本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

17 / 85
オーク改めボアオーク君達の名前が決定しました

※:ガッカリ箱からの収穫物に関する独自解釈があります
※:百均様の公式【Tips】を転載使用しました(承認済み)

※:【Tips】ズンドコベロンチョ追加


第十五話猪鬼将軍と手目坊主

手の目を使った実験は大成功だった

 

ちゃんとキキーモラや手の目自身ともテレパスが出来るし……特に慣れ親しんだオークやヘルハウンド、ストーンゴーレムにジャック・オー・ランタンといった大輝の主力陣とも可能である事もこの後の実験で判明した

 

残念ながらブラウニーやフェアリー×5はまだノイズの方が強くて駄目だったが

 

一応、手の目の『化けの皮』を解除した状態でもテレパスは可能になっていた……積み重ねた経験が活きたのだろう

 

流石に今の段階ではテレパスラインは一枚づつにしか出来ないが(手の目を介すれば四枚全てとちゃんと出来たが)

 

その最中でオークをボアオークにマイナーチェンジ、ヘルハウンドを送り狼にクラスチェンジを行う

 

 

結果を言えば……見事な大成功だった

 

どちらも戦闘力も後天技能も……そして先天技能一つを追加して継承に成功していた

 

オークは……今までのストイックさが出たのか身長はそのままにでっぷりした身体が非常に引き締まったマッチョボディになり、元々持っていた大鉈は戦斧になり、粗末な麻布みたいな服から硬革鎧に身を包んだ猪頭の戦鬼へと変化していた

 

普通のボアオークだと割とオークと(猪頭以外は)大差無い見てくれなのだが

 

ヘルハウンドは……体積はそのままではあるが。嘗てのワイルドウルフだった頃に似た狼になっていた(辺りを漂う二つの提灯、という追加要素は有れど)。しかしあの頃よりも圧倒的に毛並みが良く、力強さも文字通りに桁違いだ……そして、提灯を良く見ると提灯から炎を噴き上げていたりもする

 

成る程、ヘルハウンドの先天技能を継承した影響だろう

 

そして……嘗てはあまり喋る事が苦手だったオークいやボアオークが非常に流暢に会話を始める

 

 

「マスター、私を此処まで見捨てずに育ててくれてありがとうございます。今後とも末永くお側に……」

 

 

まるで……あの時姫子をスカウトしたあの強面プロデューサーそっくりな深く良く通るバリトンの美声でそんな事を言って来たのだった。嘗ては非常にくぐもった聞き取りにくいガラガラ声だったのに……本当に嬉しい話だ

 

大輝はこのボアオークの真意が聞けた事で……今からでもこのボアオークに『名付け』を行おうと思った。『善は急げ』と言うし

 

ボアオークは『名付け』を歓迎してくれている。大輝としてもやはり彼は『相棒』なのでその歓迎は分かっていても非常に嬉しい話だった

 

大輝もこのボアオークの名前をずっとずっと色々考えていた……『オーク』の語源である『オーカス』や『オルクス』みたいなのも良い、または彼の嗜好である時代小説の主人公なども考えた、故事から付けるのもまた有りだろう

 

しかし、やはりこのボアオークは大輝にとって初めての相棒であり己を映す鏡の様に思えてくる……そして彼は大輝にとっての剣そのものだとも言える

 

だから……それから、其処から彼の名前を選んだ

 

 

『剣(つるぎ)』

 

 

それがこのボアオークの名前だ。『大輝の剣』として名前を与えた

 

他にも送り狼、ストーンゴーレム、ジャック・オー・ランタンは即座に名付けを受けてくれた

 

流石に手の目、キキーモラ、ブラウニーはまだ縁が足りないから自重したが

 

最後に、例の新しい戦斧を剣に渡して第二次Eランク迷宮攻略戦線の開始だ

 

 

……ちゃんと構築した地図と激しく強化された戦力のお陰でその日の昼前にはあっさりEランクモンスターが出るエリアの安全地帯に到着していた

 

