本当に一般的なモブだって輝きたい   作:血涙鬼・彼岸

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第十一話 オタカラの分配

 

大輝はさっと魔石袋に取り分の魔石を吸い込ませてから、十枚ずつ数え積み上げられた迷宮金貨を受け取りそれを一反木綿が生成した木綿を素材にした頭陀袋に入れて口を封ずる、それから最後に自分の天鵞絨(ビロード)製の巾着袋に二粒のカーバンクルガーネットを仕舞う

 

皆がちゃんとちゃぶ台の上を綺麗にしたので次の分配に入る。今は午前六時になる暫く前、あと二時間半は猶予がある

 

次は……沢山入手出来た百万円以下の価格で買える比較的安いポーションやギルド買い取り価格が安い十五枚のDランクカード、これらは適当に分けてそれぞれ大輝提供の一反木綿製頭陀袋に詰めた上で籤で分配される事になる。大輝の場合は

 

ローポーション三十二個

ミドルポーション九個

ハイポーション一個

完全消化薬一個

臭い袋二個

闇視薬二個

『蟻の力の秘薬』一個

『蜥蜴の再生の秘薬』一個

『蜘蛛の歩みの秘薬』一個

避妊薬三個

宝籤のカード二枚

ボアオーク

ホブゴブリン

石妖

 

 

こういう分配を得た

 

籤はだいたい似たような価値で統一されている……大輝の場合は『可もなく不可もなく』だろう。後でホブゴブリンは購買部に提供するも良いだろうし石妖やボアオーク辺りはトレードの弾丸に丁度良い

 

人間でも使える蟻の怪力、蜥蜴の再生、蜘蛛の壁歩きの能力を10分ほど得られる割と珍しいポーション系魔道具を得られたのはありがたい……差し迫る使い道は今のところ無いが

 

普段使いの衛生や美容に役立つローポーションは母親や薬丸家への土産の一つとして最適であり、後のポーション類は大輝自身で使う気だ……一種類だけ今は封印しておかなくてはならない代物もあるが

 

それらも道具箱を経由してカードホルダーに収納しながら次に勘太郎が出したものは『比較的安価だが便利な魔道具』である。大輝も持っている無限水筒や魔石袋……今回の収納である魔石を入れていたアレだ、それと文庫本図書館などにハイポーションといった最低でも百万以上数百万円で済む便利アイテムや無銘の武具などである

 

これについては大輝達の相談で分け合いになった。大輝が求めたものは文庫本図書館と無銘の名刀ぐらいであるが、希望の品とおまけで無銘の名剣(ショートソード)、それと余りのカーバンクルガーネット一粒が配当となった

 

そして最後に、メインディッシュとなる……色々こちらも豊作だった高価な魔道具と八枚のCランクカードの分配だ

 

 

魔道具

カードホルダー三個(市価三千万円)

ヴィーヴィルダイヤ(市価一億円)

魔剣・ダーインスレイヴ(市価一億円)

ダグザの棍棒(市価一億円)

緊急避難のカード(市価一億円)

アリアドネーの糸(市価一億円)

カラドリウスの糞二個(市価一億円)

束鬼刃(市価一千万円)

瑪瑙の勾玉(市価五千万円)

妖精の鎖帷子(市価三億円)

アムリタ(市価一億円)

七里走破の靴二個(市価五千万円)

白沢図(市価五千万円)

照魔鏡(市価三千万円)

 

無限の水甕(売却価格一億円)

 

 

……何と言うか、非常にデカい当たりを魔道具だけでも引いている。大輝の豪運の影響か?やはり腐ってもイレギュラーが発生していた影響が出ていたのだろうか?むしろその両方かもしれないが

 

魔道具に関しては……砂漠地帯やアンゴルモアへの備えなど対策の為に付いた懸賞金のおかげで売却価格が一億円の無限の水甕だけは確定ギルド行きで後は妖精の鎖帷子を希望した者以外は一億円の魔道具を二つと五千万円と三千万円を一つづつ、それと水甕の代金の四人分けで良いだろう。束鬼刃は妖精の鎖帷子を希望した勘太郎行きになる。それと無限の水甕を持ち込めた功績は五人で山分けだ

 

大輝からしてもどれもこれも独り占めしたいぐらい欲しい良い魔道具ばかりだが、厳選に厳選してしてヴィーヴィルダイヤとカラドリウスの糞、それと七里走破の靴と照魔鏡を希望した……が

 

 

