本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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短いけど最後の決戦準備から

※:【Tips】を土ノ子氏からお借りしています
※:魔法効果などに筆者の独自見解が入っています


第二十五話 戦争は支度八割

 

さて……

 

とうとうイレギュラー(クソッタレ)の拠点間近に到達した(周囲一帯の悍ましいオブジェは……後でしっかり『対策』が居るが)

 

前哨戦を支えてくれたカード達の状況は……

 

 

剣:本体は軽症、疲労は魔石一個で完全に回復する程度。渡していた金磚は度重なる酷使で破損済み。眷属は六体出して(残り時間だいたい五十分はある)四体追加可能

 

定:本体は軽症(大輝自身含めて)、やはり疲労は魔石一個で完全に回復する程度(定自体は『酒と旨い飯が欲しいから後で頼む』との事)

 

燈:本体は無傷……だが魔力の消耗が激しいから虎の子のマナポーション(魔力回復用ポーション、通常のポーションより結構お高い上にあまり市場には出回らない)と魔石回復で(気力含めて)完全回復済み

 

やまらのおろち:そこそこダメージはあるがミドルポーション一つとCランク魔石一個で回復済み、気力もやはりCランク魔石で回復

 

残りの面子はまだ温存しているので万全な状態である

 

 

さて、カード達はこうして色々無理が効くしそもそも体力気力が人間とはモノが違う……しかし人間はこうはいかない

 

大輝だって人間だ、流石にカードほど都合の良い体質でもないしそもそも体力気力の元値だってカードとは違う

 

しかし大輝にも『こういう事態が起こる』と予め予想は出来ていたし覚悟だってある

 

だからこその対応手段だって既に用意済みだ

 

手早く支度しながらポーチから二つの小瓶と小さなスキットル、そして丸薬一錠を引っ張り出す。スキットルには度の強い火酒(ウォッカ)が入っている(消毒、気付用の品)

 

二つの小瓶はそれぞれ『やる気ポーション』、『ワーキング24』という人工純正魔道具の一種でそれぞれ気力回復効果と『飲めば24時間、眠らずに絶好調で動き続けられる薬。しかし、24時間後には、通常の三倍の眠気と疲労が襲ってくるため注意。連続使用は二本まで』という効き目が存在する

 

ちなみにこの二つは『ニシモリ製薬』の人気商品(のシリーズ)であり大輝自身も友人の家業(のアルバイト)で偶にお世話ななっている……やはり大人気ゲーム会社(ナグモゲームズ)でのデバッガー業務や漫画家稼業(のアシスタント)は身入りは最高だが件の薬にしょっちゅう世話になっているぐらいには切羽詰まるハードなものだった(だからその分も身入りもボーナスも非常に高いのだが)

 

このバイト経験が剣の購入資金になったのは有り難い話だったが

 

そして最後の丸薬だが、これは迷宮産の純正魔道具の『完全消化薬』。こいつはプロや軍人冒険者御用達の逸品だ

 

『体内の消化効率を上げ、食べた物をすべて吸収できるようになる丸薬。有害なモノは、取り込まれずに分解される。トイレに行かなくて済むため、軍人や冒険者御用達の一品。ただし、太りやすくなるため、使いすぎに注意』という説明文が魔道具辞典に記載されている(大輝の冒険者用スマホにもアプリとして入っている)

 

その油紙みたいな包装紙に包まれていた一錠限りの丸薬を二種類の薬とウォッカでちゃんぽんになった口内に放りこんで飲み下す

 

これは下級(ロー)ポーションとだいたい同じ頻度でガッカリ箱から出る上割と安く買えるから殆ど全ての冒険者ギルドや高ランク迷宮に設置されているダンジョンマートなどで簡単に買い求める事が出来る(市価一つ十万円はするが)

 

大輝もこれからの鉄火場を察してその対処対策に用意しておいた(先の二つはバイト先からの支給品の余り、丸薬はダンジョンドロップをそのまま貯蓄していたもの)

 

そのちゃんぽんがまだ少し口にある状況で更にあるモノを出して包装を解く

 

こっちはダンジョンマートが開発した冒険者用超濃縮カロリーバー(フルーツ味)だ

 

これはカロリーメイ○に似てはいるがその含有するカロリーは桁違いの逸品で一本で一気に2,500キロカロリーが摂取出来るとこういう鉄火場の軍人やプロ達から大人気の一品である

 

ちなみに魔道具などではないがその製法を応用して作成されたと言われている。自衛隊に卸す為にダンジョンマートが開発した比較的初期の人気商品だったが今では世界中でライセンス生産されていてそれぞれのお国柄が出ているとかいないとか

 

大輝もバイト先やメアリー塾での遠足行程(長時間耐久移動訓練)、稀に新製品のテスター依頼などでやはりちょくちょく食べる機会があって大概の国産フレーバーや海外の人気フレーバーなら結構実食済みだ

 

味は良いが非常に味気なくパサパサするのが難点なので食べるのに水分が欠かせないが腹の中で結構膨らむから腹持ちも非常に良いとされている正に戦闘糧食(コンバットレーション)

 