ついでに幾らか手の目の『慣し』もやってみた(結果は後述)

 

それを抜いて慣れれば更に時間短縮が可能だろう

 

今の編成は剣、送り狼、キキーモラ、ブラウニーといった編成にしている

 

剣と送り狼……いや『祝(はふり)』と命名した彼女(ワイルドウルフの時から老齢期の雌狼だったので)、そして最優先に育成したいキキーモラと対罠枠のブラウニーといった理由での編成だ

 

今はこの場で昼食休憩から後に本格的なEランク迷宮の探索行である

 

ちなみにこの安全地帯には自衛隊が仮設トイレ(工事現場や野外イベントなどで設置されているアレ、但しいわゆる『ポットン便所式』となる)を必ず設置していて冒険者はそれを(独占したり破壊したりしない限り)自由に使う権利がある

 

……ちなみにこの制度はほぼ日本だけがやっているらしく。他国では自分で『どうにか』するのが常で……特にこういった衛生面に頓着しない国の迷宮はまるで『中世のパリ』だか『◯態✖️親父の文面』みたいな惨状だとか

 

『迷宮内部では食糧は腐らない』が……逆にこういう『老廃物の分解もない』のだ。だから迷宮の公衆トイレは非常に臭い事を覚悟しなくてはならない(一応臭いが外部には漏れにくい仕様にはなっているが……熱いタイプの迷宮だと内部は正に地獄である)

 

だから日本では安全地帯のトイレまで我慢するか……自分で携帯トイレやカード化した仮設トイレを持ってゆくか最悪地面に埋める必要がある(比較的安全そうな迷宮内部で『催した結果』を埋めようとしたら『先客』と御対面した、などといった笑えない笑い話だってあるぐらいだ)。大輝が昨日手に入れたキャンプセットにも大人用の『おまる』がしっかり存在している

 

ちなみにこのトイレの為のトイレットペーパーは一応設置はされているが……『元から無い』と思った方が良いだろう(手洗い水は自分で持ち込んだ水かウォッシュペーパーで……所詮は汲み取り式便所なので)

 

このトイレの『中身を持ち出して処分する』というバイトがあるとかそんなこの世界特有の噂(都市伝説)もあるが……実際には自衛隊の新米やギルド職員の持ち回りなどで『ピュリファイケーション(浄化)』という初等補助魔法で浄化(消滅)させてからトイレットペーパーの補充を行うだけなのだが

 

……石畳だらけの此処みたいに『掘り返すことすら不可能』なタイプの迷宮ならば特にトイレは大切である(『催した結果』は自分で持ち帰るかトイレにちゃんと捨てるがマナーとなる……『小』の方ですらだ)

 

他にも色々な理由がまだあるが……少なくとも安全地帯で馬鹿をやる奴は居ない(居れば最低限でも即冒険者資格の剥奪と下手すれば莫大な賠償確定民事裁判から重い刑事裁判が待っている程の重罪であり、ギルドも常に何度でも警告してくれる程だ)

 

このトイレ事情一つ挙げるだけでも安全地帯の大切さは解るだろう

 

 

今回の迷宮の様に『試験専用迷宮』だったら非常に楽だが……これが人気のある(実入りが良い、人気カードが出やすい、攻略が楽などで)迷宮だと間違いなく場所取りで一悶着有ったりする(最悪の場合だと『トイレ近く』処か『場所すら無い』という事もままあるらしい)

 

まるで『朧車の誕生由来(牛車の場所取り)』みたいな悲喜劇が常に繰り広げられているらしい(その朧車もDランクの強カードとしてちゃんと存在している)

 

そんな中の一番良いポジション……兎に角トイレから遠い場所で持ち込んでブラウニーに預けた弁当(やはりダンジョンマート系列の弁当屋製……大輝のだけは朝一でそれを持ってやって来てくれた恋人手製だが)を広げてのランチタイムだ

