本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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※:但し、当の大輝当人の勝利条件は別のものである

……ようやくタグの一つが成立したよ(難産だったけど)。美少女の描写はマジ難しいものだ(その動かし方も含めて)

それと今回から『リア充』とクロスオーバーをタグに入れます(他作品能力チートは絶対やりません。登場人物が欲しいのです……チートやるならモブ高らしく)

この世界ならやはり『金持ち』と『強運』はチートかな?一応はちゃんとリアルチートだから良いと思うけど(大輝自身がそうだけど)

※:『彼女』の仕様を微強化しました


第十一話(ある意味)最初から原作主人公に対して絶対的に勝利している件について

夏休みも始まったばかり……朝も早いのに既にアスファルトには陽炎が浮かび太陽も本気を出し始めている

 

そんな灼ける道の中で何時もより心なしかちゃんとした身形(でもカードホルダーは決して手放さない)の佐藤大輝は最寄りのダンジョンマートで幾つかのお土産を買って『妹分』の家に向かう

 

ダンジョンマートとは……嘗ての第一次アンゴルモアで殆ど壊滅した迷宮周辺を政府が被災者支援を兼ねて一括買取りした際にあった政界のごたごた(野党の言いがかり批判)を利用して真っ先に迷宮産業に足を踏み入れた(この世界に於ける)コンビニエンスストアの絶対王者である

 

あの大破壊の恐怖から迷宮周辺のコンビニでは働き手が著しく希少となり、今までの大手は全て迷宮周辺から撤退した中で『無人販売システム』という新システムを引っ下げて迷宮に挑む自衛隊員相手に商売を始めたのが始まりだ(規律に厳しい自衛隊ならば万引きの恐れは無いだろうとの信頼もあった、そして自衛隊員が常に居る事から一般客も万引きがほぼ出来ない状態になったのも嬉しい副産物となった)

 

『ダンジョンマートがある=迷宮がある』という図式通りそのものなので最初は殆ど一般客が寄り付かず自衛隊員ばかりが客だった為に当初は苦しい状態だった

 

そして……日本にも『冒険者制度』ができてからダンジョンマートの快進撃が始まった

 

政府やマスコミも『冒険者制度』を盛大に支援するから(今まで頑張ってきた)迷宮産業は全て業績が右肩上がりで株価は鰻上り。何気に佐藤家も『妹分の実家』も結構なダンジョンマートの株を持っているから経済的には非常に裕福な分類にあたる(妹分の実家は更に裕福だが……むしろちょっとした富豪の範囲ですらある)

 

……何せ佐藤家も妹分の両親もダンジョンマート社員なのだから(しかも創設期から居る結構偉い立場の)

 

これが『大輝の家族が冒険者に理解がある』という文言の最大……いいや、第一次アンゴルモアの際にとある『座敷童使いのサマナー』に命を救われた事がきっかけであり、その経験とその時たまたまどさくさ紛れで入手した(そのサマナーがドロップを譲渡してくれた)Dランクカードをきっかけにサマナーとして活躍していたのをやはり同じくサマナーやっていた当時の『妹分のご両親』と知り合い、そして若き日のダンジョンマート社長に拾われてダンジョンマート(の前身)に就職した。という経緯を辿った事からだ

 

冒険者の存在でダンジョンマートは大躍進を果たしたのだ。だからダンジョンマートの社員にダンジョンアンチはまず存在しない(来ても確実に面接で落ちるしその素振りを見せれば確実に閑職送りからのクビだ)

 

そんな飛ぶ鳥落とす大企業で栄達(部長と常務)しているのが大輝と『妹分』の両親だ

 

 

ダンジョンマートの人気スィーツ数点を土産……今さら土産もへったくれも無い長い長い家族ぐるみの付き合いだが『昨日の出来事』みたいな事がおきればそれなりに上機嫌にもなる(『死神の招待状』云々は今だけは心の棚にしまっておいて)

 

流石にちゃんとしたケーキ屋とかも開いている時間ではないからまぁ仕方あるまい(全て『彼女』の好物ばかりだし)

 

そして目的地である『薬丸邸』に到着した

 

