本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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今回初登場キャラが何のコスプレをしているか?そのカード達の元ネタが何かわかった人は筆者と同じウサミン世代です。わかるかな?

久しぶりにアンケートやります


第十七話 冒険者の醍醐味はデッキ編成とコレクション閲覧に有り

 

『さぁ今回のメインマッチ、選手たちの入場です』

 

とある高級住宅地に建つ築七年最新鋭最高峰仕様、アンゴルモア対策もバッチリな佐藤家の(日本一般家屋としては)かなり広いリビングルームのやはりかなりの大型テレビ(少なくとも奨学カード一枚分程度の値段)からは古代ローマのコロッセオを模した造りの建造物で二人の男が対峙している姿が写し出されていた

 

これは『モンスターコロシアム(略してモンコロ)』というこの冒険者時代を象徴する競技……いやショーだ

 

ある特殊な迷宮(Cランクモンスター一体だけがボスとして現れるだけの特殊なEランク迷宮)の再利用の為に考案されたショーとも賭博とも言える代物で。今の『冒険者ブーム』を支える屋台骨でもある

 

ショーと一言では言ってもやる事はモンスターとモンスターの殺し合い(レギュレーションに拠っては違うが)であり、正しく現代に蘇った剣闘士興行だ

 

幾つかの相違点として……命を賭けるのは剣闘士たるマスターではなくカード達であり、マスターは経済的損失を賭して闘う(実際にはスポンサーから供給されるカードだが)

 

ともあれ、今時の剣闘士は嘗ての剣闘士の様な奴隷(だけでなく一応は『市民権持ちの剣闘士』も存在するが割愛)ではなくむしろ『人気スポーツのアスリート』みたいなものである(奴隷はカードの方だとこの競技に否定的な者は言うが)

 

この競技に参加出来るのは少なくとも三つ星冒険者から、という大変狭い門を潜れるだけの力量(若しくは金銭……だけではまず決して成功は無いだろう)が必要になる

 

今回の選手もその狭い門を潜ってこの場に立てるエリート冒険者にして剣闘士……いや、デュエリストである

 

片やまぁ顔は良い範囲だが軽薄さと傲慢さが鼻につく気障っぷりが印象的な若い男……見た目の良いカードでデッキ編成しているとか何とか言われてはいるが大輝とその身内知己一同的には印象の悪い選手が何かカッコイイはカッコイイとは言えるがどこか印象に薄いBGMと一緒に気取ったポーズで現れる

 

もう一人の選手は……大輝もその身内一同も好きな選手であり人気の実力派(イロモノ)選手だ

 

長閑で良い曲だが決して戦場にはそぐわない『はとぽっぽ(北京語バージョン)』をBGMに現れたその男はかなり奇抜な出立ちであった

 

赤ら顔に泥鰌髭で弁髪な……言うなれば『似非中国人』みたいな風態をした中年のおっさん(に見えるメイク、鬘、つけ髭)が青地に白抜きの八卦模様をあしらった道袍(霊幻道士の装束)姿で背中には太極剣を模した木剣(桃の木製)、首から白い頭陀袋を掛けてその頭陀袋から黄色い御札……状に切った紙片を撒き散らしながらもう片方の手で大きなハンドベルにも似た鈴を鳴らしながら悠然とゲートから現れる光景がテレビに写し出される

 

この男こそモンコロ有数の実力派兼イロモノ選手『金長選手』、またの名を『金長道士』である

 

道士装束のこの男、その身なり通りに殭屍(キョンシー)使いにして中華系カードの達人として有名な四つ星冒険者かつ中華系カード(特に殭屍系統)とキョンシー映画を推すダンジョンチューバーにしてダンジョンマート所属の凄腕冒険者でもある

 

