本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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第三話 人間関係バタフライエフェクト (改)

 

さて、愛海は無事にやり込める事には成功した……とは思う、思いたい、いや(姫子が)ちょっと後で覚悟しておく必要があるかも知れないが、そもそもの本題はまだ解決してはいない

 

通学路に増えゆく学生らから大輝を(激しい嫉妬で)睨みつける様に見る者達の視線……いや、そろそろ興味混じりで値踏みでもするかの様な視線が混じってきている

 

その興味と値踏みの視線は『ガチ勢っぽい学生冒険者』に見える者達から感じ取れる

 

 

『あぁ、やはりバレたか?』

 

 

大輝の実績は既にバレている、と念頭に入れておいた方が良いだろう。注意しながら観察していると……大輝が進む先に立って大輝の足取りをそれとなく止めようとする素振りを見せようとする者が居れば他の連中がそれをやはりそれとなく妨害している

 

恐らくは『紳士淑女協定』でも結んでいるのだろう。要は『抜け駆け禁止』といったところか?多分放課後辺りが正念場だろう

 

ひたすら面倒かつ厄介な話ではあるが……それでも気合いを入れてやらなくてはならない事だ。自分自身と姫子の自由の為にも

 

校舎が違うので姫子と別れた大輝は……粘りつく様な視線を受けながら下駄箱の辺りに辿り着く。室内履きを鞄から取り出しながら愛用のブーツ……姫子とお揃いの魔道具をするりと外してカードに戻す。足をしっかりガードして靴擦れや水虫を完璧に予防してくれるし疲れにくい、なのに着脱はサンダルより簡単なこの『保護のブーツ』はやはり素晴らしい

 

よく見ると辺りでもそれなり以上に腕が立ちそうな……大輝を見ていた連中も同じ保護のブーツを着脱しながらカードに戻している。間違いなく彼らも冒険者だろう

 

よく見れば彼らの他にも保護のブーツの代わりにカードホルダーを持っている奴、両方持っている奴様々な推定冒険者達が大輝を見ている

 

その異様な光景に少しヒいた大輝は即座に教室目掛けて小走りで急ぐ……大輝は今日は下駄箱に触らなかったから知る由も無いが、大輝の下駄箱には沢山の手紙が詰まっていた

 

大輝は放課後に知る事となるが、その手紙は全て勧誘の手紙だった

 

 

さて……異様な登校風景から一時的とはいえ逃れられた大輝だったが、クラスでも幾らか騒動が待ち構えていた様だ

 

五年前に完成した近代的なデザインの校舎……その中の中等部三年A組の教室に到着した

 

 

「夏休みの探索どうだった?」

「とりあえず目標のCランクカード買える程度には頑張った、ちょっと良い魔道具ゲット出来たのがデカいぜ!」

「……一昨日、相棒のオークが鬼火に殺られた、名付けはしたからカードさえあれば復活出来るけど誰か余りのオーク安く売ってくんない?」

「臆病の瑕疵持ちで良けりゃ魔石十万円分でいいぜ」

「冒険者稼業やり過ぎた!誰か夏休みの宿題写させてー!Eランクで良ければ何かやるからー!!」

「ほれっ……ってお前手持ちコボルトとかゾンビに……手の目かよ!、じゃあ手の目で勘弁してやるよ」

「ねーねー雫ちゃん、ハジメ君見なかった?」

「南雲君なら未だ来てないわよ、何時も通りギリギリじゃないかしら?彼何時も忙しいし……」

 

 

その性質上、冒険者っぷりがこれでもかと漂うこのクラスには大輝とそれなり以上に縁があり仲も……まぁ絶対に悪くはないと言えるクラスメイト達の半数が居る。残りの半数はまだ着いてはいないか朝練中か遅刻ギリギリの何かだろう

 

その中でも特に仲の良い『冒険者組』……このクラスは皆大半以上が現役冒険者か何らかの都合上未だデビュー前の冒険者志願しか居ない、その面子と言うかクラス全員が集まっている辺りに向かう。大輝の存在に気付いた彼らは大輝を即座に囲んできた

 

 

「……なぁ、大輝?」

 

 

自衛隊所属な姉が居てクラスで最初に三つ星昇格したベテランだと言えるこのクラスのリーダー格兼学級委員長である学生冒険者としてなら世に名の知られ初めて来た装備化使いの『折笠 勘太郎(おりかさ かんたろう)』が彼らを代表して真剣な表情で大輝に問いかける

