『名付け』を一番詳細にやってみた……これで『第一部の大詰め』が出来る
※:百均様の公式【Tips】を転載使用しました(承認済み)
その後は姫子と二人で眠り……あの薄着(水着姿)で抱きつかれてだったからこっそり『スリープクラウド』のマジックカードで姫子も巻き込んで強制的に眠りについた(もしも意識を残していたら……多分だが『大変な事』になっていただろう。流石に『中学一年生の母』は洒落にならない、いわゆるウサミン案件の極みだと言って良い古い鬱ドラマ『十四歳の母』展開なぞマジで真っ平御免被る)
そこそこ良い値段のカードだが理性が灼き切れる前に行使したのは英断だったと自認する
『ちゃんと準備が出来た状態』ならば今すぐにでも魂に隠した常に荒ぶり姫子に狂う狼さんが解放出来るけど……今はまだ流石に早すぎる
次の日も姫子と一緒に元気に(一反木綿とヒッポグリフによる)レース遊びをしたり泳いだり新規発生したボスの始末と色々やって昼過ぎには帰宅
そして直ちにメアリーさんに連絡してから『トムテの件』について話をしにいった……が、メアリーさんは既に『姫子の手札事情』なんぞちゃんと把握していたから問題は一切無かった(『この二人ならこうなる』と最初から予測していたらしい)
正式に『懸衣翁』の取り寄せ依頼ととある魔道具の買い取り後は家でゆっくり休んで決戦準備である
何事もなく二つ星昇格試験の舞台であるあの迷宮に戻りブラウニーをトムテにクラスチェンジさせる……勿論成功だ
次にやるべき事は……勿論、『名付け』である
『蔵(くら)』
大事な荷物運搬係にして斥候役……次のクラスチェンジではとある『鍛治職人な妖怪』にする意図を込めての命名である
まだまだ殆ど喋る能力は無いが蔵は喜んでくれたしカードにも名前がちゃんと記載されているから一安心だ
【種族】トムテ(蔵)
【戦闘力】200(70UP!)
【先天技能】
・中級家妖精(農):人間の代わりに家事をしてくれる妖精。……が、迷宮内では家などないためいまいち使いどころは不明。農夫、中等家事魔法を内包
(農夫:農家として必要な技能を一通り習得している証。獣の世話なども可能)
・中級収納:物を収納できる内部空間を持つ、中級は十畳程度程の広さ(CHANGE!)
・中級状態異常魔法(CHANGE!)
【後天技能】
・中等罠発見/解除
・器用性強化
・鋭敏感覚
・初等支援魔法
・妖精のお節介(NEW!)
……よもやよもやである。まさかこんなに早く収納が強化されるとは驚きだ。『名付けが成立した瞬間』にカードが輝いて下級収納が中級収納に格上げしたり『妖精のお節介』を新規獲得したりと色々あるものだ
ブラウニーだった頃の経験と習合した結果なのはわかるが……また珍しい話である
次は……色々な意味で問題児なあいつだ
『主人殿、初の召喚でありますな?それと一昨日の酒精まだありますか?』
……代表らしい『首?』からそんな声が聞こえてくる。見てくれの割には非常に礼儀正しい性格らしい(大蛇らしい酒好きさはともかくとしてだが)
このやまらのおろち、何気に涼やかな良い声をしている
普通のやまらのおろちは非常に烏賊だか栗の花だか臭く、そして基本的にそのなりに相応しい下品な性格なのだが……まぁ礼儀正しい分には良いだろう。少なくとも大輝はこいつの(最悪な)外見を受け入れる覚悟はちゃんと定めて購入したのだから
大輝には彼の相方である『いやだひめ』はまともに召喚出来ないからちゃんとその辺りも含めて話し合いが要るだろう。彼の要望などもちゃんと聞かなくてはならない(マスターとして)
『私の……要望ですか?』
やまらのおろちは真面目に考え込んで……そして真顔……顔?蛇というよりは亀の顔で絞り出す様に願いを言った
『この……卑猥な姿じゃなくてちゃんとした蛇になりたいです』
……確かに、確かにそれはそうだ。真っ当な羞恥心があるならそうだろう
『更に……更に願うなら、私の本来のあの姿になりたいです』
『八岐大蛇』
ネイティブならば文句なしのAランクカード相当だろう。民間人では決して入手出来ない超絶たる国家の切り札にして世界全てを探しても十数枚あるかどうかの秘宝そのものである(実在するかどうかの情報すら怪しい代物だが)