ダンジョンチューバーというのは動画投稿サイト『My Tube』に迷宮内部の事柄を投稿する事を専門とする投稿者の総称であり、一般人が迷宮の内部を知るきっかけかつ娯楽として大人気なコンテンツだが大概の動画は美化に美化を重ねて脚色した内容ばかりなので話半分に見聞きした方が良いだろう(その美化を真に受けて現実に心をへし折られたルーキーなぞ毎年必ず現れるが)。彼の動画は逆に非常に泥臭い『現実』にも(非常にコメディタッチだが)対応しているので『真面目な冒険者』を目指すなら必見必聴扱いされている(ダンジョンチューバーは真面目な冒険者からは嫌われやすいが、彼はかなり貴重な例外としても有名だ)

 

彼の動画は常に過剰な中華系推しさえ目を瞑れば常に丁寧に色々(特に新人には)必要な情報をくれる良動画として人気である

 

流石にREIKA(レイカ)というこの界隈トップである四つ星冒険者兼アイドル程ではないが人気ダンジョンチューバーであり大輝達みたいな真面目な冒険者の一部からはある意味REIKA以上に支持されている存在でもある(大輝やその周囲の場合は縁故もあるが)。要は『玄人人気』という奴だ

 

この金長という男……実は大輝の父直属の部下でありメアリーさんの一番弟子でもある大輝や姫子にとっての兄弟子とも言える存在だ

 

尤も、彼は職務であるダンジョンマート所有のCランクプライベートダンジョン管理(攻略)と四つ星冒険者の義務である国家からの指定Cランク迷宮攻略の為に大輝の両親もその直上の上司たる姫子の両親にも月に数回顔を合わせられるかどうかだが

 

大輝や姫子、他の門弟一同からも好かれている陽気で気の良い兄ちゃんというのが『メアリー塾一門』一同からの彼への評価だ

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

今回の『デスマッチ(十枚登録したデッキ全てを使い、一度には三体だけ出せて片方が全てロストするまで行うモンコロでも一番キツいタイプの試合ルール。一応ギブアップはあるが……)』だが……

 

大輝の見立て通りに金長さんがあっさりと……チャラ男の最後のカードであるCランク天使を最初から出ずっぱりなキョンシー達(『自爆持ち』で有名な太った少年型、太ったおっさん型、何か凶悪な造形の髭面)が元気に踊り喰いしている光景が(それを見て絶望して真っ白になっているチャラ男と一緒に。BGMは咀嚼音とその貪り喰われる天使の悲鳴と血飛沫に観客の歓声、チャラ男の絶望の嘆きで)テレビに写されていた

 

悪趣味な見せ物だがモンコロでは日常の光景だ(天使は某ゲームの影響で一部からは蛇蝎の様に忌み嫌われている事もあるだろうが)。時には金長さんのキョンシーが殺られる顛末だって普通にあるし

 

しかも……恐らくだがこれは『制裁試合』だろう

 

あのチャラ男は色々と評判が悪く、裏では様々な女性を……とか色々悪い噂があったが、恐らくそれが事実だったのだろう

 

その証拠にこの試合は『選手の完全自己負担ルール』と最初から言っていた(普通ならスポンサーがある程度立て替えてくれたりカードを支給してくれたりするのが普通である)

 

見てくれとコスプレ元が『頓馬な三枚目』である金長さんを舐めてかかった……その結果がこれだ

 

それで『モンコロの裏』を多少なりとも知る者は『あっ』と察するだろう(あのチャラ男もギブアップしなかった……いや、出来なかった理由がそれだろう)

 

そんなわかりきった結末(チャラ男のカードが割れる音、崩れ落ちる音、絶望の叫びにファンファーレと金長さんを讃える解説と大歓声)を尻目に大輝は一人一枚板のテーブルに並べた大輝のカード達を眺めている

 

そのカード達は今の大輝の主力達であるボアオークや送り狼、ジャック・オー・ランタンやクラスチェンジに成功した元ストーンゴーレム現塗り壁や新戦力のキキーモラに新たに得たカード達

 

その中で大輝が見ていたのは五枚のフェアリー達と二十数枚のEランクカード達だ

 

その中にあるグレムリン、インプ、スプライトといった妖精や小悪魔系統のフェアリー達のクラスチェンジに使える……勿論、全て男なカード達である

 

フェアリー達は基本的に男と女の確率は半々……それでもやはり全て男な辺り大輝の特性が出ているのだろう。無意識にすら女の子カードを避けているらしい(五枚とも男カードなので比較的安く売られていたから『とりあえずの繋ぎ』として買っただけだが)

