後の美城学園に於いて俗に『中学生迷宮士勧誘騒動』と呼ばれる学園全体を巻き込む騒動はひとまず平和裡に勝てる片付いた……大輝の傭兵冒険者としての旗揚げは『迷宮士資格持ち』の一時的加入を待ち侘びる生徒達にとっての福音となった
大輝にも生活があるので余り沢山Cランク迷宮攻略なぞ出来ないが、それでも間違いなく学内のCランク迷宮攻略チャンス……に至れる可能性が増えたのだ。一日千秋の想いで希少な迷宮士資格持ちの空きを待ち続けてきたが、大輝が現れたおかげで僅かなりとも可能性が増えてくれた
確かにどんな手段を使ってでも『大輝の独占』が出来れば一番素晴らしいだろうが……それをやれば他の迷宮士待ち達を完全に敵に回す悪手中の悪手である。それで『他の横の繋がり』を喪えば色々不味い事になるし悪評がガンガン立ってその後が地獄だ
しかし……一人だけ、たった一人だけ『佐藤大輝絶対独占権』を持った者が初等部に居るがそれを口に出すのは野暮の極みだし何よりそれは大輝そのものを敵に回しかねない最低最悪の悪手だ
もしもその特権所有者である薬丸姫子にちょっかいをかけようものなら……迷宮士待ち達一同から袋叩きにされて村八分処分待った無しである
少なくとも大輝は彼女が冒険者ライセンスを得るまでは傭兵稼業をなるべく優先してくれるとは言っている……期間限定ではあるが非常にありがたい話である
一応、その期間中に大輝も『自分のチーム結成』の為の準備期間として活動するつもりなので大輝自身が他のチームや目を付けたソロ傭兵をスカウトする予定だと明言している
そんなガチ勢……いや『修羅の雛』である佐藤大輝は、来たる九月十四日は金曜日の放課後から明日の土曜日に三つ星特権である『迷宮課外学習権』を行使して公休日である月曜日を跨ぎ火曜日を予備日に於いて権利を行使して水曜日の朝近くまで学園内のCランク迷宮攻略に挑む
『迷宮課外学習権』とは……美城学園でも一定以上の成績を維持出来ている学生冒険者達に与えられる権利の一つだ
一つ星程度なら年に二回程度、二つ星ならば四回、三つ星ならば八回の『迷宮攻略の為の休暇』が公休認定で許されている。ちなみに少なくとも平均点の維持は必須であり、それに何らかの実績が有れば回数が幾らか追加されたりもする
大輝の場合は通常の三つ星資格持ちの八回分に迷宮士資格獲得、足洗屋敷に纏わる新発見で計六回分の権利が追加需要されている……要は今年は計十四回の迷宮攻略公休が許されているという訳だ
今回の仲間であるハジメチームや勘太郎も二日分の公休権ぐらいはあるのでそれを行使してなるべく本格的な攻略に挑む
そして時はその前日にあたる九月十三日の木曜日の放課後。大輝とその仲間達は佐藤家のリビングルーム備え付けの大型移動用ホワイトボードに色々な記載をしながら資料である沢山の紙束を机に広げながら最後の打ち合わせを行なっていた
「それで大輝、そっちの準備はどうだ?」
「おいおい勘太郎、既に完了してうちの足洗屋敷に収納済みだよ」
「皆戦力は大丈夫か?」
「Cなら一枚追加で買って補強したよ。良い出物があってな」
「俺は八枚あるからBランク貯金だよ」
「僕もだよ」
「そりゃ凄いな浩介、ハジメ……いや俺もだけどな」
「俺は現金ほぼ全てと余りのカードホルダーを放出したよ。あとちょっとした売買用魔道具とかな」
「いやいや……あれはそんなに出るもんじゃないだろマジで」
「大輝の豪運を忘れたかトシ?」
「……そういやそうだったわ」
「大輝が居ればもしかしたらって思わないか?」
「いやいや、こないだ女の子エルフ引いたから流石に暫くは無いだろ多分。だからモノ次第で俺の『贈り物』使って良い?必要ならヴァンパイア切るからさ」
「魔石分……いや、ドロップの可能性高いから悩むなこれ」
「Bランクは魔道具ドロップだけでもデカいんだよね……」
「てか女の子エルフってオイ」
「確か、お前の体質だと使えないだろ?やはり売ったのか?」