海外版ならBランクでも存在するだろうが……大輝が知る札商でもこれは流石に厳しいだろう(発見だけでさえ年単位は覚悟しなくてはならないし、購買ともなれば何十億もの大金が必要とされる)
ちなみに似た様なBランクモンスターに『ヒュドラ』がいるが……日本で手に入るバージョンでも売却価格二十億。最低限中の最低限価格でこれである
四つ星にでも成れば頑張れば何時かは届くだろうが……大輝の回答は
「今はまだマイナーチェンジすら無理……だが、ちゃんと頑張れば俺もお前たちに応える。少なくとも絶対にちゃんとした龍だか蛇だかにはしてやるさ、絶対にな」
流石に大輝だってこんな卑猥な怪物を何時までも連れ回す訳にはいかないだろう。自分でこいつを引き取ったのならこいつへの責任だけはちゃんと取らなくてはならないだろう
さて……少なくともやまらのおろちはCランク内なら結構な実力派モンスターである。少なくとも比較的安い方の龍蛇系統では単なる弱体化にしかならない。そもそも比較的安い分類のザウルス辺りには適性も無いし
少なくとも『来年の四月』迄には必ずこいつをマイナーチェンジ(出来ればクラスチェンジ)しておかなくてはならない……姫子はその時から普通に冒険者資格を獲得して大輝と合流する予定なのだから
それとこのやまらのおろちにはいやだひめへの執着はあまり無いみたいである。あれは姫子には非常に相性の悪いカードなので大輝には揃える機会は無いと判断しているからその辺りは有り難い話だ
大輝自身もちゃんと更に鍛えておかないと姫子のロケットダッシュに置いていかれそうだからやまらのおろち磨きにも気合いが入る
さて……八岐大蛇は大目標の一つ、当面は『やまらのおろちのちゃんとしたマイナーチェンジ』と『三つ星資格獲得』がこの試験終了後の目標だろう
勿論、他の連中もちゃんと鍛えてクラスチェンジも真剣に考えなくてはならないだろう。その予算獲得に何れ訪れる『真の目的』であるアンゴルモア対策だってある
やるべき事や必要な能力も手札も資金も機材も人材も何もかもが全く足りない……まだまだ要精進である
そして……後はやはり無難に手の目とキキーモラだろう。手の目は居るだけで稼ぎが違うし探知能力も高い、キキーモラは言わずと知れた回復、支援役である。勿論、一度は必ず祝を召喚して出口を記憶させてからだ
ちなみにキキーモラの婆さんはやまらのおろちをみてめ只『ご立派だね』と言うだけで赤面一つしなかった……流石に枯れた婆さん型だけはある
そんなこんなでまた探索……いいや、やまらのおろちとキキーモラのレベリングが始まった
さっとFランク階層を超えてEランク階層での修行が始まる
探してみるとまだカーバンクルは五匹は居た。もしかしたら再ポップかもしれないがまぁ非常にありがたい話である。手の目とて本格的な宝探し能力がある訳では無いから取りこぼしだってあるだろうし
入手した五つのカーバンクルガーネットややはり五つの金色ガッカリ箱も非常にありがたいものだが……一番はやはりやまらのおろちの戦闘力向上だろう(流石に技能はまだ生えないが)
沢山のガッカリ箱と五つある金のガッカリ箱だが……沢山のガッカリ箱は魔石やしょっぱい魔道具、良くて幾つかの下級ポーションと普通の金貨一枚(だいたい十万円相当)に一個だけアタリで残り全てがハズレのオーブばかりだった
ハズレオーブを適当なFランクで試してみても良かったが、手の目の顔を立て……るのもあるがそういう無体はあまり好きにはなれないからやめた
ちなみにそのアタリは手の目に使ったが……それは初等クラスではあったが『神通力』だった
そして金のガッカリ箱は
一つ目、無銘の名剣(広刃剣型)
二つ目、さっきの金貨三十枚入りの皮袋
三つ目、金磚(きんせん)。中国式の煉瓦の一種であり、『ある程度の追尾能力と投げても必ず帰ってくる能力』を持った『宝貝(ぱおべえ)』と呼ばれるタイプの魔道具の(比較的ありふれた)一種、勿論元が煉瓦なので強度はお察しである。または『劣化版タスラム』とも言う
四つ目、保護のブーツ(直ぐに履き替えた)
五つ目……個人的には保護のブーツ並みに大当たりな代物だった
前に挙げた姫子の軍刀……あれとだいたい同じ長さの長脇差サイズで反りのあまり無い造りの刀
そしてそれはいわゆる『白木造りの仕込み杖』と呼ぼうか?