「いや大輝、俺も照魔鏡欲しい」

「俺もだ」

「いや幸利、僕も白沢図が欲しいよ?」

「……俺は妖精の鎖帷子を希望した、だからジャッジしよう」

 

 

今回は希望者の重複が起きた様だ。勘太郎は妖精の鎖帷子を求めて一抜けしたが、大輝、浩介、幸利の三人が照魔鏡を求め、白沢図はハジメと幸利が重複といった具合だ

 

 

「……俺、実はCランクカードに結構欲しいカードあるから今は引くよ」

 

 

『本命』の為にも大輝はこの状況から真っ先に引いてカードホルダーを配当に選び直す。結果照魔鏡は幸利に、白沢図はハジメが引き取る事になった

 

これらも後でカード化して貰ったりするが、これからが大輝にとってもメインディッシュである

 

今回の収穫はCランクカードが八枚。うち三枚ほどは大輝が欲しいカードだった、二枚はデッキ強化に、あと一枚はワンポイント要員にである

 

 

Cランクカード

オーガ

グレンデル

ケンタウロス二枚

ドワーフ(男)

目目連

サッパン・スックーン

道祖神

 

 

この中で大輝が欲しいカードは『グレンデル』、『目目連』、『道祖神』の三枚だ

 

 

【種族】グレンデル

【戦闘力】300

【先天技能】

・刃除けの呪印:恐らくは母親である魔女により『刃物による傷を無効化する』という呪印が全身に施されており、刃物による傷を防ぐ事が出来る

刃物によるダメージは半減される

・水底の悪鬼:水中に強く適応した人喰い鬼。頑丈、怪力、火事場の馬鹿力、自己再生、水中移動、闇視を内包する

・武術

・気配遮断

【後天技能】

・中等状態異常魔法

・槌術

 

 

【種族】目目連

【戦闘力】300

【先天技能】

・障子に目あり:『群体型』とでも言うべき特殊なモンスターとしての能力を現す。無数に存在する『目』を操作する事が出来る。但し直接的な戦闘能力には欠ける。直接戦闘する際には戦闘力は半減したものとして考えた方が良い

無数の『目』を他者に貼り付けて中等憑依型装備化能力を複数に行使出来る能力を内包する

その『目』は目目連の視界と共有可能であり、そのマスターも目目連の視界を共有が可能

『目』は無数に存在し、どれだけ破壊しても即座に発生するが、但し……この目目連の『本体』に当たる目を破壊されると即ロストしてしまう。『本体』そのものの戦闘力はカード記載分の十分の一程度しか無い

目目連の戦闘力は殆ど装備化能力の為に存在し、その純粋な戦闘能力はDランク中位程有れば上出来な程弱いので運用にはくれぐれも注意が必要となる

闇視、赤外線視界を内包する。この内包効果は必ず装備化付与対象にも有効化される

・視界は渡る:目目連は家から家に渡れる家屋に纏わる性質を保有している。その性質を以て目目連は家屋系異空間型モンスターの空間に侵入する能力を保有している。但し必ず本体が侵入する必要がある

・目の妖:こと『目』に纏わる事ならばこの妖怪の独壇場、対象の眼病、近視、事故などで喪失した目でも『目を取り替える事』で迷宮内に限り完治させる能力と、その目を奪う事で視力を奪う能力を保有する。この視力を奪う能力も迷宮から脱出すれば治っている

僅かではあるが、精神系統のダメージ回復能力もある……らしい

【後天技能】

・中等支援魔法

・武術

 

 

【種族】道祖神

【戦闘力】450

【先天技能】

・塞の神:村の内外を分ける守り神としての能力。正面から以外は入れない戦闘力750迄の存在を遮断出来る結界を張る能力を持つ、その戦闘力を超えるモンスターが相手なら遮断は出来ないが多少の戦闘力減衰効果はある。但し幽霊系ならどんな戦闘力でも完全に遮断出来る

その結界内部に何かが近寄れば正確に感知出来る

悪意感知を内包している

・岩石の護り神:岩石の妖怪の上位互換、再生能力、全ての異常耐性、献身の盾と岩石の妖怪、巨大化を内包する

・憑座寄せ:道祖神を下手に拝むと救いを求めて辺りを漂う憑依霊の群れに憑かれる可能性がある。その祟りを再現可能、非実体への攻撃能力を内包する

悪霊(Dランク)を無限召喚使役出来る

【後天技能】

・中等回復魔法

・お祓い:同ランク迄の呪い系統攻撃を防いだり呪いを解呪出来たりする。同ランク迄なら呪い属性の装備化能力を強制解除出来たりもする

 

