本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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アンケート終了、結果は今回を読めば分かると思います


一章幕間その5 遅ればせながらマスコット参上

 

結果から言うと定と『贋作妖刀』は……ベストマッチだった。明らかに定は興奮すらしていた

 

 

『……お、おおっ!?』

 

 

何時も悠然としている定もご覧の状態だ……だが、残念ながら定のクラスチェンジはメアリーさんからの依頼で暫く禁止だ。恐らくはその依頼期間内の実験か何かのタイミングになるだろう

 

とりあえず定もその事をちゃんと思い出してくれたので今は贋作妖刀を高和に返却した

 

そして続く話は…… 『カイロネイアの片獅子』についてだった。高和もその性格や性癖的にそういうカードは幾つか持ってはいる、何ならコレクションしていると言っても良いがそのカード同士の相性が良い組み合わせはまだ一つも巡り合った試しが無い

 

逆に『女の子カード同士の百合』ならば偶にあるらしい。この場合は『清き白百合の誓い』と呼ばれる様だ

 

その高和のコレクションを見せて貰う……オーク、オーガ、エルフ、ドワーフ、高和が持っているのはヒューマノイドタイプのカード達ばかりだ

 

先ずは相性確認の為に異空間に外に出て召喚から試す必要があるだろう。高和もこのコレクションカード達には所有権を付与してはいないので借りるのは簡単だ

 

指をカードホルダーに収納してある針で刺して出た血をその数枚のカード達に掛けてそれぞれを召喚してからの面談となる

 

定以外の皆には一度帰還して貰い、今回の件で一番重要なやまらのおろちを召喚する。そして残りの召喚枠全てで今回借りた彼らを召喚してみる

 

先ずは大輝が召喚して『相性が良い』と判断した者達だけを残しての面談となるが……大輝が『本当に相性が良い』と思えたカードは三枚だけだった

 

オーク、オーガ、そして『それ』は……

 

 

『ジャパニーズヘンタイモンスター』の一種だった

 

 

『それ』は後ろ姿だけなら美女の様にも見える。しかし振り向けば……いっそ落武者か何かの様に禿げているのにそれ以外は殆ど毛むくじゃらな赤ら顔の醜悪な中年男の姿という酷い容貌の妖怪だ

 

これは『いやみ』と呼ばれる妖怪の一種で……その性質から『ジャパニーズヘンタイモンスター』の一種として悪名高い(有名な)カードだ

 

非常に灰汁の強い類いではあるが黄泉醜女に比べればまだ余程素直な性質の、Dクラスとしては間違いなく非常に強い一枚でありその性質上好事家や好色者から何気に(コアな)人気の高いカードであり、高和も最初は性癖的な面も無くは無いがむしろ自分の夢魔達の為に得たカードではあるが……まぁ『あの技能』を得た事でそれはご破産になった訳だが

 

やまらのおろちと三枚のカード達は向かい合い……何やら見つめあって何かを探りあっている様に見える

 

まぁ……今は彼らをそっとしておこう。大輝はやまらのおろちに『片付いたら連絡入れてくれ』と残し、ついでにマヨヒガ製の酒もしこたま置いてまた商談に戻る事にした

 

……下手したら地獄絵図が展開されかねないし

 

まぁ、あの面子で一番高い殆ど瑕疵無しオーガでも今の大輝なら自前予算だけで充分買えるから問題は無いだろう

 

そして……また新しい商談に入る。今度はフェアリー用の新しいクラスチェンジ先についてだ

 

『悪戯好き』の方は姫子と前にトレードしたカードの一枚に適合するものがある、しかしもう一枚はまだ見つけてはいないので高和の商品に頼る事にした

 

何枚か見せて貰ったカードの中に一枚『ティンときた』ものを見たからそれと『真面目な』フェアリーを召喚してそのカードを見せてみる

 

そのカードは……姫子のデッキにも主力一翼に入っている代物だ

 

 

『ハイピクシー』

 

 

ピクシーと呼ばれる妖精の上位互換……大輝のエースである剣と同じく下位互換のカードを眷属召喚する能力を持った人気カードの一種である

 

……フェアリーは基本的に喋れないが、大輝がテレパスを行使して感想を聞いたところ、どうやら非常に満足している様である

 

贋作妖刀と一緒に購買リストにいれておく……そう言えば大輝には使い道に無いEランク女の子カードも結構死蔵ドロップがあったのを思い出す

 

前に入手したインプやスプライト合わせて五枚に前回の探索で得た追加五枚のそれぞれ五枚づつの瑕疵無しをついでに引き取って貰うのも良いだろう。高和みたいな若手札商的にもこういう安価な女の子カードは小さな取り引きやおまけなどにも扱い易いのでまぁ損な取り引きではないだろう……大輝の豪運でもあれだけしこたま乱獲しても十枚程度しか出ない代物なのだから

 

全部瑕疵も特徴もない普通の女の子カードばかりなので一律十五万円で引き取って貰える事になった、勿論その代金は今から支払うカード代と相殺になる。ギルドなら数万円其所ら、直接売買なら数十万円……Eランク女の子カードに十五万円ならまぁ双方に得だといえるか?