「いや、うちの剣に姫子の菫娶らす事になったからその結納品にな」
「「「「……やっぱすげーなお前」」」」
男五人が取り止めの無い会話……むしろ駄弁り?という光景に見えなくもないが真剣ではあるだろう。何せ間違いなく『死地』だと言えるCランク迷宮の攻略ブリーフィングであるからして
筋肉モリモリマッチョマンな変態こと佐藤大輝
学年一の美男子だが彼女持ち折笠勘太郎
実は何気にハーレム野朗な南雲ハジメ
自動ドアにすら検知されない遠藤浩介
見てくれ不健康そうな痩せっぽち清水幸利
この色々な意味でバラバラな五人こそが今回美城学園内Cランク迷宮攻略に挑むイカれたメンバーである
その見てくれに反して日本最年少の迷宮士資格持ちのインテリである佐藤大輝はCランクカード計八枚……一枚は数合わせ程度だが
学園最高峰の『戦士』の一角であり、優秀なリーダーでもある折笠勘太郎、実技試験全攻略済みの彼はCランクカード八枚以上と切り札のBランクカード一枚
オタク業界最高峰のサラブレッドにしてエリート、そのハーレムメンバーや友人知己を率いる身内系大規模チームリーダーである南雲ハジメ、特殊迷宮攻略試験達成者な彼はCランク八枚以上が戦力となる
透明人間扱いされるが実はハジメに準ずるハーレム野朗二号かつハジメグループのサブリーダーこと遠藤浩介、Cランク迷宮単騎攻略達成者な彼もCランク八枚以上でハジメと同程度の戦力持ち
中等部内ならリンク能力最高峰の技量持ち清水幸利、対プロ試験攻略済みな彼の戦力はCランク六枚
以上、この面子でCランク迷宮という新しい戦場に挑む事になる
此処でCランク迷宮というものに付いて語らせて頂こう
Cランク迷宮とは……三十一層以上五十層以内のかなり深い迷宮を示す。召喚制限も
嘗て……海外の話だがDランクカード数枚しか持っていない冒険者がCランク迷宮に潜り込んで死亡したという話がある。しかも彼は非常に浅い階層でゴブリンの群れの罠にハマって、という話だった
他にも迷宮の距離が爆増する『複数廻廊』や地図を一からつくらなくてはならない日替わり地形変化『ローグライク』などの厄介な追加要素がCランク迷宮からは爆増してくる……が、その二つは無い美城学園内のCランク迷宮はCランク迷宮としては珍しいぐらいシンプルかつ浅い分類である三十三階層である上に廃坑型である、勿論ちゃんと地図は販売されている
唯一、厄介な点を挙げるならば……Cランクから発生する『フィールド効果』だろう。この迷宮唯一の糞要素である『メイン効果:全階層機械破壊』というかなり嫌な効果にランダムなサブ効果が階層ごとに来る
電子機器や大概の人工魔道具は使用不可能という事になり、手書きの地図頼りに迷宮攻略を果たさねばならないという事だ。一応ちゃんとマッピングや地図把握が出来ないと途端に迷子になるぐらいにはCランク迷宮は深いものである……この迷宮はCランクにしては非常に浅く易しい超初心者向けクラスではあるが、だ
まぁ……最低最悪の効果と悪名高い『能力封じ』や『召喚制限』よりはまだマシではあるが
さて、この『フィールド効果』という物こそがCランク迷宮以降がプロ資格必須となる最大の理由である。必ず防衛側である迷宮のモンスターに有利で攻略者である冒険者側に不利になる何らかの固定特殊効果が迷宮全域に発生し、ランダムのサブ効果がそれぞれの階層毎に発生もする
例えばモンスターバフや何らかのデバフ、先に挙げた能力や召喚数や特定属性召喚封じ、モンスター全てが幽霊系統みたいに不死になったりと様々かつ嫌な効果が各階層ランダムで来る
美城学園内迷宮だと特に嫌なサブフィールド効果はカード二枚制限階層が二つだけで、それは低階層にあるからまだ楽な範囲だろう。一番厄介なのは三十一階層の不死化になる筈だ
しかし……何故こんな嫌な効果ばかりで危険なCランク迷宮を目指すか?普通ならDランク迷宮か何かで稼いだ方が安全性は高いだろう?そう思わなくはないだろうか?