【種族】悪霊

【戦闘力】80

【先天技能】

・低級悪霊:悪霊系モンスターの中でも低級クラスである事を示す。幽体、飛行、闇視、エナジードレイン等の悪霊らしい特技を保有するが『核』に直射日光を浴びると即ロストする。それと神聖系統の攻撃に弱い

・下級状態異常魔法

【後天技能】

・下位眷属体

 

 

少々、後天技能は心ともないが大輝が欲しいカードが三枚丁度出た

 

この迷宮の通常出現モンスターの一種であり基本に忠実な通常戦闘型で、前々から言っていた二軍筆頭である零落オーガ用の補強マイナーチェンジ用のグレンデル

 

この迷宮の固定レア枠かつ目玉カードその1。非常に珍しい群体型かつ中等クラスの軍勢型装備憑依スキル、それに異空間侵食能力を行使出来る。装備対象全てに闇視を与えられるためちょくちょくこの迷宮に潜る事になるから欲しいし大輝のデッキにも色々シナジーのあるワンポイント要員の目目連

 

ランダムレアの一種かつ目玉カードその2。対幽霊系特化かつCランク迷宮までなら通用するだろう結界や悪霊使役能力を持つCランク最高クラスのタンク役で大輝のデッキ最初期からのタンク役である『巌』のクラスチェンジ先に最適な道祖神

 

ちなみに大輝の父親である佐藤源輝氏の相棒もまたこの道祖神であり、大輝が嘗てアンゴルモアで見たのも実は既に道祖神にクラスチェンジした元塗り壁の勇姿だったりする……つい最近大輝も知った新事実である。姿は殆ど塗り壁のままだったから仕方ない話ではあるが

 

この三枚は大輝がこの迷宮に出ると聞いていて色々期待していたカード達だ。大輝的には是非とも欲しいカードばかりである

 

 

「すまないが、この三枚俺の配当に出来ないか?」

 

 

そして大輝の希望は順当に叶えられた。大輝の存在は非常に重宝する……迷宮士の資格、その実力、豪運、胆力、人間性等々様々な理由が挙げられるが、実利的にも皆的にはあまり使わないカードやそもそも既に持っているカードばかりなので今回は大輝の配当として認められた訳だ。勘太郎もハジメも浩介も得意属性は女の子、幸利は獣故に妖怪や鬼は対象外なのだ

 

それに……次の長期休暇では大輝を誘って他の更に難易度の高いCランク迷宮攻略だってやりたい、だから大輝の強化はありがたい話である

 

次はそれぞれの希望だが……勘太郎は前にも言った通りサッパン・スックーンを希望したがハジメも浩介も希望する。まぁ女の子カードの中でもタンクや護衛が務まる珍しいタイプだからか皆欲しい様だ

 

今回は希望しなかった大輝と幸利がジャッジ役として三人と対話して落とし所を探る……先ずはサッパン・スックーンをさておいて『他の欲しいカード』について聞いてみる

 

オーガは誰もいらない……Cランクでも最弱クラスな上に精神攻撃に弱いから仕方ないだろう

ケンタウロスも誰もいらない……比較的適性のある幸利は既に予備戦力に一枚持ってはいるからもういらないそうだ

ドワーフはハジメが万が一の復活用に求めた……復活に使わなくてもドワーフは需要が豊富な良カードだから持っていても損はない。実際この迷宮の通常出現モンスターではあるがカードドロップすれば『普通はこれ一枚でも割とラッキー』な範疇である。女の子バージョンならちょっとした祭りになるだろう

 

オーガとケンタウロス二枚は購買部に売却、ドワーフはハジメ行きが決まった。先ずはサッパン・スックーンとそれぞれ契約しては相性を試して契約破棄で試してみる……浩介とは少し相性が合わなかった様で浩介は離脱を決めた。勘太郎とハジメには相性良しである

 

後はちょっとした『競り』になるだろう。タンク、護衛役に使える回復役、しかもプロ垂涎の逃走能力にいざという時には食糧も出せる上に良妻でもある、と強力かつ多芸なサッパン・スックーンのギルド買い取り価格はだいたい九千五百万円の超人気カードである……実際にはオークション行きレベルなので買い取り価格は何億になるか分からない代物であるが女の子カードというものは付加価値だけでもエグいから仕方ない話である