都心の一等地にある(家族三人にはちと広い)佐藤家の家屋もかなり良い物件なのだが……更に裕福そうな。まぁ『豪邸』に入る範囲の家屋だ(『第一次アンゴルモア』で崩壊した薬丸邸は大豪邸だったらしいが)

 

……まぁ勝手知ったる何とやらでインターフォンにたどり着きそれを鳴らす

 

「おはよー。にーさまいらっしゃーい、待ってたよー」

 

少し間延びしてはいるが非常に良く透る澄んだ可愛らしい。いわゆる『アニメ声』でそんな緩い応答とぱたぱた走る軽い足音が返ってきた……聞き慣れた『妹分』の声だ

 

それから直ぐにドアが開いて当の『妹分』が出てきた

 

身長は(長身の部類に入る)大輝より30㎝ばかり低い……が、小学六年生ならこの程度が普通だろう

そして特徴的な蜂蜜色……いわゆるハニーブロンドのサラサラと美しい腰まである長い髪。いわゆる『天使の輪』も例え夕闇や星明かりの中でさえ非常に映える程髪は艶やかだ

首には大きな黒いリボンとその瞳に合わせた翠玉のブローチ

上半身のボディラインを強調するお洒落な黒地の長いサスペンダー付きコルセットスカートに純白の凝ったフリルで装飾された涼しげなパフスリーブ仕様の袖付きアメリカンスリーブブラウス(何気にブランド物、体格に合わせた特注品)、そして脚は黒いストッキングでコーディネートされた小柄で華奢……ではあるが『発育』はかなり素晴らしいものがあり、その恵まれたプロポーションはそのファッションでよくわかる

そしてその肌は艶やかで張りがある。大輝もよく彼女に抱きつかれているのでその肌の温かさも張りも弾力も柔らかさもその香りも全てを良く知っている……極上もまた極上だと

 

ちなみに先に挙げた翠玉のブローチ……あれは『人工魔道具』の一種で『エアコンペンダント』の亜種『エアコンブローチ』である(両親が大切な一人娘である彼女に送ったプレゼントの一つであり、彼女は他にも幾つかの装飾品型護身用魔道具や何枚かのカードを護身用に渡されている……無論、全て彼女の私物でもあるが)

 

何気にその持っているカードは今の大輝のデッキよりも(多少は)高性能だが

 

その顔は……時に、貴方は何故『女の子カード』が非常に高価な取り引き対象か。その理由をご存知だろうか?

 

『女の子カード』というものは基本的に主人に従順である……だけでなく『唯只管に顔が良い』からだ

 

いっそ『人工的』とさえ言って良い程に最高に整った容姿や黄金比のプロポーション持ちの従順な美女美少女である

 

そんな従順かつ美しい少女や美女が金銭次第で手に入るのだ。金銭次第で

 

殆ど大した能力も戦闘力も無い美少女カード(Dランク夢魔系)ですら六百数十万円の世界である(『夢魔である』だけで物凄い需要はあるが……主に若い男の冒険者に)

 

世の男性冒険者の一部……どれだけ大多数でも一部は一部だが…は『女の子カードを嫁(もしくはハーレムの一員、性○隷)にする』という目的(若しくは野望)の為に邁進する者も数多い

 

一部のアングラな話だが……『異空間カードを使った女の子カード違法風俗』やらとあるアミューズメントパークには『お偉いさん専用女の子カード風俗』などがあるやらと実しやかに語られている(事実だが)

 

八年前の第二次アンゴルモアでも先に挙げた夢魔系女の子カードに『人類最古の職業』行為をさせる反社会関係者などが居た……とも言われている(性犯罪抑止の見地……や『そのシェルター責任者も使っていた』事から黙認されていたが)

 

ちなみにこういう行為にカードを使う者達は『女衒冒険者』と呼ばれて一部の冒険者からは蛇蝎の如く嫌われている(逆に『顧客』もいるが……ちゃんと阿漕でなければだが)

 

夢魔系統のカードにとって『そういう行為』はぶっちゃけ『食事』みたいなものだから一概に悪いとは言えないので色々微妙な事にはなっているらしい(カードそのもののストレス発散にもなるし……特にカードが男所帯だと)