しかしCランク迷宮以降からははっきり言って『身入り』がDランク以前とは別次元レベルで違う
Dランクカードは1%の確率でドロップするが、Cランクカードは0.1%の確率しか無い。故にCランクカードは高値で売れるが非常に非効率的だろう
しかし……Cランク迷宮からは『アイテムドロップ』という概念が追加される。今までのモンスターは魔石かカードしかドロップしなかったが、だいたい10%の割合でモンスターが何らかのアイテムを落とす様になる
これはガッカリ箱みたいに激しいアタリハズレは無いが、一定の価値ある魔道具を落としてはくれるのでこれがプロ級冒険者の主な財源になる。Fランクの低階層でも低等級のポーションや初等までのマジックカードを落としたりはするので実入りは間違いなく良いだろう……ごく稀に迷宮金貨を落とす事だってあるし
それに運が良ければCランクカードが手に入る可能性だってある。自身に適合するカードなら万々歳で、売値の高いカードなら売るなり自身に適合するカードのトレード用弾薬にするなり様々な恩恵がある。安く相性の悪いカードでも配下を作った時に貸与するなりやはり売るなりすれば無駄は無い、最悪プロ資格認定用の見せ札にすれば良い
万が一にBランクカードがボスからドロップしたなら一大事である……美城学園でも数回は事例があるが、どれもこれも大輝の引き起こした『中学生迷宮士勧誘騒動』ばりに大騒ぎになったものだ
現状、中等部でBランクカード持ちは勘太郎を筆頭に
Cランクカード持ちはガチ勢を自認する者ならば安い一枚ぐらいは半々の確率で持っているだろう。三つ星資格持ちなら最低限一枚、大概二枚は持っているのが普通。清水利幸みたいに五枚六枚持っている奴は間違いなく上澄みも上澄みの分類に該当する
ある意味美城学園のガチ勢冒険者達の間では『努力を重ねてCランクカードを最低一枚は得る事』が創立以来の伝統……いやブームだと言える
今の大輝達は下手なプロチームより余程充実したカード編成と実力を有している。故にこの美城学園内迷宮ならばこの期日まで有れば攻略の芽は充分にあるだろう
冒険者歴辛うじて半年の大輝以外全員が少なくとも数回はこの迷宮を攻略した経験がある。普通のCランク迷宮は攻略に一週間以上はかかるが……この迷宮はその難易度の低さと浅さからちゃんとした準備と充分な人員さえ居れば数日もあれば攻略可能な迷宮だ
出没するモンスターはオーガを筆頭に色々なモンスターが出て来る割とオーソドックスなラインナップ。ボスはランダム式なのでどんなモンスターが出るかはわからないのが難点だろうか?
この迷宮は……学生冒険者が僅かな時間で攻略するには適した迷宮ではあるが、真なるプロを目指ならばこの迷宮に入り浸るのは止めた方が良いだろう
既に勘太郎は機会と時間が有れば他所の高難易度Cランク迷宮に挑む為の準備に勤しんでいるぐらいだ。今年の夏休みも姉やその知己等々色々な自身の縁を頼ってCランク迷宮攻略に明け暮れていたらしい。メアリー塾に纏わる伝手すら普通にあるらしい
ハジメチームも今はこの迷宮で資金資材稼ぎをしながらDランク迷宮攻略スコア稼ぎに精を出しているが、メンバーの準備が出来次第難易度の高いCランク迷宮に挑む公算を立てている
時に……迷宮は攻略すると暫くの時間はボスが存在しない状態になるのは皆もご存知だろう。その為こういう難易度の低い迷宮では『攻略レース』状態になる事がままある
Fランクの低難易度かつ美味しい迷宮でも近隣のエンジョイ勢らは持ち回りの取り決めで攻略者を決めたりする事がある。偶に余所者が入り込んで攻略を掻っ攫う事も偶にあるがそうなったら『犬に噛まれたもの』と諦めるものらしい……法的な根拠なぞ一切無い近隣エンジョイ勢らの不文律故に
美城学園内迷宮の場合は……入場資格持ち達が登録してその連休中の定められた放課後に早いもの勝ちで入場、そして攻略もまた早いもの勝ちという取り決めになっている
他の冒険者に遭遇しても決して喧嘩せずに、もしも相手に何らかの不具合が有らば即座に攻略を中断して人命救助を最優先するルールが存在する