 

ちなみに能力だけなら間違いなく上位互換のバーバヤガーのギルド買い取り価格はだいたい五千五百万円ぐらい……どう見ても醜悪な老婆という見てくれなのもあるだろう、見てくれの悪さはバーバヤガーの欠点の一つゆえに仕方ない話ではあるが

 

実際に最高レベルの容姿の褐色爆乳長身全裸美女を好きに出来る権利である。それは凄まじい事になるだろう……チョーカキン氏の動画に有った『サッパン・スックーンの逃走モード』とか本当に凄まじい光景だったし

 

……二人とも『そういう意図』は一切無く、純粋に『相性の良さそうなタンク、護衛役が欲しい』というだけであるが。勘太郎は彼女一筋、ハジメは(人間相手かつわかっているだけで)ラブコメ四角関係状態、流石にぽっと出のカード相手にそういう感情はあまり湧かない

 

競りに入る前に先ずはカードを希望して受理された大輝とハジメの簡易リザルトから始めよう

 

大輝の求めたグレンデルは千二百五十万円、目目連は五千万円、道祖神は六千万円、ハジメのドワーフが三千五百万円がギルド買い取り価格である

 

まずは大輝の支払い金額は合計一億円二千二百五十万円、それを他の仲間達の権利を後の赤魔石や所持禁止類魔道具の配当から支払う形式になる。この場合大輝は九千八百万円を配当からさし引かれる事になるがCランクカード三枚を獲得出来る。ちなみにハジメの場合は二千八百万円を引かれる、そして大輝はその権利分である七百万円を受け取れるという訳である

 

普通に買えばそれこそこの倍でも容易く入手は出来ない希少な……人気カードであるデュラハンみたいにCランクカード基準でなら多少は出回り易いカードという訳でもない珍カード故にピーキーでも値が張るのが大輝と相性の良いカードの欠点だろう。もしもロストしたりすれば復活用カードの入手は大変だという意味でもあるから要注意だ

 

大輝と幸利、ジャッジに回った浩介の協議の結果今回の競りは一発勝負、勘太郎とハジメが同時に落札金額を紙に書いて高い値を出した方がサッパン・スックーンを獲得できるというルールになった

 

大輝から渡されたルーズリーフに黙って価格を書き込む二人……この一発勝負のチキンレースにどう出るか?

 

 

勘太郎『一億六千万円』

ハジメ『一億五千五百万円』

 

 

かなりの僅差ではあるが勘太郎の落札が決まった。勘太郎は仲間達に支払うべき一億二千八百万円を配当から支払いサッパン・スックーンを獲得に成功した

 

 

 

これで全ての暫定リザルトは終わった……そろそろ職員室が開くので教師達にイレギュラー討伐を含めた結果報告と迷宮探索レポート提出を行う必要がある。特にイレギュラー関連の情報は真っ先に出しておくべきだろう

 

大輝達の帰宅迄はまだまだやるべき事はある……授業やギルドでの交渉など様々である

 

しかしそれでも重要なタスクは今こなせた。ある意味ではこの『成果の分配』が一番怖いものだという冒険者も居るだろう

 

普通なら公平に分配するべきだと思うが……チームによっては厄介な格差やローカルルールなどで複雑怪奇かつ理不尽な有り様になって常にギスギスしているとかいないとか?

 

普通は割れる戦利品とかなぞF、Eランク階層で頻繁に出るポーションとか米以外の食料品ぐらいであり、大概は魔道具も即決オークション仕様で決まる事が多い。プロ冒険者が居ればそいつが采配を行うのが普通だがそれでも揉める時は揉めるもだ

 

今回みたいに公平かつ穏便に分配が済むのはとても良い事だ。時には『決して分けられない、しかし決して手放したくないお宝』がひょっこり出てきて大モメしたりすることがあるから冒険者稼業は大変である

 

最悪、この分配でモメにモメ倒して固定パーティーの関係悪化や空中分解、最悪刃傷沙汰や殺人事件と様々な問題が世界各国津々浦々で起きたりするからある意味では普通の迷宮探索よりも危険な事かも知れない

 

大輝達の今回のケースでは大した問題も諍いもなく和やかに終わったから良いだろう。こういうパーティーを組む際には実際に迷宮で戦う時よりもむしろこういう分配時が一番揉め事が多いものだ

 