 

大輝も(ちゃんとした店に)オークをそろそろ連れて行ってやらないと。とは思っている(ついでに新人の手の目も『好きそう』だし)……大輝自身は欠片も興味がわかないが

 

そして大輝が『女の子カードにあまり(実際には全く)興味がない』事も彼女の存在が深く関与している

 

彼女の容姿を一言で言うならば……『女の子カードの中でも上位が狙える範囲』である

 

女の子カードの美貌はよく『作られた様な』とか『まるで人形の様な』などとよく言われている……が、彼女は『普通の人間』だ

 

しかし、逆にカードと違って『天然の造形』だともわかる。まだまだ未熟であり、何時かは成熟して老いて朽ちる定めを持った『人間の美しさ』を魅せる

 

カード達の様な宝石みたいな永遠不変ではなく。何時かは必ず儚く朽ちる花そのものの……柔和そうであどけなく今はまだ硬く閉ざされた蕾の状態の様な美しさだ

 

……まだ『蕾』の段階であのカード達に挑んでゆける。それだけで彼女の美しさはどんなものかご理解頂けるだろうか?

 

その彼女の……まるで生きている、蕩ける様な……しかしその中に強い意志力を秘めた最高品質の深い翠玉(エメラルド)の様な煌めき輝く瞳で大輝の姿を映しだしてその存在を捉える(捕らえる)

 

『絶対に逃がさない』という魂からの(それを当人自身が理解しているかどうかは別としての)常なる意思表示と共に

 

その妹分……『薬丸姫子(やくまるひめこ)』は大好きな『にーさま(大輝)』に全力で抱きつく

 

まるで主人を見た大型犬の様に

 

姫子の(歳不相応な)豊かなたわわが大輝の胸板にぎゅっと押しつけられる。華奢だけど柔らかく温かい腕の感触が大輝の首筋にかかる。姫子の細く華奢な身体通りの軽い体重全てが大輝の身体に負荷をかける

 

しかし大輝も未熟なれど仮にも『ガチ勢』の一人たる冒険者だ。小柄な少女一人を支えられないほどひ弱でも貧弱でもない……重い荷物を背負って迷宮を歩きまわる経験や日々のトレーニングは伊達ではないのだ

 

抱きついてきた姫子を優しく抱き抱えて……いわゆる『お姫様抱っこ』という型に直してやはり優しく抱え下ろす

 

もっと抱きついていたいからか、むーむー唸りながら大輝の胸板に頭を擦り付けながら抗議っぽい行動に走る姫子

 

これが、この二人の日常だ。大輝が本当に守りたいものだ。嘗てのアンゴルモアの惨禍から命懸けで護り抜いて得たものだ

 

 

今日も姫子の両親は仕事だ……尤もそれは大輝の両親も同じ事だが(飛ぶ鳥落とす大企業の幹部だから当然と言えば当然の話だが)

 

姫子の面倒を常に見てくれている専属のお手伝いさん(姫子が生まれる前からのベテランさん)に見送られて今日は一日中遊びにゆく

 

姫子にとって大輝と離れ離れになる経験はあまり無い。どんなに長くとも一週間しか無かった(三日前も大輝は夜明け前から迷宮に突撃していたし)

 

清楚な白い麦わら帽子に白い薄手のボレロタイプサマーカーディガンといった追加の出立ちとなった姫子と二人で街に繰り出す

 

……ちゃんと手を繋ぎながら

 

そして……その『遊びに行く事(実質的なデート)』は実に健全に行われた

 

普通に映画(姫子の趣味のアニメ映画)やウィンドウショッピング(無闇矢鱈な買い物は最初からしない……彼女自身も冒険者志願なだけに)、人気の喫茶店で評判の特大(カップル用)パフェを二人で食べたりと……実に彼らの日常そのものだった

 

……独り身の男達(それと一部のアレな彼女持ち)の怨嗟と激しい嫉妬(そして羨望)の眼差しはさておいて。だが(姫子と一緒に居ればそれもまた日常だから既に気にしない)

 