 

ダンジョンランチ……ダンジョンマート系列弁当屋のものはカード達それぞれの嗜好などに合わせたものをチョイスしている(弁当不用な奴も多々居るが)

 

剣ならば特製スタミナ弁当(肉まみれ)、祝なら高品質のドッグフードと水、ジャック・オー・ランタンとフェアリー達にはケーキを、ストーンゴーレムは飲食不用でブラウニーにはミルクと蜂蜜にカットフルーツ色々、それとケーキを一切れ、キキーモラには故郷のものになるべく合わせたものを、そして手の目には握り飯を中心に手掴みしやすいものを中心としたチョイスだ

 

昼食は……Eランク迷宮の召喚制限もあるので三交代制三十分づつの計一時間半で行われた

 

姫子手製の弁当は……大輝的には最高だったらしい。少し型が崩れて中身の鮭が飛び出したおにぎりも、ちょっと塩気の強い唐揚げも、やはり少し甘過ぎる卵焼きも大輝にとっては幸せの味だった

 

ちなみに……この昼食でキキーモラは和食に興味を持っている事と、ある意味見てくれ通りにこの手の目は大食らいという事がわかった

 

姫子が皆の為に焼いてくれた(少し歪で焦げた処もある)クッキーを齧りながら大輝は『今後のスケジュール』について考える

 

今回はこの迷宮をなるべく深くまで攻略するのが目的である。一応この迷宮はEランクとしては結構深い『十八層』だという事だけはメアリーさんから聞けた(ごく稀でもイレギュラー対策の為に階層数だけは最初から教えて貰える……ちゃんと聞いたならば)のでそれ以外の箇所でパーティー強化と資金稼ぎから始める

 

今回の強化にも資金稼ぎにも重要なキーパーソンになるのは……手の目だ

 

それから……最後にあの安全地帯をきちんと清掃してからキキーモラに頼んでトイレに浄化魔法をかけて貰ってから直ぐに出現である

 

 

本格的に潜ったEランク迷宮は……あの時の戦力だとやはり少し厳しい代物だった

 

原作でもあった砂男と夢魔の必殺コンボや姿隠しに特化した妖精の『スプライト』と自爆特化の鬼火『ウィル・オ・ウィスプ』の地雷的な不意打ち、単純に強力なヘルハウンドやストーンゴーレムなどの準Dランクらの強襲といった手荒く厄介な大歓迎で迎えられた

 

その中でも特に警戒したのが『グレムリン』だ

 

こいつはEランクでも比較的弱い方のモンスターだが……嘗ての世界大戦の中の新兵器である飛行機の故障に纏わる機械関係の天敵として悪名高い魔物である

 

この迷宮でもその厄介さとこれから先もちょくちょく見かけて邪魔してくるだろう迷宮の嫌われ者……嘗てあの栗鼠の様な人気モンスターの話や他にも多々言及したEランク以降の脅威がこいつである

 

こいつには『機械破壊能力』がデフォルトで備わっており、その力で例えば迷宮の情報やモンスター、魔道具などの情報をダウンロードしたスマートフォンや電子機器、中枢は精密機器で制御している人工魔道具(冒険者ライセンスや……姫子のエアコンブローチなど)を全て破壊してくる

 

迷宮の道順を記したデータも消失するから大輝は『万が一の為』に方眼紙にそのデータを書き写していたのである

 

迷宮産の魔道具や金属などを加工したり配分を変えただけの機械を使わない『人工純正魔道具』などなら決してその能力の対象にはならないからこれから先の迷宮探索には非常に重要となる

 

一応、この能力に対応する策として『分厚い耐火金庫』などに電子機器などを入れておけば機械破壊を免れる事は出来る(一部の冒険者は真面目にそれで対応している……耐火金庫をカード化して持ち歩けば問題ないし)

 

勿論、多数の厭らしい罠も健在と来た

 

