャプテンは同封されていたカルテを難しい顔で読み込んでいた。「…のショック…当たり所はむしろいい…なのに目を覚まさない…」ブツブツと呟いていた彼は一つ息を吐いて顔を上げる。

 

「この手紙の送り主のところへ向かう。進路を変えるぞ」

「9割方罠っぽいですけど、いいんです?」

「罠なら諸共ぶった斬ってやりゃあいい。それよりこのカルテの患者が気になる」

 

 ふんと不遜に言い放つ船長にアイアイ!といつも通りの返事をし、受け取ったビブルカードを航海士に渡しに走る。

 まあ、なんとかなるし何とかするさ。だってうちのキャプテンは強いからな!それにキャプテンが単独行動じゃなく自分たちを連れて行く意志があるみたいだから乗っからないと。大事にされてることは分かってるけど、置いていかれるのは嫌なことなんですよ!それがこのキャプテンは分かってないんだからもう!

 なんて、その時のシャチは呑気に考えていた。

 

 

 絢爛豪華。煌びやかで燦爛たる黄金の国。馬鹿馬鹿しくなる程に全てが金ピカに輝いていて目が痛い。

 少しばかり隣のシャチのサングラスを羨ましく思いながら、同じく眉間に三倍のシワをこさえた船長に問いかける。

 

「結構早く着いちまいましたけど、どうします?」

 

 手紙の主が送り込んできたビブルカードの到着地点はどこかの島ではなく、世界に轟く世界一のカジノ船だった。その圧倒的な質量に多少威圧されながら船に乗り込めば当たり前のように歓迎され、妙な居心地の悪さを覚えながらも滅多に見られない豪華なカジノやレジャー施設に興味が移るのが抑えられない。

 深く帽子を被り直した船長がため息を吐きながら声を張り上げる。

 

「数名船に残って見張り! 残りは破産しねぇ程度に遊んでこい! 夜には船に集合しろ! おれは少しこの国を見て回る」

「お供する?キャプテン」

「いや、いらねぇ。見て回るだけだ。どこにも喧嘩を売るつもりはねぇよ。ビブルカー

ドも取り上げられちまったから早めに依頼人に会いに行けもしねぇしな」

 会計係から各自小遣いをもらい、各々好きに散っていく。ペンギンたちも小金を受け取り、さっさと歩き出した船長の背中に声をかける。

 

「なんかあったら! ちゃんと連絡入れてくださいね!!」

 

 彼は手を挙げて答えたが、結局それは守られないだろうなという薄い諦念を感じペンギンは溜息を吐きながらも見送った。

 

 

  ★☆★☆★

 

 

  ──Twinkle(きらめく) twinkle(きらめく) little(ちいさな) star(星よ)

 

 静かで寂しい部屋に低く優しい青年の歌声だけが響く。

 身体を拭って、床ずれしないように身体を動かして、荒れた唇にリップバームを塗って、髪を梳かして、少なくなってきた点滴を換えて、寝台を整えて。全てを終えて、椅子に座って彼の寝顔を眺める。

 死んだように眠っているこの人は生きている。ちゃんと、生きている。呼吸をしている。血が流れている。心臓は、動いている。

 その目だけが開かない。その口だけが開かない。何年も何年も、変わっていくのはこの人の身体の細さだけ。

 悲しくて、悔しくて、行儀も悪く座ったまま上を見上げる。

 天井に描かれた偽物の星空。冬の空を模したソレに一際輝く一等星。

 おおいぬ座のシリウス。おれの名前と同じ星。この人が、つけてくれたおれの、おれだけの名前。

 あの檻の中で、名もなく数字で呼ばれていた頃。首輪を嵌められ満足な食事も寝床もなくただひたすらに蔑まれ暴力と暴言に脅えていたあの頃。耳の奥に今だこびり着いた罵倒と叱責を振り払う。こんなものを思い出したいんじゃない。こんなものを覚えていたいんじゃない。

 貴方の記憶を振り返る。何度も何度も、掠れていく記憶を繋ぎ留めるために。

 貴方はおれに名前をくれた。言葉を、感情を、心を、生命を、貴方だけが守ろうとしてくれた。

 

 

  ──Twinkle(きらめく)twinkle(きらめく)little(ちいさな)  star(星よ)……

 

 

 もう思い出せない、貴方の歌声の代わりに歌う。貴方が歌ってくれた子守唄。

 この歌すらも意味を失う前にどうか、目を覚ましてください。

 

「おねがいします……ねえ、おきて…」

 

 貴方こそがおれたちの一等星。

 貴方が導べになってくださらなければ、おれたちはいつまでも迷ってしまうんです。

 

 広くて寂しい部屋に男の嗚咽だけがただ、響いた。

 

 

《coming soon》




使用楽曲情報…きらきら星いっぱいあってどうしたらいいのか…とりあえずwikiの日本語訳者の名前覧に載ってた人のを掲載しましたが…合ってるのかしら…不安…
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