本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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※:カード化と魔石発電機に対する独自見解が入っています
※:とある企業の名前と存在を『土ノ子』さんからお借りしました(承認済み)
※:百均様の公式【Tips】を転載使用しました(承認済み)
※:男魂氏の指摘から得た着想を追記しました


第十三話 冒険者衣食住今昔

カードショップで『ちょっとした玩具』を購入し(費用は十万円のカード化あり)、次はカード化できるキャンプグッズを見る事にした

 

本当に最低限の装備と食糧だけで迷宮に赴くのは流石にきついものだった……石畳に毛布一枚と枕代わりのジャケットだけだと流石に身体が痛かったし。水をなるべく節約する為にビー玉をしゃぶって唾液で渇きを誤魔化したりと非常に大変な旅路だった(飴玉だと糖分で余計渇きが増すからこういう時はそこら辺の小石や草の根でも以外と…である)

 

大容量のウォータージャグやちゃんとした寝具、最低限でも雨除け日除けの出来るテントにもっと沢山の食糧……必要な機材はやはりまだまだ沢山存在する

 

予算だけならば大した問題にはならない……本当の問題は『重量とそれを運ぶ手間、必要ならばそれらを躊躇いなく破棄する覚悟』だ(臥薪嘗胆の意気は確かに大事だがそれで身体を壊しては世話がない)

 

旧い冒険小説などにも偶に記載されている様にこういう機材や食糧。何より水は常に冒険者にとって重要であり悩みの種だ

 

荷駄を用意したり人足を調達したり……この前の大輝当人の様に自力で運んだりと色々な方法でこの難題に立ち向かっていったものだ

 

筆者も多少は知っている偉大な冒険者アムンゼン(歴史上初めて南極点に到達した冒険者)も……それこそ涙ぐましい程に幾多の努力を重ねて目的を達成した

 

ある時は極寒の地に住まう人々から生活の知恵を(実地で)伝授して貰ったり。またある時はペミカン(冒険者御用達の保存食。今現在で言うならばシチューやカレーのルウみたいなもの?、お湯とビスケットで簡易的なシチューにしたりそのまま齧ったりするもの)を敗血症対策に改良したり。南極では積み荷を削る為にソリやスキー板を軽量化したり(非常に限られた予算のなかで)必死になってかの大偉業を成し遂げた

 

この偉大な冒険者でもどんな冒険者でも『失敗』は常に冒険者の背後に必ず存在する。冒険者は常に『いざという時』を意識しなければならない

 

そしてその『いざという時』にはそれらを……貴重な積み荷や財産を棄てて非常に分の悪い賭けに出る必要もある(命だけでも拾う為に)

 

そして冒険には『収穫物』もある

 

何気に貯まり溜まった魔石だけでもかなりの分量になるしやはり数も積もれば重いものだ(大輝もその重さは帰り道で嫌という程思い知らされたものだ)

 

嘗ての冒険活劇でも『目も眩む様な金銀財宝』が見つかっても『それを全て持ち帰れた』という話はあまり聞かないだろう?

 

大概は『欲呆けた愚か者のやらかし』が原因だが……基本的に『持ち運べる様な量でも数でもない』からだ(多少の量でも運良く持ち帰れて地上げに対抗できたり屋敷を構える金持ちになれたりと色々ハッピーエンドはあるが)

 

しかし……今時の冒険者には『カード化キャンプセット』がある

 

これさえあれば大事だけど重い機材に悩まされること無く殆ど手ぶらで迷宮探索が可能になる逸品だ。ある程度の(決して腐らない)食糧や新鮮な水、そして重い収穫物も収納できる

 

迷宮探索の最前線である世界各国の軍隊や日本の自衛隊も常に基本装備の中に入れている程だ

 

やはりキャンプセットカードを何か探しておくべきだろう……ちゃんとした食材と調理器具に潤沢な水は最優先で欲しい

 

……ちなみにメアリーさんに聞いたらかなりの出物が存在していた

 

つい最近自衛隊で装備更新があったらしく。嘗ての『カード化キャンプセット』も更新されてその美品や予備が新古品や中古美品として捨て値でギルドに流れてきた

 

自衛隊からは『見込みのある若いガチ勢にはなるべく格安で売ってあげて欲しい』とも言っていた(新古品枠は大概その為に流されたらしい)

 

自衛隊としては恐らくは『優秀な冒険者は一人でも多く欲しいから』だろう。『Aランク迷宮』という名の迷宮最前線は比喩抜きの地獄絵図らしいから

 

少しでも(莫大過ぎる)手間を省く為にこうして見込みのある若手冒険者を育成支援したり……あわよくば『優秀な自衛官候補生』も獲得したいからだろう(それだけ自衛隊が必死だという事は……)

 

そしてメアリーさんは大輝を『見込みのある若手』に選んでくれたのだ

 

……ちなみにそのお値段はニ十万円ポッキリ。真面目に破格そのものだ(普通に売るならだいたい百万円辺りだろうか?)