もしもあの戦力のままならきっと数回戦っただけで撤退を余儀なくされていただろう。Fランク階層よりも敵の連携能力は更に向上しているし、何よりシナジーのすり合わせすら考慮内の様だ

 

大輝も主力(剣)、遊撃兼索敵(祝)、補助(キキーモラ)と盗賊役(ブラウニー)といったEランク攻略には上等な編成で来ているから……油断さえしなければ普通にこの関門は攻略できるだろう

 

それに……今回からは『沢山の使い捨て戦力』を剣の力で沢山調達出来るのだ

 

時に、ボアオークというカードは非常に高価な人気カードだとは何度も言った。見てくれは美少女カードにはどう足掻いても到底叶わないが力も強く頑丈で元となるオークの欠点をより改善した優良カードである

 

しかし……ボアオークの真価は『眷属召喚』だ

 

『眷属召喚』とは、そのカードに縁のある下僕を召喚して更に支援する非常に有益かつ珍しい能力だ

 

このボアオークの場合はその下位互換であるオークの召喚が可能であり、その召喚スペックは一分間に一体の眷属オーク(素手、腰蓑一丁)を一日最大三十六体一度に六体まで召喚、使役可能というものだ

 

この『猪鬼将軍』は『水虎』という同じくDランク人気カードの『河童の大将』の陸戦仕様として知られている(基本的にオークと河童なら河童の方が強いが……水虎も河童も局地戦用カードである為評価は互角扱いである)

 

この眷属オーク達は戦闘力が通常かつ初期のオークの八割程度でしかも後天技能は一切無い仕様になっている

 

ちなみにこの眷属オーク達は召喚後に放置しても一時間程度で消える仕様になっている(倒せば即消滅する)

 

Eランク迷宮以降ではこの眷属オークで『漢探知』をするという荒っぽい手段で罠をどうにかする手段も時間短縮的にあるらしい(決して『完璧』とは言えない方法だが)

 

大輝の場合はブラウニーの育成の為にやらない手段だが

 

 

ともあれ……六体の(Eランク上位程度とは言え)追加戦力が追加された上に当の剣は新しく強い戦斧で更に強くなった

 

ボアオークの初期戦闘力は180、しかもそれにオークとして積み重ねた戦闘力100が追加されて280、更にあの戦斧で120追加される

 

結果……剣の戦闘力は400という倍近い向上である

 

しかもまだ成長の余地がある、という事も追記しておく

 

嘗てのオークだった頃でも(オークとしては)非常に俊敏かつ機敏な動きだったが……これがボアオークになれば最早その動きは『疾風』とでも評したくなる程にキレが増している

 

現地点で下手なCランクモンスターよりも強い練り上げられたボアオークである剣が大暴れである

 

しかも傍はこれまたFランクからの叩き上げである送り狼の祝と念願の支援役たるキキーモラだ

 

唯一のEランクであるブラウニーとて多少は戦いの心得はあるから足手まといにはならない

 

そして大輝も……リンクの初歩に入門出来たお陰だろう。今までの様に少なくとも足手まといではあっても邪魔者にはならない程度の立ち回りからちゃんとした役割に目覚め始めている

 

ブラウニーとキキーモラに守られながら戦況を俯瞰し……リンクの初歩である『テレパス』を行使して剣と祝にそれを伝える

 

言わば『オペレーター』としての役割を獲得したのである

 

そんなこんなで大輝達は沢山の魔石とEランクカードを得る事に成功したのである

 

 

そして……あの手の目が如何なる方法で戦力強化と資金稼ぎに役立つのかを話すとしよう

 

まず最初に……何故あの手の目があそこまで高額になったか?極まった座頭としての技量?伝説的な俳優のそっくりさんだから?リンクのチューナー能力?