……まぁ、それでも迷宮関連で一番最悪の揉め事である『パーティーメンバーの主力ロスト』や真に最悪の事態である『パーティーメンバーの死亡』よりかは間違いなくマシな話ではあるが

 

イレギュラーに遭遇した際には高い確率で起きる惨事であるが、今回みたいにちゃんとした対処が出来れば簡単に撃破出来る……いやこれは非常に稀少なレアケースだから全く参考にはならないだろう。『アレ』は欲さえかかなければ赤魔石を持ち込んでくれるだけのイレギュラーにあるまじき雑魚だし

 

兎に角、先ずは職員室に向かい帰還報告とイレギュラー襲来報告も兼ねたレポート提出をしなくてはならない。それから証拠品の赤魔石を預けて授業に行かなくてはならない

 

……まぁ、最後に厄介な取り調べはあるだろうが美城学園の名と大輝達自身の信頼があるから遅くても一時間の取り調べだけで済む筈だ。それでも面倒ではあるが

 

 

「そう言えば大輝ってこないだ沢山の引き換え券入手したってな?」

「……まぁな、でもそう遠くない内にあの程度なら全部使い果たすだろうけどな。Cランク迷宮に潜っていればな?」

「そりゃ七十回程度なら早く溶けるか?でも七千万円分は浮くのはラッキーだけどな」

「……僕はむしろシークレットダンジョン優待券の方が羨ましいな。あれはプロ資格が無いと入場出来ないし、しかもドロップしたものは全没収なのに半分は持ち帰り許可が出るんだよねアレ?」

「「「それな!」」」

「……完全に俺専用だがな。ちゃんと名前入りだしアレ」

 

 

そんな取り止めの無い話をしながら歩けばぽつぽつ生徒達が登校してくる様が見える……そしてふと目の前には小柄な、制服から見て初等部の制服を着た女生徒の姿が見える

 

その少女は大輝に向かって駆け寄ってくる

 

愛らし煌びやかな満面の笑顔で大輝に抱きついた腰まである長い金髪の美少女……大輝の恋人である薬丸姫子だ

 

 

「おはよう、にーさま!」

 

 

 

大輝の場合……今、この瞬間で『帰って来た』と言って良いだろう。大輝が帰るべき存在(場所)が自分からやって来たのだから

 

 

 

 

 

【Tips】収穫物の分配

 

冒険者にとって決して疎かにしてはいけない事の一つに『収穫物の分配』がある。Dランク迷宮まではソロでも充分に活動出来るがCランク迷宮ともなるとソロはほぼ間違いなく自殺行為扱いされるだろう

 

故にCランク迷宮に入れるプロ冒険者達はチームを形成して高難易度迷宮に挑む訳だが……そこで問題になるのが収穫物の権利問題である。ソロなら全ての収穫物を独占出来るが、パーティーだと収穫物は分配しなくてはならない

 

普通の野良パーティー……いわゆる一時的に組んだだけのパーティーならば均等割りかつ欲しいものが有れば主張して分配金から支払ったりして得たりと色々出来るだろう。少なくとも『この地点ならば均等割りした権利』があるからギルドや札商から買うより絶対に安くつく

 

基本的に『ギルドの基礎買い取り価格』を参考にしてその価格事に戦利品を分けたり、それを全てギルドに売り捌いてその金額を均等割りするというスタイルなど様々な手段がある……市価の半額以下で貴重なカードやアイテムを入手出来る絶好の機会なのにギルド全売却はよほどいらない戦利品だけだった場合以外はもったいないからやる者は少ないだろうが

 

常時組んでいるパーティーの場合は……貢献度や力関係などが複雑に絡んで厄介な面もある。例えば四つ星一人に三つ星三人のパーティーならば基本的に三つ星の三人は助手扱いであり四つ星の発言力には逆らえないだろう、ある意味『社長と部下』の関係に近い

 

……それでも、あまりに阿漕な真似はやり続けると悪評が立って『部下』に逃げられプロ冒険者として必要な仕事が出来なくなってプロ資格を喪失する羽目に陥る事もあるので普通のプロ冒険者は阿漕はやらない。パワハラなどは持っての他である

 

阿漕だけでなくパワハラなどをやらかしたりしてそれが露見して破滅する外道冒険者も偶に現れるが……それも氷山の一角かも知れない。チーム制度が抱える闇の一つである

 

こういう問題事をやらかす冒険者はカード虐待もやらかしているケースも多いので『ボロボロになったカード』が多く流れてくる所があるなら要注意である

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