特に極地(雪原、砂漠、湿地帯など)の過酷な環境下を往くプロや軍人達から重宝されている(前に大輝が貰ったレーションパックにも封入済みだ)、ついでに言うなら対遭難用の非常用キットや民間でもアンゴルモア対策の持ち出し袋に必ず二つ三つは(非常用備蓄水と一緒に)入っているのが普通だ(消費期限も五年は持つから非常用としてもまた優秀なのだ)

 

一度二度食べるには良いかも知れないがこういう鉄火場か極地でのカロリー補助、若しくは非常用に使う為の食品として節度を以て食べるべきだろう……そのカロリーは洒落にならないほど高い代物故に

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

水筒の水でちゃんぽん液とパサパサのカロリーバーを飲み下せば大輝の身体やコンディションはこれで大丈夫だろう(実質的には『体力気力を未来から前借りしているだけ』だが今この瞬間とこの鉄火場踏破こそが肝心肝要だから良し、である)

 

カード達が魔石……普通よりも上質な代物(C、Dランク魔石)を噛み砕いて嚥下は当に終わらせている。後は最後の支度だろう

 

大輝はカードホルダーから何枚ものカードを取り出す。一つは虎の子である高等補助魔法:促成成長(レベルアップ)が封じられている魔法カード

 

次の一つもやはり虎の子である高等補助魔法:保険(インシュアランス)が封じられた魔法カード

 

もう一つは……幾つか予備のある中等クラスの魔法カードだ

 

それは中等回復魔法:免疫(イミュニティ)、やはり買うには高いが先に挙げた二枚よりかはまだ発見し易いから使い易さもある

 

効果は『範囲上の対象全てに状態異常への耐性を与える』という決戦では非常に重要な効果だ……一応、大輝の手持ちであるキキーモラやカラドリウスなら使えはするがカードに戻すとかけた補助、支援魔法は効力を失う為今回は魔法カードで一気に行う事にした

 

ちなみに大輝がこの前に使ったのも中等状態異常魔法:誘眠(スリープ)という代物でありやはり幾つかは予備もある……一応は強力な睡眠効果もあるがその効果で必ず自分も巻き込む為半ばジョークアイテム扱いの不遇カードとして有名な魔法カードである(それでも需要は以外とあるけど)

 

出来れば攻撃力、防御力、敏捷強化などの魔法カードも有れば良かったがまぁ今回は巡り合わせが悪かった様で手持ちには無い

 

今出したカード達には任意で使える様に殆どの魔石を分散して持たせた。回復手段として中等クラスの治癒魔法カードに中等(ミドル)ポーションや高等(ハイ)ポーションだって備蓄を椀飯振る舞いだ

 

そして最後にやる事は……

 

 

「燈、やれ」

キホッ(アイアイサー)

 

 

そんなやりとりと魔法カード発動の果てに燈の最大威力かつ広範囲に拡大した高等火炎魔法が構築される。魔石を……Cランクを何個か使って少しは溜めすら行った必殺必滅の火炎魔法だ(ついでに鎮痛剤を飲み下しながらシンクロだって行使する、今は少しでも威力が欲しいから)。狙いはあの干された生皮全て、『開戦の狼煙』には丁度良いだろう

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それだけだ

 

 

 

しかし……今大輝達が対峙するのは『糞と汚物の下水煮』、『クソの肥溜め漬け』、『迷宮最大最悪の害悪』とも謂われる厄災の化身が一つだ

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

『ギヒヒィ、駄ァ目じゃナイか?ヲぉとメのオ着物焼こうナんてサぁッ!』

 

 

悍ましい……唯悍ましいとしか表現出来ない女の声が響く。それと同時に何かが高速で燈にブチ当たる!!!

 

 

燈を貫通したのは……山刀にも見紛う様な出刃包丁だった

 

 

 

 

次回に続く

 

【Tips】ニシモリ製薬

 土ノ子氏オリジナル企業。主に迷宮から産出されるポーション類を取り扱っており、そのシェアは国内最大手を占める。その隆盛は迷宮時代最大の成り上がり企業であるダンジョンマートに迫る勢い。

 二十年前の迷宮出現による劇的な世界の変化にもいち早く適応し、ポーションの流通促進に一役買った経緯がある。逆に旧来の医薬品製造にこだわり続けた企業の未来は芳しくなかったという……。

 迷宮産の各種ポーションやアイテムを組み合わせたオリジナルのポーションレシピを多数開発・販売する現代の錬金術師の集まりであり、蓄積された技術は世界でもトップクラス。

 ちなみに社長夫妻は国際結婚。跡継ぎの長男がイギリスに留学した際に優れた薬学者だった妻と出会い、恋に落ちた。夫人の旧姓はウェストウッド。彼らの馴れ初めは互いの名字が互いの母語で同義語だった奇縁から始まったという

その社長夫妻の末妹は冒険者となったが大輝達との縁があるかは未だ不明(但し面識は多少はある様だ)

ブラウニーのクラスチェンジ先と懸衣翁、どっちが欲しい?

  • ブラウニーのクラスチェンジ先
  • 懸衣翁(二体一心カードのもう一つ)
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