 

一番の理由は『中級鑑定』だ

 

この迷宮では稀に『オーブ』なる宝(籤)が出るが『ハズレ』は非常にえげつない代物ばかりなので……正に当たるも八卦当たらぬも八卦である

 

その賭けに対する極めて合法的かつ推奨されるイカサマが『◯級鑑定』である

 

初級ではたまにハズレオーブを掴む羽目に陥るが(それでも無いよりはずっと良い代物ではあるが)……中級ならば悪い結果だけは必ず回避出来る。だからこそあれほどの値段になる

 

ちなみに上級ならばだいたいの効果も確実に鑑定できるそうだ

 

それを利用してある程度の目星と当て推量ではあるが……色々なスキルの習得が捗った

 

手の目が武術を得たり、ブラウニーの罠解除と低級収納が成長したり、剣が杖術を得たり……兎に角色々と良い技能を得る事に成功した

 

 

そして……もう一つの資金稼ぎについてだが。先ずはこの手の目のこの二つの技能について思い出して頂きたい

 

『風が吹けば桶屋が儲かる』と『心眼』である

 

『風が吹けば桶屋が儲かる』の効果でオーブの発見率と当たりオーブの発生率、それとカードとガッカリ箱の発生率が向上している(しかも大輝自身もかなりの豪運持ちである)

 

その豪運と『運勢操作能力』は何もオーブだけに来るものでは無い

 

この迷宮は試験用指定迷宮である……そして、またもう一つの側面もある

 

『シークレットダンジョン』

 

前に手の目と一緒に現れたあのカーバンクルが十一階層から必ず一層につき一体は存在する夢の様なボーナス迷宮である

 

普通、シークレットダンジョンは政府や自衛隊が完全に独占しているが……このタイプの弱い迷宮ならば偶に運良く試験用に使わせて貰える可能性がある(大輝は純粋な強運もあるがギルド職員の覚えが良いからこの迷宮が割り当てられただけである)

 

しかし……このカーバンクル達は様々な隠れ場所に身を潜めている上にその隠れ場所も偶に『塗り壁』に間違われているEランクモンスター『フロアイミテーター』という壁などに擬態して冒険者を惑わせるモンスターや隠し部屋などによって守られている(ちなみに塗り壁はDランクの渋好み勢や中高年、某妖怪シリーズ好きには大人気な強カードで実は大輝も求めている一枚だ)

 

しかも、この迷宮が『シークレットダンジョン』である事は決して教えては貰えないので大概の冒険者達はその幸運に気付かずカーバンクルを素通りして試験を終えるのが普通である

 

『探知能力の大切さ』を教える教材代わりかつ優秀な新人へのご褒美としてこの迷宮は存在する。ちなみにこの迷宮に入れるのはこの初めての試験期間かつ試験終了までで……二回目からは只面倒なだけのEランク迷宮での再試験となる

 

但し、こと大輝みたいに『それ』を探知する手札持ちにはそれには当てはまらないが

 

『手目坊主』という能力がある

 

前に言及した『犠牲者を探り当てる』ことに対応した手の目の基本能力だが……普通に装備化するだけではノイズや視覚喪失でほとんど使いこなせない能力だが『手の目の正しい使い方』を理解出来ればこの能力は一気に化ける

 

この能力は『非常に精密なソナー能力』であり、視覚以外のあらゆる感覚を鋭敏にして隠れている獲物や宝物を探り当てる能力へと至らせる

 

高位の堕天使や神格みたいに一階層丸ごと……みたいな規模は流石に不可能だが少なくとも半径50米は(普通の手の目がマスターと一体化すれば)射程圏内らしい

 

どうやら、マスターと一体化する事でマスターの思考も活用してこの能力を意図的に行使可能になるらしい……要は外付けハードディスクみたいなものだろうか?

