さて……大輝達の前には今日の収穫が並んでいる。普段ならカードと魔石、偶に見つかる隠されたりしているガッカリ箱の中身や何らかの収集品程度だが今回はCランク迷宮である
今まで挙げた代物だけでなく、沢山のポーションや低級マジックカード、多少の迷宮金貨もある
そしてその中には割と沢山の食材達もある
肉を包んだ謎の葉っぱ、何らかの野菜、果物、穀物類が入った麻袋と様々な食材が小山の様に積み上げられている
大輝が手に取った肉は……『オーク印のロース肉』とある、この迷宮時代においては庶民でも『年に数回の贅沢』には定番の肉である
……富裕層の上澄みである佐藤家や薬丸家の場合は割と日常的に食べる肉ではあるが、あと美城学園迷宮に潜る資格ある者達にも割と沢山食べられるが大概帰る前に食べ尽くすのがオチであるが
その食材の小屋の中から幾つかの野菜とほぼ全てのオーク肉を取り出して『とある料理』を準備しておく……今夜は勘太郎が用意していた『牛頭鬼のスジ肉製牛丼』の予定である
この面子で一番料理の旨い勘太郎がドロップ米……しかもCランク級の絶品を壺中乃天に備えた釜で炊いておいた艶めく銀シャリの完成
そして……勘太郎が彼女や姉、母など身内女性達の為に作ったスジ肉牛丼だが……これは貴重なモンスターの肉であるが、不人気部位のスジ肉である為か比較的安く手に入る代物である(Cランク級の肉にしては……という但し書きが付くが)
この料理にはそこまで複雑な技術は必要ない。長葱か玉葱、生姜とドロップ大豆を使った醤油とドロップ米を使った日本酒、それと迷宮清水を食材にちゃんとした下拵えと長時間煮る時間があれば完成する代物だ
魔道具の一種である『魔法の寸胴』の力で一時間煮込めばほぼ一日煮込むのと同じ煮込みが出来るのでその試運転と味見……本番で使う予定のミノタウロスの代用品である牛頭鬼のスジ肉で代用した、という事だ
料理界隈では熾烈な争奪戦が起きる魔法の寸胴……実は大輝も自分用に密かに欲しかったその逸品にスジ肉と長葱、生姜を入れてスジ肉が綺麗になるまで煮込んでから味付け、そして三時間はことこと煮込み最後に丼によそおった牛丼に三つ葉をあしらってはい完成(但し今回は最初から用意しておいた……カード化で保存も持ち運びも簡単に出来る)
食べた感触は……普通の牛丼とは一味違う。言うなればプルプルのコラーゲンを食べている様な感覚だろうか?通常のスジ肉はおでんなどの具材としても人気のある代物だがこれとそれとでは味が段違いである。その芳醇なタレ汁の味が染み込んだ米を食べてもまた絶品、むしろこのタレ汁だけでも飯が進む進む。稀に見つかる『お焦げ』と重なるともう格別だ
モンスター食材でもスジ肉はあまり人気の無い部位ではある、ちゃんと下拵えしないとその辺のスジ肉と大差ないのだから仕方ないだろう。他に(食材としての)不人気部位は『骨、皮、脂』だろう……皮ならゼラチンにしたり、脂なら揚げ物用の油やつなぎ、骨なら出汁としてなら最高の代物であり、食材としてではなくポーションや魔道具の材料、革細工や膠、骨灰磁器などの素材として別の人気がある
骨や皮の様に『つぶし』の効く訳でもなく調理に手間暇がかかるスジ肉やホルモンは……庶民でも手が届く(かもしれない)食材としての需要があってある意味では人気食材でもある
付け合わせの味噌汁(余りの長葱に迷宮大豆産の味噌使用)を箸休めに沢山炊いた筈の飯と寸胴一杯の牛丼は冒険者達とそのカード達が一心不乱に喰い漁ってもはや汁一滴、米粒一つすら残さず消え去った
……いや、むしろ全員『まだまだ足りない』といった表情なのでもう一度米を炊いて手早くあの寸胴でカレーを作って食べる事となった。今日見つけた米、肉、野菜だけでもきちんとしたカレーの材料にはなったのでその分で全員満足は出来た
さて……カード達が歩哨を行なってくれているなかで冒険者達は明日に備えての会議に入っていた。既に真夜中過ぎであるから簡略的にではあるが
本来なら光一つ無い廃坑迷宮の真暗闇、辺りを漂う燈の眷属たる鬼火達とゆらゆら揺らめく焚き火を光源に、五人は持ち込んだマシュマロを焚き火で焼きながらそのまま齧り付いたりスモアにしたりコーヒーに入れたりしながらこの冒険について語り合っていた……ついでに『スタンド・バイ・ミー』のワンシーンの様にソーセージを串に刺して焼きたくもなったがそれは自重した