 

 

「お前、夏休みでイレギュラー撃破したとか三つ星昇格……いや、それよりも」

 

 

勘太郎は大輝を真顔で見つめながら言葉を選ぶ様にゆっくりと大輝に問う

 

 

「……迷宮士資格、持っているのか?」

 

 

……直球で来たか、ならば少なくとも彼らには誠実に応えなくてはなるまい

 

 

「……そうだな、厄介事になりそうだから隠蔽するつもりだったけどイレギュラー撃破も三つ星昇格も。勿論、迷宮士資格も持っているぜ」

 

 

ざわざわ

ざわざわ

ざわざわ

 

 

冒険者組の騒めき……しかしそれは

 

 

パンパンッ!

 

 

勘太郎が手を叩く音で鎮まり返る

 

 

「……よし、わかった」

 

「何がだ、勘太郎よ?」

 

 

大輝は勘太郎にそう聴いてみる。そして勘太郎の回答は

 

 

「『それ』がバレたら確かにお前が大変な事になるわ……だから俺からも提案があるんだが?、一応はハジメ達とも前もって相談して考えた案だぞ」

 

 

勘太郎は一つ咳払いをしながら今居るクラスメイトな冒険者や志願者連中に円陣を組ませてヒソヒソと小声で『提案』を告げる

 

 

「なるほど……流石は勘太郎だ」

「そんなプランで大丈夫か?……けどこれよりマシな案と言われてもな……」

「だがこの学園……しかも中等部で初の迷宮士資格持ちだしな。そりゃ囲い込み対策しないと何処に引きずり込まれるかわかったもんじゃないしな」

「……私達だって佐藤君を、迷宮士資格持ち何て見たら囲い込みたい欲はあるわよ」

「てか、迷宮士資格無しでも大輝の価値はデカいだろ?何だよデビュー半年以内に三つ星とかEランクイレギュラー単騎討伐とかさ」

「大輝のデッキ編成……いや、あいつにその手の質問したらどんな地雷踏むかわからないからやめとこ。あいつ絶対二、三枚はCランク持ってそうだしな」

「唯、佐藤君のデッキだから先ず女の子カードは無さそうね……彼の性格考えたら」

「普通、中等部で迷宮士資格何て無理無茶無謀沙汰だしな……まさか『迷宮士資格に合格するまで冒険者デビューお預け』何て願掛けする奴が存在するとか普通は想定しないわ」

 

 

始業チャイムが鳴る。そろそろ体育館に集まらなくてはならない頃合いなので解散する……大方の打ち合わせ?雑談?は終わったので集まった全員で体育館へ向かう

 

大輝の背丈はクラス三位以内なのでクラス最後尾で同じクラスの通称『筋肉トリオ』と校長の長話を聞き流しながら小声で駄弁る

 

学年でも有数のマッチョである大輝を含めた学年最大級の長身筋骨隆々トリオ……そのうち二人だが、一人は『永山重吾』という柔道部のエース兼一つ星の新人冒険者だ。もう一人は『本来の運命』と激しくかけ離れた状態に有る、その結果『南雲ハジメの幼馴染』となった『坂上龍太郎』というやはり拳法部のエース兼一つ星の新人冒険者である

 

二人とも見てくれだけなら『脳筋』に見えるが……未熟も未熟とはいえ彼らは『ガチ勢の卵』、特に龍太郎は(この世界では)ハジメの幼馴染だけあってそれなりに『頭を使う事』の大切さを学んでいる。そして今は武術経験を活かせるガントレット型のリビングウェポンと奨学カードを相棒にFランク迷宮攻略を頑張っているらしい……しかし良くそんな珍品リビングウェポンが都合良く見つかったものだ

 

『身体作り』で気が合った三人は新しいプロテインの味や最近の筋トレ状況などを話題に駄弁りながら二人とも今は新しいDランクカードを購入する為に貯蓄中だと聞いたので大輝は二人に沢山ダブったリビングアーマーを格安で譲渡するのを考慮しようかと考える……特に龍太郎は彼女が格上の二つ星なので成長の機会には貪欲になっている。大輝にもその気持ちや想いは痛いほど理解できる

 

大輝自身も……己の最愛の恋人(姫子)の為に修羅道を征く身故に

 