尤も、気にはしないが警戒はさり気なくされどしっかりとやるが

 

姫子の容姿(や歩き方一つ取っても優雅な立ち振る舞いなど)目当てにちょくちょくナンパや(大輝への)因縁つけ、アイドルやモデルへのスカウト(中にはAVのスカウトマンも多々居た。普通のスカウトに見せかけた悪質なAVスカウトマンや性犯罪者含めて)、時には何らかの新興宗教(カルト)からの『御本尊になって下さい』だの『貴女が御子様だ』などといった意味不明な寝言もあった

 

そのカルトは現在の流行りなのだろうか、いや世相か……全て弱小ダンジョンカルトだったが

 

今までのそういう不快なだけの有象無象の中でも時には面白い人物はごく稀に居たりはしたが……

 

その筆頭であるとある超一流大手芸能プロダクション所属の大男……まるで殺し屋か何かみたいな也して非常に温厚で礼儀礼節を解した好人物(プロデューサー)だった

 

……その強面のせいで警察に捕まってしまうオチと担当しているらしいアイドル候補生(姫子と同い年だった)に取りなして貰う一連の騒動を含めて(何気に縁も出来てしまったがまぁ姫子も楽しんでいたから良いだろう)

 

そのアイドルのサインを貰った事もまた良い思い出だ(今現在だとそのサインにとんでもないプレミアが付いているらしい)

 

また、姫子がそのアイドルといわゆる『メル友』となって後々その事務所所属の色々なアイドル達と仲良くなっていた。という余談もある

 

他にも色々な(優良なホワイト)事務所の素晴らしい(愉快な)アイドル達と(何気に)仲良くなってコネを多数作っていたりもするがやはりそれも余談である

 

大輝自身もその口下手な敏腕プロデューサーと(他にもちゃんとしたプロデューサーやスカウトマンらの一部と何故か)仲良くなってたまに連絡をやり取りしているのは更なる余談である(要は芸能界に面白いコネが出来た)

 

……幸いにも今日は無粋な痴れ者は現れずにデートは恙なく完了したが

 

そして夕暮れの公園で……

 

大輝と姫子は二人でブランコに乗りながらまったりと過ごしていた

 

どちらも何時両親が家に帰ってくるかまるでわからない環境である為、まだまだ余裕はある……実際はお互い単にもう少しだけでも一緒に居たいだけなのだが

 

そろそろ日が沈み夜の帷が落ちる頃に姫子は大輝にぽつり、と一言話しかけた

 

 

「……ねぇ、にーさま。何か悩みがあるの?」

 

 

大輝は内心少しだけ動揺した……姫子には決して内心の弱み怯みなぞ『八年前の大災禍』以来決して見せたくは無いから常に己を磨いていたつもりだったが

 

また、何時か必ず再発するだろう『第三次アンゴルモア』に対処する為に今まで精進を重ねてきたつもりなのだから

 

単に『男としての最低限の矜持』が冒険者になった理由だ。隣に佇む愛らしい妹分を最後の最後まで護りたいだけだ

 

 

『この可愛い妹分を何が何でも護りぬく』

 

 

只、それだけが本当の目的だ(両親や姫子の親、それほど沢山は居ない友人などもまた護りたい対象だが……姫子ほどではない。流石にここまでのモチベーションは無理だ)

 

『護りたいもの』に己の弱み怯みなぞ誰が見せたがるものか?故に『男として最低限の矜持』だ。痩せ我慢だろうが何だろうが最低最悪の化け物を相手にする(かも知れない)状況だろうと何だろうとこの少女を見ていれば闘志は常に湧き上がる

 

……それでも必ずこの妹分はこちらの弱った内心を軽く読んでくる。尤もそれはお互い様な話だが

 

『……また、ポーカーフェイスは失敗か』

 

少し悔しいけど……やはりこの可愛い妹分は人(俺)を良く見ているものだ

 

そんな事を考えながら大輝はぽつりぽつりと昨日の(心の棚にしまっておいた……つもりの)出来事を話す

 

カーバンクルと手の目座頭、そしてガッカリ箱からの莫大な収益に『死神の招待状』への恐れ……其処から来るぐちゃぐちゃとこんがらがった感情を、不安を話す

 