 

少なくとも三体はスプライトとして育てるのは確定している。スプライトには昔……あの第二次アンゴルモアで世話になったものだ

 

スプライトは『姿隠しの妖精』、あの時は必死になってこの妖精の能力を活用して命懸けのかくれんぼを姫子とやっていた……ゆっくりゆっくりまるで缶蹴りの様にスプライトの力でモンスターだらけの地獄絵図から安全圏を目指していた

 

……最後の最後で失敗してそのスプライトを囮に逃げたり姫子を庇って大怪我したり(運良く再帰可能かつミドルポーション1瓶で完治する範囲だったけど)と色々あったものだ

 

ちなみにこのスプライトという妖精は……風の妖精(シルフ)とも水の妖精(ウンディーネ)とも、はたまた亡霊とも言われる少々起源が曖昧な妖精の一種だ

 

カードとして言うならば。このカードは先天技能にある『かくれんぼ』にこそ真価がある代物だ

 

『かくれんぼ』というのは…… 姿と気配を隠すことができる。透明化、気配遮断を内包するという身隠しに特化したスキルであり、大輝が両親から渡されていたものは大人一人分(幼い子供なら二人分)ぐらいは一緒に巻き込める特別な一枚だった(下手な奨学カードよりもお高いかも知れない)

 

気配を遮断するだけならポルターガイストという同じEランクカードもあるが……気配遮断だけでは余りにも心ともなかったのでこの特別製スプライトを大輝のいざという時のお守りにしたというエピソードがある

 

 

尤も、そのスプライトは『女の子カード』であり……大輝の特性が最後に仇となってそのスプライトを失い大輝は大怪我という結末だった(むしろ『スプライトと大輝自身の努力でその程度で済んだ』だろうか?)

 

大輝はそのスプライト達を偵察目的で運用するつもりである……残り二枚のフェアリーをどうするか?という問題もあるが

 

そのスプライトだけでなく……大輝はEランクカード達の中でも十枚はあるとあるカードを見る

 

 

ウィル・オ・ウィスプ

 

 

鬼火や人魂という近類亜種を持つ精霊とも亡霊ともつかない曖昧極まりない不安定なモンスター(カード)である

 

普段はただふよふよ浮かんでいるだけだが敵(人間やカード)を見かけた時には一変して俊敏に突撃して来て更には自爆である

 

スプライトや先のポルターガイストと組んで敵に忍び寄り……其処から自爆は何気に恐ろしいEランクのモンスターコンボの一種として悪名高い

 

このモンスターを冒険者が起用するならやる事は一つだ

 

 

『自爆』である

 

 

基本的にそれ以外の攻撃手段なぞ体当たりしか無い上にその体当たりもワイルドウルフ辺りを相手にするのが精々という有り様である

 

一応、霊体の類いに分類されるが中心にある『核』に少しでもダメージを受ければ即座にロストしてしまう程に脆い(人間でも何らかの鈍器を使って全力で殴れば撃破出来るだろう)

 

基本的にこのモンスターの戦闘力は殆ど全て『自爆用のエネルギーと自爆時の推進力』だと思えば良い

 

ちなみにその自爆の威力だが……マイナーチェンジする直前の剣辺りでも非常に高い確率で一撃ロストするレベルだと言っておく(十一層の最も弱い状態ですら)

 

Cランクでもものに拠っては一撃ロストもあり得る非常に危険なモンスターがこのウィル・オ・ウィスプみたいな通称鬼火シリーズである

 

ちなみにこのウィル・オ・ウィスプや鬼火、人魂の区別は『色と自爆した際の属性』でわかる

 

黄色っぽく自爆すると電撃を撒き散らすのがウィル・オ・ウィスプ、普通に赤い炎で自爆すると爆発するのが鬼火、青色かつ冷たくて自爆すると液体窒素を撒き散らした様な有り様になるのが人魂だ

 

ちなみに鬼火と人魂には面白い使い道が存在する

 