「とりあえず……明日は大輝との連携を更に打ち合わせとかないとな?」
「ハジメと一緒に潜った事はあるけど一回だけだから頼む」
「Dランク階層での狩りだとまぁ普通に大丈夫だとは思うけどね」
「とりあえずうちのカード達ともちゃんと上手くはいっているとは思うぞ?」
「そろそろ明日に備えて寝ないか?」
まぁ……そんなこんなでその日は眠りについてその日の朝八時からの起床、朝食は大輝のバーバヤガーである清が焼いてくれたストリーチヌイというライ麦パンとナレズノイという白パン、そして昨日の肉野菜の余りや切れ端に大輝が清の要望で備蓄していたビーツとサワークリームで作ったロシアの代表的な野菜スープであるボルシチにオムレツ、後はジャムを入れるロシアンティーといったご機嫌なメニューだ
沢山の野菜や肉でしっかりと出汁を取っていて非常に美味なボルシチはそのまま具と共に食べてもまた旨いが、どちらのパンを千切って浸して食べてもまた別の美味しさが見えてくる
パンはパンでスープに浸したりせずにそのまま食べてもプレーンなオムレツと一緒に食べてもジャムや蜂蜜を付けたりしてもまた美味である
紅茶はそのまま飲むのもジャムなり蜂蜜なりを入れて飲むのもまた良い
しっかりしたご機嫌な朝食を堪能した後はいよいよCランク階層の探索だ
基本的にこの迷宮にはグレンデルやケンタウロス、ドワーフやオーガといった比較的人形のモンスターが多い。ちゃんとした準備をしていないと暗闇に足を引っ張られてエラい目に遭うがちゃんと光源の準備や闇視魔法を準備したりしてさえ居れば問題ない
出て来るモンスターは基本的にどれもこれも筋骨隆々のガチムチな益荒男型ばかり……ではあるが、稀に女ドワーフも出たり更に稀に夢魔の類いも出たりはするからまぁ目の保養にはなるだろう
大輝の手札にそういったものは一切期待出来ないが、ハジメの主力であるレディヴァンパイアや人化能力を得たらしい玉兎……ウェネトというエジプトの兎神経由のおかげだと思う魔物娘や勘太郎のエースらしいライカンスロープを筆頭に雪女やベンニーア、浩介のハジメの玉兎の同類っぽい魔物娘に橋姫といった綺麗どころ達がいるので今日のパーティーは華やかである
まぁ……大輝にとっては『多少の目の保養』以上でも以下でもないが
大輝一人だけでは未だ少し手に余るCランク迷宮の洗礼を仲間達のフォローで容易く蹴散らしながらこの激戦を掻い潜って罠を逆利用しつつも初めてCランク迷宮に来たにしては非常に巧く動いている
魔道具や魔石、ごく稀に出るカードを回収しながらCランク階層で慣らしを行なってそろそろ昼飯時かと思えば……何やら奇妙な物音が聞こえてくる
サッパン……スックーン……
何だか良くわからない物音がする……それと同時に巨大な何かが接近している気配がする
サッパン……スックーン……
何か肉みたいなものが揺れて弾ける様な音……だと思う
サッパン……スックーン……
「おいおい……マジかよ」
「でけぇ……」
「すげぇなオイ……」
「圧巻されるね……」
「燈、幻惑してやれ」
……これはまた珍しいものが出た。ある意味サキュバス並みの大当たりかも知れない
サッパン・スックーンという南米の零落した地母神とも豆の化身たる妖怪とも言える魔物だ。長い髪に小麦色の肌に雪の様に白い手をした身長十メートルはあろうかという全裸の美女という姿で現れる妖怪だが……その最大の特徴は『爆乳』だろう
遠くからでも『サッパン……スックーン……』とその爆乳を揺らす音が響くぐらいなのだから
まぁ……この魔物の特徴である『巨大化して男をその爆乳に包んで拉致する』という辺りから巨大化して襲撃しにきたのだろう
……巨大化だけでこの面子がどうにかなる訳もないが
『色仕掛け』にやたら強い大輝の即決指揮で巨大化の弱点である状態異常耐性の低下を突いて……いや、それすら使われるより早く大輝の剣によってRTAか何かの様に簡単に唐竹割りされたサッパン・スックーン……確かこいつは豆かミルクが通常ドロップだった筈だが?