 

軍用テントにバーベキューキット(調理器具付き)、エアーマットにシュラフ、ボアオークにも対応可能な折り畳み椅子四脚とテーブルにウォータージャグ(5ガロン入り2個)と大容量クーラーボックス、キャンプボックス三つ(大、中、小)とサバイバルキット一式。そしてちょっとした魔石発電機(型落ち旧式モデル)まで付いている(全て軍用品)

 

ついでに自衛隊用レーション三日分(新品)もおまけに付いている(キャンプボックスに『粗品』と飾り紙が貼られて入っていた)

 

キャンプセットは余裕で買える範囲(むしろ家にあるキャンプセットの方が上質だが)。カード化もまぁ最初の予算内(家のキャンプセットをカード化した方が早いまである)。しかし……この魔石発電機は一体?

 

『魔石発電機』というのは『人工魔道具』と呼ばれる『人類が作った人工の魔道具』とでも言うべき代物だ(姫子の『エアコンブローチ』もこれに分類される)

 

そしてその『人工魔道具』とは……迷宮から発見される魔道具を解析し研究した果てに人類がその技術や迷宮独特の素材を使って作成出来た『人類が作った魔道具』だ

 

先に挙げた『エアコンペンダント(ブローチ)』や『魔石発電機』、そして『冒険者ライセンスカード』など……他にも『非実体のモンスターや再生能力持ちを切り裂ける武具』、『息継ぎを長く、そして泳ぎを補助して装着者にとって良いデザインに変化する水着』や様々な魔法薬などが存在する

 

魔道具そのものならば『エメラルド・タブレット社』が、魔法薬なら『ニシモリ製薬』などが最も有名だが実はダンジョンマートもこの部門でも有名だったりする(少なくとも当初のコンビニエンス業務での経営不振はこの辺りで補えていた……と言えばその実力はご理解頂けるだろうか?)

 

実はこの人工魔道具なるもの……大半のものは制御機構などに精密機械を用いている為かEランク迷宮以降では使い勝手が悪い(むしろEランク以降は機械そのものが迷宮とは相性が悪いのだが)

 

これについてはまた何時か話をしよう

 

エメラルド・タブレット社製が最大手のこれはFランク魔石ひとつで一世帯一月分(この旧型なら三週間程度、これはダンジョンマート製)の電力を賄える(市販されているキャンプ用の中でも小型に分類される範囲の)発電機だ(佐藤家や薬丸家はそのダンジョンマート製大型高品質モデルが既に配備済みだ……有事に備えて)

 

『型落ちの旧式』とは言えそれでも一機百万円其処らの高級品だ……まぁそれにはこれが『単なる(見込みのある)新人応援』という理由があるからだ

 

これから向かうEランク迷宮以降では『人工魔道具や機械はちょくちょく壊れる消耗品扱い』なので自衛隊も新人へのちょっとしたサービス程度の気持ちでこういう事になっただけだ

 

ちなみに……こういうカードの中には(公式にも)『一月分の食糧(生鮮食品や調味料など)』がカード化されているものもある。これも何個かの段ボールやクーラーボックスなどを複数纏めてカード化したギルド(や公的機関、それなり以上規模を持つ民間全て)の避難所に必ず設置されている代物だ

 

『原作』で歌麿が入手したものは『家族四人が一月食べてゆける範囲の食糧入りカード』であり、有事に備えたい(富裕層の)民間人が買い求めるタイプだ(食糧を食べ尽くしても段ボールやクーラーボックスは保管庫に再利用が出来るし)。これは俗に『民生用』と呼ばれている

 

それと避難所に設置されているタイプは基本的に大型コンテナにみっちり段ボールに詰め込まれた型で存在している(大規模な避難民を食べさせる為の代物故に)。そしてこっちは『業務用』だ