確か龍太郎はホブゴブリン、重吾はオークを選んでいた筈だ……後は彼らの貯めた魔石か運次第だろう。運が良ければ良い交換用魔道具だってあるかも知れない

 

……『貸し一つ』という後で高値く付くだろう取り引きだって良いかも知れない

 

後で二人に交渉してみるのも良いだろう

 

リビングアーマーは市価だいたい八百五十万円辺り。だいたい四百五十万円程度の物々交換で良いだろう……Dランクカードでは如何に人気カードでもギルド売りでもだいたい百万円程度にしかならない

 

これがシルキーやエンプーサみたいな超人気女の子カードや異空間カードみたいな需要が暴騰している超稀少カードなら殆どCランクカードと同じ扱いになる……市価のだいたい半額、になるのだが

 

ついでだからおまけとして『臆病持ちのジャック・オ・ランタン』……いや在庫のオークかホブゴブリン辺りを付けてやっても良いだろう。もし要るならもう使わないジャック・オ・ランタンは今あげても構わないぐらいではあるが『施し』になるからやめた方が良いだろう

 

あの二人のリビングウェポンをリビングアーマーにクラスチェンジさせたら……案外『聖衣(クロス)』みたいなデザインになりそうではある。リビングアーマーのデザインはだいたい似たり寄ったりの一般兵卒用量産型アーマーといった風情ばかりだが稀に凝った造型の珍品も有ったりする

 

大輝と相性の良かったリビングアーマーも『無銘魔戒騎士甲冑・ハガネ』みたいな黒曜石色の全身甲冑型になっている……稀にリビングアーマーには『何かの作品に似せた造り』のデザインが存在し、そのデザインのファンがそれを求めている、というマニアックな界隈も有るとか無いとか

 

大概はその作品の量産型装備をモチーフにしたデザインばかりだが、ごくごく稀に『主人公クラス用装備デザイン』も出てくるらしい。何らかのプロテクターや甲冑。例えるならば鋼鉄か暗黒聖衣、G 3パワードスーツみたいなものばかりであるがそれでも間違いなく人気は高い……全て単なるデザイン違いのほぼ同一性能でしか無いが

 

偶……の中では頻繁なうちにだが『ロン・ベル◯の鎧の魔◯:簡素量産型』みたいな造形のものも出るが大概は『さまようよろい』か何かではある……ちなみにリビングアーマーのだいたい95%は『さまようよろい』なのが普通で、先に挙げた様な版権的なデザインのリビングアーマーはリビングアーマー出現率の良くて0.01%かそこら辺だろう

 

大輝と相性の良いリビングアーマーも出す処に出さずにギルド売りでも軽く五百万円ぐらいの値段で即売出来るだろう、あれはまだ比較的出易いデザインだがデザインそのものが非常に良い事には代わりない代物故に……もしもこれが『牙狼』や『絶狼』、さもなくば『呀』ならばDランクカードにはあるまじき、いやそれなり以上に優秀なCランクカード並みの凄まじいオークションになるだろう。あの界隈のファンは非常に『濃い』し

 

実際に一度だけオークションに出た『絶狼』デザインのリビングアーマーが五千万円という冗談の様な金額で落札されたらしいし

 

大輝自身……『狼』とは非常に相性が良いのでこの『狼をモチーフにしたデザインのリビングアーマー』とは非常に相性が良いのも道理だろう

 

大輝は腰のカードホルダーに手を当てて網膜に自身の保有するカード一覧を見ながら在庫運用を考える……オークやホブゴブリン辺りは素人にも扱い易いが、グールだのアイアンゴーレムだのブロンズスタチューだのは取り扱いが少し難しいからクラスの新米に売るにはあまり向かない

 

ボアオークはこちらで使うカードだから論外、使えるカードはリビングアーマー五枚、オーク五枚にホブゴブリン二枚、後はレッサーデーモン一枚だろう。瘟鬼(馬)や黄泉醜女は癖が強すぎる、ある意味グールやゴーレムよりオススメ出来ない代物だ

 

さて……新規一つ星のクラスメイトらになら奨学カードでもそこそこ需要はあるだろう。リビングアーマーなら二つ星でも需要は激しいから飛ぶ様に売れるだろう。てか後に実際売ったらリビングアーマーは一枚五百万円(計カーバンクルガーネット四つとあと魔石)で三枚全て即完売した

 