『師匠』に話せてほっとしていた……つもりだったが、やはり(中学生の小僧には)莫大過ぎる銭の話と『死神の招待状』のダブルパンチは結構効いていたらしい

 

内心の震えを自覚はしながらもやはりポーカーフェイスをキメて……

 

『柔らかい?』

 

気がつけば大輝の視界が『何か』に遮られていた

 

その『何か』はとても暖かく、柔らかく、良い匂いがした

 

その『何か』大輝も良く知っている……むしろ魂にまで染み込んだ最高の感触だ

 

『姫子が俺の頭を抱き抱えている』

 

その一言で片付く話だが……大輝の中の『何か』が沸騰しそうになる

 

滅茶苦茶柔らかくて暖かい極上の双つのメロンによる目隠し……それは激るだろう(大概の男なら)

 

流石にこれではポーカーフェイスなぞ無理だ

 

首筋に絡みつく二つの細い腕、この年頃の少女と童女の境界線上にある様な乳臭さを含めた香り、大輝の腕にかかるさらさらと一本一本がまるで金無垢の糸の様な髪の触感……

 

これも一つの黄金体験なのだろう

 

大輝は姫子のこの行為に何も言えなくなる。むしろこの経験に魂から浸っていたいぐらいなのだから

 

 

「ねぇ、にーさまは覚えていますか?」

 

 

唐突に姫子は大輝に語りかける

 

 

「昔、昔の八年前の今頃の話を」

 

 

前に少しだけ話した『第二次アンゴルモア』の話だ

 

当時七つの大輝はやはり当時四つの姫子と二人で唐突に起きた『第二次アンゴルモア』に巻き込まれてからの数時間の地獄の様な経験から生還した

 

嘗てメアリーさんやそれぞれの両親の懸命な捜査が間に合って二人は無事に保護された

 

被害は……大輝が何時も『お守り』として持たされていたEランクカード一枚と大輝の身体数ヶ所の骨にヒビが入り肋骨一本と右脚左腕の骨折に無数の打ち身捻挫切り傷とかなりの大怪我、それと背中に今も消えない大きな爪痕が。姫子は身体中小さな擦り傷だらけの泥だらけという状態だけで済んだ

 

大輝が命懸けで姫子を護り続けた結果だ

 

その時の過酷な……人間の本質本性全てを容赦なく暴き捻じ曲げる地獄の様な体験は大輝だけではなく姫子自身も盛大に変わる(成長する)には充分だ……むしろ充分過ぎた

 

大輝の様に『生き足掻く力』を求めて修羅の道を邁進する……むしろ『大輝の隣を歩む力』を求めて彼女もまた力を飢求する修羅とも化した娘に姫子も変じた

 

普段はあどけなくたおやかな深窓の令嬢以外の何者でもないが……大輝が居ない時は(まるで大輝を模倣するが如く)冒険者になる為の修練や『冒険者になる為の両親との約束』を果たす為の勉強や習い事に勤しむ日々を送っている様な娘だ(全てのトレーニングは体質、命運的に絶望的に筋肉にならず女性としての美貌とプロポーションなどの肉体的魅力が向上するばかりだが)

 

だから……今の大輝が抱く不安や恐怖は姫子にも良くわかる話だ

 

姫子は今の大輝の内心を決して馬鹿になどしない。自身にも同じ不安がある事は八年前から今まで常に抱き続けてきた感情だ

 

八年前にもあらゆる恐怖も苦痛も……そして絶望すら飲み下して私(姫子)を護り続けてきた大輝に対して想う感情は

 

 

『ただ、愛おしい』

 

 

常にそれだ

 

彼女も彼女で既に大輝と同じく『覚悟完了』しているのだ。むしろ同胞……いいや相方……それすら違う。そんな言葉程度では語れない関係の事柄だ

 

傍目なら兄妹……いや、むしろこの関係はそれだけでは決してない

 

『恋人』と言うには余りにも濃く。『兄妹』と言うにもまた違う。『夫婦』もまた微妙に違うと言える

 