 

要はちゃんと使いこなせれば手の目の『手目坊主』で隠れているカーバンクルを簡単に探り当てる事が出来ると言う事だ

 

ついでに言うならばあの詳細不明な後天技能『心眼』が……ちゃんと手の目を使いこなせるならばその真価を発揮出来る

 

この『心眼』の効果だが……言うなれば『視覚以外の感覚でものを視る能力』とでも言えば良いだろうか?まるで蝙蝠にでもなったか熱源を視るプレデターか何かにでもなったかの様な摩訶不思議な感覚で『視える』様になる

 

ついでにこの効果と合わさってこの手の目の『手目坊主』ならば半径300米は探知範囲になる(ついでに手の目単体でも半径50米の探知が可能である)

 

この力で今回の日程全てを利用して色々なオーブやカーバンクル、ごく稀に発生する設置型ガッカリ箱などを決して逃さず乱獲に成功した

 

 

(偶々見つけた)『燈無蕎麦』が一枚

幾つか使い道のありそうなEランクカードが数種類二十数枚

あまり使う気にはならないEランクカード百枚前後

Eランク女の子カード五枚(インプ三枚、スプライト二枚)

 

魔石がだいたい八十万円分

 

オーブが十三個(うちハズレが五個)

 

売却予定の魔道具色々(鑑定結果で二十万円分)

 

幾つかの役立つ使い捨て魔道具

 

カーバンクルガーネットが十個

 

金のガッカリ箱からは……アタリだと言える良いマジックカードが三枚と換金にしか使えない代物(貴金属の塊とか宝石とか)が三百万円分に市販価格がそれぞれ三百から五百万円辺りの五つの役に立つ魔道具と『最高のご馳走』が出た

 

一つ目は『魔石袋』、手のひらに収まる程度の小さな巾着袋だが魔石ならばどんなものでも無限に入るし重量も消す魔法の袋

 

二つ目は『無限水筒』、魔石を嵌め込む窪みが付いただいたい1ℓ程の容量の金属製丸型水筒だが……魔石を嵌め込めば非常に美味で健康に良い水を(魔石のエネルギー次第で)無限に出せる、Fランク魔石一つでも二十五米プール一杯分は余裕で出せる。ちなみに水道の様にも使える上に畑にやるとそれだけで作物も幾らか美味しく育つ。『薬水の水差し』の下位互換品

 

三つ目は『透明金庫』、所有者以外には見えない魔法の金庫で見た目よりも沢山入る(普通の小さな手提げ金庫だが下級収納ぐらいにはものが入る)

 

四つ目は『魔導書』、カードが装備する武具の一種であり、装備すると何らかの技能を(装備中だけ)獲得できる。これは銀細工で雪の印を象嵌した分厚い革表紙で羊皮紙綴りの典型的な魔導書そのものなデザインであり……保有技能は『中等攻撃魔法/氷結のみ』だった(今はキキーモラが装備している)

 

最後に『俊敏の銅剣』、今オークが持っている大戦斧と同じ様な青銅にも見える鋳物と思わしき『グラディウス』とも呼ばれる広刃の直剣。だいたい刃渡り50㎝の(青銅の鋳物であるせいか)肉厚な造りの幅広の小剣で戦闘力にだいたい+100の補正を与える良品かつ多少敏捷性を高める効果があると手の目が鑑定している(大輝&手の目が装備している)、魔道具だけにそれなりに頑丈でもある

 

どれもこれも真面目に冒険者やるなら有り難い品物ばかりである。全て市場価格で三百万円其処らの代物だ(全て『カード化能力』は無い)

 

『最高のご馳走』……それは稀にガッカリ箱から出る最高の珍味『ズンドコベロンチョ』だ

 

これは肉だか魚だか野菜だか果物だか穀物だか調理済みなのかすら分からない『謎の何か』だが非常に美味である事と人(カード)に拠って調理方法がガラリと変化する上にそれを作る当人すら理解出来ないし再現も出来ない事だけは知られている代物だ。しかも優れた調理技術が無ければ決して調理すら出来ない事、それとこれは決して腐らずそのまま放置しても絶対に大丈夫である事も追記しておく(カードなら料理技能必須)

 