 

そしてそのフェアリーを今は送還して次に召喚したのは……『蕎麦』の看板が掛かった担ぎ屋台だった

 

これは『燈無蕎麦』という大輝が唯一持っている異空間型カードであり問題だらけではあるが間違いなく『持っているだけ上出来』だと言える程貴重なカードである

 

その担ぎ屋台からひょっこりとまるでデフォルメされたかの様な二頭身の、まるでぬいぐるみの様な頭に葉っぱを乗せ、蕎麦打ち作務衣を着た二足歩行する小狸がひょこひょこ短い足で出て来た

 

これはこの燈無蕎麦が持っている非常に珍しい後天技能『狐狸妖』の効果で出た燈無蕎麦の『口』……いや言って見れば『義体』みたいなものだ

 

 

『ご主人、どうしたポコよ?オイラをこんなすげぇ上位異空間に呼ぶなんてポコ?』

 

 

普通なら会話能力なぞ無い燈無蕎麦だが、この『狐狸妖』で質量を持った幻影、要は擬似的な肉体を得て会話や飲食だって熟せる。何ならこの身体で蕎麦作りや配膳だってやれるし姫子がもふもふしたりだって出来た……本体である担ぎ屋台は一切動かせないし其所から遠くには行けないが

 

大輝自身もこの小首を傾げる愛くるしい小狸を撫でながらひょいと頭の上に乗せて高和に聞いた

 

 

「高和兄さん、こいつに適合しそうな異空間カードって無いかな?」

 

「……とりあえず頭からは降ろしとけ、あとそいつちょっと触っていいか?」

 

 

頭から降ろして高和にその小狸を差し出す大輝……膝に乗せて優しくもふる高和。暫く無言で和む二人

 

しかし、和んでばかりもいられない。高和は小狸を大輝に返す……少々名残り惜しそうではあるが

 

この『狐狸妖』……比較的近年発見された新種同然のカードの技能である為かまだレアリティーははっきり判明はしていない。自衛隊やギルドでも未だその価値を決めかねているぐらいだ

 

……その可愛らしさから最近徐々に人気は増えて来ているが

 

その愛くるしい小狸を見ながら高和は……Dランク異空間カードの在庫を思い出しながらカードホルダーに触る

 

そして出したカードは三枚。Dランク異空間の定番中の定番であるウィンチェスターハウス、非常に小さいが居住性と食事は最高なチセコロカムイ、最後に……近年、この燈無蕎麦と同じく発見された『足洗屋敷』の三枚を出してきた

 

アルカトラズは燈無蕎麦とは絶対に相性が悪いだろう、ヘドンホールハウスは生憎在庫切れだから出さなかった……そもそも大輝自身とヘドンホールハウスの相性が非常に悪いから先ず有っても出さなかっただろうが

 

その三枚を見せられた小狸は……大輝の腕の中から出てその三枚を見たり触ったり匂いを嗅いだりして何かを探っている

 

それからだいたい五分ほど経過して……小狸はある一枚のカードを大輝の前に持って来た

 

 

『足洗屋敷』

 

 

燈無蕎麦と同じく江戸の『本所七不思議』に纏わる妖怪や怪現象の一種であり、これも燈無蕎麦と同じく異空間型カードの一種である

 

その形状は旗本屋敷とも武家屋敷とも言われる江戸時代でもそこそこ良い方の屋敷で、それなり以上に広く快適な家屋となっている

 

この足洗屋敷は『要塞型』とも呼ばれるタイプの異空間型カードでもあり、Dランク異空間型としてはかなり高い戦闘能力を保有している

 

ついでに言えば出せる食事もDランク基準ならばかなり美味しい部類に入る……ヘドンホールハウスやチセコロカムイには間違いなく負ける範囲ではあるが

 

しかし……しかしこの足洗屋敷には一つ致命的な欠陥が存在する

 

その致命的な欠陥というのがこの足洗屋敷の本体である

 