何故か大輝の手の目に異様な程にしっくり来る無銘の名刀である
大輝は今まで手の目に使わせていた俊敏の銅剣を蔵に渡して代わりに手の目には仕込み杖を渡す……前に使って直ぐに折れた凡庸シリーズよりも手にしっくり馴染む
振って納刀を繰り返す。振って納刀を繰り返す。振って納刀を繰り返す……
最初は手の目だけ、次は大輝が『化けの皮』を使って融合した状態で何度も振るい納刀を繰り返す
風鳴り具合が凡庸シリーズだった時とはまるで違う。あの見てくれだけの鉄板擬きと違って振り心地が良い
納刀時にも違いが激しい……凡庸シリーズの時は『反り』が噛み合わずに抜刀も納刀も鞘にかかってばかりだったものだ
まぁ……凡庸シリーズの武具に鞘なんぞ本来なら無いから仕方ないのだが
そもそも『鞘』というものはあれで何気に高い技術と予算を必要とする代物であり……特に日本刀の鞘は非常に精緻精密に造り拵える必要があるものなのだ
日本刀という代物は大量に造る数打ちですら基本的に殆ど同じ仕様にはならない。西洋剣みたいな鋳造による画一過的な量産とは絶望的に相性が悪いものである
皆様も『反りが合わない』という言葉を聞いた事があるでしょう?その『反り』とは『鞘と刀が合わない』という意味から来ているものだったりする
西洋剣みたいな鋳造造りならばその寸法に合わせて革なり木なり金属なりで鞘造りは比較的簡単ではあるが……
無銘シリーズからは基本的に簡素な造りではあるがちゃんと鞘が付くのは有り難い話である(代わりに凡庸シリーズと違ってカード化能力は付いて無いが)
俊敏の銅剣も非常に良い物ではあったが、あの手の目が振るうにはちと違和感が強かった。あの銅剣はやはりトムテとなった蔵にこそ似合うと思うのだ……あの指輪物語のバギンズの一族が担ったつらぬき丸みたいで
後でこれだけでも必ずカード化はしておかなくてはならない。大輝はそう強く決意した
ちなみに……広刃剣の方は大輝が腰に履いて持ち歩く事も考えはしたが、今は無駄な荷物でしか無いから蔵に預けておく事にした
一応、カードホルダーは剣帯にもなる仕様だから剣を帯びるのも有りと言えば有りなのだが
今の大輝(手の目)ならばEランクの魔物程度ならばだいたいはどうにでもなる……多数に囲まれたりしなければ、ではあるが
そして……この手の目が開眼した『盲剣術』なる謎の技能についても少しだけ分かってきた
この『盲剣術』という代物は言うなれば『居合い術』に通じるスタイルらしい。この手の目の姿型の元となったあの映画の主人公の様に『視界に一切頼らない剣技』として使える事が(あの新しい仕込み杖で)理解出来た
そしてこの盲剣術、どうやら『心眼』とのシナジーもあるらしくむしろ視界の無い今の方が『視える』し感じられるのだ
あのウィル・オ・ウィスプの核を簡単に感知出来る程に繊細に刃を振る事も、林檎の皮を軽々剥く事も均等な八等分も簡単に出来る。何気に正確に文字も書けるし他にも木片に姫子の似姿を正確精密に彫り込んだりも出来た(最後の方はその日の就寝前の手慰みだが)
それに合わせて新しい能力である『神通力』も試してみる
初等クラスならば「念動力(神足通)」「地獄耳(天耳通)」「悪意の感知(他心通)」「物質の記憶を読み取る(宿命通)」「カルマを見る(天眼通)」「除霊(漏尽通)」という力が使えるらしい……が、割と手の目が元から持つ能力と被っている様な気もする(後でシナジー効果とか無いか試す必要があるだろう)
そんなこんなでやまらのおろちをメインに鍛え上げ、手の目の『盲剣術』と『心眼』、ついでに『神通力』について考察したりしながら一日は過ぎ去る
一応は室内であり、最低限引っ張り出したエアマットとブランケットで就寝していた大輝だが……少し催してきたのでトイレに向かう
……やはり普通の迷宮トイレは臭くて嫌になるものだ
まだまだ沢山残っているウォータージャグから水を出して手を洗う。その最中でまだ残っていた酒を呑むやまらのおろちの姿が見える