鬼火はそのまま料理や暖房……要は竈代わりに。人魂は冷房であり飲み物を冷やす役に立つ

 

とあるダンジョンマート所属冒険者がこの人魂を使ってアイスクリーム(要はダンジョン飯の除霊ソルベみたいなもの)を作る動画を挙げて盛大にバズった事がある

 

特殊な処置をした瓶にアイスクリームの素材と人魂をいれて紐で括って振り回すだけで完成するお手軽アイスクリーム(正確にはソルベ)だ

 

ちなみにその人物こそ先の金長道士で、彼が一躍有名になったきっかけでもある

 

ついでにこの通称『人魂アイスクリーム』はダンジョンマートが商標登録した超人気商品であり今も色々なフレーバーが出ているダンジョンマートの主力でありやはり後に現れるダンジョンマート独占商品である『死ぬほどうめぇ棒』にも比肩する超人気商品だ(この『死ぬほどうめぇ棒』はとある座敷童使いの影響で評価されての話であり……今から一年と数ヶ月後の話ではあるが)

 

話が逸れたが、この鬼火達はマスターにリンク能力さえ有れば追尾ミサイルの様にも機能するが機雷の様な使い道も可能である(実際にはこの使い道が普通だが……特にリンク能力の無い冒険者にとっては)

 

まぁ……リンク能力の無いマスターでも『更に上位の鬼火系カード』さえ有れば擬似的にではあるが(その鬼火系カードにコントロールを頼む事で)追尾ミサイルの様に使うことが可能となる

 

大輝ならば名付けしたジャック・オー・ランタンの『燈(ともしび)』にやって貰えるだろう

 

しかし……何であろうと『カードを使い捨てる』という事には変わりないので無闇矢鱈とこの戦法を使い過ぎると他のカード達に愛想を尽かされる可能性がある事は努努忘れてはならない

 

大輝は次の……このギフテッドを通り越してバグとしか言い様の無い手の目を除けばある意味一番貴重で珍しいEランクカード、少なくとも日本で判明している限りEランク唯一の空間型である『燈無蕎麦』を見る

 

あれは……Eランクが出る層の外れの袋小路にぽつねんと佇んでいた

 

尤も、空間型モンスターなので気配を完全に遮断してはいたが手の目の『心眼』と『手目坊主』ならば簡単に解るしまた『心眼』の機能で空間型にもある程度のダメージを与えられるし何なら『出入り口の発見』も可能という事もわかった

 

尤も、それはこの燈無蕎麦が素の手の目並みに弱いモンスターだから討伐可能だっただけでこれがあの有名なウィンチェスターハウスやアルカトラズみたいなDランクだとかなり手間暇がかかっていた(あれらはとても広いから『核』を探すだけでも一苦労だろう)

 

ちなみに先に挙げた『アルカトラズ』とは……恐らく世界一有名な刑務所にして軍事施設であるアメリカのアルカトラズ島そのもの(日本版は刑務所施設だけ)である

 

このアルカトラズは異空間カードの中でも珍しい区分に入る『要塞型』であり異空間系の中では戦闘能力が高く防衛力にも定評がある

 

収容人数は(日本版なら)ウィンチェスターハウスと同じ程度、しかも戦闘能力にリソースを割いている事と元が刑務所である事もあって居住性はお察しだ(居住空間は『所長室』を除けば全て独房、殆どプライバシーは無い、トイレさえ丸見え、一応シャワー施設と体育館程度の運動場、食堂はあるがやはり其処もお察しだ)

 

『核』は『看守長』と呼ばれる如何にも悪徳看守でございといった風態の中年男とその配下である数人から数十人の『看守』という名のEランク相当の眷属達を引き連れている

 

『所長室』とは、このカードの主人である者とその人物に招かれた者と『看守長』だけが入れる場所……要はこのカードのマスター専用のプライベートルームである(この中だけでも家族数人ならば普通に生活可能、施設も少なくともウィンチェスターハウス並みには整っている)

 

ちなみにネイティブ版ならばCクラスの強カードでありその範囲は『島一つ分の軍事拠点兼監獄』だ

 