大輝も幼い頃に一度だけ(姫子を守りきって生還した祝いに姫子と一緒に)食べた事があるが……どう表現して良いか分からないが素晴らしい体験だった事だけは理解出来たしまた食べたいと心底思える様な、そんなどう表現すれば良いか分からない至福だった

 

何故かこれはどういう理屈か飲食が不可能なカードでも食べられるらしく……今回はストーンゴーレムのために料理技能持ちのキキーモラがその日の夕食に調理してくれた

 

全員で仲良くつついた『ズンドコベロンチョ』は非常に美味だった。あれは多分鍋だったと思う。ストーンゴーレムも喜んでいた()

 

大食らいの剣や手の目すらお椀一膳で満足満腹する不可思議な美食体験だった……けど姫子には決して言えない秘密になってしまったが(次回は必ず『家に持ち帰る』とカード達とは約束済みである)

 

 

今回も探索は大成功だった。カーバンクル討伐で剣達は戦闘力が最大値まで高められたし、オーブ以外でも結構技能の獲得も出来た。皆で『ズンドコベロンチョ』を食べたり色々ちゃんと話し合ったせいかちゃんとブラウニーやフェアリー達とも『テレパス』が出来る様になった

 

非常に見入りの良い最良の探索だった

 

明日は姫子と夏休みの宿題をこなして明後日に海でご褒美デート、明後日はまた別にやりたい事をやってからこの試験の詰めだ……あのカーバンクル達は『迷宮主を倒すまで再配置されない』からもう旨味はあの迷宮には無い

 

今は八月の初めで……まだまだ帰還予定時刻ならばカードショップも普通に開いているからお宝の鑑定やストーンゴーレムやそろそろ良い頃合いになったブラウニー用のカードの代金の目処もついたから調査して貰ったり色々しないとならない事も沢山ある。新しい武具もカード化したり色々換金やら何やら色々やるべきことは沢山ある

 

詰めておくべき収穫物だけをリュックに詰め込んで大輝は迷宮を出た。四日ぶりの夏の日差しは非常に眩しかった

 

 

 

【Tips】ボアオーク

 

オークの先祖返りとも進化形とも言われるオークの上位種族。基本的に頭が猪になった事以外はオークそのものな外見……だが

 

オークの弱点である頭の弱さ、鈍重さ、不器用さに魔力の無さを全て克服している上に元からの強みも強化された紛うことなきオークの上位種族

 

そしてその真価は……『オークの上位種族としての特性』から来る固有の先天技能『猪鬼将軍』だろう。この能力は『眷属召喚』という能力の一種で一日に最大三十六体、一度に六体までの『眷属オーク』を使役出来る、という能力だ(その『眷属オーク』は全て全裸か腰蓑か褌一丁で素手という姿でカードのオークよりもかなり弱い代物ではあるが)

 

クラスチェンジ経路や属性なども基本的にオークと同じなので磨きあげたオーク使いはまずこのボアオークにマイナーチェンジするのが鉄板とされている

 

【種族】ボアオーク

【戦闘力】180

【先天技能】

・猪鬼将軍:『眷属召喚』の一種、カード版よりも劣化した『眷属オーク(後天技能無し、戦闘力八割)』を召喚使役出来る『上位オーク』としての特性

頑丈、怪力、統率を内包する

・武術

・威圧:強烈な迫力で敵の動きを鈍らせ、稀に怯ませる事が可能。但し臆病な気質持ちか『格下』にしか通用しない

 

後天技能は基本的にオークと同じだが魔法や一般技能もある程度習得可能

 

 

 

【Tips】グレムリン

Eランク迷宮からなら世界各国どの迷宮にも必ず出没する冒険者や軍人全ての嫌われ者

 

第一次世界大戦における飛行機の故障(実際には技術がまだ未熟だったせいだが)の原因として飛行機乗りに恐れられた近代の妖精とも悪魔とも言える存在

 