このトライアル競走めいた迷宮攻略は攻略参加者以外からちょくちょくトトカルチョの対象になったりするもので、大して儲かりはしないが大損した奴もまた聞かない。それはそうだ、多少は胴元が得……いや、手間暇が面倒だからあまり得でも無いか?する仕様ではあるがまぁせいぜい一口百円最大五口のささやかなギャンブルである
ちなみに……今回は大輝達以外には高等部のチームがニ十数人の大規模チームで挑むらしい。平均的に二つ星か稀に三つ星の二枚から三枚のCランクカード持ちばかりで人海戦術を以て迷宮攻略に挑むチームだ
少なくともこの迷宮に挑む為の最善手に特化したチームではあるが、他の難易度が高まったCランク迷宮に挑むのは厳しいタイプのチームだと言える。それでもこのチームのエースコンビは大輝達に近いレベルの力量はあるだろう……そしてこのチーム最大の特徴は、やはり二つ星でCランク三枚持ちの『迷宮士資格持ち』が専属で所属している処だろう。ちなみにBランクカードは勘太郎と同じカードをリーダーが一枚だけ所有している様だ
今回は『少数精鋭対人海戦術』という一対一のやや変則的な勝負になるだろう……もしも先を越されたらCランク階層でモンスター狩りでもしながらカードなり魔道具なりを集めでもすれば採算は取れる。少なくとも大輝以外全員が何度かこの迷宮攻略経験持ちだし、それで相手に先を越された経験だって無い訳ではない
今回はなるべく早くボスの元に到達&討伐してから半日はCランク階層で狩りに明け暮れる予定である
……皆、これからの為の戦力資材運用資金は幾ら有っても足りないのは確かだし
他にも話すべき内容は沢山ある。それぞれの切れる切り札や分け前の想定とイレギュラー事態への対処対策……それにカードや魔道具をロストした際の補償など様々なものがある
大輝以外ならそれなり以上にお互いのスタイルを知っているだろう。大輝のスタイルは……彼らにとってもかなり異端、いや珍しいものらしい
そもそも大輝は盲目前提のEランク装備カードでイレギュラー相手だろうが切ったはったする様な奴である。普通に冗談みたいなスタイルだろう。最近ではそのEランク装備カードをDランク装備カードである贋作妖刀にクラスチェンジした上でリビングアーマー、付喪神を追加で装備して暴れ回るのがデフォという有り様だ……勿論盲目状態で
勘太郎やハジメ達も、これから暫く先に大輝の筆頭カードであるエルフの剣からその辺りの凄まじさを聞く事になる
勘太郎の場合は……憑依装着型かつBランク装備カードであるデュナミス、剣型のリビングウェポンから初まった贋作妖刀を鍛えに鍛えた結果物品憑依型に変異した妖刀村雨、呪い型であるベンニーアを以て戦うスタイルなのである意味大輝と似た様なものだろう。勘太郎も勘太郎で単騎イレギュラー殺しは経験済みだからある意味『同類』を見つけられてにっこりだ
ちなみに、勘太郎は今、相性の良い祝福型装備化カードを求めているらしい……キマリスとかネヴァンみたいなBランクでも非常にお高いものでなくとも良いらしいが、それは大輝だって同じである
勘太郎も一枚五億が平均価格のデュナミスを得る為に色々な冒険をしたりして頑張ったらしい。それこそデュナミスが下手すれば十枚は買えそうなキマリスやネヴァンを今すぐ求める気にはならない……それこそどれだけ時間が掛かるかわからないし
同じ『戦士』だと言える大輝も今日の話で盛り上がり今度勘太郎と剣の鍛錬をやってみる事になった。ちなみにハジメチームや浩介チーム、そして幸利とその長年連れ添った彼女である中村恵里の傭兵コンビも一度は合同演習に参加する事となった。多分、早くて十月辺りに実行する事になるだろう
彼らは全員少なくとも何らかの装備化カードの一枚ぐらいは持っているし専業の『戦士』だって結構な数が居るし前に挙げた龍太郎や重吾もハジメチームの新人である
こういう合同演習の際には公営の『グラウンド型特殊迷宮』とかを借りたり何なり色々やり方はあるが、場所に都合が付かなければ八重樫道場……ハジメチームの重鎮である八重樫雫の縁故による協力か大輝自身の縁故であるメアリー塾、若しくは親のコネでダンジョンマートの訓練施設を借りるなり様々な手段がある
最悪、学園の体育館なりグラウンドなりを借りて『戦士系に役立つトレーニング方法伝授』という手段もあるが、その場合は模擬戦は無しになる