尤も……日本版もネイティブも基本的に食事に関しては非常に評判が悪い(ウィンチェスターハウス以下、と言われているぐらいだがこれでも『刑務所の飯としてならかなり上等な部類』ではあるのだが)

 

一方、大輝が入手出来た『燈無蕎麦』だが……居住性は前にも挙げた通りにかなり悪い(アルカトラズ以下と言っても過言ではないだろう)

 

何せ担ぎ屋台がぽつんとあるだけの薄暗くて狭い空間しか無いのだから……その性質上明かりは灯せないから厄介だ(大輝のキャンプセットも発動不可能なぐらいに狭い)

 

しかし……蕎麦のみしか無いがこれだけならばあの有名なCランクのマヨヒガすらも凌駕すると謳われてさえいる

 

まぁ……一応は空間型である事と蕎麦の美味さ以外には大した取り柄は無いが。今の大輝にとっては非常に有難いカードである

 

時に……空間型カードとカードホルダーが揃うとちょっとした『裏技』が使える様になる

 

前にカードホルダーについて言及した際に挙げた『デッキ編成』という言葉を皆様は覚えていらっしゃるだろうか?

 

これさえあればカード達は待機状態でもある程度のコミュニケーションが取れる。という隠し機能は案外知られてはいない

 

つまり……この『燈無蕎麦』があれば大輝のカード達はあの狭く薄暗い空間内ならば何時でも話し合う事も蕎麦を食う事も可能となる。または『低級収納』があるカード達に差し入れでも渡しておくなり何らかの箱をカード化しておけば多少はカード達への福利厚生が捗るのだ

 

勿論、それはマスターが空間型カードを使っていない……要はマスターが外界で日常生活を送る際の状況の話であり。そして残念ながら外界でカード達と会話する機能は無い(マスターがテレパスを修得していても、である)

 

後々……カードホルダーのこの機能を部分的にではあるが解明した結果でとある『奇跡の発明品』が誕生するがそれはまだ発表まで二年後の話である

 

さて、先ずはEランクの中からの『新しい戦力』と分類して良い……デッキ登録したり予定しているカード達はこんなものだろうか

 

次は……やはり主力となるDランクカード達と二枚の(意味は違えど)Cランク瑕疵カードの話だろう

 

先ずは塗り壁……ストーンゴーレムからのクラスチェンジ先に手に入れたカードだ

 

塗り壁には二種類あり、大概は鼬や狸が化けたものとされている(海外だと化け狸や狐、若しくは狢などは『シェイプシフター』や『ドッペルゲンガー』とも呼ばれているらしい)……が、こっちは日本の『道祖神』と習合した貴重な『国津神』に連なる『神格適性持ち塗り壁』だ(『零落した道祖神』という説もある)

 

能力的にはストーンゴーレムと同じく『タンク役』であり無機物の傷を(気休め程度には)癒す力や低級収納が使える、そして戦闘力は『準Cランク』と言って良い程強いパワーファイターでもある

 

ストーンゴーレムより機動力は有るが更に重い為に使い時は選ぶだろうが些細な欠点だ

 

『巌(いわお)』はあらゆる意味で強化されて洗練された。後は『慣らし』の後にEランク迷宮のボスを仕留めれば晴れて二つ星冒険者である

 

……尤も、ボスが『イレギュラー化』している気配、いや『予感』をビンビン感じるから厄介なのだが

 

その為……追加で『対イレギュラー戦力』だと言えるのはCランクの(瑕疵は決して無いがある意味では瑕疵だと言える)人前では決して出せないあの『ジャパニーズ・ヘンタイモンスター』のカードが切り札だろう

 

 

『八魔羅ノ大蛇(やまらのおろち)』

 

 

『百慕々語(ひゃくぼぼがたり)』なる古書(春画)に記載されている蛇頭が『魔羅(検索は自己責任で)』に置き換えられた零落に零落した八岐大蛇のパロディとされる下ネタ妖怪

 

そのゾンビ以下の最低最悪の外見のせいでCランク最安の超絶不人気カードだが実はかなり強い(特に『女』を相手にする際は)。ごく少数の覚悟完了した者やウケ狙い、若しくは更に一部の変態が使う事がある……勿論大輝は最初に挙げた『覚悟完了した者』である