外見的には八十年代のあの有名な映画に出てくる『あのクリーチャーに纏わる最後の約束を破った後の姿に蝙蝠の羽根を追加した様な』小柄かつ醜悪な小鬼。羽根はあるが短時間の滑空程度にしか使えない

 

こいつの特性は『機械の否定』、幾らかの溜め時間と集中の後に放たれる特殊な電磁波で機械類を全て破壊する事ができる(懐中電灯や銃、手巻き懐中時計程度に複雑な機械なら確実に破壊出来る……実験の結果火縄銃や単純な構造のボウガン辺りならば使用可能ではあるらしい)

 

この効果は『人工魔道具』にも有効であり、冒険者必携の『冒険者ライセンス』などもこの効果で破壊されるし……冒険者の大事なツールである電子端末も勿論影響を受ける

 

その為、こいつが出るEランク迷宮からは通常のモンスターによる死者が出やすくなるので常に警戒が呼びかけられている(慣れ始めた頃によくある事故らしい)

 

基本的に悪戯好きで取り合いの難しいカードだから人気は無いが使いこなせれば逆に非常に便利な代物ではあるらしい(よくすれ違った他の冒険者に攻撃されるらしいが)

 

 

【種族】グレムリン

【戦闘力】60

【先天技能】

・機械の天敵:グレムリンを象徴する能力。二秒三秒の溜めと集中を必要とするがありとあらゆる機械類を破壊出来る電磁波を放てる

この能力は半径五十米が有効範囲となる

この能力は育て方次第で色々な成長の余地がある……らしい

・悪魔妖精:悪魔妖精の亜種、妖精にして悪魔。育成次第で悪魔にも妖精にもどちらにでもなれる存在。魔法に対するプラス補正

後天技能は基本的に魔法系と技術、知識がメインとなる

 

 

 

【Tips】シークレットダンジョン

 迷宮はそのすべてが公開されているわけではなく、希少な魔道具がドロップしやすい迷宮や、人気のあるカードが出現する迷宮は、国益の観点から国に独占されている。そうした軍の管理する迷宮をシークレットダンジョンと呼ぶ。

 冒険者に公開されている迷宮は、国からすれば旨味のない迷宮であり、それらの迷宮のアンゴルモア対策を冒険者たちに任せることで、限られた軍の戦力をリターンの大きい迷宮に集中させるのが冒険者制度の目的の一つである。

 シークレットダンジョンの一部は、プロ冒険者に限り公開されているものもあるが、ドロップアイテムの持ち出しの禁止や高額な入場料など様々な条件付きのモノとなっている。

 

(※:公式より百均様の許可を頂いて掲載)

 

 

【Tips】シークレットダンジョン補足項

今回みたいに『比較的旨味の少ない素人向けのシークレットダンジョン』は偶に『見処のある新人冒険者の試験用』に使える事がある。今回のシークレットダンジョンはEランク階層からカーバンクルが必ず一から最大三体発生するという仕様になっている(ついでに『金色のガッカリ箱』のアタリ率も高いらしい)

 

但し、普段はかなり発見は難しい隠し部屋などに隠れている上にこの迷宮がシークレットダンジョンである事は受験者当人が気付かない限り決して教えられる事は無い

 

大輝の場合はちゃんとこの迷宮に沢山のカーバンクルが居た事を報告したので(手の目の件も含めて)かなり良い『口止め料』が貰えた

 

『試験用ダンジョンには守秘義務がある事』と『政府や自衛隊は一人でも優秀な冒険者が欲しい事』から思いついた発想

 

 

【Tips】ズンドコベロンチョ

 

ありとあらゆる全てが正体不明の珍味。分かる事は『ガッカリ箱からごく稀に出る』、『一流以上の料理人や料理技能持ちカードでないと調理不能』、『ズンドコベロンチョという名前である事』だけである(全てのカード達が皆これを『ズンドコベロンチョだ』と証言し、非常に美味である事を教えてくれた)

 

今もこれの正体を探る為の研究は(食品系企業メインで)続いているが成果は未だ無い

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。