まぁ……そんな風に様々な取り決めが決まって今日の佐藤家にはこの男五人だけしか居ない。家主の大輝があらかじめ注文しておいたピザを振る舞い明日に備えてさっさと寝る。普段ならゲームなり何なりやって馬鹿騒ぎしているだろうが明日の放課後から冒険だから間違いなく大忙しになる
全員ちゃんと制服鞄冒険セットの準備は完成してそれぞれのカードホルダーに収納済みだ。今日はリビングの机をどかして五人で雑魚寝……全員ちゃんと異空間系カードぐらい持っているのでこういう眠り方は迷宮でもあまりやらないから何気に新鮮な気分ではあるが、プロ志願者としてさっさと眠る
さて……明日は先輩らとの正々堂々バトルである、まぁ勝てば少し得かも知れないだけで負けても特に酷い損は無いが。それでも勝負は勝負である、気合いを入れて掛かるに越した事はないだろう
【Tips】迷宮課外学習権
美城学園独自のシステムの一つ、冒険者登録をしている生徒が昇格試験や格上迷宮に挑む機会を得られた際に行使出来る権利
平均点を維持する事を条件にその階級に拠って決められた日数だけ授業を公休扱いする事が出来る。初等部と一つ星なら年二回、二つ星なら年四回、三つ星なら年八回の権利が与えられる。もしもプロ資格を獲得出来れば最低限必要な出席日数さえあればどれだけ休んでも構わない特権が与えられる
他にも……何らかの功績を立てたりすればその分日数が付与される。この付与は一度しか使えず、他者に譲渡などは出来ないが、卒業までその権利を保持出来る
美城学園は芸能学校が本業であり、アイドルや芸能人として活躍している生徒達の中には国民的な売れっ子も多々存在する為生まれたシステムを冒険者に適合させたのがこのシステムである
【Tips】美城学園生徒らの基本的なデッキ編成とスクールカースト事情
美城学園の冒険者生徒達は……他所の学園の生徒達と違い『冒険者である事』だけでスクールカースト上位に入れたりは決してしない。この学園で胸を張って『冒険者です』と名乗りたければ最低限二つ星資格を獲得するか努力してCランクカードを得るか……一念発起して迷宮士資格を得るかでもしなければこの学園で『冒険者としてのスクールカースト上位』にはなれないだろう
この学園における『ちゃんとした冒険者』とは、最低限二つ星資格を獲得してCランクカードを一枚二枚は自力で入手し、脇をしっかり鍛えたDランクカードで固めるぐらいはやらないと認められないだろう
ちなみに普通の……この学園以外の学生冒険者は大概エンジョイ勢ばかりであり、大半が奨学カード一枚か良くて二枚、後は運良くゲットしたEランクカード数枚と数合わせのFランクカードといったデッキ編成がせいぜいと言った処でしか無い。美城学園のエンジョイ勢枠の生徒でも流石にCランクカードの一枚は入手する為に努力するのが一般的な感覚になる
美城学園における『冒険者』は外よりも非常に厳しく過酷な条件で認められるものであり、『冒険者ライセンスはあるけど脱落した者』もまた非常に多い。今期の中等部三年生達は近年稀に見る……いいや美城学園でも初の大当たり年だと分類されている
美城学園内の『上澄みクラス』らは基本的に三つ星資格持ちでCランクカードを三、四枚は保有する上にリンク能力持ちかその知識有りばかりである。このレベルになれば美城学園でも人気アイドルに並ぶスクールカースト上位陣に認定される。ちなみに一つ星で奨学カード一枚しか持たない冒険者でも『迷宮士資格』を獲得出来ればスクールカースト最上位クラスに祭り上げられるので、この資格は学園でも真面目に重視されているのが良く分かる
もしもBランクカードを一枚でも保有している生徒が居るなら間違いなく迷宮士資格持ちに準ずるレベルでスクールカースト最上位扱い待った無しになり、更にもしも美城学園高等部卒業迄にプロ資格を獲得出来た者が居たら……間違いなく大騒動になるだろう。今までは『折笠勘太郎』がもしかすれば高等部卒業までにという期待も有ったが、今は迷宮士資格を最初から獲得した『佐藤大輝』に強い期待が寄せられている
迷宮士資格持ち達はその余りにも過酷な試験からか、美城学園の生徒達はこの試験に『自分で挑む』という発想を持つ生徒があまり存在しない。その為この長く辛い試験を超えた者達を心から尊敬している、という背景が存在している