異空間型カードには必ず『本体』というその空間の『核』とでも言うべき何かが備わっている。今居るマヨヒガは(本来ならば)無色透明な何かだったり、大輝の燈無蕎麦ならあの担ぎ屋台、ヘドンホールハウスならばシルキーに似た妖精だか幽霊だかの姿、チセコロカムイならば家の最深部の壁にある神聖な窓『カムイプヤㇻ』が該当する

 

そしてこの足洗屋敷の場合は……大きくて毛むくじゃらかつ非常に汚い足である

 

しかも『脚を洗え』としか喋れない上にちゃんと定期的にその汚い足……『悪臭』のマイナススキル持ちを洗わないとロストしてしまう厄介極まりない弱点が付いている

 

その余りにも酷い弱点のおかげでこのカードはDランク異空間型カードとしては破格の五百万円が市価として定まりかけているという有り様だ

 

しかし燈無蕎麦は何故にこんな致命的な欠陥持ちを選んだのか?彼に先ずは話を聴いてみると……

 

 

『オイラはこいつじゃなきゃ駄目なんだって思ったポコよ。旦那、オイラを信じて欲しいポコ』

 

 

小狸の眼は真剣だ。カード同士だから伝わる『何か』があるのだろう……大輝自身も何か勘が呟いている感覚を覚える。この足洗屋敷をクラスチェンジに使うべきだとそう告げている

 

ならばやるべき事は一つだ

 

 

「よしわかったぞ燈無蕎麦、お前の意見を尊重しよう」

 

『旦那……ありがとうポコよ……』

 

 

足洗屋敷も買い取りリストに入れてさて……そろそろもう一つの『本題』に入らなくてはならない

 

大輝は自身のカードホルダーからとある一枚のカードを取り出した

 

 

デュラハンのカードだ

 

 

大輝の体質では召喚さえ不可能な女の子カードであり……姫子とも余り相性の良くないカードだったので札商である高和と何らかのCランクカードや魔道具か何かとトレードして貰う為に今此処に持ち込んだものである

 

勿論、贈り主である大輝の両親も承認済み……いやむしろ推奨すらしている。当然だ、佐藤夫妻が息子(大輝)に贈りたいのは価値があるだけで使えないカード何ぞではなく『安全』なのだから

 

少なくとも瑕疵の無い通常品質のデュラハンである。市価ならだいたい八千万円から九千万円はするCランクでも特に高価な人気カードであり、品質や在庫次第ではオークションにも出品される事だってある。高和ならば少なくとも可愛い弟弟子に阿漕な真似などせずに良い取り引きをしてくれるだろう。最悪大輝が求めるカードや魔道具が無かったとしてもトレード用に残しておくだけだし

 

そして高和の反応は……

 

 

「大輝……いや本当に助かるわ」

 

 

何やらデュラハンを要急募で求める案件があるらしい……先の『大規模な商談』でどうやらなるべく沢山のデュラハンが必要になっているらしく明日から同門や知己に電話をかけたりして余りや予備のデュラハン買い取りを行ったりする必要があったそうだ

 

ちなみに大輝の持っている一枚さえあれば手持ち在庫と合わせて必要指定枚数に届くとの事だ。後は増えれば増えるほど先方の印象は良くなるらしい

 

勿論、大輝のデュラハンは即買い取りで対価は先のDランクカード全てにやまらのおろちが選んだ『相棒』の半額値引き……それと高和が出したリストからCランクカード二枚が対価として支払われる事になった

 

デュラハン一枚でそれはかなり豪気な話ではあるが……まぁそれも『需要と供給』である。高和的にも特に期待している可愛い弟弟子には幾らかサービスしてやりたい気分でもある

 

それと小さな下心……大輝の豪運ならば良いカードの供給源になってくれそう、高い確率で必要なカードを持って来てくれそうだという期待と、今から出す『条件』も好奇心と『阿部カードトレーダーオフィス』の名をちょっと売るきっかけを掴む為の行動だ。要はちょっと恩を売りたいだけだ

 

その条件とは……契約で今はクラスチェンジ出来ない定以外全ての今日トレードしたカード達のクラスチェンジを撮影する権利と願わくば後の定のクラスチェンジシーンの動画提供である

 

メアリーさんから渡された契約書を調べたりメアリーさん当人に電話で聴いても特に問題なく定のクラスチェンジシーンなら提供出来るらしい

 

ついでに今からやる撮影も……高和に電話を代わってと少々興奮気味に言っていたので高和に代わる

 

その二人の対話中、リストを見ながら大輝は今Cランクにクラスチェンジ出来そうなカードらの事を考える

 

先ずは大輝のエースである剣、早くもボアオークでは窮屈になってしまっている様だ。なるべく良いカードを与えてやりたいが……リストからは適合しそうなカードは一枚だけ発見出来たが気に入るかはまた別の問題だろう