残り二枚は今は筋トレ仲間の為に暫く残してやるつもりである……待ち期間中に他に嗅ぎつけられたらデコイ代わりに放出する事になるだろうがそれは諦めて貰う必要があるけど

 

辺りをさっと見渡してみると……多分、大輝と同じ様に校長の長無駄話を聴き流しながら自身のカードホルダーにアクセスして『今後のプラン』を考慮しているっぽい冒険者組が其処彼処に見える

 

一部の……それに気付いた熟練冒険者経験持ちの講師らは我関せず、彼らも似た様な事を学生時代にやったり今現在やっていたりというフリーダム具合である

 

そんな校長先生のありがたいお話(無駄な長話)が終わって教室に帰る間に二人にこの話を提案する。長くは待てないが居るか?と聞いた

 

二人の反応は勿論

 

 

「「是非に頼む!」」

 

 

周囲に聞かれない様に小声でだが力強く購買意欲を見せてくれた……魔石、カーバンクルガーネットで丁度どうにかなる範囲らしく今日この瞬間から取り引き可能らしい

 

ならば、と即座購買サービスで大輝も龍太郎にオークを、重吾にはホブゴブリンをおまけに付けてやった、これから先はなるべく『Dランクの頭数』が必要になる世界だ。新しい仲間の成長は大輝にとっても間違いなく重要な事故に

 

クラスに戻った時に二人とも何時も持って来ている魔石とカーバンクルガーネットをカード化した貴重品入れから出して大輝に引き渡す。大輝は『二人への信用』で最低限の確認だけでそれらを受け取る……世の中の魔石売買では偶に偽物である似た様な石ころを混ぜて、というやらかしをやる輩も居るが。、少なくともこの二人は目の前の些細な儲けの為に大きな信頼を切り売りする様な間抜けではない事ぐらい知っている

 

まぁ……二人とも『良く、こんなに大量のリビングアーマーをゲット出来たな?あれかなりレア枠だって聞いたぞ?』と驚いていた。彼らの相棒であるリビングウェポンもEランクにしては間違いなくレア枠なのでその疑問は当然だろう

 

……まぁ、二人とも大輝の豪運ぶりは良く知っているので『大輝のラッキーの御相伴』だと即座に納得してくれたが

 

この学園では、教室の隅っこ辺りで怪しげな取り引き……こういう小口のカードや魔道具などの魔石、物々交換なぞ何時もの事なので誰も気にしない。ごく稀に大手チームが億単位の取り引きをやる場合もあるが、大概は放課後の教室か部室での話だ

 

そして授業が始まり……それは平穏無事に終わり。そして昼休みに大輝を囲みながら勘太郎、ハジメ、浩介、幸利といったクラスで三つ星資格を得た上で何らかのプロ資格条件を達成した強者五人による会合が始まる

 

 

……迷宮内部は出入り口の安全地帯にて

 

 

勘太郎を除いた四人の権限でもちゃんと集めればCランク迷宮に合法的に入場出来る権利があるのは前に挙げた通り。その中で勘太郎が幸運にも入手した『シルキーからクラスチェンジした壺中之天』で密談となる

 

この中で一番強力な異空間カード内部で行えば盗聴などの心配は無い。大輝も自作の弁当は最初から姫子とお揃いの弁当袋カードにいれてあるから壺中之天の歓待を受けておく

 

時間の問題もあるので簡略的ではあるが『Cランクカード飯最高峰』だと言われている壺中之天の絶品中華料理に舌鼓を打ちながら短時間で出来る相談と打ち合わせに休み時間をフル活用して対応する

 

異空間としてはCランク最高峰の居住性と食事の品質を誇るが狭い……チセコロカムイよりは間違いなくマシだが、それでも二十人から三十人が生活可能な小さい屋敷として機能するプロ冒険者でも所有者は滅多に存在しない希少カードの一枚だ

 

しかも、本来ならば『核』は中国の仙人みたいな老人の姿であるのだが、この壺中之天はシルキーからクラスチェンジしたカードなのでその核も老人から妙齢のチャイナドレスとメイド服が融合したかの様な衣装の妖艶な美女になっている。その美女……元シルキー現壺中之天は相変わらず主である勘太郎に熱視線である

 

まぁ……よくあるカードハーレム状態らしいが、それでもちゃんと現実に彼女持ちなので大輝とも結構気が合う友人関係である

 

女の子カード属性に適応するタイプである上にそのカード関係を上手く調整できる強者である

 