酔ってないなら別によし。そう判断して寝床に戻ろうとしたが……その近くに手の目が居た。どうやら手の目もちびりちびりと一杯やっている姿が見える
……大輝の頭に前々から考えていたあるプランがよぎる
『手の目に名付けしたい』
大輝も残っていたお茶のボトルを取って手の目の居る場所に向かう。善は急げだ
「手の目……ちょっと良いか?」
そう言って手の目の前に胡座をかく
『どうしたんでさぁ、旦那?』
大輝は頭をぽりぽり掻きながら手の目に単刀直入に告げる
「なに、お前に俺からの名付けを受けてくれないかと思ってな?」
手の目は『やはり』といった感で大輝を見つめ……そして真面目な口調でこう言った
『旦那。あっしは旦那からの名付けなら諸手を挙げて賛成しやすが……その前に一つだけ聞いて欲しい話がありやす』
「話?、そりゃ何だい手の目よ?」
手の目は酒を傍に置き、近くに有ったお茶のボトルからその中身を一気に飲み干す……手の目としてもこの話はなるべく素面でないと語れない気がするからだ
少なくとも『気に入ったマスター』に対しては真摯に接するべきだろう。気に入らないマスター相手ならまず名付けなぞ真っ平御免被る話だし……大輝が『本気で気に入らないマスター』ならばあえて名付けを受けて出来る嫌がらせだってある
今から手の目が話す内容こそがその『嫌がらせ』に纏わる部分なのだから
『旦那は、自身の『体質』については何処までご存知で?』
「まぁ……女の子カードとのラインが碌に見えない、召喚した女の子カードが苦しみだす、少しの時間でも下手したらマイナススキルが付きそうになるって事ぐらいかな?」
『へい、確かにそうでやすね。そしてあっしの能力はだいたい把握してはいやすね?』
大輝は無言で頷いた
『これは……多分でやんすが、旦那があっしに『名付け』を行うと旦那のいい人みたいに『女の子カードが二度と召喚出来ない体質になる』と思いやす』
「……は?」
手の目は大輝の疑問符から一拍おいてゆっくりと。またお茶を飲み干してから話す
『あっしは『手の目』の中でもかなり変わった個体でさぁ。このなりからして分かるでしょう旦那?』
「そうだな、そのなりだけでもお前は人気出そうだしな」
『なら話が早いってもんでさぁ……』
「手の目よ、お前はどうしてそんな発想に至ったよ?」
手の目も困ったように頭を掻いて苦笑いを浮かべる
『あっしの色々とある技能……それらが変に混ざって旦那のその体質を強化しちまうって今日得たばかりの神通力で感じたんでさぁ』
成る程……それは確かに説明が難しい話ではあるなと大輝は思った
「なら手の目、お前が感じた事を教えてくれ。お前の名付けにどんなメリットとデメリットがあるかも」
手の目はもう一度茶を呑み干して居住いを整える。そして告げる
『感じた事はさっき述べた通り……まずは悪い面からにしやしょうか』
悪い面を挙げるならこうだろう
・今の大輝の体質ならば女の子カードの召喚はまだ何とか可能であり、もしかしたら『相性の非常に良いカード』ならばリンクも名付けも出来る可能性が残っている。しかし……この手の目に名付けを行えば女の子カードの召喚能力は完全に消失して二度と取り戻せなくなる(但しキキーモラや奪衣婆などの召喚能力やリンク適性は変化しない)
良い面ならばこうだ
・手の目に名付けが出来る
・もしかしたら……その体質強化で大輝自身の『何か』が良い方にも強化されるかも知れない
良い面は非常にあやふやだが……まぁ手の目の主観からの発言だ
全てはあやふや、色々な意味での丁半博打みたいなものだろう
大輝自身は博打は嫌いだが……世の中には『絶対に避けて通れない博打』なんぞ幾らでもあるのが常識だ
手の目そのものなら幾らでも信用も信頼も出来る……だが今回の根拠そのものが非常にあやふやなものなので『実は間違いだった』というオチだってあるだろう
それが真実だったとしたら?