 

『民生用』も『業務用』も中身を出せばまた再利用できる。段ボールもきちんと使えば再利用が可能と来た……実際問題百万円を費やしてこの保存食を買う理由はこの『容器』を買う為だと言う層も実は結構な数存在している

 

『冒険』というものにおいて食糧は非常に重要なファクターだ。人間は必ず飲食しなくては生きてゆけない

 

食糧なしならだいたいニ〜三週間。水なしなら数日……昔の冒険者(特に船乗り)は補給なぞ全く期待できない船上という名の地獄で濁った粗悪なラム酒と腐った水、やはり腐り果ててぐずぐずになった上に蟲の沸いたチーズや固焼きビスケットに腐った魚、干し肉に(新鮮ではある)蟲や鼠……時には革靴などで飢えを凌いでいた。時には『一日の食事:バター500g』という事すら普通だったらしい(ちなみに船上なのでまともに火を熾せない……船の湿気腐りや水腐り避けの塗料やタールのせいで実は船は結構可燃性だったらしい)

 

イギリスが大航海時代の覇者となれた理由に『極まったメシマズ耐性(非常に穏便な表現)があるから』等と言った冗句が世には出回っている程だ

 

昔は『船乗りになるぐらいならすっぱり○ね』とすら言われるほど船上は酷い環境だった(ちなみに海賊はかなりホワイト環境で船乗りとして一番ブラックなのはイギリス軍船の船乗り……比喩も冗談も抜きで『○んだ方がよっぽどマシ』と言われる程に酷く、そして悍ましい環境と酷使、搾取だったらしい)

 

その『イギリス軍船の船乗り』だが……その劣悪な環境と酷使、搾取は余りにも有名だった為に酷使用下級水夫は拉致監禁や詐欺(いわゆるパウント方式……酔っ払いを拉致したり金属製カップにコインを入れて飲み干したら『契約完了扱い』とか)などで『調達』していたらしい(もしも『使えない』なら海に棄てるだけ……という発祥の地であるイギリスでも今なお悪名高い『強制徴募法』である)

 

今でもイギリスのパブでは『パウントグラス』なる底がガラス状になったジョッキがあるらしい(底に沈んだコインが無いかを探る為に)

 

流石にこの話は……『特に悪質かつ悪辣な者達の悪目立ち』だが、冒険というものはこういう理不尽から始まる事もままある

 

まぁそんな悪魔もドン引きしそうな鬼畜の所業はさておき……そんな地獄絵図が嘗ての冒険だが……今は缶詰やフリーズドライなどの食糧保存技術が発達しているし(少なくとも冒険者には)人権というものも存在する

 

まぁ迷宮の中では食糧は決して腐らないのだが

 

『迷宮内では時間の進み方が違う』らしく、例えば熱々のおにぎりを迷宮に入れて一月放置しても冷めるだけで普通に美味しく食べられるし。また別の実験ではアイスクリームを迷宮に放置すれば普通に溶けるが決して腐らなかった

 

ちなみカード化した段ボール内にアイスクリームを入れて一月経過させると……アイスクリームは全く溶けずにそのまま美味しく食べる事が出来た(別の実験でも熱々の鍋はやはりそのまま熱々だった)

 

別の実験でカードの中に精密機器を入れて電磁パルスを浴びせると……その精密機器は完全に中身が灼き切れて壊れていたらしい(カード化した状態で水に一月沈めても大丈夫ではあったのだが)

 

カード化でも全て全てを守る事は出来ないらしい

 

カード化と迷宮内は似て非なるものだとその実験で認識され、今に至るまで自衛隊や世界各国の軍隊の築いてきた莫大なレジェメが今の冒険者を支えている

 

大輝や姫子もメアリーさんからその知識や技術を伝授されたが……その技術も元は自衛隊から齎されたものが起源だ

 

自衛隊から齎された起源とメアリーさん達起源の冒険者が編纂したこの技術は今もなお大輝達の様なメアリーさんの様なガチ勢が更に新しく更新して編纂し直し……人の世が続くか迷宮が消滅するかの何かの時まで連綿と継承されてゆくだろう

 

そんな中、明日の探索の為に今度は行きつけのスーパーで大量の買い物をしながら大輝は前回の探索の反省点(の一つ)を思い返す

 

『もう缶詰類はやめとこう』

 

前回持ち込んだ食糧は家にあった『通常保管していた賞味期限間近の保存食』ばかりだった

 