……それでも『恋人』という言葉にも憧れはあるが(双方共に)

 

少なくとも今この瞬間はまだ『そういう関係』では無い……むしろ滅茶苦茶なりたい(双方共に)

 

まだ告白さえしちゃいない。まだそういう関係になるにはまだまだ未熟過ぎると自重しているだけだ

 

『何を今さら』と彼らを知る全ての知人縁者は口を揃えて言うだろうが……彼らにとっては『それが普通で今まで』だっただけである

 

お互い漠然と『何時か必ずくっついているんじゃないかな?』などと甘い考えだった

 

……この二人ならその甘めの了見でも放っておいても必ず普通に結ばれ普通に夫婦となり普通に同じ墓に弔われる未来を辿るだろうが

 

しかし……その時が『何時か』とは誰もまだ知らない。暫く先かも知れないだろう(どんなに遅くとも姫子が高校生くらいになる迄には確実に。だろうし)

 

今はまた『(大輝の)生命の危機……いや不安』を感じてその針が早まっただけだ

 

だから姫子は……

 

 

大輝の眼を覆っていた『幸せな目隠し』が唐突に外れる……もはや陽は完全に沈み夜の帷と月の光が誰も居ない公園を優しく包み込んでいた

 

あの『黄金体験』はかなりの時間を消し飛ばしてくれていた様だ……

 

しかし……大輝はこれから直ぐに『本当の黄金体験』を知る事になる

 

華奢で暖かいその両腕の拘束はそのまま……その感触だけでも値千金のその感触がまた激しく大輝の首筋を拘束する

 

また抱きつく……いいや、既に『本当に覚悟を極めた』姫子のこの行動はそんな生易しいものではない

 

最初は唇に感じる柔らかくて暖かく柔らかい感触……そして歯や唇を割って口内に潜り込む柔らかく暖かい小さな肉の様なそんな感触

 

そしてミルクの様な甘い至高の甘露味の中に混じる仄かな檸檬の風味

 

きす?キス?キッス?KISS?ヴェーゼ?接吻?口吸い?

 

状況をありのままに説明するなら……『姫子が大輝にキスをした』である(しかもディープな奴を)

 

口内で暴れる姫子の舌に大輝もまた……姫子の細い頸や腰に手を回して『舌戦』に応対する

 

(どちらとも)経験なんぞ一切無いが『お互いやりたかった事』だから抱き合って只ひたすら抱きしめあってちゅっちゅするだけだ

 

言葉も何もいらない二人のファーストキスからのイチャイチャちゅっちゅは……この数分後に見回りにきたお巡りさんを見て補導される前に(息継ぎの為に小休止中にその気配を察知する事に成功した二人がさっと撤退する事で)何とか薬丸邸に帰還する事で一時閉幕となった

 

これで補導された日には下手すれば冒険者活動に支障が出るだろうし(一応は二人とも『優等生』扱いであるので)

 

……流石に薬丸家のお手伝いさんには少し怒られたけど(夏の日が完全に落ちた状態では仕方あるまい)

 

既に大輝の両親は帰宅済みなので急いで帰らなくてはならない……残念ながら(お手伝いさんの目もあるから)これ以上のイチャイチャは不可能だ

 

最後は少ししまらない結末に終わったが……これで二人は『正式なお付き合い』を表明する事になる

 

 

大輝も『死神の招待状』への不安に真に立ち向かう気力を補充し……たが、両親に姫子との関係進展がバレてニヤニヤ厭らしい目(いわゆる『抜作先生アイ』)で笑いながら根掘り葉掘り聞き出そうとしてくるのは流石にどうしようか本当に悩んだ(友人……特に同年代のガチ勢冒険者仲間の家辺りに逃げようかと)

 

どうやら唇に付いた姫子の愛用する檸檬フレーバーのリップのてかり具合でバレたらしい

 

ちなみに姫子もお手伝いさんやご両親にバレて大輝と同じ目に遭ったそうな(こっちはまだ小学生なので逃げ道は無かったが)

 

 

※:モブがリア充だっていいじゃない。仮にも主人公だもの(by作者)

 

 

 

【Tips】薬丸姫子

 