そしてそれが真実だった際にはやはりまたもう一つ賭けになる……『乗るか反るか』である
……しかし大輝は既に答えを出している。最初っから既に決めた答えがあるだけだ
『俺のカンは告げている……あいつは決して手放してはならないと』
……白状すればカンや実利だけではなく、ただ純粋にあの手の目を気に入ったというだけだ
確かに女の子カードにも極めて稀だろうが大輝と相性の合うものだってある可能性も……
そもそも、大輝自身は『この体質』を自覚する前から女の子カード何ぞ(戦力として以外で)求めた覚えが無い
後はキキーモラや奪衣婆の婆さん達とはそのまま……
嗚呼、それならば簡単な話だ。とっても簡単な答えだ
『俺には可愛い女の子カード何ぞ要らない』
手の目の言っていた内容、そして手の目と女の子カードを取り扱える可能性……天秤にかけたら手の目が簡単に勝っただけだ
『大切な存在の為に求める優秀な味方』と『綺麗だけど大して必要ないもの』を天秤にかけたら普通はそうなるだろう、大輝にとっては只それだけの話だ
「なぁ……手の目、いや『定(さだめ)』だな。お前のおかげで俺は自分の宿業をもう一度理解出来たと思うんだ」
手の目……いや『名付け』を受け入れた事は大輝の持つカードが光り輝く辺りで直ぐにわかる。その輝きが彼は単なる手の目から『定』という名前を受け入れた証なのだから
『……しかし、旦那も変わったお人でさぁ。可愛い女の子じゃなくてあっしみてぇなうらぶれた与太者何ざを選ぶとはね』
「既に『一番大切な存在』は見つけている。俺はお前らが気に入っただけだ、俺の『一番大切な存在』を護る力だと信じただけさ」
『なら……あっしも旦那に地獄の果てまで着いてゆくだけってもんでさぁ』
この期に及んで『仁義切り』も『盃事』も要らないだろう。元より親分子分の関係だから
だけど定と少しだけ酌み交わし呑んだ酒は……苦いけど旨いとも感じられた事を大輝は生涯忘れる事は無かった
そんな夜を超えて……その日もまたやまらのおろちや巌、キキーモラ達の育成に費やした
今日のガッカリ箱(オーブ)は全て不発だったしもうカーバンクルは居ない。それが当たり前だが
昨日や今日手に入れた殆ど全ての臭い袋……いや最初の奴を使った時にやまらのおろちから
『その臭いなら私にも再現が出来ますね。魔物寄せも出来ましょう』
と言われたのでやまらのおろちの『悪臭操作』で再現して貰う事にしたら常に臭い袋を使っている様な状態となり非常に沢山の魔物を狩る事に成功した
途中で投擲持ちの剣に金磚の使い心地を試してもらったが……まぁ剣の感覚だと『その辺の石礫のほうが使い易い』という評価だったので金磚は後で売るものに入れようと思う(後で分かった事には市価だいたい五十万円程度だった)
そしてこの日も最下層手前の安全地帯で一晩を過ごし……ようやくこの二つ星昇進試験も大詰めに入る
今日の決戦用編成は剣、定、祝、キキーモラの基本的な編成でいく事にした
最下層の階段から最下層そのものに足を踏み入れ……
ぞわり
まるで背筋に毒毛虫か何かでも這いずり回る様な不快感を感じた
ある程度の覚悟はしている。その為の備えだって今出来るうちならば万端だ
恐る恐る周囲を見渡せば……嗚呼、やはり
「やっぱりか、嫌な予感は良く当たるぜ……」
やはり想定は当たっていた
大輝達はイレギュラーに巻き込まれた
次回に続く
【Tips】イレギュラーエンカウント
全迷宮において常に一体しか存在しない特別なモンスター。本来の迷宮主を喰らい、それを知らずにやってきた冒険者を狩るという習性を持つ。戦闘力はその迷宮相応となるがスキルは弱体化しないこと、迷宮のランクを問わず完全ランダムに出現すること、一度最深部に足を踏み入れたらイレギュラーエンカウントを倒さなくては生きて帰れないことから、冒険者たちに畏れられている
迷宮もカード同様、高ランクほど数が少なくなるためイレギュラーエンカウントは主に低ランクの迷宮に現れる傾向がある。そのため、イレギュラーエンカウントの被害に会うのも新人が多くなるため、新人殺しの異名も持つ
なお、イレギュラーエンカウントのカード化に成功した例は報告されていない
※ネタバレ:落選した懸衣翁は今回出すイレギュラー特効メタでした
ブラウニーのクラスチェンジ先と懸衣翁、どっちが欲しい?
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ブラウニーのクラスチェンジ先
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懸衣翁(二体一心カードのもう一つ)