レトルトパウチやアルファ化米、アルミ袋包みのビスケットなどはまだ良いが……缶詰は空き缶が邪魔で仕方なかったのだ

 

だから今回は新兵器である『カード化キャンプセット』を有効活用して三泊四日をより快く過ごす為の準備を開始する

 

新鮮な肉、魚、野菜、卵、食パンや米にお菓子、お茶やコーヒーなどを(食事を取れる)カード達の分もしっかり大量に用意しておく

 

……その中でも一度あのカーバンクルガーネットをとある店に持ち込んでとある依頼もしておく

 

依頼料(むしろ人件費)と素材料でニ十万はかかった

 

依頼は二週間後に完遂できるらしい

 

今日は配送依頼を出しておいた沢山の食糧を待ち、そしてそれらをカード内にそれらを収納する

 

 

『明日はEランク迷宮で新しいカード達の慣らしからだ……早くちゃんとした名前も考えな……』

 

そして眠りに落ちていった

 

夏休みと二つ星昇格試験はまだまだ続く

 

 

 

 

【Tips】カード化

 

 冒険者ギルドでは、特殊な魔道具を用いて物品をカード化するサービスを行っている。小さな指輪だろうが一軒家だろうが一回百万でなんでもカード化してくれる。カード化されたモノは、モンスターカード同様所有者以外は召喚することができなくなるため、財産の保護などにも使われている。主人公のように転移の魔道具など持たない一般の冒険者たちは、このサービスで大量の物資をカード化し、泊まり掛けで深い階層へと潜っている。

 なお、このカード化の魔道具を入手した際は絶対にギルドに報告し売却しなければならないという法律がある。もしも隠し持っていたことが発覚した際は、即逮捕されて公安の厳しい取り調べを受けることになる。

 

(※:公式より百均様の許可を頂いて転載)

 

【Tips】カード化(追加項目&当作品設定)

 

建築物をカード化する際にはまずアンゴルモア(むしろカード化のシステムが解析されて)以降から出来た『カード化対応建築』してある建築物に限られ。そしてカードにも複数枚の白紙のカードが必要になる(ギルドには『何度でも使えるカード化魔道具』もあるがこれで『複数枚のカードが必要になるカード化』は不可能。必ず『白紙のカード束』が必要になる)

日本の通常家屋迄ならば一枚程度で済むが豪邸や通常の雑居ビルなら規模次第で数枚から十数枚、高層ビルディングなら数十枚は必要となる(病院や学校だと最低百枚は必要らしい)

 

原作にもある『一月分の食糧入りカード』は『家族四人が一月食い繋げられる分を段ボールなどに入れて』という型にしている

その段ボールを再利用すればまた『無限に保管出来る食糧庫』として再利用出来る……のは当作品の独自設定

 

キャンプセット一式のカード化もやはり当作品のオリジナル設定

 

沢山の器物を一纏めにカード化してからその器物(の一部)を破損したり紛失したりするとその器物はカード化能力を喪失する(ちなみにそれが機械製品などで中身が破損した場合なら『ガワ』だけでも残っていればガワを新品の中身に載せ替えてもう一度カード化が可能となる)

期限は『もう一度カードに戻す時まで』である

 

カード化した物品の温度や状態はカード化した瞬間に完全に固定される(アイスクリームを段ボールにいれれば一年経過しても冷たいアイスクリームのままだし、熱々のうどんを段ボールに入れて一年経過してもやはり熱々のうどんのまま)

 

カード化した状態で水中に放り込んでも中身には何の影響も無いが……どうやら電磁波パルスは防げないらしい(防ぎたいなら分厚い金庫か何かに入れておいた方が良いだろう……一部の冒険者達はEランク迷宮以降の『厄介なあれ』対策に分厚い金庫のカードをわざわざ用意している猛者も居る)

 

 

追記事項∶カード化能力を獲得した物品は基本的に必ず全て一緒に出てくる。複数の物品を一緒にカード化した場合はちゃんとカード化した時と同じ様に並べ直さないといけない。もしもきちんと並べ直さないでカードに戻した場合は『基点』となる物品(キャンプセットの場合は大概テント)を除いて全ての物品からカード化能力が喪失される

 

基本的にカード化能力は○級収納の下位互換として扱われる(安上がりかつ迷宮以外でも使える辺りは非常に大きなメリットではあるか)




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