しかし落ちていたのはカード、マジックカードでも大きすぎる魔道具がカード化したものでもなく普通にサッパン・スックーンのカードである
【種族】サッパン・スックーン
【戦闘力】400
【先天技能】
・イナゴマメの化身:イナゴマメというカカオ豆に似た性質を持った豆の化身である事を示す。イナゴマメを出すことが一番得意ではあるが、一般的に食用だと言える豆ならばほぼどんな豆でも生成する能力がある
イナゴマメなら一日三十人分は出せるが他の豆混じりだと一日十人分までになる
・子守り妖怪:子守りや家事などを得意とする。良妻賢母、中等家事魔法、庇うを内包する
・乳母の乳育:一日に三十人が生きる為に必要な量の母乳を出せる。その母乳は非常に美味である
一日三回までその母乳十人分を対価に自分以外の誰か一人の傷や疲労を完治させる能力を持つ……但し毒や病い、切断などには対応出来ない
・ビクーニャの守護者:ビクーニャの守護者であり、その獣を狩った者の子や怠け者を攫う妖怪としての一面。男カードに対しての戦闘にプラス補正がかかり、巨大化することで人一人をその胸の谷間に引き摺り込んで逃亡することが出来る。巨大化と逃亡時限定のかくれんぼを内包する
【後天技能】
・中等回復魔法
・農業
・歌唱
「これはラッキーだな」
「護衛枠のスペアに僕は欲しいけど……誰か他に要る?」
「俺は相性悪すぎるから要らないな……俺の行きつけの札商に持ち込んで良い?」
「何か相性良さそうなんだよなこれ、少し試してみたいかな?前衛枠追加欲しいんだ」
「お前の行きつけって『夢魔使い』の阿部さんだよな大輝?こっちも八重樫道場繋がりで札商の伝手あるぜ……サッパン・スックーンとか人気だしな、俺もちょっと欲しいかな?」
「ならさ……そっちの札商とこっちの札商の条件即決で……いや、三人が試して駄目だったらの話にしよう」
男達の目が輝く、サッパン・スックーンはその見た目だけでなく実力的にも優秀なので人気の高いカードである。イナゴ豆を中心に色々な豆を生み出す能力や、その爆乳に相応しい母乳で仲間を回復出来る能力、後は巨大化で前線を張れる戦闘能力など、あとついでに子守りや家事が上手く『大概の男が女の子カードに求める事』にも割りと積極的と何気に優秀なカードだったりする……裸族だけど
このサッパン・スックーンの出す母乳と司るイナゴ豆を伝統的な手法で調理したホットチョコレートにも似た『キャロブミルク』は冒険者界隈では何気に評判の良いドリンクだったりする
それと……大輝&姫子の知己の中にもこのサッパン・スックーンを愛用する『十時愛梨』というアイドルな先輩も居るが、彼女も裸族の傾向があるからだろうか?
まぁ……それは兎に角、これで今日入手出来たCランクカードはグレンデルとケンタウロス、そしてこのサッパン・スックーンの三枚だ。半日でCランク三枚なら間違いなく大漁も大漁だろう
昨日のDランクカードや様々な魔道具などを含めた最終日のリザルトで分配は決まる予定だが……少なくとも今現在大輝が欲しいのはグレンデルぐらいだろう。大輝にサッパン・スックーンなぞトレードの弾丸かコレクション、後はへそくり程度にしか扱えないし
昼は朝にハジメの処の料理番である玉兎がお弁当を用意してくれていたから温かいお茶……割と寒々しい廃坑故に温かいお茶は心が落ち着いて良いものだ。今日の宿泊予定地である安全地帯にて大輝が熾した焚火に当たりながら少しの休みを楽しむ
この面子の普段なら一番良い異空間カードを持つ勘太郎の壺中乃天の中で壺中乃天製の料理食べるが、今回は沢山良い食材が入って来たので楽しみがてら男料理もやっている次第だ……異空間カード頼りだと何時かは飽きるものだし
冒険者がアウトドア料理を趣味にするのはよくある事だし、私塾に通うと間違いなくアウトドア料理は学べるからハジメ達でもそれなりには出来る……あの三人は基本的に異空間カードや料理の上手いカードに頼る派だが
結局この日の残りの主な成果は男だがドワーフが一枚落ちた、一日でCランクカード四枚……しかも人気の高いレアカード付きなら大収穫も大収穫である。正に大漁旗ものだ
夜は夜で……大輝が焚き火を熾す際におこなった『とある仕掛け』から夕飯を掘り起こし、大輝自身の足洗屋敷に渡して炊いて貰ったDランクの米のおかずにする
さて……皆様は『叫化鶏』という料理をご存知だろうか?日本ならば『乞食鶏』と言えば伝わり易いだろう
大昔にとある乞食が鶏を盗むなり拾うなり何なりして手には入れたが、その乞食には鍋一つ無い……故に泥に包んで焚き火の下でその鶏を焼いた結果成功した、という逸話から生まれた料理である
大輝の場合は『中華一番』という旧い漫画の話を元に蕎麦粉の生地と肉を包む謎の葉っぱを使ったもので……『鳥系統は無いし、沢山出た肉だから』と昨日沢山入手出来たオーク肉様々に味付けして今日の昼まで寝かせてから調理スキルの非常に高い宴と清の監修下の元焚き火の下で焼いてみた。さしずめ『叫化魔豚』だろうか?