 

次に対瓜子姫戦で大奮闘してくれた燈、元が奨学カードなのでそろそろ本格的に戦力向上が必要になってくるだろう……こちらも運良くリストから適合しそうなカードが一枚見つかったがやはり燈との相性次第ではある

 

次は索敵役であり帰路限定ではあるがナビゲート能力持ちの祝……彼女のクラスチェンジ先は幾つか候補はあるが対象がかなり珍しいカードだったりプレミア的にお高いカードだったりで多分リストにはない代物だと思う

 

最後に……大輝のメイン装備カードである定、もし運が良ければ大輝も定を一気にCランクまで向上させておきたいと思っていた。妙法村正や千子村正、もしかしたら村雨だってあり得るだろう

 

……やはり祝と定に適合するカードは無かった。そろそろ話し合いを終えた高和に目星を付けたカードについて相談しようと思ったその時

 

大輝がテーブルの脇に置いていたとある四枚のカードのうち二枚が輝いていた

 

そのカードを確認して見ると……一枚目はやまらのおろち、変化は『カイロネイアの片獅子』が『カイロネイアの獅子』に変化していた。どうやらやまらのおろちは相方を運良く見つけられたらしい

 

そしてもう一枚の輝いていたカードがこれだ

 

 

【種族】いやみ

【戦闘力】195

【先天技能】

・イロ気妖怪:『色欲の気』とでも言うべき空気より重いピンク色のガスを精製する能力と『非常に卑猥な戦闘能力(射撃、束縛)』を内包している

・変化の術:色々な動物や人間に化ける事が出来る。人間化の『固定の姿』以外は長時間は持たない(『固定の人間化』だけならいつまでも、他はだいたい三十分程度。服装変化ぐらいなら二時間は持つ)

・色欲の塊:読んで字の如く。敵味方問わず『異性(稀に同性)』と呼べる存在が居れば士気と総合的な能力が向上する。性技を内包している

性的な誘惑に非常に弱い(『カイロネイアの獅子』の効果でこの弱点は消失)

※:『ヲカマ一代男』の効果で同性に固定済み

【後天技能】

・ヲカマ一代男:完全に同性志向のヲカマ者である事を示す。同性へのアクションにプラス補正、クラスチェンジ先に一部の女の子カードが使用可能になる

性技を内包する(色欲の塊に習合済み)

・武術

・カイロネイアの獅子:『男同士の番』を示す。『番』と同時に召喚すると全てのステータス向上、特殊な能力発動の代替などが可能になる。同時召喚時のみ生還の心得、庇うが習得状態になる。『番』若しくはマスターを庇う対象にする際のみ庇うは『献身の盾』と同じ扱いになる

性的な誘惑に対して非常に強い耐性を獲得するが『番の誘惑』は決して跳ね除けられない

番以外と『そういう関係』になるとこの技能は即何らかの相応しいマイナススキルに変化する

但し同時召喚しないと全てのステータスが僅かに低下する

友情連携を内包する

 

 

……なんともはや、やまらのおろちの相方もやはりジャパニーズヘンタイモンスターだったか

 

大輝のデッキはどうやら非常に灰汁の強いカードが集まり易いらしい……まぁ覚悟は最初からしていた。未熟者が最初から強いカードを求めるならばそういう灰汁だらけのカードを使うか剣や燈みたいに一から鍛えるかしか道は無い

 

元より大輝には女の子カードや只見目が良いだけのカードなぞ最初から求める気は無い。欲しいのは信頼出来るカードかつ次のアンゴルモアやイレギュラー襲来でも問題なく生き残る力を持ったカードである

 

今回の件で幾つか手札の補強も出来た。高和も必要な時に必要なカードを得られた。先ずはやまらのおろちといやみの話を聞いてから考えよう

 

 

 

 

【Tips】カイロネイアの獅子

 

本作オリジナル後天技能。『愛のスパルタ』とも呼ばれる『テーバイ神聖隊』の称号。『男同士の番』が150組で構成された戦士集団でありその戦闘能力は伝説のスパルタ戦士に匹敵すると謂われる

 

『己の番』を見つけていないカードの場合は『カイロネイアの片獅子』という殆ど何の能力も無い技能でしか無いが『番』を見つけた際に『カイロネイアの獅子』になる

 

得られる能力は莫大ではあるが『番以外は決して抱かない』という制約がありそれを破るとこの技能は即座に重いマイナススキルに変化する




大輝のデッキにも多少は彩が欲しい……大輝は実用・実戦主義だけど

この程度なら大輝だってやります(燈無蕎麦と相性が良いのもあるけど)
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