 

一応は『零落した多頭蛇』なので多頭蛇や多頭竜ならば何にでもクラスチェンジが可能、蛇や竜の類いならほぼ全てのカードにマイナーチェンジが出来る……が、大概の蛇や竜系だとマイナーチェンジは逆に弱体化になるから要注意

 

基本的に性格的にはあまり癖は無いが非常に栗の花臭いのが更なる難点、こいつを扱う際は他の冒険者の視界には入れない(というか使わない)配慮は言うまでもない常識である

 

 

新規の即戦力はこんなものだろう。後はこれから育てる二軍枠達だ

 

・一反木綿

鹿児島の妖怪で柳田國男と現地の学者が共著による『大隅肝属郡方言集』に記されている。

 

一反というサイズの木綿みたい何かが空をひらひらと飛び、人の首や顔に巻き付き人を窒息死させたり人に巻き付いて攫うとされるが……かの『妖怪神』がこの妖怪を重用した結果として一反木綿は塗り壁と同じく一躍有数の人気妖怪へと躍進した(かの『妖怪神』の影響で『善属性』を獲得した上にあのアニメみたいな性格がデフォになっているぐらいだ……塗り壁と同じく)

 

カードとしての能力は飛行能力(かなり速い)にその飛行能力を与える装備化(羽衣の様に巻き付く)と騎乗能力(あのアニメの様に)を持っている。要は機動力特化タイプだが火炎と斬撃には非常に弱いが次に説明するヒッポグリフと違って音も無く飛べる上に気配遮断持ちなので偵察向きのカードとも言える

 

・ヒッポグリフ

グリフィンという獅子と鷲の合わさった幻獣と雌馬の間の仔であるこれまた幻獣の一種。馬はグリフィンにとっての『餌』である為普通は生まれる事の無い『有り得ない存在』を意味する

 

『狂えるオルランド』に登場し、シャルルマーニュ十二勇士の一人であるアストルフォの乗騎(後に解放してしまっているが)として有名だろう

 

カードとしては高い戦闘力を持ち空戦能力のある機動アタッカーといった処で騎乗能力も活かして空戦に使えるだろう

 

・カラドリウス

キリストの化身とも、神の使いとも言われている霊鳥の一種

 

危篤の王の枕元に現れ、回復の見込みがある(あるいは徳の良い)なら目をじっと見つめ、病を吸い取ってくれる。そうでなければ飛び去ってゆく。西欧では見ただけで病が薄まり、糞を飲めば不老長寿になると謂われている(ちなみにその糞もガッカリ箱限定で出てくるが……せいぜい『一年間の老化防止』程度の効果しか無い。しかし『とある最低最悪のイレギュラー対策』の為に非常に高値で売れる。売値だいたい一億程度で)

 

首にアヌビスの書かれた黒い袋を提げており、吸い取った病をその袋に貯める。貯めた病が最大量まで達すると卵を産む……と言われている為かキリスト教やローマ神話、エジプト神話など様々な宗教と習合出来るという何気に凄い特徴がある

 

カードとしてはやはり回復、治癒特化であり偶(数週間)に一度卵を産む能力がある。その卵は非常に美味で美容、痩身効果に長ける希少食材(要は美容特化ローポーションみたいなもの)である

反面戦闘力は額面通りとはいかずヘルハウンド辺りでも敗北する怖れがあるほど戦闘能力は低い

 

・奪衣婆

三途の河で亡者の服を剥ぎ死装束に着替えさせる老婆型の鬼にして日本仏教における冥界の官吏の一柱

 

剥いだ衣服は懸衣翁(けんえおう)という奪衣婆の夫とされる老人型の鬼が衣領樹(えりょうじゅ)という木の上にかけて亡者の罪を量るとされている

 

カードとしてなら何の変哲もない物理アタッカーだが、何気に『二体一心』持ちであり相棒の懸衣翁と揃えればその真価を発揮出来る様になる

 