それと一緒に野菜やじゃがいもも味付けして『叫化菜』も用意済みだ
……何と言うか、味見してみたら中華風のローストポークだか焼豚みたいになったが、まぁとりあえず旨くはいった。足りないなら叫化魔豚を幾らか残して炒飯にするなりラーメンなり何なり用意するなりすれば良い
オーク肉自体が極上の肉故かしっかり焼いてはいるのにまるで『吸っている』かの様に柔らかく仕上がっている……けれどどっしりと旨い脂の乗ったオーク肉、それをおかずに良く炊き上がった土鍋焚きの銀シャリをかき込みつつ付け合わせの野菜で箸休め。昨日とは別の肉と飯のマリアージュだ、これこそ野味溢れる男の世界だ
しこたま用意しておいた叫化魔豚は全て食べ尽くし、昨日今日で入手した米も喰い尽くしはしたが……正に大満足だった
冒険者は五人……しかしその冒険者一人につき今回は一度に八枚のカード達、しかも主力陣はそれ以上なので時々入れ替えて労う事も必要だ……今回入手出来たオーク肉を全て投入して作った甲斐がある
兎に角、Cランク迷宮ではこういった美味美食という余録もあるからプロやセミプロを目指す者たちも数多い……嘗ては魔物食材は不気味がられていたりはしたが、『ヒロシ』や『金長道士』などの食に強い先人達の啓蒙活動の結果魔物食は社会に広く受け入れられた……何処ぞのグルメ社会みたいに
この迷宮社会のご時世では迷宮食材フェスや迷宮料理専門店など様々な迷宮食関係のイベントや店舗が市民権を得ている。ダンジョンアンチなどでもなければ学校帰りの寄り道でFランク迷宮肉や迷宮野菜の切れ端が少しだけ混じったコロッケだとかメンチカツだとかみたいなちょっとでも迷宮食材を使った美味しい買い食いは普通だし、何らかの晴れの日に迷宮食材をメインにしたご馳走を食べたりするものだ
かくいう大輝達もCランク素材は全員で均等に分けて実家などへのお土産にするつもりである……Dランク食材は明日の朝食分以外は既に食い尽くしてしまったし、明日は最初にこの迷宮のボス狩りから始まるだろう
既に最終階層の直前に有る安全地帯で大輝達は昨日と同じ様に焚き火を囲みながら明日の簡単な打ち合わせをしてから明日に備える……大輝以外は皆一度は実際に戦った経験のある猪笹王、Bランクとしてはかなり弱い分類ではあるがしっかりした戦闘技能はあるしちゃんとした一芸やささやかではあるが眷属召喚能力もあるので使い勝手は良いと評判である
この迷宮では主に『二足歩行が出来る笹まみれの猪』みたいな姿で現れ、しかも眷属である一本だたらを普通の三倍である十八体同時に扱えるそうだ
ちなみにだいたい五億が市場価格だろうか?