男五人は連れ立って教室に戻る……やはりガチ勢の気配がする生徒らの視線が激しい。さて、今日の放課後は間違いなく地獄の様な沙汰になるだろう、今からでも覚悟を改めなくてはならない

 

さぁて、放課後の厄介事に備えて英気を養う(居眠り)気分だが授業は真面目に受けなくてはならない。一応は秩序的なつもりで生きているつもりだ……天使とかはとことん気性と言うか何と言うか兎に角存在そのものがとことん気に食わないから嫌いだけど

 

一応、奴等は無性なので『女性人格型』でさえなければ召喚は出来るが……リンクに強い忌避感を覚え、更には天使も不快感から表情が見える辺りで実験終了になったりもした。一応リンク能力の行使には『好き嫌い』とはかあまり関係ない筈だが?

 

まぁ、単に天使とは普通に相性が悪いだけだろう。天使の態度とかが鼻について嫌いだという知人知己は結構多いから大輝自身の天使嫌いも冒険者では割と普通の話である

 

ちなみに『世界最小の国』ではカードやモンスターの天使は天使だとは決して認めない方針らしく、むしろ積極的にモンスターの天使を狩る事を推奨しているぐらいらしい

 

噂では……現教皇が大輝&姫子と同じ体質、要は『天使に対する不適合体質』だという話らしい。そのせいで『カードの天使』を認めない主義になったとかならないとか?基本的に『召喚不適合体質者のデータ』はプライバシー保護の感念から全員秘匿扱いになってはいる

 

大輝&姫子みたいに研究者らの注目を集めてしまった件もあるがダンジョンマートやメアリー塾が丁重な保護を行なっているので今のところはそう目立ってはいない……少なくとも今のところは、だが

 

……いや、体質云々以前に『アンゴルモアという大災害』で暴れ回ったモンスターでしか無い天使らを認めれば一神教の権威は暴落確定だ。下手すればその被害者らから淫祠邪教扱いに落ちぶれたりする可能性だってある

 

……ぶっちゃけた話、初期のアンゴルモアでは天使に助けを求めて殺された民間人とか真面目に洒落にならない数出たらしい。特にヨーロッパ、北アメリカ等々の一神教圏内では洒落にならない数の犠牲者が出ている

 

そういう『政治的判断』もあるだろうし……何よりその被害者は全人類殆ど全て、であるからまず間違いなくその怨嗟だってあるだろう

 

……一部の狂信者が一神教系ダンジョンカルトを立ち上げたりはしたが、その辺りは既存宗教全てにおいて抱える悩み故に今では『多数派』である既存宗教全てが自分達の系列を名乗るダンジョンカルトは『異端』と公的に表明している程だ

 

一部の噂ではその『多数派』の過激派などがダンジョンアンチに陰から協力していたりする……という噂も有ったりはするが大概の『多数派』はこの迷宮社会に対処対応する為に活動していたりするスタンスを取っている。要は『最も適切なアンゴルモア対策』である冒険者化だ

 

既存宗教は全てアンゴルモアで多大な被害が出ている、それもそうだろう……何しろ『崇める対象』が人類の敵として現れたのだ。世界各国で宗教離れが著しくなり既存宗教は殆ど全てが青色吐息の有り様が現状である

 

アンゴルモア以降、既存宗教というものは斜陽の一途を辿っている。一言で言えばそれだけの話だ

 

だからこそ今では既存宗教が昔の確執を棚に上げ、呉越同舟だろうが何だろうが関係なく協力し合わなければどんどん先細りしてゆく状況にある。またそしてその斜陽に耐えかねてダンジョンカルトに堕ちゆく派閥もまた出始めるという負のスパイラルらしい

 

今のご時世、宗教やるならダンジョンカルト一択だ。駅前とかその勧誘だらけという有り様である

 

……多分、放課後の大輝もある意味それより遥かに熱烈な勧誘地獄が待っているだろう。ひたすらその辺りは憂鬱だが時は待たないものでふと気付けば放課後になっていた

 

 

ガタッ

ガタッ!

ガタッ!!

ガタッ!!!

 

 

お宝(大輝)を求める修羅どもが鎖から解き放たれる音が響く……さて、今からが修羅場である

 

 

佐藤大輝は……生き残れるか?次回を待て!!!