本作品の主人公である佐藤大輝の妹分にして恋人(大輝のヒロインは絶対的に彼女一人だけである)

 

名前の由来は『日本の苗字ランキング一万位』と彼女の造形の最初の骨子となったとある純愛系成人指定漫画のヒロイン(アニメ化もしている)

小学六年生の十二歳で蜂蜜色に近い金髪に深く澄んだ翠玉の様な瞳、抜ける様に白い肌の小柄なロリ巨乳美少女(身長148㎝、B84/W53/H79のトランジスタワガママボディの持ち主)

 

大輝の両親と同じく嘗てサマナーとして活躍していた富豪かつ一流企業重役の両親を持つ一人っ子で非常に溺愛されているお嬢様。彼女自身も物心がつき始めた頃に『第二次アンゴルモア』に被災したが隣に居てくれた大輝が命懸けで護ってくれたおかげで被害らしい被害もなく窮地を脱する事が出来た

しかしその幼いなりに魂に刻み込まれた体験でやはり彼女も『力』を求める気質を得て冒険者を目指す様になる

 

学業はそこそこ出来るが基本的に努力と反復によるものが大きいタイプ、運動神経はあまり良い方ではないがこちらは努力でまだ補える範囲。しかし筋肉や筋力は絶望的につかない体質(代わりにその努力は女性としての肉体美や魅力にほぼ全て行き着く体質)

但し身体は非常に柔軟に出来ている上に(自分の)身体の関節外しも出来るという特異体質の持ち主である(ちょっとしたヨガなら見様見真似で簡単に再現出来るしI字バランスも余裕。縄抜けなども訓練無しである程度出来るレベル)。但しその(ロリ巨乳な)体型に妨害もされるので『潜り込み』はやや苦手(華奢ではあるのだが)、今はまだ多少阻害される程度だが成長するにつれて潜入能力は必ず低下の一途を辿る運命にある

一種のコミュ力お化けで交渉能力や語学力はかなりのものがあり、母国語除いて三カ国語の読み書きが通訳レベルで行える(最低限の会話なら更に五カ国はいけるらしい)

その為か人脈は(その歳にしては)かなりのものがある(ダンジョンマート社長とも直通のコネがあるらしいしエメラルド・タブレット社にも幾つか……ちなみにあの『エアコンブローチ』は『姫子の瞳』をモチーフにデザインされたもので実は一点物)

ちなみに音楽、芸術系統のセンスはかなりのものがある。家事は……お手伝いさんや母親から教わって勉強中(要は花嫁修行中……少なくとも『メシマズ』ではない事は判明している)

 

性格は基本的に天真爛漫なあどけない一面と『冒険者としての力(アンゴルモアでも生き残る力)』を常に飢求する修羅としての基本的に二つの性質を混ざり合わせた人間性の持ち主

根本的には『大輝や家族、なるべく友人達とちゃんとアンゴルモアを生き延びて幸せになる』という大輝と同じ望みを抱いて冒険者を目指している……といった所か?

 

実戦経験はまだ(流石に)無いが何枚か(両親がくれた)Dクラスカードを持っている(うち一枚は装備系カード)

カードや護身用魔道具などで常に武装している

 

中学一年生になったら即冒険者デビューが決まっている(そして大輝とチームを組む事を含めて)

大輝に近いレベルで運が良い……が、極稀に激しい不運やトラブルに襲われる事がある(大輝のおかげで大概無事に済むが)

 

人格などの基本的なデザインは『カードキャプターさくらの木之本桜』と『アイドルマスター・シンデレラガールズの神崎蘭子』をベースに色々混ぜ合わせて『修羅』を隠し味にした結果こうなった

ちなみに声は『丹下桜』でイメージしている

 

ちなみにこの話に出てきた『強面とお巡りさんをとりなした姫子の友人』は実は『神崎蘭子(現姫子と同い年)』そのものである

 

アスキーアートにするなら『赤王ちゃま』が近い……だろうか?




『アイドルマスターシリーズ』が少しだけクロスオーバー、但しそこまで多様もしないでしょうが(シンデレラガールズ十四歳組の出番が多い……かも?)
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