この二枚が揃った時だけ使える能力は強力だが非常に使い時を選ぶ取り合いの難しい代物で、その容姿の悪さと基本的な戦闘力の低さもあって『二体一心』持ちとしては比較的安い分類に入る

 

・オーク(2号)

説明不用

 

1号たる剣と違って本当に標準的なオーク。腰蓑一丁に棍棒スタイル

 

・ライラプス

アルテミス若しくはゼウス(モブ高世界ではアルテミス説が有力とされている)がクレタの王ミノスに授けた猟犬(元はヘパイストスの作品だとも謂われている)

 

『どんな獲物も決して逃がさない』という運命を持つが『どんな存在にも捕まえられない』という運命を持った牝狐を捕まえる事になった結果永遠の追いかけっこが始まる前にゼウスがこの猟犬と牝狐を石に変えてしまった

 

ギリシャ神話における『矛盾』である

 

カードとしてなら追跡能力の高い斥候役(但し索敵用と割り切るべし)かつ『奨学カード』の一種として有名。戦闘能力はオークには流石に劣るがそれでもそこそこはこなせるだろう

 

・ホブゴブリン

『田舎のゴブリン』とも謂われている(ゴブリンの中では)親切な妖精の一種。但し悪戯好きな面は変わらないが

 

モブ高世界では近年のファンタジー要素が強く『上位のゴブリン』としての扱いになる

 

基本的に能力は(人間の様に)千差万別であるが大概戦士か盗賊に偏っている(魔法使いも居るが希少)

 

カードとしてなら先に挙げた通りの戦士かつ盗賊的な役割を担うだろう。大した強みは無いが代わりに弱点も無い万能とも無個性とも言えるカードである(全ては育て方次第だが)

 

・オーガ

瑕疵カード。『零落した存在』持ちでメアリーさんも持て余していた

 

・ジャック・オー・ランタン

南瓜型の瑕疵カード。『臆病』持ちで燈の復活用に買い取り(南瓜か白蕪かは復活には関係ない)

 

そして……最後の『ケットシー』だが、あれは育てはするが大輝のデッキには入らない。後々にある目的の為に使う予定だ

 

 

新しく入手したカード達はこんな処か?そして次は今までの主力達を良く見て新しいデッキをどう編成するかを熟慮しなくてはならない

 

 

 

次回に続く

 

 

【Tips】モンスターコロシアム

 冒険者たちがカードを使って戦うさまを観戦する新しい娯楽。プロ冒険者が互いのカードがロストするまで戦うデスマッチ、女の子モンスターオンリーのキャットファイト、複数の冒険者が一人になるまで戦うバトルロワイヤル、数十人の冒険者が赤軍・白軍に分かれて戦う軍団戦など、様々なコンテンツがある。

 残酷だ、人道に反しているなどの批判はあるが、このモンスターコロシアムが冒険者ブームの火付け役となったのは誰の眼から見ても明らか。

 飽食の時代、民衆はやはりサーカスを求めていたのかもしれない。

 

【Tips】ダンジョンチューバー

 動画投稿サイト『My Tube』に投稿することを目的として迷宮へと潜る冒険者の総称。その大半は一ツ星であり、動画再生による広告収入など雀の涙のようなものであるが、中には一ツ星にもかかわらずプロ以上の収入を得る者もいる。

 動画の撮れ高のために無茶なことをしたり、他の冒険者に絡んだりするダンジョンチューバーも多く、真っ当な冒険者からは嫌われる傾向にある。

※以下二つの【Tips】は百均様の許可を得て転載

 

【Tips】カードホルダー

迷宮産のカードであるならばモンスターカード、マジックカード、アイテムカード全てを問わず無限に収納出来るプロ冒険者や札商(政府公認のカードディーラー)の必需品

 

所有者以外はカードを取り出せない防犯機能やその時取り出したいカードが一番上に来る機能や内部の保有カードを検索して網膜にデータを映し出す機能、『デッキ登録機能(要はお気に入り登録)』……そして『空間系カード』をデッキ登録しているカード達の拠点としてデッキ登録カード達に(スリープ中は)解放する機能などが存在する

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