 

 

【Tips】リビングアーマーの造形

 

Dランクカードの中でも比較的レアな分類のリビングアーマーだが大概が所謂『さまようよろい』やその軽装版みたいな非常に簡素なデザインが基本だが、ごく稀に凝ったデザインの代物が出る場合がある

 

何らかのロボットや特撮スーツを甲冑状にリファインした造形やまた何らかのフィクションに出てくる甲冑のデザインに似せた造りみたいな姿で現れる事があるがほぼ間違いなくその作中でも『量産型』や比較的ありふれたデザインに分類される仕様が大概で作中の『一品もの』が出現する可能性はそれこそ『Bランクのカードのドロップ率以下』だとされている。勿論、そのドロップ率は通常のDランクカードと同じなので入手確率は真面目に天文学的な確率になる

 

そういった珍しいリビングアーマーは付加価値が高く、人気デザインならそれこそギルドに売っても五百万円は付く……通常のリビングアーマーなら大概百万円だが、一般冒険者ならば先ず間違いなく横の繋がりを利用したりして魔石交換なりトレードの弾丸にするなりしているだろう

 

偶にこのレアリビングアーマーハントを主な稼ぎにするセミプロ冒険者も居るらしい……比較的安全で当たればデカい利益があるからだろうか?

 

ちなみに……一度だけ出た『機動戦士ガンダ◯』の騎士◯ンダムそのままなデザインのリビングアーマーのカードが財団B(仮名)に五億で売買されて財団Bの宝として稀に大規模イベントなどで公開される事がある

 

ちなみに、デュラハンの場合は基本的に凝った装飾がされている。リビングアーマーの造形は『兵卒用簡略化甲冑』でデュラハンの場合は『騎士・貴族向け専用甲冑』みたいなものになる。着心地も結構変わるらしい

 

デュラハンのレアは基本的にリビングアーマーよりもレアなデザインの発生率が高く、『一品もの』の入手確率も『Bランクカードのドロップ率』並に向上している様だ

 

リビングアーマー、デュラハン問わず比較的オリジナルなデザインで稀に『ビキニアーマー型』が出る可能性もある。これを着用すると何故か服を着ていても素肌にビキニアーマー状態になる……老若男女美醜問わず

 

ビキニアーマー型の着用は基本的に女の子カードか容姿に自身のある女性冒険者に限られるが……稀にむさ苦しい男が無理矢理着用する悍ましい地獄絵図が展開される事がある為、ビキニアーマー型はギルドでも比較的高く買い取って貰えたり通常デザインと無償で交換して貰えたりするサービスが存在している

 

ちなみにビキニアーマー型は必ず女性人格になっている

 

 

【Tips】モブ高世界の宗教事情

 

※:これは完全に血涙鬼・彼岸のオリジナル設定です

 

凡そ二十年前から起こったアンゴルモア……社会は色々な変革を迎え、大半の状況はむしろ向上しているが、それでもアンゴルモアが激しく悪影響を与えた界隈というものはある

 

宗教界隈である

 

アンゴルモア発生で崇める存在が迷宮から出てきて特撮の怪人や怪獣の様に暴れ回る……宗教界隈の面子は丸潰れになり信仰心なぞ消し飛ぶ様な有り様になるだろう

 

『世界一小さな国』でも『カードやモンスターの天使や神の子は偽物』として扱われ、むしろ討伐を推奨されるぐらいの状況になっている

 

唯、様々な過去のやらかしや蟠りを越えて既存宗教が一致団結してこの難局に挑む状況になったのはまぁ不幸の中のささやかな幸いだろうか?

 

しかし……既存宗教は『新たな敵』であるダンジョンカルトとの新しい戦いを余儀なくされているのであまり良い話は無いだろう

 

しかも一致団結した筈なのに一部はむしろダンジョンカルトに迎合したりダンジョンアンチな過激派志向に陥ったりと既存宗教は決して一つ岩とは行かない辺り既存宗教の先行きは暗い

 

現在では宗教家もイメージアップや資金調達、アンゴルモア対策などの見地から冒険者として迷宮探索をしながらアンゴルモア対策に勤しむ者も多くなっている。代表的な処で346プロダクションに所属するシスター、巫女、鹿児島系ユタなアイドル達の存在が挙げられる

 

ちなみに宗教系統の最大手はダンジョンカルトの代表的存在である『星母の会のダンジョンチューバー動画』となっている。ネタにしろ真面目な迷宮攻略関係にしろ間違いなく一番高い評価を得ている

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