撃破経験のある者が此処に四人居るが迷宮には色々特殊な危険が存在する……ほら、イレギュラーとか
その辺りの警戒を兼ねて皆で少々話し込む……皆、それなりに修羅場を潜り抜けて来た様で一度や二度はなんらかのイレギュラーに遭遇している。しかも此処に居る面子全員『贈り物』を一つは持っているぐらいである
大輝も自分のカードホルダーに収納している『皮剥包丁』の事を考える……色々不快な代物ではあるが、それでも有益かつ正に『壊れ性能』だと断言出来る代物ではあるだろう
そう言えば大輝は他の仲間達に自分の『贈り物』については話した事はあるが、仲間達の贈り物についてはあまり詳しく知らない。確か昔ハジメが『狼と七匹の仔山羊』からの贈り物を得たと言う話を聞いただけだ
……当時は迷宮士資格試験の大詰めで悶絶していた頃だったから頭からすっぽ抜けていたかも知れない。親友が死地から生還した祝いはちゃんと憶えているが
確かその『贈り物』のおかげでハジメパーティーは非常にしぶとくなったとか何とか言っていたが……まぁイレギュラーという代物の知識はあまり付けない方が良いと言われてはいる
……さて、大輝の『予感』からすればあまり危険な感じはしない。少なくとも明日は大丈夫な気がする。そう言ってその日はしっかり休んで休養に充てる
しかし次の日、ボス階層で……
「……なぁ、大輝?」
「……何か、何て言うか……何だかすまん」
しっかりイレギュラーが発生していた
【Tips】サッパン・スックーン
原作にほんの少しだけ登場しただけなのに非常にインパクトの強い魔物娘の一種
アルゼンチン並びにボリビアに伝わる妖怪。南米の農村に出現するとされ、見た目は小麦色の肌をした長い髪と魅力的な大きな瞳を持つ普通の人間の姿をしているが、何故か掌だけは雪のように白いとされ、何よりも特徴的なのは一糸まとわぬ姿と巨乳を通り越した物凄い豊満な胸の持ち主という事が掲げられる。なお名前の由来はこの豊満なバストを揺さぶりながら歩いている際に、擦れた胸がこすれ合った時になる音が由来であるらしい
農村で母親たちが畑仕事に精を出している際に何処からともなく現れて、仕事で忙しい母親たちに変わって子供たちが仕事の邪魔にならない様に遊び相手になってくれたり、時には母乳を飲ませてあげる事もある心優しい妖怪だが、1つだけ注意することがある。それはビクーニャという動物を絶対狩猟してはならないというもので、もしこのタブーを破るとビクーニャを殺した人物の子供を何処かへと連れ去って行き、二度と帰してくれないという
また怠け者を懲らしめるなまはげの様な一面も持っているらしく、ある地域に伝わる伝承では巨大なサッパン・スックーンが現れて、仕事をさぼって勝手に休んでいた男どもを、その巨大なバストで何人も捕まえて何処かへ連れ去っていったという
イナゴマメと呼ばれるカカオに似た豆の化身であり、このサッパン・スックーンを祀る儀礼は今も存在する辺りから下位若しくは零落した地母神としての性質もあるらしい
カードとしては子守りや家事などを得意とする……だけでなく、その母乳で仲間の傷を癒したり巨大化での白兵戦もこなせる以外な多芸枠。『子守り』という特性上マスターの護衛としても非常に優秀である、誰が呼んだか『物理型廉価版ハトホル』
しかし……サッパン・スックーンには武術など戦闘に纏わる逸話は無いのできちんと育成するか巨大化を切り捨てて『地母神』としての属性に寄る辺を賭して回復や支援魔法などを学ばせてサポート役として育成するのも一つの道だろう
基本的にこのカードは素直かつ従順な性質ではあるが、育成に時間がかかるのが欠点だろう。あと基本的に全裸なので使い場を選ぶという難点もある、服を着せる事は出来るがストレスを感じるらしいので着せっぱなしは無理だと思った方が良いだろう
このカードの母乳と豆の生成能力でアンゴルモアを生還出来たという罹災者の話は世界各国で割と良く聞く話だった。このカードには感謝してはいるが豆とミルク嫌いになってしまったというオチ共々に
【種族】サッパン・スックーン
【戦闘力】400
【先天技能】
・イナゴマメの化身:イナゴマメというカカオ豆に似た性質を持った豆の化身である事を示す。イナゴマメを出すことが一番得意ではあるが、一般的に食用だと言える豆ならばほぼどんな豆でも生成する能力がある
イナゴマメなら一日三十人分は出せるが他の豆混じりだと一日十人分までになる
・子守り妖怪:子守りや家事などを得意とする。良妻賢母、中等家事魔法、庇うを内包する
・乳母の乳育:一日に三十人の人間が生きる為に必要な量の母乳を出せる。その母乳は非常に美味である
一日三回までその母乳十人分を対価に自分以外の誰か一人の傷や疲労を完治させる能力を持つ……但し毒や病い、切断などには対応出来ない
・ビクーニャの守護者:ビクーニャの守護者であり、その獣を狩った者の子や怠け者を攫う妖怪としての一面。男カードに対しての戦闘にプラス補正がかかり、巨大化することで人一人をその胸の谷間に引き摺り込んで逃亡することが出来る。巨大化と逃亡時限定のかくれんぼを内包する
後天技能は地母神としての性質からか回復、補助魔法や農業などを習得しやすい。大半のマスターは武術を覚える事を期待する者が多い様だが